ギーシュは早速ワルキューレに叩き伏せられた少年を見下ろした。
大口を叩いていたわりにはあっけない。
しかし、この平民がしゃしゃり出てきてくれて、正直助かったかな、と思う。
モンモランシーとケティにあんな振られ方をしたから、このままでは自分の株が急落するところだった。
思わずルイズにやつあたりしたところに現れたこの平民。
おかげで、決闘に注目が集まって、自分の失態は雲散霧消することだろう。
「立ちたまえ!あれだけの口を利いたのだ。これくらいで終わらせる気はさらさらない!」
少年は、片手で顔を抑えながらおぼつかない足取りで立ち上がった。頭から血を流している。
しかし不思議だ。とギーシュはその様子を見ながら思った。
この平民はなぜ、あの『白いゴーレム』を持ってこなかった?
ギーシュは、ルイズの召還の一部始終を見ていた。
召還された平民が、何もないところから『白いゴーレム』を生み出したのも覚えていた。
あのような小さなゴーレムに自分のワルキューレが負けるとは毛頭思っていないが、あれを作り出したという『マジックアイテム』が唯一警戒すべきものだと思っていたのだが。
「(あれだけ自信満々だから、てっきり持ってくるものだと思っていたが、予想外だったね・・・)」
持っていないなら、残っているのは女の子にも負けそうなほど弱そうな、ただの平民が一人。
「(悪いが、ぼくのワルキューレとしばらくダンスしてもらうよ。)」
ギーシュはにやりと笑った。
大口を叩いていたわりにはあっけない。
しかし、この平民がしゃしゃり出てきてくれて、正直助かったかな、と思う。
モンモランシーとケティにあんな振られ方をしたから、このままでは自分の株が急落するところだった。
思わずルイズにやつあたりしたところに現れたこの平民。
おかげで、決闘に注目が集まって、自分の失態は雲散霧消することだろう。
「立ちたまえ!あれだけの口を利いたのだ。これくらいで終わらせる気はさらさらない!」
少年は、片手で顔を抑えながらおぼつかない足取りで立ち上がった。頭から血を流している。
しかし不思議だ。とギーシュはその様子を見ながら思った。
この平民はなぜ、あの『白いゴーレム』を持ってこなかった?
ギーシュは、ルイズの召還の一部始終を見ていた。
召還された平民が、何もないところから『白いゴーレム』を生み出したのも覚えていた。
あのような小さなゴーレムに自分のワルキューレが負けるとは毛頭思っていないが、あれを作り出したという『マジックアイテム』が唯一警戒すべきものだと思っていたのだが。
「(あれだけ自信満々だから、てっきり持ってくるものだと思っていたが、予想外だったね・・・)」
持っていないなら、残っているのは女の子にも負けそうなほど弱そうな、ただの平民が一人。
「(悪いが、ぼくのワルキューレとしばらくダンスしてもらうよ。)」
ギーシュはにやりと笑った。
康一は口の中に違和感を感じて、ぷっとそれを吐き出した。
真っ赤な鮮血と共に、歯が一本地面に転がった。
「く、くそっ!なんてことだッ・・・!」
動揺したところにまともに喰らってしまった・・・!
青銅の硬くて思い拳は、危うく一発で自分の意識を刈り取るところだった。
「(どうする!?)」
康一は、ゆっくりとこちらに近づいてくるワルキューレを見た。
『スタンド』は出せない。こんな衆人環視のなか、『スタンド』を出せば、間違いなく『先住』扱いされる。
かといって、生身であのくそったれワルキューレと戦って勝ち目があるとも思えない。
「とにかく・・・とにかく、あの攻撃を避けなくては・・・!」
このワルキューレ。パワーはなかなかだが、スピードは大したことはない・・・!
『スター・プラチナ』や『クレイジー・D』に比べれば蠅が止まるような速度さ。
『ACT3』でも余裕で翻弄できる!
だが・・・!
ワルキューレが拳をふりあげる。
「(来るのが分かっていても、生身では避けきれない!)」
顔面をガードした両腕の上から、青銅の拳が叩き込まれる。
ミシッ!と両腕から音がしたような気がした。
軽い康一の体は突き上げるようなパンチの衝撃でふわりと浮き上がった。
その康一の脇腹に叩き込まれるワルキューレのミドル・キック。
康一は血を吐きながらサッカーボールのように吹き飛び、人垣に激突した。
人垣は康一を広場へと押し戻し、康一はふらついて膝をついた。
「まだやるかい?」
ギーシュは尋ねた。これ以上やると『イジメ』になってしまう。それはあまり美しくない。
康一は何も言い返さなかった。
その代わりに、ギーシュとの間に立ちふさがるワルキューレの左足に、体勢を低くして渾身のタックルをいれた。
「あの平民、ワルキューレを倒そうとしてるぜ!!」見物客から歓声があがった。
しかし・・・
「(う、動かない・・・!)」
ワルキューレは康一の全質量を受け止めてなお、ビクともしなかった。
「忘れたのかな?『青銅』なんだよ?まさか中がすっからかんの空洞だとは思ってないだろうね。重さは少なくとも50リーブル(約235kg)はある!君のようなチビがどうこうできるわけがないだろうッ!!」
ワルキューレは、左足にしがみつく康一を軽々と引き剥がすと、大きく頭上に掲げて背中から地面に叩きつける!
その衝撃で康一は思い切りバウンドした。息が止まる・・・!
ワルキューレは悶え苦しむ康一を足でいたぶった。蹴り転がし、踏みつける。
真っ赤な鮮血と共に、歯が一本地面に転がった。
「く、くそっ!なんてことだッ・・・!」
動揺したところにまともに喰らってしまった・・・!
青銅の硬くて思い拳は、危うく一発で自分の意識を刈り取るところだった。
「(どうする!?)」
康一は、ゆっくりとこちらに近づいてくるワルキューレを見た。
『スタンド』は出せない。こんな衆人環視のなか、『スタンド』を出せば、間違いなく『先住』扱いされる。
かといって、生身であのくそったれワルキューレと戦って勝ち目があるとも思えない。
「とにかく・・・とにかく、あの攻撃を避けなくては・・・!」
このワルキューレ。パワーはなかなかだが、スピードは大したことはない・・・!
『スター・プラチナ』や『クレイジー・D』に比べれば蠅が止まるような速度さ。
『ACT3』でも余裕で翻弄できる!
だが・・・!
ワルキューレが拳をふりあげる。
「(来るのが分かっていても、生身では避けきれない!)」
顔面をガードした両腕の上から、青銅の拳が叩き込まれる。
ミシッ!と両腕から音がしたような気がした。
軽い康一の体は突き上げるようなパンチの衝撃でふわりと浮き上がった。
その康一の脇腹に叩き込まれるワルキューレのミドル・キック。
康一は血を吐きながらサッカーボールのように吹き飛び、人垣に激突した。
人垣は康一を広場へと押し戻し、康一はふらついて膝をついた。
「まだやるかい?」
ギーシュは尋ねた。これ以上やると『イジメ』になってしまう。それはあまり美しくない。
康一は何も言い返さなかった。
その代わりに、ギーシュとの間に立ちふさがるワルキューレの左足に、体勢を低くして渾身のタックルをいれた。
「あの平民、ワルキューレを倒そうとしてるぜ!!」見物客から歓声があがった。
しかし・・・
「(う、動かない・・・!)」
ワルキューレは康一の全質量を受け止めてなお、ビクともしなかった。
「忘れたのかな?『青銅』なんだよ?まさか中がすっからかんの空洞だとは思ってないだろうね。重さは少なくとも50リーブル(約235kg)はある!君のようなチビがどうこうできるわけがないだろうッ!!」
ワルキューレは、左足にしがみつく康一を軽々と引き剥がすと、大きく頭上に掲げて背中から地面に叩きつける!
その衝撃で康一は思い切りバウンドした。息が止まる・・・!
ワルキューレは悶え苦しむ康一を足でいたぶった。蹴り転がし、踏みつける。
「もうやめて!」
ルイズが飛び出してきたのはそのときだった。
横たわる康一に覆いかぶさる。
「もう・・・もう勝負はついたわ!こいつの負けでいいから!」
ルイズは必死に叫んだ。
ギーシュはフン、と鼻を鳴らして鼻白む。
「これはぼくとその平民との決闘だ。その平民が『まいった』というまで勝負は続く・・・」
でもまぁ・・・。ギーシュはアゴをなでた。
「ぼくも弱いものいじめは趣味じゃない。ルイズ。主人である君がかわりに『すみませんでした』と謝るのならば、この場はこれで収めようじゃないか。」
ルイズはすぐに謝ろうと思った。このまま康一がボロボロになるのを見ていられない。
だが、ルイズの肩に、倒れていた康一が手をかけた。
「ま、まだ・・・終わってない・・・」
ルイズの肩を借りて立ち上がる。
「ルイズ・・・言っただろ・・・?『ぼくを信じてくれ』・・・って。まだ大丈夫。まだ終わってない・・・」
「もう無理よ!もうあんたは十分がんばったわよ!」
泣きそうになりながら叫ぶルイズに、康一は目じりだけで笑った。
そして、「け、決闘の邪魔だから・・・引き止めておいて・・・」と近くにいる見物人の一人に頼んだ。
見物人たちがルイズを引き剥がす。
「ダメよ!もうやめなさい!死んじゃうわ!!」
ルイズが叫ぶが、康一はもう振り返らない。
「大した根性だね。平民。立ち上がって何があるわけでもあるまいに・・・」
ギーシュが賞賛した。
「お、お前のワルキューレはぜんっぜん大したことないけどね・・・。」
康一はハッ、と笑いながら強がった。
ギーシュはピクリと眉を引きつらせた。
「なんだと?もういっぺんいってみろ・・・」
「何度でも言ってやる・・・。こんなハナクソみたいなゴーレムの一匹操れるくらいでいい気になってるなら、お里が知れる・・・そう言ったんだッ!」
「野郎ッ!!」
ワルキューレが大きく一歩を踏み出して、康一に殴りかかった。
康一は体勢を低くして、ワルキューレの足元に飛び込んだ。
「頭脳がマヌケか!?ワルキューレにタックルなど無意味だ!!」
しかし康一は、タックルの軌道よりもさらに体勢を低くする!
背中から飛び込むようにしてワルキューレの股の間をすり抜け、一回転してそのまま走り出した。
「あいつ、直接ギーシュを狙うつもりだ!」
観衆がどよめいた。
距離15m!
ギーシュは笑った。
「フー。まさかそのぼろぼろの状態でそんな芸当をして見せるなんてね。いや、マジに恐れ入ったよ・・・。」
距離10m!
「窮鼠猫を噛むっていうのか?普通なら、『どうやって許してもらおうか。助けて神様!』って考えるべきところを、まだぼくを倒す気でいるとは・・・」
距離5m!!
「だがっ!『運命』とはそう甘いものじゃあないのだよ!『平民は貴族には勝てない』これは絶対なんだッ!」
ギーシュが造花を振った。花びらが舞い散り、康一がギーシュに殴りかかる寸前で6体のワルキューレになった。
康一はワルキューレに蹴り飛ばされて地面に転がった。
「・・・平民。名前は?」
ギーシュが這いつくばり血を吐きながら痛みに悶える康一に尋ねた。
「ぼくに全力を出させた平民の名前だ・・・覚えておこう。」
「広瀬・・・康一だ・・・」
康一がふらふらと立ち上がった。
「でも、『全力を出させた』ってのはちょっと違うな・・・『ぼくをボゴボゴにした平民』として覚えておけばいい・・・」
7体のワルキューレが円を描くようにして康一を囲んだ。
「まだそんな口が叩けるとはね・・・。まぁいい。一応最後にきいてやろう。 まだ、やるかい?」
康一は血まみれになりながら、ギーシュを睨みつけた。
「・・・・ってこい。」
「・・・なんだって?」
「かかってこい。っていったんだ。このマヌケ面。かかってきた瞬間、お前は敗北するッ・・・」
「君はもう・・・君はもう・・・」
杖を振り上げる。
ギーシュは覚悟を決めた。この平民を・・・殺す!
「君はもうおしまいだぁあ―――っ!!ワルキューレッ!!!」
七体のワルキューレが同時に突撃する。
逃げ道など・・・ない!!
「コーイチ――――ッ!!!」
ルイズの悲鳴と共に
グシャアッッ!!!
ワルキューレが殺到し、激しい金属音とともに激しく激突した。
後に残るのは死の静寂のみである。
ルイズが飛び出してきたのはそのときだった。
横たわる康一に覆いかぶさる。
「もう・・・もう勝負はついたわ!こいつの負けでいいから!」
ルイズは必死に叫んだ。
ギーシュはフン、と鼻を鳴らして鼻白む。
「これはぼくとその平民との決闘だ。その平民が『まいった』というまで勝負は続く・・・」
でもまぁ・・・。ギーシュはアゴをなでた。
「ぼくも弱いものいじめは趣味じゃない。ルイズ。主人である君がかわりに『すみませんでした』と謝るのならば、この場はこれで収めようじゃないか。」
ルイズはすぐに謝ろうと思った。このまま康一がボロボロになるのを見ていられない。
だが、ルイズの肩に、倒れていた康一が手をかけた。
「ま、まだ・・・終わってない・・・」
ルイズの肩を借りて立ち上がる。
「ルイズ・・・言っただろ・・・?『ぼくを信じてくれ』・・・って。まだ大丈夫。まだ終わってない・・・」
「もう無理よ!もうあんたは十分がんばったわよ!」
泣きそうになりながら叫ぶルイズに、康一は目じりだけで笑った。
そして、「け、決闘の邪魔だから・・・引き止めておいて・・・」と近くにいる見物人の一人に頼んだ。
見物人たちがルイズを引き剥がす。
「ダメよ!もうやめなさい!死んじゃうわ!!」
ルイズが叫ぶが、康一はもう振り返らない。
「大した根性だね。平民。立ち上がって何があるわけでもあるまいに・・・」
ギーシュが賞賛した。
「お、お前のワルキューレはぜんっぜん大したことないけどね・・・。」
康一はハッ、と笑いながら強がった。
ギーシュはピクリと眉を引きつらせた。
「なんだと?もういっぺんいってみろ・・・」
「何度でも言ってやる・・・。こんなハナクソみたいなゴーレムの一匹操れるくらいでいい気になってるなら、お里が知れる・・・そう言ったんだッ!」
「野郎ッ!!」
ワルキューレが大きく一歩を踏み出して、康一に殴りかかった。
康一は体勢を低くして、ワルキューレの足元に飛び込んだ。
「頭脳がマヌケか!?ワルキューレにタックルなど無意味だ!!」
しかし康一は、タックルの軌道よりもさらに体勢を低くする!
背中から飛び込むようにしてワルキューレの股の間をすり抜け、一回転してそのまま走り出した。
「あいつ、直接ギーシュを狙うつもりだ!」
観衆がどよめいた。
距離15m!
ギーシュは笑った。
「フー。まさかそのぼろぼろの状態でそんな芸当をして見せるなんてね。いや、マジに恐れ入ったよ・・・。」
距離10m!
「窮鼠猫を噛むっていうのか?普通なら、『どうやって許してもらおうか。助けて神様!』って考えるべきところを、まだぼくを倒す気でいるとは・・・」
距離5m!!
「だがっ!『運命』とはそう甘いものじゃあないのだよ!『平民は貴族には勝てない』これは絶対なんだッ!」
ギーシュが造花を振った。花びらが舞い散り、康一がギーシュに殴りかかる寸前で6体のワルキューレになった。
康一はワルキューレに蹴り飛ばされて地面に転がった。
「・・・平民。名前は?」
ギーシュが這いつくばり血を吐きながら痛みに悶える康一に尋ねた。
「ぼくに全力を出させた平民の名前だ・・・覚えておこう。」
「広瀬・・・康一だ・・・」
康一がふらふらと立ち上がった。
「でも、『全力を出させた』ってのはちょっと違うな・・・『ぼくをボゴボゴにした平民』として覚えておけばいい・・・」
7体のワルキューレが円を描くようにして康一を囲んだ。
「まだそんな口が叩けるとはね・・・。まぁいい。一応最後にきいてやろう。 まだ、やるかい?」
康一は血まみれになりながら、ギーシュを睨みつけた。
「・・・・ってこい。」
「・・・なんだって?」
「かかってこい。っていったんだ。このマヌケ面。かかってきた瞬間、お前は敗北するッ・・・」
「君はもう・・・君はもう・・・」
杖を振り上げる。
ギーシュは覚悟を決めた。この平民を・・・殺す!
「君はもうおしまいだぁあ―――っ!!ワルキューレッ!!!」
七体のワルキューレが同時に突撃する。
逃げ道など・・・ない!!
「コーイチ――――ッ!!!」
ルイズの悲鳴と共に
グシャアッッ!!!
ワルキューレが殺到し、激しい金属音とともに激しく激突した。
後に残るのは死の静寂のみである。
「フゥー。つい殺してしまった。平民相手に大人気なかったかな。カッとなってしまった。」
ギーシュは少し乱れた髪を手で撫で付けた。
「しかし、これで平民じゃない新しい使い魔が召還できるってものだろう!僕に感謝したまえよ!」
とルイズに言葉を投げかけた。
しかし・・・
様子がおかしい?
ルイズは・・・いや、その周りの観客達も、みなポカーンとした目で僕のことを見ている。
いや、僕じゃない。その更に奥を見ている・・・?
「言ったはずだ・・・」
┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨
ギーシュは振り向くこともできずにたらりと汗を流した。
「『かかってきた瞬間、お前は敗北する』とッ・・・・!」
ギーシュは少し乱れた髪を手で撫で付けた。
「しかし、これで平民じゃない新しい使い魔が召還できるってものだろう!僕に感謝したまえよ!」
とルイズに言葉を投げかけた。
しかし・・・
様子がおかしい?
ルイズは・・・いや、その周りの観客達も、みなポカーンとした目で僕のことを見ている。
いや、僕じゃない。その更に奥を見ている・・・?
「言ったはずだ・・・」
┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨
ギーシュは振り向くこともできずにたらりと汗を流した。
「『かかってきた瞬間、お前は敗北する』とッ・・・・!」
「と、飛んだ・・・!」
「あそこからギーシュの背後までジャンプするなんて、平民に可能なのか!?」
「あの跳躍力は一体なんだァー!?」
一部始終を見ていた観客が悲鳴をあげた。
「ずっと待っていた。お前が複数の『ゴーレム』を出すのを・・・。観衆から、僕を隠す『死角』を作ってくれるのをッ!!!!」
あの瞬間、7体のゴーレムで覆い隠された『死角』で行われたことに気づいたのは、遠見の水晶球で様子を伺っていたオールド・オスマンと、飛びぬけた動体視力を持つタバサだけだった。
康一が絶体絶命のピンチに陥ったそのとき、『死角』の中に『緑色の生き物』が現れて、地面に『なにか』を貼り付けた。その瞬間『地面が跳ねた』のだ!
ボヨヨヨ~~~ン!
「あそこからギーシュの背後までジャンプするなんて、平民に可能なのか!?」
「あの跳躍力は一体なんだァー!?」
一部始終を見ていた観客が悲鳴をあげた。
「ずっと待っていた。お前が複数の『ゴーレム』を出すのを・・・。観衆から、僕を隠す『死角』を作ってくれるのをッ!!!!」
あの瞬間、7体のゴーレムで覆い隠された『死角』で行われたことに気づいたのは、遠見の水晶球で様子を伺っていたオールド・オスマンと、飛びぬけた動体視力を持つタバサだけだった。
康一が絶体絶命のピンチに陥ったそのとき、『死角』の中に『緑色の生き物』が現れて、地面に『なにか』を貼り付けた。その瞬間『地面が跳ねた』のだ!
ボヨヨヨ~~~ン!
「ゲエエエエエェエエ!!」
ギーシュは腰を抜かして飛びのいた。
そこに立っていたのは、確かにさっきワルキューレたちに潰されたはずの『平民』!
しかしなぜ、こいつがここにいるんだぁー!!
ギーシュは腰を抜かして飛びのいた。
そこに立っていたのは、確かにさっきワルキューレたちに潰されたはずの『平民』!
しかしなぜ、こいつがここにいるんだぁー!!
「さぁ・・・次は・・・『お前の顔をボゴボゴにする』番だな・・・」
「ば、馬鹿なッ!!!」
ギーシュは自分に言い聞かせた。
ぼくは貴族だ。こんな平民に負けるわけがない。そうさ!ちょっとびっくりはしたが、それだけだ。こいつはこれ以上なにもできない!
ギーシュは立ち上がった。
お互いに激突して動きを止めていたワルキューレたちも、次々と立ち上がっていく。
「ちょっぴり・・・ほんのちょっぴりだけ驚いたよ。でも、それだけだ!ぼくもワルキューレもピンピンしているぞ!!お前がワルキューレに頭蓋骨をぶち割られる『運命』に何も変わりはないッ!!」
「やっぱり・・・言い直すよ・・・・」
康一は滴る血を拭いもせずにギーシュを指差した。
「『かかってきた瞬間、お前はすでに敗北《した》!』」
ギーシュは激昂した。
「ふざけるなこのチビがぁー!ワルキュー
「ば、馬鹿なッ!!!」
ギーシュは自分に言い聞かせた。
ぼくは貴族だ。こんな平民に負けるわけがない。そうさ!ちょっとびっくりはしたが、それだけだ。こいつはこれ以上なにもできない!
ギーシュは立ち上がった。
お互いに激突して動きを止めていたワルキューレたちも、次々と立ち上がっていく。
「ちょっぴり・・・ほんのちょっぴりだけ驚いたよ。でも、それだけだ!ぼくもワルキューレもピンピンしているぞ!!お前がワルキューレに頭蓋骨をぶち割られる『運命』に何も変わりはないッ!!」
「やっぱり・・・言い直すよ・・・・」
康一は滴る血を拭いもせずにギーシュを指差した。
「『かかってきた瞬間、お前はすでに敗北《した》!』」
ギーシュは激昂した。
「ふざけるなこのチビがぁー!ワルキュー
『ギーシュ様!最低です!』
「え!?」
突然耳元で声がしてギーシュは振り向いた。
「け、ケティ!?」
しかし振り向いても誰もいない。遠巻きに見守る観衆がいるだけだ。
突然耳元で声がしてギーシュは振り向いた。
「け、ケティ!?」
しかし振り向いても誰もいない。遠巻きに見守る観衆がいるだけだ。
『二度と私に近づかないで。』
今度の凍りつくような声色は・・・
「ま、まさかモンモランシー?!」
だが、やはりギーシュの周りにいるのは、血まみれの平民だけだった。
それなのに、声が・・・声が聴こえる!!
「ま、まさかモンモランシー?!」
だが、やはりギーシュの周りにいるのは、血まみれの平民だけだった。
それなのに、声が・・・声が聴こえる!!
『ギーシュ様!最低です!』
『二度と私に近づかないで。』
『ギーシュ。あなた、やっぱり一年生の子に手を出していたんだ・・・』
『ギーシュ様・・・やはりミス・モンモランシーと付き合っておられたのですね・・・』
『それってもしかしてモンモランシーの香水じゃあないのか!?』
『二度と私に近づかないで。』
『ギーシュ様!最低です!』
『二度と私に近づかないで。』
『ギーシュ。あなた、やっぱり一年生の子に手を出していたんだ・・・』
『ギーシュ様・・・やはりミス・モンモランシーと付き合っておられたのですね・・・』
『それってもしかしてモンモランシーの香水じゃあないのか!?』
『二度と私に近づかないで。』
『ギーシュ様!最低です!』
「や、やめろぉー!!!?」
ギーシュは耳をふさいでその場に膝をついた。
だがどんなに耳をふさいでも、その『声』は頭の中でグワングワンと鳴り響く。
頭が破裂しそうだァ――!!
「平民・・・!貴様何をしたぁぁぁー!」
「さぁね・・・格好つけたがりで、体裁が何よりも大事なお前に、似合いの結末を用意しただけだ・・・!」
空中に飛び上がった瞬間のことは、あのタバサを持ってしても目で追うことができなかった。
誰もの視線が外れた一瞬、康一の体の影から『小さな白い手』が現れて『文字のようなもの』をギーシュに投げつけたのだ。
オールド・オスマンだけはその様子を辛うじて捉えていた。
「さぁ・・・謝ってもらうぞッ!!」
康一が詰め寄る。
「や、やめろぉー!!来るなァ――――!!」
康一は、中腰になったままで押しとどめようとするギーシュの手を払いのける。
拳を振り上げた!
「う、うわぁぁぁぁー!」
「君がッ!!」右拳がギーシュのあごに直撃する!
「謝るまでッ!」左拳がギーシュのみぞおちにめり込む!
「殴るのをッ!」右拳がギーシュの脇腹をくの字に折り曲げ。
「やめないッ!!!」左拳がギーシュの顔面を捉えた。
「オオオオラァァァァァァ―――――――――!!」
ドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴ!!!
康一に残る全てを注ぎ込んだ渾身の、左右のラッシュ!
「ホガァー!!」
ギーシュは『じゃがいもだって目を背けるようなボゴボゴの顔面』になって吹き飛んだ。
「謝れーッ!」
康一は叫んだ。
「ふ、ふいまへんでひたぁー!!ぼくがわるかったからゆるひてくらはいー!!!!」
ギーシュは豚のような悲鳴をあげた。
康一はそれを聞くと、ACT1を解除した。
正直、限界だ・・・。もう一秒だって立っていられない。
ルイズが泣きそうな顔をしてこっちに走って来るのが見える。
「(だから、ぼくを信じろっていっただろ?)」
そう言おうと思ったのに声がでなかった。
ルイズのほうへ行こうとしたのに、足が動かなかった。
そのまま、力なく地面に倒れこんで、康一は意識を手放した。
ギーシュは耳をふさいでその場に膝をついた。
だがどんなに耳をふさいでも、その『声』は頭の中でグワングワンと鳴り響く。
頭が破裂しそうだァ――!!
「平民・・・!貴様何をしたぁぁぁー!」
「さぁね・・・格好つけたがりで、体裁が何よりも大事なお前に、似合いの結末を用意しただけだ・・・!」
空中に飛び上がった瞬間のことは、あのタバサを持ってしても目で追うことができなかった。
誰もの視線が外れた一瞬、康一の体の影から『小さな白い手』が現れて『文字のようなもの』をギーシュに投げつけたのだ。
オールド・オスマンだけはその様子を辛うじて捉えていた。
「さぁ・・・謝ってもらうぞッ!!」
康一が詰め寄る。
「や、やめろぉー!!来るなァ――――!!」
康一は、中腰になったままで押しとどめようとするギーシュの手を払いのける。
拳を振り上げた!
「う、うわぁぁぁぁー!」
「君がッ!!」右拳がギーシュのあごに直撃する!
「謝るまでッ!」左拳がギーシュのみぞおちにめり込む!
「殴るのをッ!」右拳がギーシュの脇腹をくの字に折り曲げ。
「やめないッ!!!」左拳がギーシュの顔面を捉えた。
「オオオオラァァァァァァ―――――――――!!」
ドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴドゴ!!!
康一に残る全てを注ぎ込んだ渾身の、左右のラッシュ!
「ホガァー!!」
ギーシュは『じゃがいもだって目を背けるようなボゴボゴの顔面』になって吹き飛んだ。
「謝れーッ!」
康一は叫んだ。
「ふ、ふいまへんでひたぁー!!ぼくがわるかったからゆるひてくらはいー!!!!」
ギーシュは豚のような悲鳴をあげた。
康一はそれを聞くと、ACT1を解除した。
正直、限界だ・・・。もう一秒だって立っていられない。
ルイズが泣きそうな顔をしてこっちに走って来るのが見える。
「(だから、ぼくを信じろっていっただろ?)」
そう言おうと思ったのに声がでなかった。
ルイズのほうへ行こうとしたのに、足が動かなかった。
そのまま、力なく地面に倒れこんで、康一は意識を手放した。