ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

小ネタ-49

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匿名ユーザー

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「一応猶予期間は定めてありますから
 それまで諦めずに挑戦してください」
今日の最後の授業が終わりコルベールがルイズに声をかけてきた
「あまり気落ちしないように
 貴女が誰よりも努力していることを私は知っています」
進級試験もかねた召喚の儀式。ゼロのルイズは大方の予想通り地面を掘り返すだけ

途中で銀色の円盤を召喚したと言い出したが現物がどこにもなかった上にそんなものが使い魔になるはずもないので生徒達の物笑いの種になった

あとはただそれだけで虚しく一度目の挑戦は終わり。この日に召喚できなかったのはルイズ一人だけだった



何故私だけがこんな惨めな目に遭ってるんだろう
ふらふらと廊下を歩きながら考える。貴族らしくない歩き方だと思ったけど頭がぼうっとして力が入らない
確かあれが頭に当たってからだ。銀色の丸い何か。確かに召喚したはずなのに誰も信じてくれなかった
まああれだけ探してもなかったんだから今更言ってもしょうがない。しかしあれはいったいどこに行ったのか

思い出せるのは自分を笑うクラスメイトの顔だけだ

視界に入るのは誰か自分以外の使い魔たち
猫にカラスに大きなヘビ。窓の外にはドラゴンまでいる
足元にサラマンダーが寄ってきた。横で赤い頭が何か言っていたけど耳に入らなかった。どうせいつものようにからかいに来たんだろう

生徒のいる寮の塔には戻りたくない
足の向かうままに歩き回っていると廊下の向こうにコルベール先生を見つけた
丁度角を曲がっていたところでこちらには気付いていない様だ
すぐに見えなくなったが何となく付いて行ってみる

禿げ上がった頭を眺めながら考える
どうして自分は魔法が使えないのか
貴族にとって一番重要なものが生まれた時から欠けていた
初めて魔法に失敗したのはいつのことだったか。それからずっと同じ事を繰り返してきたのだ。そして多分これからも
いやもしかしたらあの時成功していたかも知れない。なのにこの教師はまったく信じてくれなかった
でもどうせそれも自分が失敗ばかりしてるせいだろう。本当に何でこうなってしまったのか
いつの間にか外に出ていたらしい。コルベールは学院の片隅にある自称研究室に入ってしまった

こんな風にうじうじしているのは自分でも嫌だった。だけど何故か止める事ができない
ドアの前に立ちながらルイズはぼやけた頭でぐるぐる考える

どうせ誰も助けてはくれないのだ
学院を追い出されたらどうすればいいだろう。お父様やお母様はそれは怒るだろう。もしかしたらあきれてしまうかもしれない
魔法が使えない苦しみなんてわかりはしないのに。才能のある家族に囲まれて私がどんな思いでいたかなんて

ここにいるコルベールもそうだ。やさしい素振りをしていても魔法の使えない生徒に何一つしてくれない
自分が魔法を使えるからってこんな小屋で何の意味もないおもちゃをいじり回している


嫌になる
何もかも
魔法が使えない自分も
こんなところで落ち込んでいる自分も
口だけで助けてくれない教師も
私を笑ったクラスメイトも
私より小さいくせにドラゴンを召喚したあの子供も
いつも小馬鹿にしてくるツェルプストーも



どうせ

「どうせ明日も失敗するんだろうな…………………………


 ……………………………………………………………………………死にたくなってきた」




それは無意識に
射程内の数十名を確実に捉えた

そして長い夜が始まる

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