なんというブチキレコンビ。ギアッチョの怒りは、まるで次はオレの番だと
でも言うかのように静かに爆発した。
「ところでよォォ~~・・・ 朝こいつを食った感想はどうだったよお嬢様?」
ギアッチョは波一つない海のように静かに尋ねる。
「最悪だったわッ!・・・そういえばあんたよくも貴族の私にこんなもの
食べさせてくれたわね!後でお仕置きを――」
でも言うかのように静かに爆発した。
「ところでよォォ~~・・・ 朝こいつを食った感想はどうだったよお嬢様?」
ギアッチョは波一つない海のように静かに尋ねる。
「最悪だったわッ!・・・そういえばあんたよくも貴族の私にこんなもの
食べさせてくれたわね!後でお仕置きを――」
ゴバァアァ!!
穏やかな海が突然嵐に変わるように、ギアッチョの全身から突然冷気と
殺気が噴き出し始めた!
「うぅッ!?ちょっ・・・何!?こんなところで・・・!!」
ルイズは慌てて辺りを見回すが、周囲の貴族達にはギアッチョの異変に
気付いたようなそぶりは見受けられない。ギアッチョがミスタ達との戦いで
得た教訓の一つ、それは他のスタンド使い達が当たり前にやっている
「自分の能力を安易に敵にバラしたりしない」ということであった。己の命と
引き換えに得た教訓は、彼の心の根っこにしっかりと突き刺さっている。
激しくブチ切れた今も、「周囲に己の能力を悟らせない」という事に関して
だけは自制が働いていた。つまり――ルイズが感じた冷気と殺気は、
他でもないルイズただ一人に向けられたものだったのである。
ギアッチョはすっと地面にかがむと左手で食事の入ったトレイを持ち上げ、
背中を曲げた体勢のまま、色をなくした眼でルイズを見る。
「つまりてめーはそんなものをこのオレに食わせるってぇわけだ・・・」
「なッ・・・あんたは使い魔なんだから当然でしょ!?使い魔の上に平民!
貴族と同じ地平線に立つことなんて一生ありえないのよ!!」
殺気が噴き出し始めた!
「うぅッ!?ちょっ・・・何!?こんなところで・・・!!」
ルイズは慌てて辺りを見回すが、周囲の貴族達にはギアッチョの異変に
気付いたようなそぶりは見受けられない。ギアッチョがミスタ達との戦いで
得た教訓の一つ、それは他のスタンド使い達が当たり前にやっている
「自分の能力を安易に敵にバラしたりしない」ということであった。己の命と
引き換えに得た教訓は、彼の心の根っこにしっかりと突き刺さっている。
激しくブチ切れた今も、「周囲に己の能力を悟らせない」という事に関して
だけは自制が働いていた。つまり――ルイズが感じた冷気と殺気は、
他でもないルイズただ一人に向けられたものだったのである。
ギアッチョはすっと地面にかがむと左手で食事の入ったトレイを持ち上げ、
背中を曲げた体勢のまま、色をなくした眼でルイズを見る。
「つまりてめーはそんなものをこのオレに食わせるってぇわけだ・・・」
「なッ・・・あんたは使い魔なんだから当然でしょ!?使い魔の上に平民!
貴族と同じ地平線に立つことなんて一生ありえないのよ!!」
ビシッ!!
ルイズがそう言い放った途端、最近聞き慣れた音が彼女の耳に響いた。
ビシィッ!!ビシビシビシッ!!ビキキィッ!!
この音は、他でもないこの音は。ルイズは恐る恐る、音のした方向へ
眼を向ける。
音がしていたのはギアッチョの持っている食事・・・いや、食事だったもの
からだった。パンとスープを載せたトレイは、ギアッチョの左手の上で
まるで彫刻のように完璧に凍っていた。
「・・・・・・こんな・・・ええ?こんな『ささやかな糧』でよォォォ~~~~~
てめーの命を守らせようってのかァ?・・・え?おい」
眼を向ける。
音がしていたのはギアッチョの持っている食事・・・いや、食事だったもの
からだった。パンとスープを載せたトレイは、ギアッチョの左手の上で
まるで彫刻のように完璧に凍っていた。
「・・・・・・こんな・・・ええ?こんな『ささやかな糧』でよォォォ~~~~~
てめーの命を守らせようってのかァ?・・・え?おい」
――てめーの人生のかかった仕事を・・・
「あ・・・!」
クソみてーなはした金でよォォォ・・・――
バキィィィィインッ!!!
ギアッチョがどんな仕事をしていたのか――ルイズがそれを思い出した
瞬間、白磁の彫刻は彼の手の上で「ブチ割れ」、そしてそれと同時に
ギアッチョは食堂を震わせるような大声で叫んだ。
瞬間、白磁の彫刻は彼の手の上で「ブチ割れ」、そしてそれと同時に
ギアッチョは食堂を震わせるような大声で叫んだ。
「オレ達の命は安かねェんだッ!!!」
いつもの薄っぺらな怒りではない。ギアッチョは本気で「怒って」いた。
ルイズは声も出せなかった。ギアッチョの剣幕に怯えていたのでは
ない。一体自分がどれほど酷いことを言ってしまったのか、それを
理解したのである。自分はギアッチョ達を皆殺しにした『ボス』と
何も変わらない。ギアッチョの彼らしからぬ心の底からの叫びに、
ルイズの胸は千切れ飛びそうな痛みを感じた。
ルイズは声も出せなかった。ギアッチョの剣幕に怯えていたのでは
ない。一体自分がどれほど酷いことを言ってしまったのか、それを
理解したのである。自分はギアッチョ達を皆殺しにした『ボス』と
何も変わらない。ギアッチョの彼らしからぬ心の底からの叫びに、
ルイズの胸は千切れ飛びそうな痛みを感じた。