ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

味も見ておく使い魔 第六章-02

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匿名ユーザー

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女子学生寮において、倒れている露伴に近づく者がいた。ドッピオである。しかし、彼の足元はふらついている。足元がぎこちない。右手には蛙をつかみしゃがんでいた。
「とぅるるるる……」ドッピオはつかんだ蛙に向かって話しかける。
「ボス。露伴とブチャラティのスタンド能力を完全に把握しました。ブチャラティはスタンド能力を失ってはいないようです。さらに、おおよそですが、トリステインの虚無の使い手の魔法能力を推測することができます。こちらはあまり系統に対する進歩が見られません」
『よくやった。私のドッピオ……』
「露伴のDISCをGetしますか?なかなか強力のようですから」
『やめておけ、ブチャラティたちに対しては、こちらの手はできるだけ未知のままにしておくのだ』
わかりました、ボス」
『後は、だ。ブチャラティたちに我々の能力の正体をできるだけ知られずに、我々独自の目的を達成するのだ。今回ジョゼフ王に命じられた任務はメンヌヴィルのサポートだが、それはこれ以上深入りする義務はない』
「わかりました、ボス。ですが、この行動がジョゼフ王に知れたのなら、マズイことになりませんか?」
『心配するなドッピオ。私はまさにそれを望んでいるのだ。ジョゼフの強大な力に対抗できるだけの力。それがルイズの虚無のDISCだ。これは我々の資産として確保しておきたい』
「わかりました。そこまで考えていらっしゃるのであれば、ボス、判断はあなたにお任せします」
『ドッピオ……まだ油断するな……お前はまだウェザー・リポートの射程の中にいるのだ……』
「ええ、ですが、僕は今お借りしているスタンド能力『ホワイト・スネイク』で視覚を取り除いているので、カタツムリになるのは防げているはずです」
『だからだ……お前自身は戦闘に参加できない』
「……そうですね。わかりました」


「これは、いったい?」ブチャラティはとっさに周囲をうかがう。よく見ると、そこらじゅうになぜか『虹』がかかっている。
ケティはいう。
「部屋がぁ急にぃ明るくなってぇ~ーー虹が現れたと思ったらぁ、虫がまとわりついていたのよぉ……」
「それは、この虹を見たらカタツムリに変身してしまったということか?」
「じゃあ、ブチャラティ。私たちもまずいんじゃないの?」
ルイズは思わず自分の手の甲を見た。うっすらと殻がくっついている。
「きゃ!なにこれ!」
「どういう理屈かわからないが、敵はほぼ無差別に攻撃を繰り出している。これは危険な相手だ」
「はやくタバサにあって助けないと!彼女もきっと被害にあっているはずよ!」
「まて、この攻撃がどこまで続いているかわからない。水の治療ができる先生たちもこの攻撃にさらされている可能性が高い。ならば、タバサの身の安全を確認することも大事だが、一番重要な目標はこの能力を抹消させることだ。俺たちはこのまま中央塔にいく。さっきの生徒の妙な行動から、敵本体はそこにいる可能性が高い。可及的すみやかに敵本体をたたくぞ」


走る。走る。走る。
ブチャラティとルイズは塔の目前に立った。
だが。
先行く路上には何人かの銃士隊が横たわっていた。放置されたよろいの中から無数のカタツムリが顔を上げている。
『何人か』はまだ意識があるようで、うめき声をあげていた。横たわった『それ』をまだ人であると仮定すればの話だが。
「むごい……」
「急ぐんだルイズ、俺たちもいずれはああなりかねない」
「わかってるわ」
交わされるわずかな会話。二人は口を交わす時間を使うのももどかしく走る。
だが、その走りを邪魔するものがいた。
「待ちなさい」
「その声は、コルベール!」
ブチャラティは、中央塔の物陰に潜んでいる中年男性を発見した。
その場所では、近くある窓からアルヴィーズの食堂の様子を見ることができるだろう。
「こんなところで何してるんですか、先生?」
「実は、一人のメイジが私の生徒とオールド・オスマンを人質にとって食堂に立て籠もっているんです」
「相手は一人なのか?」
ブチャラティの疑問に、コルベールは黙って肯いた。
「あなた方にも症例が出ているようですが、人がカタツムリに変身していく異常。なぜか食堂内の人質と盲目の犯人には症状が出ていません」
ルイズとブチャラティは食堂内部の様子を見る。内部には、生徒が目隠しをされて一角に集まって座らされているのが見えた。その誰一人としてカタツムリ化の兆候は見えなかった。
「なるほど、視覚に関係があるのか。今から視覚を防いでも効果があるだろうか」
「それはあまり期待しないほうがいいでしょう。それよりも、もしこの力が、ブチャラティ、あなたのようなものの持つ『スタンド能力』なのであれば、あの犯人を倒せばこの効果は消えると思ってよいのですか?」
「ああ、そうだろう」
「ならば、私が犯人の相手をしましょう。あなた方はその隙に生徒たちを!」
「まかせて、いいのか?」
「ええ、私にも多少は戦闘の心得はありますから」
「わかった。任せる」
そういって、コルベールは一人食堂の正面扉に向かっていった。
ブチャラティたちは裏側に回れと指示したあとで。


「またせるなぁ~。まあ、オレにはどうでもいいことだが」メンヌヴィルはそういって一人笑いを浮かべる。
アルヴィーズの食堂の右翼、正面玄関口の近くに彼は陣取っていた。
「ふむ、身動きひとつできないか」彼は両目のあったところを生徒たちに向け、眺めでもしているかのような動作をした。彼の目の部分は昔の火傷の跡で覆われていて、両眼ともその生体的機能をすでにはたしてはいなかった。
だが、その両目の孔は驚愕に見開らかれることとなる。
「まちなさい!」食堂の正門を威風堂々とあけ、たった一人やってきた男がいた。
コルベール先生である。
彼の表情は青ざめ、いかにもよろけそうな体勢でそこに立ち尽くしていた。
だが、彼の目の色は『覚悟しているものの目』だった。いざというときに人殺しをためらわずに行う『漆黒の目』だ。
メンウヴィルは歓喜した。
「おお、おお!その感触は!その肌の表面温度は!懐かしいぞ隊長。ダングルテールでの町が最後か……以下にもあなただ。待ちわびたぞ!オレは忘れたことがない!あの町を焼く興奮!隊を裏切った俺の目を焼いてくれたときのあんたの非情な目!すべてが美しかった!……そうか、あんたが敵ならば、このくだらない戦にも張り合いが出るというものだ。俺はアレからお前を、お前だけを焼き尽くすことだけを考えて生きてきたのだ!」
コルベールは生徒たちに歩み寄り、大丈夫ですか、と声をかけた。
「私の生徒たちに手を出すな」
「ほう、炎蛇ほどもあろうものが、学院の教師だとはな!かつて、ダングルテールの住人を皆殺しにした男が、何をぬけぬけと!こいつは傑作だ!」
コルベールはその嘲りには一切答えない。
メンヌヴィルを正面に見据えて、言った。
「この学院で生徒へ危害を加えようとするものは、この私が許さない!」
炎と炎。一対一の決闘が始まった。




わけもわからずに目隠しをされ、一角に座らされた場合。
いったいどのような恐怖を彼女が襲うのであろうか。
モンモランシーは、まさに恐怖のどん底にいた。
「さっ、ここを出ましょう」間の抜けた声がかけられる。
だれ?と思うまもなく、目隠しがはずされた。
「あなたっ、ルイズ!」
「しっ、静かにして。みんな、ブチャラティが裏口にジッパーを取り付けてくれたわ。そこから外に出ましょう」
「わかったわ……でルイズ、あなたのその腕……」
「カタツムリ化ね……あなたたちはまだ初期段階だから、少しは安全よ」
「なに、それ。どういうこと?」
「ああ、これはあの犯人のスタンド攻撃よ。犯人が倒されれば能力は解除されるわ」
モンモランシーは自分の腕を触った。わずかにやわらかくなっている気がする。


「くう、やりおるわ」炎に巻かれるメンヌヴィルは、それでも笑みを絶やさない。
「早く降参しなさい」コルベールの警告は、まるで無視される。
「この程度の炎、貴様にはまだ実力を出していないだな」
メンヌヴィルとコルベールをはさむ形にある食堂の大机は、すでにその半ばが燃え尽きようとしていた。
灰が燃えながら彼ら二人の肢体を舐める。
形勢は今のところ、コルベールが一方的にやられている形であった。
「どうやら、俺と本気では戦いたくないようだな。隊長、貴様には失望したぞ」
メンヌヴィルが放つ火の大玉。
その名はファイアーボール。
だが、人質にされていたキュルケは見た。
その火急の大きさが尋常ではないことに。
おそらくキュルケほどの能力を持つメイジにとっても、あの大きさの半分も作り出せればよいほうだろう。メンヌヴィルの作り出した火球はそれほど大きく、熱かった。
「さ、君が最後の人質だ」そういうブチャラティを押しのけ、キュルケは叫んだ。
「危ない、コルベール先生!」
だが、はるかかなたに見えるコルベールは、キュルケを見て、
にっこりと、だが、さびしそうに微笑んで見せたのだった。

「これほどの火球、お前はどこまで耐えることができるかな、隊長さんよぉ~!」
コルベールは無返事で杖をとり、詠唱した。
「行くぞ、ホラァッ!!!」
迫る火球。コルベールがまさに火球に飲み込まれんとしたとき、その火球が掻き消えるのをキュルケは見た。換わりに、メンヌヴィルが手をのどに当て虚空を向き苦しんでいる。コルベールの攻撃は、すでに終わっていたのだった。
「な、何が、……?」メンヌヴィルはそういって崩れ落ちた。

「私の放った魔法は、『爆炎』」コルベールはそういうと、ニコリともせずに、人質の方向に向かって歩き出した。
「コルベール先生っ!あなた、本当は強かったんですね!」
「ええ、そんなんことより、あなた方のカタツムリ化は収まったのでしょうね」
「ええそれは大丈夫。今はあなたのやけどのほうが心配よ、コルベール先生!」

反応はない。
「コルベール先生?」キュルケが再度そう問いかけたとき、彼女は始めて異変に気がついた。
「何です、ミス・ツェルプストー」コルベールはそう答えたが、彼の背中はすでに煤けていた。
キュルケははっとメンヌヴィルの倒れているところを見た。
メンヌヴィルの顔に、何か銀色の円盤のようなものが刺さっている。
「生きていたの!メンヌヴィル!」
「『爆炎』は、周囲の酸素を焼き尽くしてしまうことで相手を窒息させてしまう恐ろしい魔法だ……俺がこの『ウェザー・リポート』以外のDISCだったらと思うとぞっとするね……かろうじてだが、俺の周りに一瞬、呼吸ができるだけの『純粋酸素』を集めることに成功したよ……そして」彼はにやりと笑った後、今度こそ全身が崩れ落ちた。
「私が、油断、していたようですね。背中に最期の一撃を食らうとは……」
「コルベール先生、しっかりしてください!」キュルケはあたりを探した。
誰もいない。誰も、手助けをしようと動く生徒はいない!
いや、たった一人、見慣れない男子生徒が歩きよってきた。
「僕が水の先生のところまで連れて行きます。あなたも手伝ってください」
二人はコルベールを担いで、中央の食堂を出た。
「水の先生、助けてください!」中央の食堂を出たキュルケは、コルベールを担いで水の先生を捜し求める。だが、ようやくたどり着いた先生は、他のカタツムリ化した生徒の治療にかかりきりであった。
「でも、今にも死にそうなんです!」
キュルケの剣幕に押された形の看護のメイジは、横たわったコルベールを一目見るなり、
「しんでるよ、そいつ」とだけ言い放ち、別の患者のところへと走っていった。
「そんな……確かに今まで先生の鼓動は高鳴っていた!荒々しい呼吸もしていた。あなたも見ていたでしょう?」ふと、見渡すと、キュルケと一緒にコルベールを担いできた少年がいない。「なのに、どうして今は心肺が停止しているのぉ~~!!!」
キュルケの絶叫は、虚空に、吸い込まれていった。


とある中庭で……
「申し訳ありませんボス。ルイズのDISCの奪取に失敗しました」
『気にするな、私のドッピオ。衆人の目の前で我々の正体をさらすわけにもいくまい……お前は良くやった』
「ですが……」
『過ぎたことだドッピオ。収穫もあった』
「コルベールとかいう男の殺害ですか?」
『あの男、何か危険な予感をさせていた。無能な振りをして実は頭の切れる人間と見た。そのような危険な人物は事前に処分しておかなくてはならない。何かしでかす前にな』
「はい、トリステインの有能な人材は我々が人知れず処理するのがジョゼフ王からかせられた使命ですから」
『そういう意味ではない……ドッピオ、最近お前はジョゼフに肩入れしすぎているぞ……我々の当初の目標を忘れてはならない』
「すみません、わかりましたボス」
『ちなみに、GETしたDISCは何だ?』
「火のトライアングルですね……」

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