ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

第四話 余の仇名はゼロ

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部屋に帰ってきたメローネには、新たな試練が待ち受けていた。
それは・・・自らの主ルイズを起こすこと!
「たたき起こすのは・・・駄目だな。後でひどい目に遭いそうだ。
 だがただでは起きそうにない・・・。こうするか。」
そう言うとメローネはタイツの中からイヤホンを取りだし、ルイズにつけた。
そしてパソコンに繋げるとiTunesを起動した。
「ん~~・・・悪霊退散~~zzz」
「駄目か・・・これならどうだ?」
「ん~~・・・がちゃがちゃきゅ~と・・・ふぃぎゅ@~~zzz」
「ばかな・・・!起きろよ・・・!これでッ!!」
「やっつぁっつぁっぱり りっぱりらんらん~zzz」
「こいつ・・・!化け物か・・・!仕方がない、最後の手段だ!」
「わひゃあ!あ・・・頭がぁあああ!」
「おはようお嬢様。どうしたんだ?」
「あ・・・メローネか。なんかものすごい音楽が頭の中に・・・」
(チーズのうた 作詞・作曲ジャイロ・ツェペリ・・・いつの間にかiTunesに入っていた。
 とんでもない電波ソングだ・・・うかつには聞けん。)

ゼロの変態第四話 余の仇名はゼロ

「着替えさせて。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・は?」
「着替えさせてって言ってんの。貴族は使用人がいるときに自分で着替えたりしないのよ。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・わかった・・・」
メローネは着替えさせている間中自分の中の獣(発情中)を押さえるのに必死だった。

着替えをすませると、2人は食堂へ向かった。
「うほっ、いい食事!」
豪華な朝食をみてのメローネの一言である。もうすこしまともな台詞を吐け。
「そういやここ最近ろくな文句って無かったもんなァ~」
なぜかって?あなた達には理解できるはずだ。
「なにいってんのよ。あんたの食事はこっち。」
ルイズの指さした先は・・・床だった。
そこには堅そうな黒パンとお茶と見間違えそうなスープ。
「感謝しなさいよ。使い魔は普通は外だけど、私のおかげであんたは中で食べられるんだから。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
さすがの彼もこのときはプッツンしかけた。
「・・・外で待っている・・・」
怒りのこもった声でそう言うと、スープを一気飲みしてパンをもって外に出た。
「さ・・・さすがにやりすぎたかしら・・・?だ・・・ダメよルイズ!
 ここで弱気になったら、ますますあの変態につけこまれるわ!」

一方メローネは使い魔達の中で反省中であった。
あのような仕打ちを受けると、彼らのチームがかつて『組織』から受けていた仕打ちを思い出す。
(こんなことではダメだ・・・冷静さを欠くことは死に直結する・・・。どんな世界でも・・・
 この世界ではこれが普通なんだ・・・逆に考えろ・・・
 『他の使い魔達はもっとひどい食事なんだ』そう考えろ・・・)
メローネは他の使い魔が肉やらなにやら食べている中で怒りを静めようとしていた。

食堂から教室へ向かう途中、メローネ達の前に1人の少女が現れた。
萌えるような赤い髪、健康そうな褐色の肌。さらに巨乳。
「あらおはよう、ルイズ。」
「あらキュルケ。おはよう。」
「聞いたわよルイズ。変態を召喚したんですってね。さすが『ゼロ』ってとこかしら?
 それがその使い魔?・・・ふぅん。格好以外はまともそうだけど。」
「ちょっとキュルケ!なに人の使い魔じろじろ見てんのよ!」
言い争いをしている2人を尻目にメローネは彼女とルイズが知り合い、しかも仲が悪いこと、
キュルケという少女、みくるタイプかと思ったが気が強いことなどを理解した。
彼は長門派だし、セクシーな女性よりもかわいい女の子の方が好き(無論両方とも好きだが)なので
特に必要な情報ではなかったが。
「それよりも私、昨日使い魔を召喚したのよ。ま、誰かさんと違って1発で成功したけどね。」
「へーそう。」
「お・・・お前は・・・!」
メローネはキュルケのそばに現れた火トカゲに驚愕した。なぜならそれは先刻メローネが
使い魔達の中にいたとき、親切にも自分が食べていた肉を分けてくれた張本人だったからだ!
「この子の尻尾を見て。ここまで大きくて美しい炎は間違いなく火竜山脈のサラマンダーよぉ。」
「そうかおまえは火トカゲか~。道理で燃えてたはずだ。火トカゲだもんな~」
サラマンダーと聞くと嫌な記憶が蘇るのでやたら火トカゲを連呼するメローネ。ちなみに彼はゼニガメを選んだ。
「あら、あなたもこの子の魅力がわかるのね。そういえばあなた、名前は?」
「メローネだ。・・・それよりもうすぐ授業が始まるんじゃあないのか?」
「あ、そうね。貴方気が利くわ。じゃね、ゼロ。」
そういうと彼女は赤髪をかきあげ、火トカゲと共に去っていった。
「きー!!なによあの色情魔!火竜山脈のサラマンダー召喚したからって調子に乗っちゃって!!」
「まぁ落ち着けよ。あの火トカゲに罪はない。実際アレすごいよ?」
「うるさいっ!あんたご飯全部抜きにするわよ!」
「う・・・それは困る・・・」
あんな粗食あってもあまり変わらないのだが、ご主人様の好感度を下げないためにこういっといた。
さすがは三択恋愛の王者である。

教室にはいると生徒達の視線がいっせいにルイズとメローネに集まった。
メローネは大方ルイズを馬鹿にしているのだろうと予想した。そのうち三割はメローネに向けられていたのだが。
ルイズの言動を予想し、メローネは床に座ると他の使い魔達が集まってきた。
「なんだお前ら、そんなに俺が好きか?じゃあここは一つゲームをしよう。」
メローネはイヤホンをつけるとパソコンを起動させた。授業聞く気はゼロである。
そうこうしているうちに教師が入ってきたようである。メローネはゲームをし始めていたが。

「皆さん、春の使い魔召喚は大成功のようですね。ひとり妙な使い魔を召喚したようですが。」
教師のその一言に教室は笑いの渦に包まれる。
「おい『ゼロ』!『サモン・サーヴァント』ができなかったってそこら辺歩いてた変態つれてくるなよ!」
「違うわよ!召喚したらたまたまこの変態が出てきちゃったのよ!」
「嘘付け!」
メローネは我関せずといった態度で画面を見てにやけていた。ほかの使い魔も釘付けである。

教室が静かになった。どうやら授業が始まったようだ。
教師の名は『赤土』のシュヴルーズというらしい。
メローネはゲームをしながら、魔法には4つの属性があり、メイジにも四つのランクがあること
だけは聞いていた。
だが彼も暗殺者の端くれ、教室の空気が一変したのを見逃さなかった。
「バカなっ!ヴァリエールに魔法を使わせるつもりか・・・!」
「退避ー!総員退避ー!」
「はっ!ここはどこだ・・・?次は何が起こるんだ・・・?」
ルイズが魔法を使うことになったのだろうが、生徒の脅え方が尋常ではない。ん?あのオッサンは誰だ?
とりあえずメローネは生徒達に習って床に伏せることにした。その顔からは笑みが消えていた。
そのとき、大爆発が起こった。

「ちょっと失敗しちゃったわね・・・。」
そのちょっとで教室は半壊、シュヴルーズは気絶。謎のオッサンは消し飛んでいた。
「「「どこがちょっとだ!」」」
「まったく・・・今日は一段とひどいわね・・・」
そう言いつつキュルケはある疑問を感じていた。あれだけの爆発である。てっきり使い魔達が暴れて
大事になるかと思ったのだが・・・
するとキュルケの隣にいた少女が彼女の服を引っ張った。
「どうしたの、タバサ?」
「・・・あれ」
タバサと呼ばれた少女が指さした先には、使い魔達が恐怖に震えている姿があった。キュルケのフレイムは気絶している。
そして、その中心にいたのは・・・
「は・・・はは・・・このゲーム、オレの勝ちだ・・・はは・・・」
笑いと恐怖が入り交じった顔をしている変態がいた。
ちなみに彼らがしていたゲームは「誰が『ひぐらしのなく頃に』を見て最後までリタイアしないかチキンレース」である。

「おい・・・ちょっとは手伝ってくれ。というかお前がやれよマスター。」
「ご主人様の不始末は使い魔の不始末よ。さっさと手を動かしなさい。」
ルイズ達はシュヴルーズの遺言により教室の後片付けを命じられていた。
「それにしても・・・『ゼロ』とはそういうことか」
「そうよ・・・。魔法の成功率ゼロ。だから『ゼロ』。」
メローネはルイズの態度で彼女が怒っていることを理解した。
しかもこの怒り方は戦友、ギアッチョと同じタイプだということを。
どんな言葉でも怒りを爆発させるトリガーになりかねない。彼は経験でそれを理解していた。
「・・・いけよ。」
「な、何?」
「ここは俺に任せて先に行け。昼飯を食い損ねたくはないだろう?なぁに、すぐに追いつく。」
「わ、わかったわよ・・・。」
(やっと使い魔というものがわかったのかしらこいつ・・・昼ご飯少しふやしてあげようかしら?)
ルイズが去るとメローネはベイビィフェイスの手足を伸ばし掃除を始めた。
端から見るとヘンな機械がぷかぷか浮いている用にしか見えない。ルイズの前では使えないので
独りの方が作業がはかどる。
(・・・彼女は怒ると見境無いタイプだ。自分すら傷つける怒り方をするタイプだ・・・
 ああゆうタイプは下手に励ますと怒り出しかねん・・・傷つけても悪いしな・・・)
そしてメローネは掃除を手早く済ませると食堂へ向かった。
さらなる厄介ごとを引き起こすことも知らずに・・・


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