ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

マジシャンズ・ゼロ-6

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夢のお陰か、明け方に目覚めたアヴドゥルは主人の寝顔を見る。
毛布を少し蹴っ飛ばして、涎を垂らし寝ているルイズ。
とても本人の話であった、貴族とは思えない。
だが、幼いソレからは昨日の高慢ちきな姿も感じられなかった。
もうおっさんと呼べる年齢だが、未だに一人身のアヴドゥルにとって、ルイズは年の離れた妹のよ(エッ?やっぱ無理?)
『娘として!』居てもおかしくないアヴドゥルにとってルイズの寝顔は見ていて、戦いの連続で少しずつ磨耗していった心が和むようだった。
ずれている毛布を直してやり、脱ぎ散らかされた洗濯物を集め部屋を出る。
(今の時間から洗えば、起こす時間には間に合うだろう)
今居る建物は女子寮らしいので、音を立てないよう慎重に早歩きしながら呟く。
「だが、誰かに聞かなければ洗濯道具の場所が分からんな」
しかし、女子寮で遭遇するのはまずい。
ルイズという身の証明をしてくれる人物がいなければ、アヴドゥルは即効お縄だ。
アヴドゥルなら切り抜けることはできるだろう、しかし、できればそんな災難は回避したい。
そんなジレンマに悩みながらも、何とか危険ゾーンである女子寮を抜ける。
一階にて複数の選択肢から勘で、洗濯するなら中庭だろうと決め建物の内側に入っていく。
中庭に向かう途中、ポルナレフがいたら喜びそうな、メイド服を着た少女がいたので近づいて行く。
自分の顔のことは重々承知なので、なるべく怖がらせないよう注意を払い。
「すまない。聞きたいことがあるのだが構わないか?」
少女は朝っぱらからいきなり強面のおっさんに話しかけられ、少し驚いたようだが返事をくれた。
「…はいッ、なんでしょうか?」
礼儀正しく返されたので、ルイズにも見習って欲しい、と勝手に親になった気分で出した感想などおくびにも出さず。
「洗濯をしたいんだが、道具はどこにあるか分かるかな?」
「…ッ!?」
最大限優しげに聞いてみたが逆に怖がらせてしまったようだ。
どうやら作り笑いが怖かったらしく、消すと元に戻ってくれた

「ええ、案内しますね」
少し後方を歩いていると、チラチラとこちらを気にしているのが分かる。
「わたしの顔がどうかしたかな?」
またもや優しく言う。
「ええッ!いえ……えーと、あなたもしかしてミス・ヴァリエールの使い魔になったっていう平民の……」
段々と小さくなり最後は聞こえなかったが、言いたいことは分かった。
思わず(チッチッ YES I AM!)と、言ってしまいそうになったが我慢し……。
「ああ、その使い魔のアヴドゥルだ」
無難な答えを返した。
今までの小さな努力が実を結んだのか少女は少し近づいてきて、友好的に話しかけてくれた。
「アヴドゥルさんですか、わたしはシエスタっていいます」
「シエスタか、よろしく」
「はい!こちらこそ。」
アヴドゥルはなんとか気のいいおじさんポジションをゲットしたようだ、シエスタが話を振ってくる。
「大丈夫ですか?使い魔なんて。初めて聞きましたよ人間の使い魔なんて。ミス・ヴァリエールは普通の貴族の方とは違ってましたけど……」
マシンガンのようなシエスタの話に、おじさんアヴドゥルは付いていけない。
「ああ」や「うぬッ」など相槌を打つので限界だ。
(ふッ………これが若さか)
遠い過去の青春時代に想いを馳せていると、洗濯用具置き場に着いたようでシエスタの話が止まる。
「……で、それが……あッ!アヴドゥルさん付きましたよ。ココの道具はいつでも使用していいはずです」
「……うんッ。そうかメルシーポークー、シエスタ」
「いえ、こんな事ならお安いことです。何かありましたら、日中は厨房にいるので訪ねてください」
最後も礼儀正しくシエスタは去って行った。
シエスタを見送り、アヴドゥルは使い魔初仕事に取り掛かる。
ルイズの洗濯物を触り生地の状態を確かめながら呟く。
「ふッ、少々高級な生地のようだがわたしに敵うかな?」
アヴドゥルには自信があった!
旅の間中、大の男五人の洗濯物を人手に担い、手洗いしてはマジシャンズ・レッドで高速乾燥させてきた自信が!
そして、作業が始まった。

その日、誰も居ない中庭で一角だけが異常気温を記録していたのは誰も知らない。


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