ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

ジョルノ+ポルナレフ-5

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匿名ユーザー

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あ、ありのまま今起こったことを話すぜ!

毎日が日曜日である私は、昨日も遅くまで亀の中で雷獣シュートの練習をしていたんでいつもどおり昼過ぎに起きた。
ちょっとばかし壁にボールの後がついていたがそれは気にしないでヘアースタイルをセットする。
半ばこの形に固定してしまっているようなものだが、私の髪も少しくらいは寝乱れてしまうからな。
櫛を通して鏡の前で左右から確認し、所々に修正を加えて私の自慢のヘアスタイルは完成する。

そしてジョルノが入れておいてくれた朝飯を食べてたっぷりシエスタした後に亀から顔を出した。
すると何故か女性の黒い下着が目の前に広がっていた。
…亀が女性の足元にいたらしい。
何か髪が重い感じがするんで見上げてみると、髪の毛がひっかかって女性のスカートを押し上げていた。

……えーっと?
リアクションに困った私はそのまま亀の中に戻った。
あ、ありのままに話したぜ…
………
な、何を言ってるかわからねぇだろうが私にも一瞬何が起きたのか分からなかった!
わざとだとか孔明の罠だとかそんなちゃちなもんじゃねー運命のいたずらを味わったぜっ!

「言いたい事はそれだけですかエロナレフさん」
声に振り向くとそこにはジョルノがやれやれって顔をしながら立っていた。
その表情からするに、私はいつの間にか声にだして言っちまってたみたいだな。
妙に冷静に私は考えていた。
何故って?
ジョルノが発している雰囲気が…これは、何か、ヤバイっ!?って感じさせるからだ。

「逃げろーっ!」

狭い亀の中を逃げてみた私は一瞬の後壁に激突して気絶した。
思考と体の動きがまるで一致しなかった…薄れていく意識の中、ジョルノの声を聞いた気がする。

「既に。ゴールドエクスペリエンスであんたに生命エネルギーを与えた。どうやら、魂だけの人間に生命エネルギーを与えても加速するようだな」

気絶した私を見下ろしながらジョルノがそんなことをいっていたような気がする。

………気がついた私はソファ出寝そべっていた。
余っているソファではジョルノが本を読みながら何かを図面などを書いていた。
どうやらジョルノの奴が運んでくれたらしいと私は察した。
だがジョルノのせいでそーなった気もするんで、私の第一声はこれだった。

「で、あの麗しい太ももが例のお姉さんなのか?」
「…ええ」

ジョルノは気がついてから最初にした質問がそんなことだったからか、どうもいつも冷たいジョルノの視線が更に冷たい気がするぜ。
コイツは根に持つタイプだから気をつけないとな。まぁ今はそれより気になる事がある。
私は寝かせられていたソファから起き上がり、座りなおした。
ジョルノとは机を挟み、向かい合う形になる。

「帰る手段はありそうか?」
「いいえ。ですが、面白い話を聞きました」
そう言って余り肩を落とした風も無く、ジョルノは机の上に一枚のケースを置いた。
私もそんなにがっかりしてないからわかるんだが、それはそう簡単に…ちょっとマチルダお姉さんに効いてみた位で帰れるとは思っていなかったからだろう。
だから余りがっかりしてないし、落ち着いて次の行動に移れる。
私はジョルノが取り出したケースに入っている物をしげしげと見つめた。
大して珍しい物でもない。普通のCDに見える。
それが私の感想だったが、ジョルノはマジな顔で言った台詞に、このCDの価値は激変した。

「マチルダさんの荷物に入っていたのを頂きました。ちょっと聞いてみたんですが、コレも召喚された物だそうです」

本当ならそれだけでも驚くべき事だ。
私達にこれ、他にも召喚されたものがあるだろうって風に考えられるってことだからな。
この世界は科学技術なんて発達してないから機械類はゴミ以下なんだろうが、それでも召喚されたものとなると大切に保管されてるかもしれねぇ。
保管されていなくても、変なものが召喚された話とかその残骸は残ってるかもしれない。
もしそうなら、そんな召喚された物を探せば、何か帰る手がかりくらいは掴めるかも知れないと私は考えた。

だが、ここまでで十分驚いていた私だったが、ジョルノは私を更に驚かせるような情報を得ていた。
ジョルノは驚いている私の目の前でケースからCDを取り出し、なんと頭に突っ込んだ!
目を見開く私の前で、CDはズブズブと音を立ててジョルノの頭にめり込んでいく。
そして、ジョルノはマジシャンズレッドを…昔、私を助けて死んでしまった男のスタンドを出して見せた。

「じょ、ジョルノ、それは一体…!?」
「僕にもよくわかりませんが…こういう物らしいです。マチルダさん達は頭にさすと吹っ飛ばされるマジックアイテムくらいに考えていたようですが。
使う才能があればこれを頭に差すことでディスクに記録されたスタンドを使用できるようです」

そう説明したジョルノはマジシャンズレッドに目を奪われる私に怪訝そうな顔をした。
表情の変化に気付いた私も我に返り、机に身を乗り出してジョルノに迫った。
思いっきり近づいたジョルノの表情は何の変化もねぇ。結構慣れた様子だった。

「…ジョルノ。すまないがそれは、私にくれないか?」
「ポルナレフさん、まさかって感じですが。このスタンドの事を知ってるんですか?」
「ああ、それは…」

説明しようとした私の頭にマジシャンズレッドのディスクが突き刺さる。
…弾き飛ばされるかとも一瞬思ったが、ディスクはそのまま私の頭に入りきった。
それに気を取られていた私の心の隙間にスッと入り込んでくるようなジョルノの声が聞こえてくる。

「いいですよ。それがあれば僕の手を借りなくても自由に行動できますしね」
「あ、ああ」

言うとジョルノは立ち上がり、自信に満ちたゆっくりとした足取りで外へと出て行く。
マジシャンズレッドを見る私の表情から、何か察したのかもしれない。
あれで時々勘が鋭い時がある野郎だから不思議な事じゃない…私はチッチッとアブドゥルを真似たポーズを取る。

「アブドゥル。またお前に助けてもらう事になるなんて思っても見なかったぜ」

そう言って笑みを浮かべる私の背後に鳥頭の半裸魔人が立っていた。
スタンド使いにしか分からない炎の熱さが、どうにも懐かしいぜ。

「マジシャンズレッド!」

私の指示に従い、マジシャンズレッドは意外に俊敏な動きで亀から飛び出していく。スタンドの視界で状況を確認!
ガキどもや先ほど失礼を働いてしまった綺麗なお姉さんがいる。
スタンドが見えるかどうか、まずは確認しておこう。

踊れっマジシャンズレッド…!

私の指示でマジシャンズレッドが彼らの隣でフレンチカンカンを披露する…勿論、素無視された。
………天国のアブドゥルが泣きそうな気がしたので遊ぶのはこれくらいにするか。ジョルノの視線もかなり冷たいしな。
私はマジシャンズレッドに亀を持たせ、外へと運ばせる事にした。
行動は気づかれぬうちに行うはずだったが、素早く動き出した亀に気付いたガキが一人。
突然加速した亀に驚きながらも追いかけてくる。
チッガキにやるキャラメルとかはない事もないが、味を占めちまうからな。
私はマジシャンズレッドに全力でこの場から離脱するよう命じる…暫く追い掛け回される羽目になっちまったが、亀だけとはいえやっぱり自由に動けるってのはいいぜ。
一人で森の散策だってできるんだからな。マジシャンズレッドに亀を小脇に抱えなおさせ、私はもっと更に全力疾走させた。
少しずつだが、こいつの扱いになれていく感じがするぜ。
そうやって気を抜いちまっていたからだろう。


私は何かにぶつかった。

「おっとすまねぇ」

余所見をしてたわけじゃないが、嬉しさの余り周りに気がいってなかったのも確かだ。
私は謝りこれもマジシャンズレッドの口でそう言いながら見上げると、頭一つ分以上上に醜悪な顔があった。
…これが、ジョルノが言ってたオークって奴か?

この世界には亜人とか怪物って呼ばれてる奴らがいる。
種類によって知能とかが違うが、そいつらは生身の人間じゃとても勝てない。魔法とか道具とか、頭を使わないとな。
そいつらを完全に排除する事ができないんで畑とかが広げにくいそうだ。

ばったり会っちまったオーク鬼は、十近い。
そいつらは私と同じように大いに驚いていた。
亀が宙に浮かんでいるのを見るのは初めてだったようだし、我に返っても人間のメイジの仕業と疑って周囲を警戒しだしたようだ。。
私もその間に我に返っていた。驚かされたが私の戦闘者としての経験はまだまださび付いてはいない。
軽くマジシャンズレッドの炎で火あぶりの刑に処す。

アブドゥル。確か、こんな感じだったか?
「ムゥンッ、赤い荒縄(レッド・バインド)!」

ポージングと共にマジシャンズレッドから炎が放たれる…!
蛇のようにうねる炎の縄が伸びオークを捕らえていく。
体を焼く拘束具を引きちぎろうと暴れるオーク達へ、少しずつ扱いに慣れる私は更に幾重にも縄をかけていく。
これがアブドゥルなら、既に炎の熱でオークの体を墨に変えちまったのかもしれねぇ。
今の私の限界は、体を拘束し首を締めながらゆっくりとこいつらをミディアムにしてやる程度だった。


「で、軽くボヤになりかけたと言うわけですか」
「…ああ」

散歩から帰った私は亀の中で正座していた。
ジョルノが何時に無く悩ましい表情で私を見下ろしている。
確かにちょーっとばかしマジシャンズレッドで調子に乗っちまったせいで危うく森火事になりかけた。
だが、あのよ。
その…目、怖いぜ?

「今日からポルナレフさんには風呂の用意を手伝ってもらう予定でした。こっちに来てから入浴できませんでしたからね」
「あ、ああ。マジシャンズレッドの炎なら湯を沸かすくらい簡単だぜ」

なんとなく機嫌が悪そうなジョルノの申し出に私はマジシャンズレッドを出して炎を吹かせる。
我が友アブドゥルが得意とした蛇の炎。一瞬で水くらい沸騰させてやるぜ。
名誉を挽回しようと意気込む私だったが、ジョルノは冷めた表情のまま言う。

「そうですね。暫くは湯を沸かしたり料理の手伝いとか以外には使っちゃダメですよ」
「何ぃっ!?」

それはあんまりだ。
私は不服を述べようと思ったが、「何か?」と言うジョルノの顔がギャングっぽかったので止めておくことにした。
あ、明日言うっていう考えもあるよな。

ジョルノはコップに入れた水をテーブルの上に乗せる。
暖めて見せろってことか?
そういう意味だと取った私はマジシャンズレッドを呼び出し湯を沸かそうとした。
だがしかし、マジシャンズレッドの炎は一瞬で水を熱い水蒸気に変えて亀の中に煙を作り出す…勿論木でできたコップも丸焼けだぜ!
誤魔化すように私は明後日の方向を見る。あぁ、マジシャンズレッドの表情まで冷たく見えるぜ。
「…フッ、少し強すぎたようだな」
「練習しておいてくださいね」
「…任せておけ」


私にはそう言うしかなかった。
ジョルノは軽くため息をついて外へ出て行く。
暫く私は言われた通りに素直にマジシャンズレッドを扱う練習をしていた。
だがその時、微かにコオオオッと言う音が聞こえた気がして、私は外へ視線を向けた。
奇妙な音だ。呼吸音にも聞こえるが…おおっ!
私は思わず感嘆の声を上げた。
先ほどの音は、外にいるジョルノの口から発せられており!
その手には逆さまの水の入ったコップが握られている!

「フフン、やはりツンデレだったか。それが波紋だジョルノ!」

ジョルノは興奮した私に少し浮かない顔を見せた。
私は不思議がった。逆さにしても零れない水は、波紋を習得したという証拠だ。
なのに、なんで浮かない顔をしてやがるんだ?
尋ねようとした私に、ジョルノは自分から説明を始めた。

「これくらいは昔から出来ましたからね」

あん?
ジョルノの発現に唖然とする私から視線を外し、ジョルノは不服そうに、しかし真剣な顔でコップの中に光る指先を突っ込む。
波紋で水が更に固定され、ジョルノの逆の手がコップを持ち上げていく…しかし水は零れない。

「見せてくれるじゃねぇか!」

ブラヴォーという私に、ジョルノは冷やかな視線を向けてくる。
私はそれを不満に思った。

「おいおいなんだその顔は。それが出来りゃあ結構スゲーはずだぜ!」
「僕のママンは、これが育児放棄の原因だと言ってましてね」
「はぁ?」
視線だけじゃねぇ。冷やかな笑みが、ジョルノの顔に広がっていた。
「時々お湯に沈まないベイビーが怖かったとか、寮に入る前そんなような事を言っていましたよ。かなりのビッチでしたから本当かどうか怪しいものですけどね」
「そ、そうか…」

なんと言っていいかわからなかった私は、どうにかそう相槌を打つ。

「それを聞いた僕は、呼吸の仕方を完全に変えてみました。すると、髪がすっかり金色になったんですよ」

私はジョルノの見事な金髪を見上げながら尋ねた。
ジョルノは、冷やかさはなりを潜めた、普段どおりの爽やかな笑みを見せながら頷いた。

「昔、僕の髪は真っ黒でしたよ。まぁそんなことは今の色が気に入ったんで、すっかり忘れちまってたんですけどね」

波紋により固定された水が、完全にコップから離れ…だが完全に離れた瞬間!
水は形を維持する事ができずに爆発してジョルノの手をびしょ濡れにした。

「この通り僕の波紋は集中が甘いみたいです。ポルナレフさん、その爺さんの話。後で聞かせてもらえますか?」
「お、おう。任せな…あーっと、何から話せばいいだろうな」
私は頭をかきながら、今夜話すジョセフ爺さんの若い頃のエピソードを思い出していった。

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