ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

第3章 伝説は蘇り、歴史は繰り返す ③

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第3章 ③


「腹… 減ったぁ…」

教室の後片付けを終えたスクアーロは心底疲れていた。
まともな食事もせずに、重労働をやってのけたのだ。
散らばった石くれを集めるまでは良かったのだが……。
教室から外へ、石くれを捨てに行くまでが大変だった。
デカイ作業用一輪車一杯のそれは―――

(『1ポルポ』ぐらいあったんじゃないかな?) *『1ポルポ』=ポルポ一人分の重さ。JOJO単位。(勿論、非公式)

……とにかく重かった。

「つ か れ た ー」
やっとの事で辿り着いた厨房の入り口。
しばしの休息を得るため、その場に座り込む。
厨房では絶え間なく、調理や配膳作業などの音と料理人とメイドたちの声が聞こえる。
どうやら、一番忙しい時間は過ぎたようだ。 笑い声が時折混じる。
この時間帯なら、オレの話も聞いてくれるだろう。 良し行くか!

……立てない。 かなり足腰にキテるようだ。 肉体”労働”は久しぶりだからなー…。
壁を背に、胡坐(あぐら)のような形で座っている男に、メイドの一人が駆け寄る。
「いかがなされました? 大丈夫ですか?」
今朝わざわざ自分に話しかけてくれたメイドがいた。 黒髪の女の子。
顔を覗こうと、屈む仕草がなんとも…… ”ベネ”!
「……カワイイ黒髪の天使が助けに来てくれるのを待ってました…」
「? 黒髪の天使…… 黒髪… あ!」
初めは意味が分からなかったようだ。
自分の髪を弄ってみて、自分が天使と呼ばれている事に気付くメイド。
「そそ、そんな! 私がですか!?」
やたらと大げさな反応を示す。 急に落ち着きを無くし、そわそわしだす。
まるで千手観音の如く、手を動かし始めた。
「わ、私がカワイイッ!?」
髪を撫でたり、整えたり。 辺りをキョロキョロと見たり。
「ちゃんとした(?)男の人から言われるなんてッ!!」
メイド服を握ったり、離したり。 黒い瞳をパチパチと、閉じたり開いたり。
「くぁwせdrftgyふじこ……!」
…とにかく忙(せわ)しなく動かしている。 顔も真っ赤だ。
相当テンパッているらしい。 
「……(初心だねぇ~)」
いつもならば、この機を逃さず畳み掛けるのだが、今は食欲を満たしたい。 
……命に係わる。
「あの… 話いいかな?」
「ハイ? あ! ご、ごめんなさい!
 私、カワイイなんて言われたこと無くて! つい、浮かれてしまって…」
「周りのヤツ等に見る目が無いのさ… ……ところで、何か食べるものない?」
「? ……使い魔さん、お腹すいてるんですか?」

「”buono”! ”buono”ッ! ”buono”ッッ!!」   buono(伊:おいしい)
「賄い料理で申し訳ありませんが…」
「いや、十分美味いよ!」
こっちに来て以来、初めての”料理”である。
味付けは元の世界となんら変わりなく、そして美味しく感じられた。
(本当に良かったぜ… 不味い食事は、身体にも精神にも良くないからな~)
味わいながらも、勢い良く食べてゆくスクアーロ。
鮫、まっしぐら! (食欲的な意味で)
シエスタは、ニコニコしながらそんなスクアーロを見ている。
ちょっと離れた所に、2~3人のメイドがちらちらとこちらを見ている。
今朝、鮫が『ご挨拶』をしたメイド(の一部)の娘達だった。 
『シエスタったら、何時の間に… 恐ろしい子!』 …と言ったとか言わないとか。

「お口に合って、良かったです! スクアーロさんが宜しければ、いつでもどうぞ♪」
「”グラッツェ”! シエスタさん!」
それを聞いていた他のメイドや料理人たちは、(おいおい…)と内心思っていたが、シエスタは気にしない。
「構いませんよ? それと私のことは”シエスタ”と呼んで下さい」
「そうかい? じゃあオレのこともスクアーロで構わないよ?」
「それはできません! 恐れ多くも貴族の使い魔さんを呼び捨てになんてできません!」
「おいおい… オレは貴族でも何でもないぜ?」
「でも… ミス・ヴァリエールの使い魔さんなんでしょう? スクアーロさんは。」
「そうだけど…(やっぱり、階級意識は相当ツエーな?…)」
「だから呼び捨てなんて… 大体、今こうしていること自体が大変なんですよ?」
「食事をしているだけじゃないか。 そこまで”貴族”が怖いのかい?」
「怖いというか… 逆らえませんよ… 平民は。 貴族には到底敵わないですから……」
「……(こりゃあ、階級意識ってレベルじゃないな…)」

なんらかの”理由”がありそうだが……

「で、でもスクアーロさんのこと、怖いとか近づきにくいとか思ってません!
 とても優しい感じで… それに… カ、カワイイって褒めてくれたし!」
さっきのことを思い出し、頬を染めながらも、はっきりと主張してくるシエスタ。
(…こりゃあ、意外と”押し”の強い子かも知れないな… 覚えておこう…)
「え、え~と… その… あ! 御代わりいかがですか!? まだ沢山ありますから!」
その一言で、ギロリと音が聞こえてきそうなほど、スクアーロに視線が集中した。
今厨房にいる者(朝『ご挨拶』したメイド以外)からの、牽制であった。
「…それはありがとう。 …でも、十分堪能したよ。とても美味かった。 本当に助かったよ」
食欲が満たされたのも確かだが、他の厨房関係者の視線が痛い。
ここ(厨房)では、できるだけ味方を沢山作りたい。
きっと、飯抜きはこの後何度も訪れるであろう……。 実際、一週間は飯抜きなのだから。
「い、いえ、こちらこそ大したお構いもできなくて…。
 何か御用がありましたら、気軽におっしゃって下さいね?
 …私……スクアーロさんの『お願い』なら、特別張り切っちゃいますから!」
「”グラッツェ”! …そうだな。 じゃ、早速『お願い』を…」
「ハイッ! 何でしょうか!?」

「俺とお茶しない?」

その頃、食堂内では――― 
 ルイズ「”誘っとる場合かーッ”!!」
 男子C「わッッ! ……急に何を言い出すんだ!? ルイズ!」
 ルイズ「え? …な、何故か叫ばずにはいられなかったのよ…」
 男子C、D「「?」」
 ルイズ「何か良からぬ出来事が繰り広げらているカンジ… 女の勘ってやつね!」
 男子D「?? とうとう壊れたか… ゼロのルイズ……」

男子Dが”ゼロ”を口にした時、すでに詠唱は終わっていた……。
……男子Dは風になった……。

死んではいないよ? 風になっただけだよ? 千のかz(ゲフン ゲフン  

ルイズ「”侮辱”には! ”報い”をッ! 」
 W R Y Y Y Y Y Y ! 
……”優しい”ルイズは何処へ―――

――数分後、そこには元気に走り回る男子Dの姿が!
男子D「もうルイズに”ゼロ”なんて言わないよ……」



「The Story of the "Clash and Zero"」

第3章 伝説は蘇り、歴史は繰り返す ③ 終了


To Be Continued ==>

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