ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

ジョルノ+ポルナレフ-14

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匿名ユーザー

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あ、ありのまま今起こったことを話すぜ!

私は使い魔の品評会に出ることになった。
ネタは名付けてマジシャンズレッドに投げさせて会場の上空を自在に飛び回る回転飛行ガメ乙の舞だ。

好評だった。
自分でもびっくりするくらいの大好評。
生徒、教師、来賓客共が皆揃ってスタンディングオベーション(standing ovation)しているような扱いだったね。間違いない。

だがその後のトークで『王女様を見ることが出来て私は幸せです「どこが気に入ったんだー」色々と良いが特に胸が…ハッ』と野次に素直に答えてしまったのが不味かったらしい。
顔を微かに赤くして恥らう王女様には謝罪の意を込めた礼を、観客達にもちゃんとその後に冗談ですって言ったんだけどな…(勿論マジシャンズレッドでガードしたが)ルイズには踏まれるわエロナレフとまた呼ばれちまうわ回りの視線は(使い魔のものにいたるまで)生暖かいわで大変だったぜ。

しかも裏に引っ込んだ後も、ルイズは『マジにアンタ明日には亀鍋になる運命なのね』って冷たい目で俺を見下ろしてきやがる。
私のパフォーマンスでなんとも酷い仕打ちだ。

所詮トリスティンはまだコメディーが存在しない文化的後進国だと思うことにするしかあるまい。
そうでも思わんとせっかく見世物になってやったというのに切なすぎるからな。

そうやって私は文化の違いが生み出す決定的な価値観の違いに悩まされながらも、DIO退治の旅を乗り越えるなど精神的成長を何度も繰り返してきた30代としてめげることなく品評会の会場から離れていった。
ルイズはまだ私を罵っているがそんなものは聞き流してだ。私はそこまでマゾじゃあないんでな。
コイツの説教を全部聞くなんて、できるわけがない!

会場を離れながら、なんとなしに見上げた空ではタバサとかいう無愛想なガキのドラゴンが悠々飛ぶ姿が見えた。
タバサが一位だったらしい。さっきまで私に野次を飛ばしたりしていた会場からは拍手が聞こえてきてちょっぴり寂しいぜ。
私がいたことはもうやつらの記憶の中にはないだろう。思い出されることも、多分ない。
肉体を失ったせいか、それとも

フッと亀の中でニヒルな笑みを浮かべた私は、マジシャンズレッドの立つ地面が少し揺れているのに気がついた。

「聞いてるのカメナレフ! アンタ、こここんどという今度は反省しなさい!」
「ルイズ…なんかおかしくねぇか?」

マジシャンズレッドを操る事に思考を裂きながら、私はルイズに聞いた。
足を止めたルイズは最初嘘と決め付けたようだったが、ルイズが誤魔化すんじゃないッとか私に言ってくるより先に、宝物庫のある塔の方から大きな音が聞こえてきた。
口を開きかけていたルイズは面白くなさそうな表情をして亀を掴んだ。

「カメナレフ、説教は後にするわ。行くわよ」
「まだ言い足りないのかよ」

一言言われただけでうんざりしていた私に、ルイズはまるで私が変なことでも聞いたような表情で言う。
向かう先から吹き付ける風がルイズの髪をなびかせ、亀の天井から見える私の空をピンク色の帯で覆っていく。
時折隙間から見える青い空が、待っていく土のかけらまでもが印象的に見える風景だった。

「当然でしょ、あんた全然聞いてるようには見えないわ」

私のちょっとした楽しみに水を差すようなルイズの言葉。
そしてまた轟音が亀の中までも響かせていく。

「ゴ、ゴーレムだわっ!? 大きい…ッ30メイルはあるわねッ!」

また音がする。
巨大な何かが何かを打つような音だ。
動揺した声に返事を返さず、私はマジシャンズレッドを呼出してルイズの前面に展開する。
野郎が地面を揺らし、吹き付ける土交じりの風から身を守りながらマジシャンズレッドはそのゴーレムを確認した。

全長30メートルのゴーレム…遠目にも巨大であり、近づけば更に圧倒的な威圧感を持つそいつは塔へと攻撃していた。
ルイズと私の亀のことなどまるっきり無視して塔をまた殴りつける。
轟音と、地響きが私達を襲った。だが塔は無傷、魔法によるものかはわからんが恐ろしく頑丈に作られているらしい。
(この世界にはこの世界の単位というものがあるわけだがまどろっこしいし、こちらの方が分かりやすいので長さはメートル、重さはグラム単位で書かせてもらいます)

ルイズはこれくらいのゴーレムを見たことがあるのか案外冷静なようだが、私は動揺していた。
今の私のサイズからすれば30倍以上のでかさがあるんだからな。

スタンドの視界を使って見れなったら相手をするのは勘弁して欲しいと思っていただろう。
まぁスタンドの視界で見たって戦う気はあんまりしないが。

「ルイズッ、あの塔を襲ってるってことはお宝狙いかっ?」
「アンタ、ご主人様を呼び捨てなんて…「今はそんな「分かってるわよ! でしょうねッ! あんなゴーレムを作り出せるのは最低でもトライアングルクラスの実力を持つ土系のメイジよ」

風で舞った土が目に入らないよう腕をかざすルイズの怒鳴り声を聞きながら、マジシャンズレッドを風除けに立たせ続ける。
なんせ30メートルの巨体が動き続けるんだぜ?

拳を塔に叩きつける衝撃は結構なもんだし、何よりやつは土でできている。
塔を殴った衝撃が野郎の体から少し、また少しと土を落として、それが私達に降り注ぐんだ。
私はまた飛んできた土を被るのをマジシャンズレッドを使って防ぎながら、このゴーレムを作ったやつのことを考える。
魔法学院の宝物庫を狙うような盗賊。それも土のトライアングル以上…
私には一人心当たりがあった。

シエスタ…前ゲーシュに絡まれていた所を助けた脱ぐと凄いメイドから聞いたんだが、
貴族が大事に持っている秘宝、特に稀少なマジックアイテムを好んで狙う派手好きな盗賊がここトリスティンに出没しているらしい。
今まではアルビオン中心に活動していたが、アルビオンで戦争が始まり今はトリスティンを中心に活動していると思われる。

思われるってのは、つまり官憲はフーケを捕らえられていないし、どの程度の情報が入っているか私の耳には噂話でしか入ってこないからだ。
一応新聞みたいなのはあるらしいんだが、完全に政府の管轄だからホットな話題は噂話の方が正確な場合もあるって話だ。

「まさか「こんなことをするのは土くれのフーケねッ! 平民以下の盗人風情がッ!!」」

引っかかりを覚える見下ろした発言にルイズを見上げる。
わなわなと、怒りに震える杖をルイズは掲げていた。

コイツ、何をするつもりだ?
まさかと思ったが、その時にはもう遅かった。
ルイズは得意の魔法?『爆発』で横殴りを行った!

…守る対象であるはずの塔の壁へとだが。
30メートルのゴーレムが繰り出す拳を何度かぶち込んでも傷一つつかなかった塔の壁には、今は大きくひびが入っていた。
あともうちょっと押し込めば崩れそうな、そんな状態だ。私は舌打ちしてルイズを怒鳴りつける。

「ルイズッ、テメェには無理だ! 逃げるぜ!」
「…嫌よっ! 盗賊相手に背中を向けるなんて!」

貴族としての誇りか?
ルイズは塔を破壊したことは後悔してるようだが、キッパリ拒否してまた魔法を唱えようとする。

「あんなでかい的を外す程度の実力で何言ってやがる!」

流石にカッとなって、私は思わずそうはき捨てた。
杖も取り上げて、マジシャンズレッドでルイズを抱えて距離をとる。

「カメナレフッ!離してッ、ご主人様の命令よ!!」
「黙ってろッ」

怒鳴るルイズへ叫び返してその場から飛び退く。
鬱陶しそうにゴーレムが脚を動かし、草を含んだ土の波がルイズが立っていたあたりを覆った。
土煙が舞って、視界が塞がれて行く。
ルイズを離すとまたゴーレムに向かってくのが目に見えたんで、私はルイズを抱えたまま距離を取らせ、ゴーレムの動きとメイジを探した。

メイジはすぐに見つかった。
ゴーレムの肩の上辺りに漂う、深緑のローブで体を隠した奴が、多分フーケだ。
だがしかし…私はフーケを見て何か頭に引っかかるものを感じた。

「下ろせって…言ってるでしょ!」

至近距離で爆発が起きるッ。
奪っといた杖を引ったくり、ルイズの野郎!、私へ容赦なく魔法を使いやがったッ!
スタンドだからよかったものの、結構な衝撃だ。
マジシャンズレッドは衝撃を受けてルイズを離し、地面を転がっていく。
私も亀の中で2回転ほどしちまったぜ。
この間に攻撃をされたらかなりまずいことになっていたが、その心配はないようだ。
ゴーレムはひびの入った壁を殴りつけ、そこへフーケが入っていく。

それを見て血相を変えて走り出したルイズを、私はもう一度マジシャンズレッドで拘束した。
取り返されないように今度は杖を後ろに投げ捨てて、だ。

塔の中からフーケが出てくる。
目的のものは手に入ったらしく、笑みを浮かべた唇だけが見えた。

その時だった。上空30メートルだ…亀の居る地上5cmとかよりもずっと風が吹いてんだろう…
突風が吹いてローブが少し捲れた。

それは後から聞いた話じゃあタバサって奴のドラゴンが近くを飛んだかららしいんだが…ともかくちょっぴり捲れたんだ。

で、私の視界からなら脚が見えた。
スタンドの目も普通の人間よりはよかったんでな。

私にはバッチリ『ふともも』が見えた。

「あの太もも…まさか『マチルダお姉さん』!?」

じょ、冗談だと思うかも知れねぇ。
だ、だが間違いない…あの薄っぺらいルイズとかまだまだ修行が足りないキュルケなんてもんじゃねぇやわらかいムチムチ太ももはマチルダお姉さんだ!
間違いねぇ!

悠々と去っていくゴーレムとメイジを見送りながら、私は、『だがなぜだ?』と疑問で頭がいっぱいだった。
テファにお金を送ってくれている優しいお姉さんだったはずだが、まさか盗賊をして稼いでいたのか?
それとも…前にちらっと聞いた話。
ブリミルの子孫である王族がテファの母親、エルフと愛し合っていたというスキャンダルを消す為に国王はテファも殺そうとした。
それを庇ったテファの父親の部下が、マチルダお姉さんの父親に当たり、そしてマチルダお姉さんはそのことを恨んでいるらしい。
テファが、いつだったかジョルノに相談しているのを聞いた話ではそうなっていた。
その腹いせもこの行為には含まれているような気が、私にはした。
私は妹の無念を晴らす為、青春を修行に捧げたんで、そう思うだけかもしれないがな…

まぁそれは、今はいいさ。
今、私が…いや、ここはあえて俺と言わせてもらおう。
私はルイズをマジシャンズレッドに抱えさせたまま亀の中でポージングを行う。
レベル幾つかは私の気合から察してくれ。

俺が!
俺がやるべきことは一つ、そう…たった一つだけだ。

私の精神力が、高まっていく。
ポージングにより整う呼吸。
落ち着きを取り戻し、平常心に満ちた心はマジシャンズレッドの能力を高め、操作をより精密にしていく。
マジシャンズレッドの目が細められた。

このポルナレフは、所謂カメナレフというレッテルと貼られている…!
下種野郎なんでしめてやったギーシュは毎日ケティ嬢と仲がよさそうだし、胸が揺れすぎるんで思わず生唾ゴックンしながら胸革命を見るなんてのはしょっちゅうよ!!

だが…!
こんな私にも女性は胸だけじゃねぇって事くらいは分かる…ッ!

私の目がクワッと開かれた。
集中、大切なのはそれだ。

土くれのフーケだとおぉ! 
違うねッ、あの太ももはマチルダお姉さんさ!
その事は同士オスマンも、コッパゲール大使にもわからねぇ…だから、!

『この私が計るッ!(性的スカウターな意味で) 』

「…あんた、今なんか言った?」

ルイズから剣呑な声があがったような気がするが「は?」ととぼけて私は集中した。
ルイズの相手なんてしてる暇はねぇ、なんせもうマチルダお姉さんがどっかいっちまいそうだからな。

見えなくなる前にどうにか計り終えた私は心のHDに保存して、それからやっとゴーレムを追いかけていくタバサの竜の姿に気づいた。
学院の外へ逃げる30メートルのゴーレムを追う事は…まぁあれだ。できなくはない。
亀をマジシャンズレッドで投げまくれば可能だが、追う気はなかった。
マチルダお姉さんとはやりづらいし、ルイズが邪魔だ。
ルイズを連れてあのサイズの野郎を相手にするのは危険だからな…

まだ暴れるルイズのことを考えないようにしながら振り返ると、ようやく品評会会場の連中が騒ぎに気づいたようだ。
ぞろぞろと学院関係者や警備の連中も駆けつけてくるのが見える。

盗賊フーケの手による盗難事件はこうして幕を開けた。
私は当初、私がやることはもうおしまいだと考えていた。

学院の奴らにも面子ってもんがあるだろうから生徒に任せるなんてことはねーだろうなと思ってたんだ。
事後処理中に学院長室に呼ばれたのも、ルイズからその時の話を聞く為だけだってな。
だが、ルイズに説教をされたりしながら抱えられ、話をそれとなしに聞いていた私はそういうわけにもいかないことがわかってきた。

ルイズが大事に思っているらしいアンリエッタ王女。
国王亡き後は国の象徴的存在となり、多忙な日々を送っている彼女が品評会を観覧しに来たから、学院の警備を割かなければならなかった。
アンリエッタは、どういう関係かルイズのことを知っている風で、彼女の言い方では警備を割かせた自分にこそ責任があると考えているらしかった。
早急に王宮に報告しなければならない事を伝えて部屋を後にするアンリエッタを見て私の胸は痛んだ。
最悪、アンリエッタの責任問題になりかねない事位は私にも分かる。

国の象徴的存在って言葉と矛盾するかもしれないが、国民人気はそのままに、小娘には飾りで居てほしいってやつらもいるだろうからな。

それだけでも、ルイズは責任を感じてフーケを追う討伐隊に参加したがるだろうし、私もそれを手伝うだろう。
だが、私はルイズやアンリエッタ王女の事よりも一つの事が気に掛かった。

盗賊『土くれ』のフーケ。
彼女が盗んだ宝物庫に保管されていたモノの名は『破壊の円盤』。

…まさか、って感じだが、嫌な予感がするぜ。


ポルナレフが嫌な予感をおぼえ、フーケを追う決心をした頃、ジョルノ達はようやく学院付近へと迫ろうとしていた。
馬車の中は、相変わらずイザベラとテファが応酬を繰り広げていたが、ジョルノは少しそれを止めて小さいケースを二人に見せた。

「所で、こんなものを流行らせようかと思うんですがどう思います?」
「何だいこれは? こんなシンプルな指輪が流行るもんか」

小さい箱に入れた状態で差し出された指輪を見て、イザベラは鼻で笑った。
ジョルノが見せた指輪は、イザベラが言うとおり、いたってシンプルで飾り気などない。
イザベラが見た所純金製らしいが、それだけで貴族に売れるはずもないのだ。

「私も、そう思うけど…ジョナサンはどう売るつもりなの?」

テファも同じ意見だったが、ジョルノの事だから何か考えがあるのだろうと思い、そう尋ねた。
リングのサイズを少し見て、左手の薬指に嵌める。
ぴったり、ではなかったが、一番その指がテファの手にあっているように思えた。
ジョルノはそれを見て、微かに不思議そうな顔を見せて、言う。

「バーガンディ伯のような男性向けの商品です。結婚する男女の、そう、婚約とか、恋人同士の口約束とかの印、とでも宣伝して売ってみるつもりです」
「ふぅん…」

テファはもう一度手を翳して指を眺めた。
恋人同士の、ちょっとした、二人の気持ちを形にした物。
そう思うと、時折目に入るこれは悪くないように思えた。
控えめだから、余り邪魔でもないし…テファだからそう思うのかもしれない、とは考えず「それなら、いいかもしれないわ」とテファは言った。
イザベラはそう言われて、ジョルノがちょっぴりだが、相好を崩したように感じてテファの胸を掴んだ。
意味は特にない。あえて言うと、なんとなくムカついたからだ。案の定テファは嫌がって身を捩ったりするが…

「ほ、本物…」

やっぱり本物でイザベラもちょっぴり衝撃を受けた。
ジョルノはそれを見ずに、そういう方向でちょっと売り出させる指示を出していた。

「ねぇジョナサン、これ…よかったら、くれない?」
「特に高い物でもありませんし、構いませんが…」

手紙を鳥に持たせて、窓から投げようとしていたジョルノは、テファの質問にそう返す。
そしてちょっぴりショックを受けてから手を引っ込めたイザベラに言う。

「クリスもいりますか?」
「え?」

本物…と、ほうけた様に言っていたイザベラは顔を上げ、ジョルノが取り出したもう一つの指輪を見た。
こちらも金で出来ていたが、少しだけラインが入っているタイプだった。テファとは違うタイプの指輪を見ながら、イザベラは少し考えるようなそぶりを見せた。

「そ、そうだね。私も持ってるなんて、いい宣伝になるかもしれないからね!」

ご機嫌取りには引っかからない、とも言って、あくまで仕方なく、気が進まなさそうな態度でイザベラは受け取った。
気のないそぶりで、自分の横にケースを置くイザベラと、面白くなさそうなテファを見て、二人の見えない所で、ジョルノは微かに笑みを浮かべる。
砂糖を吐けそうな顔の馬が引く馬車は、少しずつ学院へと迫っていた。


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