ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

Wake up people

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匿名ユーザー

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――その学院のメイド…――
彼女はその時まで『海』というものを話に聞くだけで
生まれてからずっと一度も見た事がなかったが
初めて村を出て『海』を見る事になった時……

――それは彼女が壜を拾う時だった――――

壜を落とした相手は裕福な貴族の息子で
将来の地位と財産が保証されている青年………………
つまり……小瓶を拾う仕事をメイドに紹介したのが彼女とはあまり関係のない他人……

その男――ウェカピポであった

ウェカピポはこの物語の最重要キャラゼロの使い魔――
小瓶を落とした男とは主人を通じての知り合いであった

しかしメイドのこの仕事は半年もすると『失敗』であった事が表に現れてきた……
いや すでに……
壜を拾った最初からだったのかもしれない…………


ある晩――ウェカピポが厨房を訪ねると……
「う…しくしく…………」
「どうした? そんな暗い所で何を泣いている? ギーシュは留守か?」

「うう う」
「おい? ?」
不審に思ったウェカピポがメイドの顔を覗いてみると――
「あ あああっ あ…おまえ」
「くそッ あの野郎ッ!! どこだッ!」
「どうか! どうかッ! ウェカピポさん」
「ご平静をッ!」
「これは単なる礼儀の問題ッ!」
「ささいな事が原因です わたしが悪いのです…………
 わたしが話を合わせなかったから」
「貴族の方に気に入っていただかなくてはいけないのに…
 メイドとして嫌われてはいけないのに」
「いつからだ? 何度目なんだ こんな事が何度起こっている!!」
「お願いです……原因はわたしにあるのです あの人を怒らせたのはわたし…
 どうか! あの人は悪くないのです」
ガシャン!!
シエスタが隣にあった食器を落として割ってしまう
「!」
「…………」
「? は」


「な…何だ? まさか……おまえ?」
「そ…そんな…その『茶』……なんで食器を落とした…?」
「その『シエス茶』…まさか」
「おまえッ!! まさか! もう出ないのか!!」
「いえ! 違いますッ! 違いますウェカピポさん……」
「こんなのすぐにッ! …今だけですッ!! すぐに…治ります!」
「ああッ! 何て事だ…………うああああああああ」

ル水やタバ茶がまだ出ていたのがまだしもの救い…
ウェカピポは即座に裏から手を回し
『学院』と『学院長』から『壜拾い無効』の許可をとりつける決断をした
全ては自分の責任……
『落ちた壜を拾う仕事』が『メイドの幸せ』と勝手に思い込んだ…『罰』…
小瓶を強引にシエスタに拾わせたのも自分
彼は自分自身を責め…使い魔の立場を失う覚悟も含めた決断だった

だが それが逆に二股の貴族の逆鱗に触れた!

ドガッ! ドガッ!
「うがっ」
ウェカピポは殴りつけられながらも土下座する
「どうか! すまないッ! どうか!」
「ケティと別れてくれッ! 二股がばれたのならそれしかないだろうッ!?」
「全ては このウェカピポの責任!! どんな償いでもするッ!」
ズラアアアア! シュッ
ギーシュはウェカピポに杖を突きつける
「く……」

「そんな事で済むと思っているのか! これから俺はどうなる? 
 おまえはオレに恥をかかせてくれた…」
「『学院長』が許可しただと?」
「オレの彼女やクラスメートにオレは何て言われると思うんだ?」
ギーシュがウェカピポに顔を近づける。
「いいか…おい」
「あのメイドはなあ…ウェカピポ 小瓶を拾わせながらヤリまくるのがいい女だったんだよ
 じゃなきゃあちっとも気持ちよくねーし…………つまんねえ女だった……」
「うっ くっ くうっ」
ウェカピポの拳は怒りに震えていた。その怒りを隠す事が精一杯だった。
「責任をとるだと? いいだろうウェカピポ お前に命を差し出してもらう」
「『決闘』だ」
「時は明朝夜明けッ! 場所はヴェストリの広場!! 遅れずに来いッ!」

そして翌朝――
ウェカピポは正装に着替え 決闘に赴こうとしていた
その姿をただ見ているしかないシエスタ 
茶の代わりに 目からは涙――
「ああ……ウェカピポさん」
「……」
「大丈夫だ…すぐ帰ってくる」
「心配は何もいらない 少なくともお前はまだ若い……」
「いずれまた誰かの小瓶を拾って…きっと幸せになれる」
死地に向かう男を止める事は出来ず シエスタはただ涙を流した――

――ヴェストリの広場
ギーシュとウェカピポを何人もの観客が取り囲んでいる
「周りのものは付添い人だ」
「この決闘が人殺しや卑怯者の行為ではなく正当なものである事を見とどける」
ふたりが距離を詰める
「さっそく始めるか もたもたする事もない……一瞬でカタをつけよう」
「ああ…武器は『剣』なのか?」

「当然! 『魔法』だッ!」
「始祖から受け継ぐ『魔法』ッ! それが流儀ィィッ!!」
ギーシュの頭が砕け散った

「確かに…見事! 『決闘』は見とどけた……」
ウェカピポに後ろからルイズが声をかける
「しかしウェカピポ…………あなたは最初から終わっていた…どっちみち終わっていたのよ」
「!! はッ!」
ドグオオオッ
ウェカピポの胸が突然爆発する
「ぐはッ! がっ 何!? これは!」
「な…何をッ! 『果し合い』は正式なものだ…!! アンタから決闘の許可を受けているんだ
 何の問題があるんだ! わたしは犯罪者ではないッ!」
「残念だけどそれでは収まらないのよ」
「彼の父親は国家にとって重要人物過ぎる」
「身分が違う『アンタは消されてわたしは再召喚する』…それが世の中というものよ…」
「だけどわたしがアンタを死んだ事にしてやるからありがたく思いなさい
 ………国外に出るのよ
 二度とこの『トリステイン魔法学院』に戻る事は許されない………いいわね…」


「主役降格だと?」
「何だとそんな汚名ッ!」
「メイドが国から見離されたらどうなる! 今 シエスタは俺なしでは生きていけないッ!」
「茶がほとんど出ないんだッ! 姫殿下と話させてくれッ!」
「どうか教皇様にとりついでくれッ!」
「立場的に無理よ……………ウェカピポ」
「呪われろ! この犬どもがァ――――ッ」
ドガアアッ


「アルビオンの『手紙』回収が最優先だ
 そしてウェールズの『抹殺指令』
 成しとげれば我が国の『市民権』と『永住権』……重要職の『地位』を約束しよう」
「望むなら………君の一族全員のだ」
「感謝いたします ですが家族は…」
「おりません」
「使い魔でしたが…この間クビになりました
 ひとり分で結構」


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