ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

『鉄塔』の使い魔-1

最終更新:

familiar_spirit

- view
だれでも歓迎! 編集
トリスティン魔法学園、春の使い魔召還。
それはこの学園に通う生徒にとってもっとも重要な行事。
皆が思い思いの使い魔を召還し、あるものは歓喜し、あるものはがっくりとうなだれた。
それはもちろん彼女、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールも同じであった。

彼女が使い魔召還のための呪文を詠唱を終えると
まばゆい光が辺りを包んだ。
そして

ドオン!


「うわ! ゼロのルイズがまたやったぞ!」

「建物が崩れるぞ、逃げろー!」

地震のような地鳴りと巨大な爆音。
いつもの彼女の失敗にしては少々大きすぎる爆発。
辺りを覆う煙が晴れると、そこには


「・・・・・・・・・なによ、コレ」

巨大な『鉄塔』がそこにはそびえ立っていた。


それは高さ20mくらいはあろうか。
塔とは言うものの床がなく、側面に鉄の棒が繋がっていてかろうじて塔と分かるだけだ。
そう、ちょうど塔に骨があるとするのなら、こんな感じなのだろう。

「ぶ・・ふふ・・・あーっはははは、さすがね、ルイズ・・・まさか生き物以外を召還しちゃうなんて」

キュルケの笑い声が引き金となりほかの生徒もどっと笑い出す。

「ぶははははは、塔ってなんだよ! どういう使い魔だよ!」
「これなら失敗のほうがよかったんじゃねーの?」
「違いねえ」

わはははははは、と生徒は笑う。
本来誇り高き貴族たるルイズは侮辱に怒りを露にするはずだが、

「あ・・・あはははは」

もはや笑うしかなかった。いくら自分に才能がないとしてもコレはあんまりだ。
みなの言うとおり失敗して爆発のほうがまだ救いがあっただろう。

「あー、コホン、ミス・ヴァリエール」
「・・・ミスタ・コルベール、もう一度召還の機会を与えていただけますか?」
「それはダメだ、ミス・ヴァリエール。使い魔召還は今後の属性を固定しそれにより・・・」
「お言葉ですが、ミスタ・コルベール」

「これと『どう』契約しろというのですか?」

契約は使い魔との口付けでなるのは周知の通りだ。
だが『こいつ』には口はない。
あまつさえ顔もない。
それ以前に生き物ですらない。

「ううむ・・・確かに。春の使い魔召還の儀式はあらゆるルールに優先する・・・と言っても限度があるな。
 さすがに契約できないものを使い魔とすることはできない。やむ終えません。今回の件は特例として
 オールドオスマンと協議の上再度仕切りなおしと致しましょう」
「ありがとうごさいます! ミスタ・コルベール」
「やめといたほうがいいんじゃない? 今度召還したら風車が出てくるとかいやよ」
「うるさい、キュルケ!」

いつもの通りの嫌味に腹を立て鉄塔の外に出ようとしたとき、ルイズの体に異変が起きる。

バキバキバキ

「! ルイズ、あんたそれ!」

「へ?」

見ると鉄塔の外に出ている右手と左足が『鉄』に変わっていた。

「きゃああああああああ」

あわてて手と引っ込めると拍子に転んで鉄塔の中に戻る。
手と足は元に戻っていた。

「なによこれ・・・」
「ややや、コレは・・・!」

コルベールが鉄塔に腕を出し入れする。しかし今度は何も起きなかった。

「・・・・・・」

バキバキバキ
ルイズが手を出そうとする再び鉄に変わった。
あわてて手を引っ込める。

「・・・信じられないが、どうやらこの鉄塔から出ようとした人間は『錬金』されてしまうようですね」
「そんな! 人間が錬金されるなんて聞いたことありません」
「そうですね、ミス・ヴァリエール。私も聞いたことがありません。建物を使い魔として召還すると言うことも含めてね」

うぐ、とルイズは痛いところを突かれる。

「とにかく、すぐオールドオスマンと相談してまいりますので、本日は皆さんこれで解散。
 ミス・ヴァリエールはそのまま残っておくように」

言われなくてもどこかにいけるわけがない。
いったいなんだと言うのだこの使い魔は。
使い魔は主人に有益なものをもたらすのが普通なのに、有益どころかもたらすのは不利益ばかり。
いや、そもそも契約もしてないし使い魔かどうかすら怪しいのだが。

「一体・・・なんだってのよ・・・」

どっと吹き出てきた疲れに身を任せ、ルイズは鉄塔の中で倒れこんだ。

コレが彼女と鉄塔、「スーパーフライ」の出会いであった。


タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

記事メニュー
目安箱バナー