ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

ゼロのパーティ-10

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匿名ユーザー

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ヴェストリ広場に着く。
既に広場の中心には、人だかりが出来ていた。
おそらく彼処で、決闘とやらが行われているに違いない。

「なんだよ。もう終わりかい?」

その中心から、呆れたような男の声がする。
才人の声じゃない。おそらく相手の声だ。
今、なんといった? 終わり?
もう勝負がついたというのか?
いや、そんなはずはないだろう。彼はかなり意地っ張りだ。
一度決めれば、たとえ何回殴られようが、意地だけで立ち上がってくる。
早く止める必要がある。
僕は人混みの中に押し入った。


「おわ、なんだよ!」
「失礼。通してください」

途中、何度も人にぶつかりながら、何とか、決闘とやらが見える所までたどり着く。
そこには腹を押さえてうずくまる才人と、それを見下ろす鈍い赤褐色の甲冑をまとった像。そして、そこからやや離れた所に、薔薇を持った、きざったらしい少年。
たぶんアレが、グラモンとやらだろう。

「さて、これ以上続けるだけ無駄だと思うが?」
「……だ、誰がっ!」

震える足に手を置きながら、何とか立ち上がる才人。
それに併せて像が動いた。なるほど、あれが俗に言う、ゴーレムという奴か。
才人は大方、アレに殴られたのだろう。

さて、ここから妨害しても良いが、僕はそこまで無粋じゃない。
ましてや、二股がばれて、八つ当たりをするような奴だ。
ここで訳も分からないまま負かしても、またいつか余計なことをする。
必ず、奴のプライドを粉みじんにしなくてはならないッ!


僕は、決闘への乱入という形を取ることにした。
これこそゲームセンター界に伝わる、由緒正しい、プライドを潰す手順だ。

「なんだい、君は?」
「私の名前は花京院典明。今、ここで倒れている、平賀才人の友人だ」

僕が乱入したことで、人混みが一気に騒がしくなった。
乱入してきた僕が誰か、近くの奴に聞いているのだろう。
ゲームセンターで人が集まった台に乱入した時と、同じ反応だ。

「見ての通り、才人も私も平民だ。それに一対一で、決闘を挑むというのは、君たち貴族にとっては恥ずべき事じゃないのか?」

僕はルイズから、貴族というのは、平民相手には感情的になりやすいということを学んだ。
だから、この挑発は有効だという自信があった。

案の定、目の前の気障な少年も、ギャラリーさえも食いついている。
僕は口上を続けた。

「しかもこの決闘は、彼の逆切れからはじまったと聞く!」

そういってビシッ! と気障な少年の方に指をさす。
ギャラリーから失笑が漏れ、さされた少年の方はぴくぴくと頬を引きつらせている。


「元はといえば、あの香水を拾ったのは私だ! 格好つけて二股をするなら、我々平民の二人や三人、なぎ倒して見ろ!」

我ながら、意味の分からない理論だ。
だが、頭に血が上った奴には、この程度の挑発で十分効果を発揮する。
案の定、目の前の少年はあっさりと挑発に乗ってきた。

「良いだろうッ! 君もそこの平民と一緒に、僕の『ワルキューレ』で、貴族に対する礼儀を教えてやるッ!」

その一言と共に、ギャラリーが騒がしくなる。

「や、止めといた方が……」
「ギーシュ、お前じゃ無理だ」
「黙って、引っ込んでろよ」
「所詮貴様は只のドットメイジ。大人しく、そっちの平民をいたぶってろ」

何人かのギャラリーが、少年の止めに入る。というか、バカにしている。
顔を見ると、昨日、僕が暴れた場に居合わせた奴らだった。

「何だ君たちは! まさか僕が平民二人程度に負けるとでもいいたいのかッ!」

ギーシュとやらは、そのギャラリーに対して吼えた。
しかし、相変わらず止めに入った奴らは、少年に冷たい視線を送るのを止めない。
かわいそうだけど、明日の朝にはにはお肉屋さんの店先に並ぶ運命なのね、といった感じだ。


しかし、止める奴らもいれば、煽る奴もいる。

「ギーッシュ! その生意気な平民をのしちまえーーー!」
「やっちまえーーーー!」
「ギーシュ(オサ)! ギーシュ(オサ)! ギーシュ(オサ)!」

こっちは昨日、暴れた時は居なかった奴らだ。
解りやすいぐらい、反応が二分化されている。
まぁ、どちらにしろ、いまさらギーシュは引けないだろう。

「さあ、どうするッ!?」
「決まっているッ! 決闘だッ!」

良し! かかったッ!

僕は才人に肩を貸して、改めてギーシュと正面から対峙する位置に立つ。

「花京院……」
「何ですか?」
「わりぃ……」
「そういうのは、勝ってからにしてください」

才人が立つ。
っと、そうだった。

「邪魔なんで、これ、持っておいてくれますか?」
「おう……」

僕はずっと手に持っていた槍を、才人に手渡した。
才人はその槍をぐっと握る。すると、突然、才人の左手に刻まれた文様が光り出した。

「何だよ、コレ!」
「!? ……いったい何が」

「平民、もう用意は出来たのか! 始めるぞ!」

とりあえず、光り出した才人の左腕の文様については後回しだ。
今は、この目の前のコイツを叩きのめすッ!

少年は薔薇を掲げ、その薔薇から花びらを飛ばす。
すると花びらから先ほどと同じゴーレムが、6体精製された。
先ほどのも合わせると7体。

「僕の二つ名は『青銅』! 青銅のギーシュだッ! 君たちは相応の喧嘩の売り方をしたのだからな! 思い知ってもらうぞ!」

どうやらこれが全力らしい。
ゴーレムは青銅製。なら…

「たいしたことはない! 食らえッ! 『エメラルドスプラッシュ』を!」

僕のハイエロファント・グリーンから、破壊のビジョンが、エメラルドとなって撃ち出される。
かなり厚みのある石の建物ですら破れるのだ。
ペラペラの、たかだか青銅製ゴーレムなんて、簡単にブチ砕けるッ!

僕のエメラルドスプラッシュは、ゴーレムを3体巻き込んで爆砕する。
ゴーレムは綺麗に、バラバラになって吹っ飛んだ。


「へっ?」
ギーシュは何が起こったか解らないといった調子で、その様子を眺める。その姿は何ともマヌケだ。

ようやく何が起きたのかを理解した少年は、慌てて叫んだ。

「ワ、ワルキューレ! 僕を守れッ!」

ゴーレム達が、ギーシュのフェンスになるように密集する。
だが、そんなことをしても無駄無駄無駄無駄ァ~。
僕はもう一度、スタンドでゴーレム達に標準を合わせた。
もう一発、エメラルドスプラッシュを叩き込むッ!

「待てよ、花京院。後は俺にやらせてくれ」
「才人?」

だめ押しにもう一発といった所で、才人が突然止めてきた。
後は自分が片づける?
言ってる意味が分からない。イカれているのか? この状況で。

「才人。まだ意地を張って……」

僕が制止の言葉をはき出す前に、才人はゴーレムに向かって走り出した

「早いッ!」
アレは人間のだせる速度なのか?
僕ですら、スタンドを介した視界で追うのがやっとという速度で、才人はゴーレムへとつっこんでいる。
おそらく、周りの人間には、何が起こったのか見えていないだろう。

才人はゴーレム達の前で立ち止まり、そのまま、槍を横ナギに振るった。
槍は、パクゥーと空気が裂き、ゴーレム達へとたたきつけられた。

ドグシャァと叩きつぶれるような音と共に、ゴーレムの上半身がちぎれ飛ぶ。
しかし槍も、HBの鉛筆をへし折るように、ペキィと叩き折れた。
それと同時に、才人の左手の紋様からでた光も収まった。

『世界ッ!』
ギャラリーはおろか、当事者の才人や僕ですら理解不可能な光景に、時が止まる。


「ひっ!」
『そして時は動き出す』

ギーシュのおびえた声と共に、再び時は動き出した。
才人の右手に握られた、へし折れた元槍と、上半身のちぎれ飛んだ、四体のゴーレムが、先ほどの光景が幻覚でないことを見せている。

僕はすぐさま、ギーシュの方を確認する。
ぺたんと座り込んで、目をまん丸くして才人の方を見ていた。
ぽろりと、手から薔薇が落ちる。
それと共に、残っていたゴーレムの下半身は、土に還っていった。
なるほど、あれが杖だったのか。



「続けるか?」
ギーシュの口がぱくぱく動く。
参ったというつもりだろう。
だが、ここで参ったといわれては、プライドを暗黒空間にばらまくことが出来ない。
肉体的にも、お仕置きをする必要があるッ!

僕は迷わず、ギーシュの口の中にハイエロファントを飛び込ませた。
そしてそのまま、ギーシュを操るッ!

「ふん。平民に僕が降参するだとッ! なんて! なんて面白いジョークだッ! ガボッ!」
「続けるんだな」
「ガボガボッ! 君なんて素手で十分だッ! フヒィーッ、フヒィーッ」
「なら、容赦しねえっ!」

(ゆ、許してくださいぃ~~~~~!)
操っているハイエロファント越しに、そんな思考が流れてきた。
それに対し僕は一言
(お前は男としての領域を踏み出した。だ め だ ね)
と送り返す。

才人が思いっきり、右腕を振りかぶる。
ギーシュの目に、涙が浮かんだ。



才人の拳は、そのままギーシュの腹部へ吸い込まれる。
ドグオォっと鈍い音がした。

「いいか・・・このパンチはゼロのルイズにバカにされた分だ……八つ当たりと思うかも知れないが、コレはお前が俺に八つ当たりした分だと思え」

なんて理不尽な言い分だ。
だが、僕は才人のしたいようにさせておく。

「また、ゼロって……」

しかし才人。先ほどから、僕の後ろで殺気を放っている人物は誰だと思う?

「そしてこれもゼロのルイズにバカにされたぶんだッ! そして次のもゼロのルイズにバカにされた分だ!
 その次の次のも、その次の次の次のも…その次の次の次の次のも…次の! 次も! ゼロのルイズに飯抜きにされたぶんだあああーッ!
 これも! これも! これも! これも! これも! これも! これも! これも! これも!!」

「!?」
僕のハイエロファントが、警告を発している。
マズイ!


「才人ッ! 早くギーシュから離れるんだァー!」
「え?」

しかし、もう遅かった。僕は急いでスタンドを引っ込める。
ギーシュは才人に襲いかかるようにして倒れ込んだ。
ギーシュは口元を押さえる。

「な、なんだよ。まだやる気か!?」
「うっ」

先程まで食後のティータイムを取っていたのだ、あれだけお腹を殴られれば……















吐くに決まっているッ!

才人は見事なゲロ・スプラッシュの洗礼を浴びる事になったのだった。


To be contenued……

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