ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

奇妙なルイズ-8

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ルイズ、タバサ、モンモランシー、ギーシュ。
この四名は学院長室で『土くれのフーケ襲撃事件』について、事細かに質問された。

暗くじめじめとした場所で涼んでいたカエル、モンモランシーの使い魔ロビンが、不審な人物を発見したのが事件の切っ掛けだった。
主人に異変を知らせたロビンは主人の到着を待ったが、ここで困ったことが起きた。
使い魔は主人の目となり耳となる。しかし、それはメイジが実力で使い魔を従えている場合と、メイジと使い魔がお互いを信頼している場合である。

使い魔品評会の日、モンモランシーは気が気ではなかった。
香水のモンモランシーの名の通り、彼女は水系統のマジックアイテムを調合する技術に優れたメイジだが、使い魔にさせる芸はとんと思いつかない。

ロビンが異変を伝えたのは、使い魔品評会が始まって間もない時だった。
使い魔のロビンが姿を見せないので、不機嫌だったモンモランシーには「ロビンが何かを伝えようとしている」程度にしか分からなかったのだ。

急いで宝物庫周辺にいるロビンを探しに行ったが、そこに居たのはフードを被った怪しい男。
モンモランシーはロビンを探していたので、不審な男に気づきはしたが気には止めなかった。

だが、男は、自分が盗賊であると気付かれた、と思いこみ、モンモランシーを拘束したのだ。
男は小型のゴーレムでモンモランシーを殴って気絶させ、手足を錬金した鉛で拘束した。いざという時の人質になると考え、ゴーレムでモンモランシーを運ぼうとしたときに、モンモランシーを追ってきたギーシュに発見されたのだ。


ギーシュは焦っていた。
何せ下級生女子のメイジに声を掛けられ、少し話し込んでいただけなのに、偶然横を通りかかったモンモランシーが血相を変えてで走り去って行ったからだ。
モンモランシーは使い魔のロビンを探しに行っただけだが、ギーシュは『また嫌われた』と思いこみ、慌ててモンモランシーを追いかけた。

そして、後はルイズの知るとおりである。

大怪我した者もおらず、一件落着かと思われたが、オールド・オスマンは神妙な面持ちを崩さなかった。

「だいたいの事情はわかった。しかし災難じゃったのう」
「いえ、このギーシュ・ド・グラモン、薔薇の刺が花を守るように、当然のことをしたまでです」
キザったらしい態度を、隣に立つモンモランシーに見せつけつつ、ギーシュが答える。
「………」
隣に立つモンモランシーは赤面し、目をウルウルさせている。キザったらしい態度は逆効果な気がしたが、どうやらモンモランシーにはストライクだったらしい。
ルイズはモンモランシーの隣で、心底嫌そうな表情をした。

オスマン氏は、ほっほっほと笑い、話を続けた。
「ミス・ヴァリエール、そしてミス・タバサ、君たちもご苦労じゃった。
危険を顧みずに立ち向かう行為は、誇り高い行為と言えるじゃろう。
しかし、貴族は魔法で領民を守るだけでなく、領地を治めることも意識せねばならん。
死を覚悟するのはかまわんが、無謀と勇気をはき違え、領民を混乱させるようなことがあってはならんのじゃぞ」

「「「「はい」」」」
四人は同時に答えた。


「さて、もう一つ、土くれのフーケが処刑されたという話じゃが…あれは偽物じゃ」
モンモランシーは驚いたが、他三人は特に驚きもしなかった。
土くれのフーケ操る巨大ゴーレムを破壊したのは、他ならぬ”本物の”土くれのフーケだ。
土くれのフーケは有名になりすぎ、既に二名の偽物が逮捕されている。
オスマン氏の話によると、今回の事件で逮捕された男は『鉛のゴーゾ』という男らしい。
その男が『土くれのフーケ』という名前を使い、一連の盗難事件を起こしたとして、処刑されたというのだ。
偽物を本物として処刑する。何かの作戦なのか、貴族達の面子からなのか、おそらく両方の思惑が絡んでいるのだろう。

不意に、オスマン氏が杖を振った。
バタン!と扉が開かれ、聞き耳を立てていたキュルケが、ごろんと転がり込んできた。
「ミス・ツェルプストー、盗み聞きはいかんぞ」
オスマン氏は呆れたように言った。

キュルケはばつが悪そうにしていたが、開き直って、オスマン氏に詰め寄る。
「このまま本物の土くれのフーケを放っておいて良いとは思えませんわ」
「…ほう?この部屋はサイレントの魔法で包まれておる。ミス・ツェルプストーはそれを打ち消せると言うのかね?」
オスマン氏の疑問に答えるかのように、タバサが「私がもう一体のゴーレムの話をしました」と言った。
オスマン氏は「なるほど」と言って頷くと、ここに集まった五人意外には口外無用だと伝えた。
「それにしても喧嘩するほど仲が良いとは、よく言ったものじゃのう。持つべき者は親友じゃわい」
そう言ってルイズとキュルケを見比べるオールド・オスマン、それに気付いた二人が
「誰がこんな奴と!」「誰がこんな奴に!」
と同時に叫んだ。
その様子を見たモンモランシーとタバサが「仲が良いじゃない」「類は友を呼ぶ」などと言って、
ゼロ(爆発)vs微熱の、学院史に残る戦いの火ぶたは切って落とされたのだった。
オスマン氏が「うまく誤魔化せた」とほくそ笑んでいたのは秘密だ。



かくして、土くれのフーケ事件も終え、一応の平穏が戻ったトリスティン魔法学院だが。
とても『魔法』学院とは思えないような奇妙な噂に、教師は頭を抱えていた。

幽霊騒ぎである。

事の起こりはこうだ。ある日の夜、お手洗いに行こうとした女生徒が、廊下を歩く幽霊を見たのだ。
最初は誰も相手にしなかったが、目撃者が増えるにつれ、その噂は信憑性を増していった。

もう一つは、謎の『小物紛失事件』である。
夜眠っている間に、部屋にある道具が移動している。
最初は使い魔の悪戯かと思われていたが、
魔法も唱えていないのに宙に小物が動いたとか。
魔法の気配もないのに扉が開いたとか。
誰もいないはずの廊下で何かにぶつかったとか。

そんな体験談を話す生徒が増え、ついに幽霊退治の話が持ち上がった。

「で、何で私が手伝わなきゃいけないのよ」
ルイズの部屋には二人の客が居た、キュルケとタバサである。
「得体の知れない相手には得体の知れない魔法が聞くかもしれないじゃない」
「な、何よその言いぐさはぁ!」
タバサは喧嘩の始まりそうな二人を制止してから、ルイズに頼んだ。
「貴方の力を借りたい」
タバサの言い分ではこうだ。キュルケのファイヤーボールは相手に向かって飛んでいく。自分の風の魔法は小型の竜巻も起こせるが、発生の予兆を関知されるおそれがある。
それに比べてルイズの魔法は、杖を持って呪文を唱えるだけで、突然爆発する。
爆発の予兆は他の魔法に比べて判別しづらい…らしい。



「それにこの子、幽霊とか苦手なのよ」
キュルケが言うと、普段感情を見せないタバサにしては珍しく、キュルケを恨めしそうに見つめた。
黙っていて欲しかったらしい。
ルイズにしても幽霊には良い思い出はない。
アンリエッタ姫と遊んでいた頃、姫を驚かそうとシーツを被り、幽霊のフリをしたことがある、
困ったことに姫も同じ事を考えており、シーツを被った二人は廊下で鉢合わせして、仲良く気絶してしまったのだ。
そんな負い目もあるので、ルイズは幽霊退治を引き受けることにした。
「で、どうするのよ」
ルイズが質問すると、体より大きい杖をカツッと地面に突き立て、タバサが答えた。
「三人で行動、幽霊を発見したら全力で殲滅」
「ちょ、ちょっと…」
さすがのキュルケも焦る。こんな過激なことを言うとは思わなかったからだ。
それにタバサの実力もある程度は知っている。覚悟を決めたタバサと、ルイズが全力を出したら、建物が半壊、いや全壊してしまうのではないかと危惧した。
「そ、その前に、本当にそれが幽霊なのか確かめてからにしなさいよ」
ルイズも冷や汗をかきながら提案する。それぐらいタバサの覚悟には迫力があった。

タバサはしばらく考えてから、渋々頷いた。



そんなわけで、その日の夜から、ルイズ・タバサ・キュルケによる見回りが始まった。
タバサは風の魔法で周囲を探知、キュルケは日の魔法で暗がりを照らし、ルイズはその後をついていくだけだった。
見回りの最中、半裸の女生徒と男子生徒、頬を染めて抱き合う女子生徒二人、頬を染めて抱き合う男(略等々、余計な者を発見してしまうことも多かった。
ただ、見回りが功を奏したのか、見回りを始めてから幽霊を目撃したという話は出なかった。

一週間目のことだ。ルイズは半ば呆れていたが、キュルケとタバサは至って真面目に幽霊を探していた。
タバサは幽霊が苦手なだけでなく、幽霊を見たと言っていたので、意地になるのは分かる。
しかしキュルケが毎晩タバサと行動を共にするのを見て、少しばかり羨ましく感じていたのも事実なのだ。
呆れながらも行動を共にしてくれるルイズに、言葉にはしなかったものの、キュルケとタバサは感謝していた。

「ふわ……」
最後尾で欠伸したルイズに、キュルケが気づき、今日は終わりにしようと提案した。
タバサは無言で頷くと、部屋に戻るための最短距離を選び、歩いていった。
ルイズは廊下から外を見た。空には月が二つ浮かんでいる。
月を見ると思い出す。加速した世界の中で闘っている自分…いや、自分ではない誰かを。
不意に、頭を真っ二つに切り裂かれる瞬間が思い浮かぶ。
その時は、自分の精神エネルギーも一緒に切り裂かれていたはずだ。
真っ二つに切り裂かれたそのエネルギーの名前は、確か『スタープラチナ』
ギーシュとモンモランシーが潰されそうになった時、不意に叫んだ名前と一緒だ。

ルイズは背筋が寒くなり、歩みを止めた。



「ルイズ?」
ルイズが歩みを止めたのに気付き、キュルケが後ろを振り向く。
タバサもそれにつられて振り向いた。
「…あ、何でもない。ちょっと考え事してただけよ」
そう言ってキュルケとタバサに近づこうとしたが、どうも二人の様子がおかしい。
キュルケは褐色の肌が黒く見えるほど顔を青ざめ、
タバサは白い肌が真っ白になるほど呆然としている。
そして、二人とも、ルイズではなく…ルイズの後ろを見ていた。
ルイズが後ろを振り向いてカンテラを掲げると…



 顔を真っ二つに切り裂かれた大男が

  ルイズの持ったカンテラに照らされて

   半透明でぼやけた姿を漂わせていた




ドカン!

突然の爆音と共に、使用人部屋の扉が吹き飛ばされ、シエスタは飛び起きた。
それと同時にシエスタの体に、何かがぶつかってきた。
「 ! ?  !!!! ??? !?」 
突然体を拘束されてパニックに陥りそうになるたシエスタだが、
月明かりによって、ルイズと他二人の貴族に抱きつかれているとすぐに気が付いた。

ガクガク、ブルブルと震えてた三人に抱きつかれたまま、シエスタは朝を迎えることになる。



翌日

厨房付きのメイド、シエスタは

ルイズ・タバサ・キュルケ三人の貴族の極秘命令により

三人の下着を洗濯することになったとか。

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