ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

ジョジョとサイトの奇妙な冒険-2

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匿名ユーザー

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夜の天蓋が降りた。
ジョナサンと才人の二人はルイズについて行き彼女の部屋で説明を求めた。

「ふーん…じゃああんた達は別の世界の日本とイギリスってとこからきたってこと?」
「そうだよ」

話しは少し前に遡る。
お互い要領を得ない会話で話しが全く進まないため、困っていた才人は何の気なしに窓の外見て、驚愕した。
そこには爛々輝く月があった。

ただし二つ。

空に浮かぶ通常より遥かに大きな月、それも二つ。
月の大きさ程度なら日が沈まない、白夜というものがあるくらいだ。国によってはあるかもしれない。
しかし、どんな場所だろうと月は二つに増えたりしない。つまりここは地球ではなく、異世界だという結論に至った。
こうして滞っていた話はひとつの解を得て進み、現状に至る。
途中ジョナサンと才人の暮らしていた時代が19世紀と21世紀で2世紀違うことが判明したが、まあ異世界に呼ばれるくらいだしと才人が言ったことでさほど問題にならなかった。

「嘘でしょ?」
「マジだって」
「冗談でしょ?」
「だからマジだって」
「本当に?」
「本当にマジだって」
「信じられないわ」
「この現状は俺も信じられないけどマジだって」

しばらくうーんと唸って腕を組んで考えるルイズ。
ジョナサンと一緒にルイズになんとか納得させようと構える才人。
重苦しい空気の中、時計がチクタク針を進める音だけが響く。
ほんの数分のことなのにまるで何時間もたったような感覚にとらわれ始めたところでルイズが口を開いた。

「嘘でしょ?」
「マジだって」

以上をリピート四週したところでやっとルイズが観念して信じるといった。
全く痛い奴ら呼んじゃったわ、といった表情で半信半疑状態だったが。

「それで、僕らを元の世界に返してもらえないか?」
「無理よ」

一刀両断、アヌビス神もびっくりの切れ味だ。

「だってそっちの小さい方は私と契約しちゃったもの、一度契約したからもう動かせないわよ」

お前の方がチビだろ!と叫びたい衝動に駆られるもジョナサンに宥められてなんとか堪える。

「じゃ、じゃあジョナサンさんは?ジョナサンさんはお前とは契約してないんだろ?」

ハッと気づいたように言ってルイズに詰め寄る才人。

「ならせめてジョナサンさんは「それも無理」

言い切る前に切られた。チャリオッツも月までぶっ飛ぶこの速さ。

「なんでだよ!」
「だって召喚した使い魔を返す魔法なんて知らないもの。それにそっちの大きいのも別の世界から来たんでしょ?あんた達の世界とこの世界を繋ぐ魔法なんて聞いたことないもの」
「それじゃあ結局使い魔になってなくても帰れないんじゃないかよ!」
「騒がないでよ平民の分際で」
「なんだと!」
「それに私は契約したあんただけでなくそこのでかい方のめんどうも見ないといけないのよ。むしろ感謝して欲しいくらいよ」

そこでジョナサンは気づいた。
ルイズの言葉に、目に。

(このルイズという子、僕達を人として見ていない……!)

ルイズの瞳は冷ややかなものだった。
まるで養豚場の豚を見るような目……とまではいかないが、明らかに道具や動物を見るような目で見ている。
ジョナサンは元の世界では自分も貴族だった。
しかし、今は亡き父の教えでは貴族は誇り高くみな紳士淑女であるべきだと教えられた。
それは平民に対する態度でも同じだと。
(だがッ!この子はッ!自分より下の人間をッ!まるで道具のようにしか見ていないッ!)

「わかったよ…しばらく使い魔になってやる」
「『何なりとお申し付けくださいご主人様』でしょ?」
「……それで、使い魔って何するんだ?」

そしてルイズの使い魔講座で使い魔になることで与えられる能力や使い魔のする仕事の説明がされた。
主人の目となり耳となる能力は才人ではできないようだ、プライバシーを侵害されなくてよかったと思う才人。

「秘薬の材料探しもできない、主人を守ることは…そっちの大きい方は期待できそうだけど…あんたはそんなひょろい体じゃ無理ね…しょうがないから召使の仕事をさせてあげるわ」

完全に上から見た視線で言うルイズの言葉に歯を食いしばる才人。
その様子にふんと鼻を鳴らして、優越感に浸るルイズ。
才人はいい加減耐えかねて叫ぼうとしたところで

「いい加減にしたまえ!」

突然怒号が上がった。
目の前で突然怒号が発せられて飛び上がるルイズ。
怒号を発したのは大きい方―――――ジョナサンだった。

「君は彼をなんだと思っているんだ!突然呼び出し、衣食住をかたに服従を強制する!その上、侮辱した挙句『しょうがないから召使の仕事をさせてあげる』だと!?それではまるで奴隷だ!」
「な、ななななななな、へ、平民の分際で貴族にそんな口叩いていいと思っているの!?」
「そもそもそこだ!貴族は誇り高く、紳士淑女であるべきだ!君は人をまるで道具や動物のようにしか見ていない!君がやっているのは何も知らぬ人間を連れてきて無理矢理働かせる……暴君となんら変わらないッ!!僕はそんな人間を貴族だとは思わないッ!!」

ジョナサンは英国貴族で紳士だ。
父から受け継いだ誇り高い精神を持つ彼はルイズの言葉に我慢がならなかったのである。
ルイズは怒りと貴族ではないと言われたことに真赤になった、今にも爆発しそうだ。
そして何のためらいもなくその怒りを爆発させようとして。

「こ、この――――!」
「もういい!行こうサイト君!」

先に導火線を切られてしまった。

「え、え?で、でもどこに?」
「こんな大きなところだ、彼女の言う平民の使用人もいるだろう。そこに一晩泊めてもらおう」
「ちょ、ちょっと、何を勝手に――――――!」
「失礼するッ!!」
「ま、待ちな」

バタンッ!

慌てて呼びかけるもジョナサンと才人の二人は部屋を出て行ってしまった。

「な、なによあいつら――――――ッ!!!」

叫んだ後、ジョナサンの言ったとおり少々やり過ぎてしまったと後悔するルイズだが謝りに行くわけにもいかない。
むしゃくしゃする気持ちを枕に込めて自室の壁に叩きつけたら壁越しに隣人に怒られてしまった。
そうして使い魔召喚から一日目の夜は更けていった……


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