ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

ゼロの兄貴-8

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匿名ユーザー

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トリステイン魔法学院本塔最上階学院長室
そこにどこからどう見ても仙人としか言いようの無い老人が椅子に座っていた。
動きは無い、ボケているようにも見えるが、まぁただ単に暇なだけだ。
微妙に震えている気がするが多分ボケてはいないッ!

「学院長、き、緊急事態です!」
そこに飛び込んできたのは見事なU字禿を持つコルベール。
「………………」
返事が無い
(遂にボケたかッ!?)と本気で心配になる。
「……はッ!何か用かの?」
(とうとうか…)
だが、緊急事態の内容を思い出しオスマンのボケの可能性の心配を消し飛ばす。

「ヴェストリの広場で、決闘を始めた生徒が…」
その言葉をオスマンが遮る。
「貴族というのは暇な生き物が多いようだのぉ。で~誰と誰がやらかしとるんだね?」
正直「ま た 決 闘 か !」という反応である。
「一人はギーシュ・ド・グラモン。相手はメイジではなく、ミス・ヴァリエールの使い魔の平民ですが…」
「いかんのぉそれは…メイジと平民では勝負にならんではないか、止めてきなさい」
だが次のコルベールから発せられた言葉はオスマンを驚嘆させるに十分であった。

「それがその…もう決闘は終わったようなんですが…」
「なんじゃ、それを早く言わんかね」
「いえ…その…実は……『死者』が出まして…」
「何じゃとぉぉおおおお!!」
その報告にオスマンがブッ飛んだように立ち上がる。無理も無い、メイジと平民の決闘などメイジが勝つに決まっている。
だから、オスマン自身も必然的に死んだ方は平民の使い魔と判断した。

「まったく…ミス・ヴァリエールも変り種とは言え使い魔の召喚に成功したというのに…」
「違います、死者は……ミスタ・グラモンの方でして…」

『オスマンも月まで吹っ飛ぶこの衝撃!』
本日最大級のオスマンの叫びが轟いた。

「なんとしたことじゃ…」
今までメイジと平民が決闘をしたとういう事すら前例が無いというのに
平民がメイジに勝った挙句それを殺したという異常事態に生きる魔法辞書オスマンも精神的動揺を隠せない。
「それで、どうやってその平民の使い魔がメイジに勝ったんじゃ」
「決闘の原因は分かりませんが…それを見ていた生徒達の話によると
   見えない何かがミスタ・グラモンの首を掴み中空に持ち上げた瞬間…信じられないかもしれませんが『老化』させたというのです」
「なんと…その使い魔はメイジではないのじゃろう?」
「杖など持っていませんし…それに老化させる魔法など聞いた事もありません」
「ふむ…召喚した時とか何か妙な事は無かったかの?」
「…実は、ミス・ヴァリエールが使い魔の儀式を終えた後
    その使い魔が何かを叫んだと思ったら私が急に倒れてしまって…」
その瞬間オスマンの目がカッと開かれ叫んだ
「なぜそれを早く言わぁーーーーーーん!!」
「気が付いた時は特に異常は無かったものですから…」
だがオスマンは奇妙な違和感に気付く。
「ミスタ・コルベール…髪……いや何でもないぞい…」
視線をコルベールから反らし唯でさえ少なかった毛髪がさらに減少している事に目を押さえ泣く。

「じゃが、どうしたもんかのぉ…」
平民がメイジを殺す、普通の状況なら即刻死刑というとこであるが、決闘という場合は前例が無い。故に対処が分からない。
「…ともかく話だけでも聞いておかねばならんようじゃな
    その使い魔とやらを呼んできてくれんか。それとミス・ヴァリエールもじゃぞ」
「ミス・ヴァリエールは決闘の最中に気を失ってしまい医務室で治療中です」
「なら無理に呼ぶわけにもいかんようじゃの…ともかくその使い魔だけでも来るように伝えておいてくれんか」


暗い闇の中でワルキューレに囲まれたあいつが居た。
自分はそれを止めようとして必死にそこに向け走る。でも距離が縮まらない。
ワルキューレが武器を構え動きだし叫ぼうとする。でも声が出ない。
それぞれの武器が振り下ろされるのを見た。その光景に思わず目を閉じた。

しばらくして目を開ける、ワルキューレ達はどこにも居ない。
でも、私の足元にあいつがボロ雑巾のようになって倒れていた。

決闘をすると知っていても何もできなかった。何もできなかった自分に無性に腹が立って泣きたくなった。
自分が殺したようなものだ。そう思った。
だけど、自分の手に杖が握られているのに気付く。
勇気を出して恐る恐るあいつの体を見る。
あいつの体はワルキューレの持っていた武器で傷つけられたものじゃなかった。

これは、爆発を受けた傷だった。さっきまでワルキューレに囲まれていたはずなのにそれが不思議に思えた。
杖を手に持っていてあいつが爆発を受けて倒れている。そう思った瞬間何かが繋がった。

まさかと思った。あいつを助けようとして自分の魔法が失敗したせいで殺したんじゃないかと。
必死になってそれを否定する。でも状況がそれを肯定していた。

自分の頭の中で様々な声が聞こえる。だけど聞こえる内容は一つだけだった。
『お前が『ゼロ』のせいであいつを殺した』―と

蹲り耳を押さえそれを否定する。けれど頭の中の声は消えなかった。
泣きそうになるのを必死になって耐えた。でも無理だった。

――――そして泣きに泣いてる最中急に意識が遠くなった。

目を開けると医務室の天井が見えた。
(…………夢?)

周りを見る。キュルケとその親友のタバサがそこに居た。
「やっと起きたの?寝ながら泣いてたわよ貴方」
そういえばさっきから少し目が痛い。
「私…どのぐらいここに?」
「丸一日」
状況が今一掴めない。何故自分がここに居るのかという事も。
夢の内容を思い出そうとして肝心の事に気付く。
「そうだ…決闘!一体どうなったの?」
そう聞くと、キュルケが何か言いにくそうに答え始めた。
「落ち着いて聞きなさいルイズ。あまり言いたくないんだけど…」
だがタバサが途中から口を挟む
「死亡確認」

『ザ・ワールド!』
そんな声と共に何も考えれなくなった。
さっき見た夢の内容と現実との状況が重なる。
また意識が遠のくけどギリギリのとこで踏みとどまる。

気が付けば医務室を飛び出し自分の部屋に走り出していた。

部屋に飛び込み視点が一点に集中する。
ベッドの上にあいつの服が洗濯され置いてあった。
その瞬間あいつを自分が殺したという実感が沸いてきて―また泣いた。
ベッドに倒れ込み服の上で泣く。

だがそこに後ろから声が掛かる
「…人の服の上で何やってんだオメーは?」
泣き顔のまま後ろを振り向き…一瞬にして涙が止まる。
そこには教員の服を着たプロシュートが居たッ!
「………何時から見てたの?」
「部屋に入ってくるなりいきなり泣きはじめたとこからだ。つーかシワになるからどけ」
「…この服と今着てる服は一体何よ?」
「こっちに来てからそればかりなんでな
   ついでに洗濯したとこだ。この服は乾くまでの代わりだ。」
スーツを着るプロシュートを尻目にルイズが無言で部屋を出る。

そして部屋に来る時以上の速度で医務室に走り出し、ドアを勢いよく開ける。
「急に飛び出してどこ行ってたのよ」
キュルケが半ば呆れ気味に言い放つ。だが当のルイズはそれを無視しタバサに詰め寄る。
「謀ったわねタバサ!何が『死亡確認』よ!
   生きてるじゃない!思いっきり生きてるじゃない!!何?何か私に恨みでもあった!?」
もうキュルケの髪より顔を赤くしたルイズに詰め寄られるタバサだったが何事も無かったかのように一言だけ言い返す。
「最後まで話聞かないのが悪い」
「うぐ……じゃあ何で『死亡確認』なのよ」
「だから、ほら…ギーシュがね」

『スタープラチナ・ザ・ワールド!』
またそんな声が聞こえた気がして思考が止まる。
「えぇーーーーーーーーーーーー!?」
だが、今度は気付けば思いっきり叫んでいた。

←To be continued

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