─ミシガン湖畔─
その夜、彼はいつものように見張りをしていた。
自分達の愛馬が猛獣に襲われないように。
なによりも国王のために走る自分の命を狙うテロリストと、友人がこのレースで手に入れた聖人の遺体(といっても今は脊椎の一部しかないが)を狙う者たちから身を守るためである。
ふわっ、と欠伸を一つ、そろそろ見張りを交代してもらおうと隣を見て彼は───目を疑った。
自分達の愛馬が猛獣に襲われないように。
なによりも国王のために走る自分の命を狙うテロリストと、友人がこのレースで手に入れた聖人の遺体(といっても今は脊椎の一部しかないが)を狙う者たちから身を守るためである。
ふわっ、と欠伸を一つ、そろそろ見張りを交代してもらおうと隣を見て彼は───目を疑った。
「…ジョニィ?」
周囲を『鉄球の回転の振動波』で警戒していたにも関わらず、友人は馬ごと消えていたのである。
「…?」
目を開くと抜けるような青空が広がっていた。ああ、今は昼なんだなと思う。
───まずい、寝すぎたか。
そう思って勢いよく体を起こす。
───まずい、寝すぎたか。
そう思って勢いよく体を起こす。
「すまないジャイロ。ちょっと寝過ごしたみたいだ…」
僕は立つことは出来ないから上半身を捻って周りを見回した。
だが
―――おいおいおいおい、ずいぶん呑気だなオタクさんはよ?
そう言いながらニョホホと笑う相棒はそこにはいなかった。
だが
―――おいおいおいおい、ずいぶん呑気だなオタクさんはよ?
そう言いながらニョホホと笑う相棒はそこにはいなかった。
「あんた誰?」
僕の名前は『ジョニィ・ジョースター』
この「物語」は僕が歩き出す物語だ。
最初から最後まで本当にツンデレな少女
「ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール」と出会った事で…
最初から最後まで本当にツンデレな少女
「ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール」と出会った事で…
─歩き出す使い魔─
「ルイズ、『サモン・サーヴァント』で平民を呼び出してどうするのよ?」
「さすがゼロのルイズ!平民を召喚しやがった!」
「どんな魔法を使おうがやっぱゼロは無駄無駄ァ!」
「マギィ…」
「ちょっと間違っただけよ!ミスタ・コルベール!もう一度やらせてください!」
「さすがゼロのルイズ!平民を召喚しやがった!」
「どんな魔法を使おうがやっぱゼロは無駄無駄ァ!」
「マギィ…」
「ちょっと間違っただけよ!ミスタ・コルベール!もう一度やらせてください!」
気が付くとジョニィは騒がしい人々の輪の中心にいた。
空は抜けるような青、周りは見渡すばかりの豊かな草原を
バックに目の前には桃色の髪の少女が立っている。
───草原だって?
空は抜けるような青、周りは見渡すばかりの豊かな草原を
バックに目の前には桃色の髪の少女が立っている。
───草原だって?
「草原!?ここどこッ!?」
ふいに自分のいる場所を認識して軽くパニックに陥る。
そう、彼は昨日まで雪の残るミシガン湖畔にいたはずだ───が周りには見事な緑の草原が広がっていた。
まったく状況が理解できない彼に目の前にいた少女が苛立たしそうな声を上げて詰め寄ってくる。
そう、彼は昨日まで雪の残るミシガン湖畔にいたはずだ───が周りには見事な緑の草原が広がっていた。
まったく状況が理解できない彼に目の前にいた少女が苛立たしそうな声を上げて詰め寄ってくる。
「ちょっとあんた!どこの平民よ!」
「へ、平民?」
「まったく!なんで私の使い魔がこんな平民なのよ!」
「へ、平民?」
「まったく!なんで私の使い魔がこんな平民なのよ!」
ゼロのルイズと呼ばれた少女(彼女の名前だろうか)は中年のハゲ男性になにやら必死に頼んでいるが男性は首を横に振るばかりである。
(な、なんだこいつら?大統領の刺客がもう来たのか…?だがなぜ攻撃してこない?)
スタンド攻撃を警戒しつつ周囲を見回すと遠くには大きな石造りの城が見える。
自分を取り囲む集団は彼女と同じような服装をして手に杖のような物を持っているのも確認できた。
自分を取り囲む集団は彼女と同じような服装をして手に杖のような物を持っているのも確認できた。
(ここは明らかにミシガン湖畔じゃない…そして僕の周りにいるやつら…同じような格好をしている?組織か…何かチームのようなものだろうか?)
ふいにジョニィの背中を何者かがつついた。
驚いて振り返るとそこには過酷なレースを一緒に旅してきた愛馬『スローダンサー』の姿があった。
驚いて振り返るとそこには過酷なレースを一緒に旅してきた愛馬『スローダンサー』の姿があった。
「僕の馬!?よかった、君も一緒にきていたのか!」
よく見ると近くに車椅子や荷物も落ちている。昨晩、自分の周囲にあったものがここに移動してきたようである。
(これは…モニュメントバレーの近くで攻撃してきたスタンド使いの攻撃に似ている)
(ブンブーン一家や『11人』のスタンド使いもチームで一つの能力を持っていた…まさかあいつも他に仲間がッ!?)
(ブンブーン一家や『11人』のスタンド使いもチームで一つの能力を持っていた…まさかあいつも他に仲間がッ!?)
しばらくすると中年男性と話が終わったのか、少女がガックリとうなだれて近づいてくる。
馬に乗って逃げようかとも思ったがまずはここがどこか解らなければジャイロと合流することもできない。
もちろん危険と判断すればすぐに自身のスタンド『タスク』を発現させて撃とうと思ってはいたが両手の爪の数である10発しか撃てないタスクではこの人数だと圧倒的に不利である。
とりあえず警戒しつつも目の前の少女から情報を得るべきだろう、ジョニィはそう考えた。
馬に乗って逃げようかとも思ったがまずはここがどこか解らなければジャイロと合流することもできない。
もちろん危険と判断すればすぐに自身のスタンド『タスク』を発現させて撃とうと思ってはいたが両手の爪の数である10発しか撃てないタスクではこの人数だと圧倒的に不利である。
とりあえず警戒しつつも目の前の少女から情報を得るべきだろう、ジョニィはそう考えた。
「あんた、感謝しなさいよね。貴族にこんなことされるなんて、普通は一生ないんだから」
「君は一体何者だ?目的は『遺体』か…?」
「いいからじっとしてなさい」
「君は一体何者だ?目的は『遺体』か…?」
「いいからじっとしてなさい」
ジョニィを軽く無視すると少女は杖を振り、呪文のようなものを唱え始める。
「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。
五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我の使い魔となせ」
五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我の使い魔となせ」
下半身を動かすことが出来ないジョニィはルイズの次の行動に逃げることも抵抗することもできなかった。
「え?」
「ん……」
「ん……」
重ねられる唇と唇。
───あなたならどうする?最高だった……
───あなたならどうする?最高だった……
「ってそうじゃないッ!おまえ何やってるんだーーッ!?キスはともかく理由を言えーーーッ!!!」
「いきなり大声ださないでよ!『コントラクト・サーヴァント』の儀式よ」
「な、なに言って…」
「いきなり大声ださないでよ!『コントラクト・サーヴァント』の儀式よ」
「な、なに言って…」
そう言いかけたところで体にサンドマンのスタンド攻撃を喰らったときのような熱と痛みが走った。
あのとき体感した、まるで『燃える音』が血管の中を駆け巡り全身に運ばれるような感覚にジョニィは思わず声を上げてしまう。
あのとき体感した、まるで『燃える音』が血管の中を駆け巡り全身に運ばれるような感覚にジョニィは思わず声を上げてしまう。
「うおあああああああああ!?」
(やっぱりこいつ…スタンド使い!?)
「使い魔のルーンを刻んでるだけよ。すぐ終わるわ」
(やっぱりこいつ…スタンド使い!?)
「使い魔のルーンを刻んでるだけよ。すぐ終わるわ」
あまりの痛みと熱に『タスク』を出すこともできずにジョニィは転げまわる。
しばらくするとルイズの言葉どおり何事もなかったかのように熱と痛みは収まったが代わりに左手の甲に謎の文字が出現していた。
以前、左腕にラテン語が刻まれたことがあったが今、手の甲に現れた文字は自分の知る言語でも次の遺体の場所を示す物でもない。
しばらくするとルイズの言葉どおり何事もなかったかのように熱と痛みは収まったが代わりに左手の甲に謎の文字が出現していた。
以前、左腕にラテン語が刻まれたことがあったが今、手の甲に現れた文字は自分の知る言語でも次の遺体の場所を示す物でもない。
「ふむ、珍しいルーンだな」
いつの間にか近づいてきていた中年男性がジョニィの左手の文字を見るとそう言ったが何の事なのか理解できずただ成り行きを見守ることしか出来ない。
「さてと、じゃあ皆教室に戻るぞ」
彼はそのままきびすを返すと何事でもないように───宙に浮いた。
そういえばルーシーを追ってきたスタンド使いも宙に浮いてたが、あれは雨粒に乗っていただけだ。
しかし目の前の男は何も無い場所で浮いたのである。
呆然とするジョニィの前で今まで自分を取り囲んでいた連中も次々と宙に浮いていく。
そういえばルーシーを追ってきたスタンド使いも宙に浮いてたが、あれは雨粒に乗っていただけだ。
しかし目の前の男は何も無い場所で浮いたのである。
呆然とするジョニィの前で今まで自分を取り囲んでいた連中も次々と宙に浮いていく。
「ルイズ、お前は歩いてこいよ!」
「あいつ『フライ』はおろか、『レビテーション』さえまともにできないんだぜ」
「あいつ『フライ』はおろか、『レビテーション』さえまともにできないんだぜ」
───ここは何なんだ、ジャイロはどこに行ったんだ…
目の前の光景が信じられず自分の頬を抓るジョニィに、ルイズはため息をついてから怒鳴った。
目の前の光景が信じられず自分の頬を抓るジョニィに、ルイズはため息をついてから怒鳴った。
「あんた誰よ!ほんとどこの平民よ!」
───これは夢だ、早く起きてジャイロと見張りを交代しないと。そう思いながら彼は答えるのだった。
「僕の名前は…ジョニィ。ジョニィ・ジョースター」
To Be Continued=>