ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

使い魔ファイト-5

最終更新:

familiar_spirit

- view
だれでも歓迎! 編集
 お邪魔キャラ二匹に耐えてまで待ちに待ったコルベール先生は期待した朗報なんて欠片も持ってこなくて、それどころか負のゾーンを飛び越えるレベルの素晴らしい凶報としか言いようがなくてハゲ死ね。
「それってどういうことですか!」
「いや、申し訳ないとは思うんだが」
「だから申し訳ないとかそういうことじゃなくて!」
「もちろん別の機会は用意させてもらうよ。明日の午後、使い魔召喚の儀式を再び執り行う」
 あばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばば。
 うぐがぎごがげどうしようどうしようどうしようどうしよう。何よこれ。どういうことよ。
「は、は、は、犯人は誰なんですか。人生に関わることです。いたずらじゃすみません。げ、厳罰を求め求め求めます!」
「もちろん、見つけ次第適切な処置をするとも」
「見つけ次第って、見つかってないんですか」
「まともに魔法を使ってのことではないらしいんだ。なにやら特殊なアイテムを使ったようでね。まるで魔力が感知できない。調べてはいるんだが」
 先生は深くため息をついた。ため息つきたいのはわたしの方だよ。
「せめて目星くらいはついてないんですか。犯人の目星」
「いや……皆目見当もつかない」
 嘘だ。目の奥に逡巡があった。わたしは見逃さなかった。コルベール先生には心当たりがある。そしてわたしにも心当たりが一人いる……。
「とりあえず今日は養生しなさい。明日の儀式に差し障りが無いようにね」
 先生はありがたくも優しいお言葉をかけてくださったが、それが何の役に立つ?
 今わたしがすべきことは何?
 のんびりと明日が来るのを待つこと?
 明日に向けてサモン・サーヴァントの予習をすること?
 キュルケその他の自慢話を聞いてモチベーションを高めること?
 違う違う違う! 否、断じて否である!
 ぐつぐつと煮えたぎるマイハートを慰撫するためにはおっぱいじゃないやええとなんだっけそうだ復讐あるのみ!
 くっだらないうんこ悪戯でわたしを傷つけ、ヴァリエールの名誉に泥をかけた阿呆野郎に然るべき報いを与えてやるのだウワハハハハ!
 ……あ、もちろん法の許す範囲で。いやあ、問題起こして目ェつけられたくないしぃ。えへへ。

 そして夕食後。食堂にまで使い魔連れてきてる調子こきはいないだろうと思っていたけどマリコルヌ。あんたそんなちっぽけな蛙を自慢したいの。ああやだやだ両生類とかあっちいけ。
 コホン。マリコルヌはどうでもいい。わたしは貴族、ルイズ・フランソワなんたら。
 貴族の中の貴族であるわたしは自己を律する術を熟知している。
 落ち着いて食事をとり、栄養を補給し、メイドに笑みをくれる余裕さえある状態で……怒りを開放する。
 ノックノック。
「誰ですか」
 お、部屋にいたか。しめしめ。
「ミスタ・グラモン。話したいことがあるんだけど今お暇?」
 扉を開けた先には怯えなり嘲りなり諦念なり侘心なりを予想していたけれど、
「そうですかルイズさん。それはよかったです。私もあなたに話すべきことがあるのです」
 この男にはそれらの感情なんて存在する様子もなく、というかそれ以外も存在するようには見えず阿呆。
 ふん、すました顔してられるのも今のうちだけだからね。
 あんたの悪戯がバレればこの学院から追い出されることは目に見えてるし、あたしの一存次第では国法に裁かれることだってあるんだから。
 せいぜい言い訳だけでも聞いてあげようじゃないの。その後で散々こきつかってやる。
 ギットギトに汚れた下着でも洗わせられれば己の犯した罪を悔いるでしょうよ。くふふふ。

「コルベール先生から聞いたんだけど」
 さりげなく部屋の中を見回してみる。金属製の飾りがたくさん、壁には大きな怪物の絵。なんだか子供っぽい。
 ベッドの上には星型模様が散りばめられた毛布、机の上には異世界物の冒険小説。こりゃ本当に子供だわ。
「わたしの召喚は失敗していたらしいの」
 許可なくベッドの上に腰掛けた。さっきの復讐の意味を込めていたけど通じちゃいないだろうねこの阿呆。
「サモン・サーヴァントが失敗するのにタイミングを合わせて、煙が舞い上がる中に眼鏡を出してくれた悪戯者がいるんですって。そもそもあの眼鏡はわたしが召喚したわけじゃなかった……分かる?」
「ええ」
「その人は何のためにそんな悪戯をしたんでしょうね。わたしを貶めるためだったのかしら」
「いいえ違いますよルイズさん。私はあなたのためを思ってやったのです」
 あはははははははははははははははははははははははははははははスピード解決! 犯人はこの中にいる!
 いい度胸だ。いい度胸だよこの野郎。
「それは自白と受け取ってもいいのよね?」
「ルイズさん、二十日鼠の背中をなぜてみますか? なぜるととても喜ぶんです」
「ごまかさないでッ!」
 拳を叩きつける場所を探したけど見当たらない。ベッドの上じゃ迫力でないしね。仕方なく自分の膝を打っあいたたたた……。
「あ、あ、あなたね、いったい何のつもりで……」
「よくぞ聞いてくれました。私にはそうするべき理由があったのです」
 キーシュは相変わらずのおすましフェイスで、心なしか笑みさえ浮かんでいるみたいだ。
 わたしの怒りはこれっぽっちも伝わっていない。あの鼻ピアス、引きちぎってやろうか。
「……ふう。とりあえず聞くだけ聞いておいてあげる。理由って何?」
「まずはここから話しましょうか。実は私、異世界からやってきたのです」


タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

記事メニュー
目安箱バナー