ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

D0C-07

最終更新:

匿名ユーザー

- view
だれでも歓迎! 編集
「人の出会いとは“重力”だ!!出会うべくして出会ったのだ!!」byエンリコ・プッチ



ギーシュとの決闘、それは大統領にとってそれなりに得した出来事だった、

まず、戦闘力の計測、ドットで戦闘慣れしていないという最低ランクの相手だが一応収穫はあった

そしてルイズからの信頼、これもドットとは言えメイジに打ち勝った為、私への扱いも少しは変わるだろう

最後に、学院の使用人からの人気、これは予期していなかったが平均的な貴族と平民の実力差は歴然としているので、
それを跳ね返して勝利したのだから当然といえば当然である、貴族の横暴さも加わって、
「我らの奇術師」なんてあだ名も付けられた、由来は手品で倒したからだそうだ。

しかし、逆に必要の無いものまで寄せ付けてしまったと、後に大統領は落ち込む。
その必要の無いものとは・・・


(なぜ私を監視しているんだ?・・・)
ルイズから頼まれた洗濯をしながら大統領は思う・・・
考えながら洗濯していた大統領に不意に声が掛かる
「ファニーさん、今日も精が出ますね」
「ああ、シエスタか、君も洗濯か?」
「ハイ、・・・ところでファニーさん、あれは・・・」
「・・・シエスタも気づいたか」
「気づいた・・・というか・・・“見えている”・・・というか」
シエスタも見えているものとは、キュルケの使い魔である、フレイムの事である
「あれで隠れているつもりなのかね」
フレイムは一応物陰に頭を引っ込めたりしてるが体が大きいためか尻尾や何やらが完全に見えているのである
(あの図体で隠密行動は無理があるだろう)
「あれ、どうするんです?」
「ほっとこう、時期が来れば向こうから出向くはずだ」
それだけ言うと大統領は再び洗濯を続ける


その夜、大統領はトイレに起きだして向かい、
ルイズの部屋へ戻る途中にフレイムが立ち塞がった
「何のようだ?」
大統領が話しかけるとフレイムは大統領の服の裾を掴み、引っ張る
ついて行くとどうもキュルケの部屋へ誘っているらしい
(さて、何が目的なのかこれでハッキリするだろう)
大統領は意を決してキュルケの部屋へ入る、自分の使い魔を使って監視していたのだ、
もしかしたらギーシュとの決闘で何か怪しまれたのかもしれない、大統領はそう考えていた

部屋の中は暗く、ドアから差し込む光がかすかに照らすだけだった
「扉を閉めて」
キュルケの声がして、大統領は言われたまま扉を閉める
それと同時に部屋の中の蝋燭がひとりでに灯り始めた、
キュルケの姿が見えるようになる、服装は寝巻きなのだろう、ベビードールというものを着ている
「こっちへ来てくださる?」
ゆっくりと大統領はキュルケの方へ歩いていく
「なぜ使い魔を使って私を監視していた?」
「あら・・・ばれていたの?」
「あの大きさで隠れてもバレバレだ、もう一度言うなぜ私を監視していた?」
「・・・貴方はあたしをはしたない女だと思うでしょうね」
(なんだ?この女何を言っている?)
「思われても仕方ないの、わかる?私の二つ名は微熱」
「なにが・・・言いたい?」
「恋してるのよ、あたし、貴方に。恋はまったく、突然ね」
(あー・・・そういう事か)

大統領はキュルケの一言で全て理解した、
つまり使い魔を使って監視していたのもこうやって部屋へ呼んだのも、
全て自分に『ひとめ惚れ』したせいだと

(そうならもう用は無いな、さっさとルイズの所へ帰ろう)
キュルケの今も続いている愛の囁きを無視してどうやって帰ろうかと大統領は考えていたが、
ふと、窓の外を見ると部屋を覗く人影が見えた

「あー、ミス・キュルケ、君が私にひとめ惚れしてくれたのは嬉しいし、
ギーシュを倒した私をそこまで褒めてくれるのも嬉しいが
君の思いには応えられない、そこで君の愛の囁きは窓の外にいる人に言ってあげてくれないか?」
「窓の外?」
キュルケが振り向くと窓の外に顔の整った男の姿があった
「待ち合わせの時間に君が来ないから来てみれば・・・」
「ベリッソン! ええと、二時間後に」
「話が違う!」

キュルケは懐の杖を振って炎を操り、窓の外の男を吹き飛ばす
それを見届け、キュルケは大統領に振り返る
「まったく無粋なふくろうね」
「言っておくがミス・キュルケ、まだ他にもいるぞ」
「え?」
キュルケがもう一度窓に振り向くと
これまた二枚目な顔の男が窓の外にいた

「キュルケ!その男はだれだ!今夜は僕と一緒じゃなかったのか!」
「スティックス!ええと、四時間後に」
そこから更に三人の男が追加で窓の外から顔を覗かせる
「「「キュルケ!約束していたのは僕じゃなかったのか!」」」
「マニカン!エイジャックス!ギムリ!ええと、六時間後に」
「「「朝だよ!!」」」
「フレイム~!」
キュルケはいい加減にしてという感じでフレイムに命令する、
それを聞いてフレイムは四人に炎を吐いて追い払う
もう来ない事を確認してキュルケは振り向くと、もうそこに大統領はいなかった



ルイズの部屋に戻ってきた大統領はギーシュ戦で真っ二つに破り、
その後シエスタに編み直して貰った毛布を被り、眠ろうとする
(キュルケにひとめ惚れされるとはな・・・ああいうタイプは他にいい相手が見つかるまで執念深い、
スカーレットが良い例だ)
面倒なものに目をつけられたな・・・と付け加え、大統領は眠る。


そしてその次の日、大統領より珍しく早く起きたルイズに大統領は叩き起こされる、
「ファニー、今日はアンタに剣を買ってあげるわ」
「・・・そりゃあまた・・・どうして?」
起きたばかりで毛布が体に掛かったまま薄目を開けながらルイズに聞く、
見かけはこんなだが頭は確り働いていた。武器の必要性があるのかどうか?ということで、
ギーシュを倒したときは武器を使わずに倒したので大統領としては必要性があまりなかった。
「剣の一つも持ってないと従者としてみすぼらしいのよ、」
なるほど・・・と大統領は思う
(格好を見繕う訳か・・・まあ脅しの道具にもなるだろう、)
肯定する理由は無いが逆に否定する理由も無く、大統領はルイズと出かける事にした


トリスティン城下町に向かう為、馬を使って移動するルイズと大統領、
城下町に向かう途中、大統領は何者かに見られているような視線を感じて
何度か周りを見回したりするが、こちらを見るようなものは何も無いので気のせいかと思い、
乗馬に意識を集中する。


城下町に着いた後は武器屋へと真っ直ぐ進む、
途中街の造りや治安の悪さについてルイズから説明を聞きながら歩いていく、
そこでも視線を感じる、というか“つけられている”といったほうが正しい。
大統領は勘違いではないと思い直す。
(貴族の令嬢を付け狙うとは感心しないな)
そう思い、ルイズにその事を話そうとするが少し待って考える、
(こちらに危害を加えようとするなら城下町に入る前を狙う筈だ、
わざわざ人通りの多い場所で狙うリスクを負う必要は無い、従者である俺が離れるのを待っているのか?
それとも・・・)
下手にこちらが行動を起こせば藪蛇になりかねない、何より相手の思惑が分からない、
ルイズにこの事を話せばルイズの性格だ、追っ手をふん捕まえようと躍起になるだろうから
まず話せない。

どうしたものかと考えていたらいつの間にか武器屋に着いていた、ルイズにつられながら店の中に入り、
ルイズが店主と話し始めるのを横で聞きながらも外を警戒する、
店主がルイズの要望を聞いて持ってきた剣はいかにも見栄えが良さそうな大剣だった
値段の方はその見栄え以上で、ルイズ曰く「立派な家と庭が買える」との事
「ルイズ、私の要望も聞いてもらえるかな?」
「何よ」
「まず、私にそんな大きな剣は扱えない」
「じゃあどんな物なら扱えるのよ!」
「レイピア・・・とかはどうだ、これなら私でも扱えるし、従者の面目を保つ上でも問題ないと思うが」
大統領がレイピアを提案したのは初心者でも扱いやすく、また従者の面目、という点でも、
大剣を背中に背負うよりもレイピアを腰にさしていたほうが様になっているという
個人的なイメージがあった為だった

大統領の言葉を聞いたルイズは少し乱暴に溜息をつくと店主にレイピアを見せるように言う
店主は渋々大剣を持って店の奥に行きレイピアを探し始める
「因みに聞くがルイズ、武器の費用はどの位あるんだ?」
「百エキューよ・・・」
苦虫を噛んだように言うルイズを尻目に、大統領は頭の中でこの世界の金の単位を自分の世界で比べて計算していた
(まあレイピアぐらいなら買えるとは思うが)

店主が持ってきたレイピアは装飾は殆ど無いものの、大統領が少しだけ剣先に指で触れると
血がでたので切れ味自体は問題ない、むしろ良い方だった。、
「このレイピア、値段は幾らだ?」
「新金貨なら150、エキュー金貨ならサービスして100ピッタリでさ」
ルイズが少し不満そうではあったが我慢してもらい、レイピアを買い取り店を後にする、
店を出てからしばらくすると追っ手の気配は無くなっていた、
(あの気配は一体なんだったんだ?あの“視線”は)
まあ、考えても仕方ない、そう思い、大統領はルイズと一緒に学園へと向かっていった。

一方、大統領とルイズがいなくなった武器屋に女性の客が一人、入って行く、
店主は入ってきた女性を見て少し“奇妙”だなと思ったが
女性が周りの武器を見回しているので
客だろう、と思い接客しようとするが、女性が一本の鞘に収められた剣を取るのを見て慌てて止める。
「お客さん、そいつは止めておいた方が・・・」
女性は店主が止めるのを聞かず、剣を鞘から少しだけ外す、すると不思議なことにその剣から声が聞こえ始める、

「おめえさん何もんだい?“使い手”じゃねえみたいだが、感覚がかなり似てやがるな・・・」
その言葉を聞くと女性はニヤリと笑いながら、剣にだけ聞こえるように囁いた
「そう、私はガンダールヴじゃない、私は・・・ミョズニトルトンよ、デルフリンガー」

その言葉を聞いた瞬間デルフリンガーと呼ばれた剣は何かを喋ろうとするが、
言葉になる前に鞘に入れられ、喋れなくなってしまった。
「店長さん、これお幾ら?」
「はあ・・・そいつならエキュー金貨80でいいでさ」
店主は買われていくデルフリンガーを見て、最後に何を喋ろうとしたのか少しだけ気になった。

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

記事メニュー
目安箱バナー