ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

ゼロの番鳥-10

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匿名ユーザー

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私は夢を見ていた。

(むーーーーー?)

バヂッ、と頭の一部分がショートした音を聞きながら。
何か大切なものを失い、その部分に別の物が入ってくるような、何か奇妙な感覚が起こる
しかし、夢の中の視覚のない私には認識する術が無い、目の前には広がる闇だけが見えていた。
だが行動はしているのが分かる。それは自分の目でも耳でも舌でもなく、もっと別の何かによってされてるような。本当に奇妙な感覚。

そして、声が聞こえた。それは男達の叫び声。
野太く粗暴な音は、神に祈り、運命の理不尽さを呪い、親兄弟に助けを求める。
断末魔のように、慟哭のように。

パチッ

ようやく、視界が開いた。
私はまず目を疑ったが、気を取り直すともう一度それを直視してみる。
―――視界には男達の生首がずらりと並んでいた。
全てが同じ顔。恐怖と絶望に歪んだままで絶命している。
何故か私は恐怖を感じなかった、ただ「殺されて当たり前」と凍りつくような確信が頭に浮かんでくる
その死体達の中央。
剣でも槍でも無い、見た事の無い武器で武装している首の無い男達で積まれた山の上―――
そこに、居た.


「―――」

死体の体を啄ば、ゼラチン質たっぷりの眼球を刳り貫いて飲み込みながら『――――――』は象徴として降臨していた。
食事を終えると前を見た。
視線を遠くに向けて。
何を考えているのか?―――私には分かっている。

「――――!」

突然叫ぶと一気に飛び上がった。
何をする気なんだろうか?―――私には分かっている
視線の先には逃走者。
多分、『――――――』に殺されるのを免れた最後の生き残りなんだろう
『――――――』の声を聞いた逃走者の顔が恐怖に歪むのがはっきりと分かった。
その逃走者の持っていた鉄の筒が火を吹く。魔法の杖?メイジなのかしら?

バゴォンッ!

轟音と共に『――――――』が爆発に包まれ、辺りは黒煙で満たされる。
だけど、逃走者の反撃は無意味だった。

ドギャァァァァン!!

黒煙の中から冷たい氷と共に現れた『――――――』が繰り出した攻撃は、哀れな最後の生き残りの体を挽肉に変化させる。
眼球、内臓、体の中にある物全てが飛び出した惨たらしい血の惨劇。なのに何故なんだろう?
人を殺すと言う禁忌への嫌悪は、私の中に沸いて来なかった。何かをやり遂げたと言う感慨さえも浮いてこない。
ただ、そこにあるのは冷たい意思と漆黒の殺意だけ。

パチパチパチパチパチパチパチパチ


何処かから拍手の音が聞こえた。
優れた演劇を賞賛するかのような場違いな音。
「フフフ・・・・・・素晴らしいぞ『――――――』」
出てきたのは一人の男だ。
艶めくブロンドの髪と、人間の限界を突き詰めたような均整の取れた肉体。
顔は何かの影が付いているかのように黒く覆われており判然しないが、それでも美しいだろうと確信。
振り向いた男の首に縫ったような痕があるのが分かった、その部分だけが唯一その男の魅力を損なっていると感じる。
(・・・・・・・・・・・・)
しかし・・・何故かしら?あの男を見ると涌き出てくるこの感情は?
安心、恐怖、歓喜。相反する感情が同時に出てくる。
あの男のためなら殺人さえも喜んで出来るかもしれない、何て狂った思考まで浮かぶ。
そこで私は気付いた。
(!?)
あの男に見られている!
これは夢―――夢のはず、私の頭が作り出した空想の世界のはず。なのに
男は手で顔を隠しながら私に指を突き付ける。
「貴様!見ているな!?」
その言葉に私が何かをするよりも早く―――――目の前に突然一本のナイフが現れた。
超スピードで投げられたのか、催眠術で誤魔化されたのか分からないけど
体の感覚が無い私では避ける事が出来ず―――

ゴシカァン!

頭の中でとてつもない破裂音が響き。
『――――――』の名前を思い出した瞬間。
私、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールの意識は覚醒した。

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