ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

slave sleep~使い魔が来る-4

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匿名ユーザー

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『青銅』のギーシュ①


「ボーノ。」
「え?」
ブチャラティはシチューを口にしてふとそう言った。
「ボーノ(うまい)って言ったんだ。うん。文句なしだ。君、料理うまいんだね。」
久々にまともな食事をしたのもあるが、ブチャラティは心からそう言った。
「あ、ありがとうございます・・。すごくおなかすいてたんですね。」
シエスタが聞いてくる。よほど喰い方にいきおいがあったからだろう。
「ああ。ここ数日まともな食事ができなかったんでね。」
「お腹が空いたら、何時でもいらしてください。私たちが食べているものでよかったら、お出ししますから」
「助かるよ。じゃ、これからもよろしく。」


そしてブチャラティが食べ終えてから言う。
「何か、手伝えることはないかな?」
「え?」
「このまま喰いっぱなしと言うのもどうも気が晴れなくてね。何かないかい?」
シエスタは慌てたように、
「いえ!いいんですよ。気にしなくても・・・。」
「いいから。オレの気持ちとして受け取ってほしい。」
シエスタは遠慮がちに、
「それじゃあ・・・。後でデザートを運ぶのを手伝ってくれませんか?」
「了解した。」

「おい、『ゼロのルイズ』の使い魔がウェィターの真似事してるぜ。」
「何やってるんだろうな。クク・・・。」
ブチャラティに対しての笑い声が聞こえる。
「あの、ブチャラティさん・・・。」
「いいんだ。気にしないでくれよ。ストロベリータルトのお客様!」
そうして仕事をしてた時だった。
「ギーシュさま!?」
「え?」
叫んだのは、昨日の茶色のマントの女の子だった。
「あ、またあなたですか・・・。すいませんギーシュさまかと思って。」
何であんな奴と間違えられるんだ?そう思いつつも聞いた。
「すいません。ギーシュさまを見かけませんでしたか?ずっと探しているんです。」
「えっと・・。あ、外のほうにいるな。案内しようか?」
「お願いします。」

外に行くとギーシュはこの子以外の女性と話していた
まだこの子は気づいていないようだ。
「ああ、見てくれモンモランシー。この僕の使い魔の美しさを!
君ならこのヴェルダンテの美しさがわかるだろう・・?」
「うん・・まあそうかもね・・・。」
ギーシュは肩にカエルを乗せた女の子に膝の上の使い魔の自慢をしているようだ。

「もっとも、このヴェルダンテの美しささえ、君、"香水"のモンモランシーの前には
素手の人間がドラゴンを倒す願いと同じくらいかなわないのだろうけどね。」
「フ、フン!わかり辛い例えねっ!褒めてるのそれ?」
そういいつつもモンモランシーは満更でもないようだ。
「・・・チーズケーキのお客様。」
「給仕くん。それを頼んだのは僕じゃないよ。」
「いいから。これはオレの奢りだ。遠慮せずにじっくり味わえ。」
ブチャラティはそう言ってチーズケーキを置く。
「おや?君は『ゼロのルイズ』の・・。何をやってるんだい?」
「気にするな。それより・・・。なるほどな。」
ブチャラティはモンモランシーのほうを向いてから、またギーシュに向き直った。
「なんだい・・?」
「学年か。」
「なんだと聞いているのだが?」
「そのマント学年を現してるんだなといったのさ。お前たちはルイズと同じ学年で2年生。
そこでお前を探していた茶色のマントの子は1年生なんだな。そう理解したのさ。」
「何っ!?」
あの子がこちらに向かってきた。

「ギーシュ様・・?これはいったい・・・?」
「ケ、ケティ違うんだこれは・・・!」
「ちょっとギーシュ!?やっぱりアンタ一年生の子に手を出していたのねっ!!」
「モ、モンモランシー、落ち着いてくれ!」
ブチャラティはその様子を眉一つ動かさず見ている。
いいザマだな。そう思っているのだろう。
「さようならっ!」
ケティと呼ばれた方が顔を抑えて走り出した。
ギーシュがモンモランシーのほうを向いて言う。
「モンモランシー、わかってるよね、あの子はただの・・・。」
「最低。」
「う・・。」
「・・・下劣。」
「うぐっ・・。」
「・・変態!」
「な!ちょっとそれはちが・・。」
「クサレ脳みそ!!」
「ひ、ひど過ぎる!!」
「あんたなんかもう絶交よ!二度と話しかけてこないで女たらし!」
メメタァッ!
モンモランシーはギーシュの顔を叩いて帰っていった。

「ハハハ!ふられちゃったなギーシュ!」
「おー怖い怖い。さ、行くか」
ブチャラティはそう言って帰ろうとした時だった。
「待ちたまえ。」
呼び止められた。いまにもプッツンしそうなギーシュに。
「何の用だ?もう用はないんだが。」
「平民風情がこの僕をコケにして、そのままサヨナラできると思うか?
君のせいで二人のレディの名誉が傷ついたんだぞ?」
だがブチャラティは冷静に返す。
「悪いのはお前だろ?オレはあの子にお前を探せと言っただけだ。二股かけて散ったのは
お前が自分の尻拭いができないのが悪いんだろ?」
ドッと笑いが沸き起こる。ギーシュの顔がさらに赤くなった
「どうやら君は貴族に対する礼儀を知らんようだな・・・。」
「生憎この世界の存在すら昨日知ったばかりでね。
そうでなかったとしても、お前のようなマンモーニに対する礼儀なんてまるで知らん。」
「・・・・何だって?」
「マンモーニ(ママっ子)って言ったのさ。乳離れできないママっ子ってね。」
プッツンと言う音をブチャラティは確かに聞いた。

「ヴェストリの広場で待っている。ケーキを配り終わったら、来たまえ。君に礼儀を教えてあげよう。ちょうどいい腹ごなしだ。」
ブチャラティはそこで止まった。
「腹ごなしだと?」
「つまり、決闘を申し込むと言う事さ。まさか逃げるつもりではないよね・・・。」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・・。

駆けつけたシエスタが慌ててブチャラティに駆け寄る。
「ブチャラティさん!やめて!」
「・・・いいぜ。受けてやるよ。」
「グッド。その得意げな顔、潰してやる。覚悟しておきたまえ。」
ギーシュはそう言って消えた。
「ブチャラティさん・・・なんて事を・・・!貴族にケンカを売るなんてっ!」
「舐められていて何も言い返さないよりマシだよ。」
「わかっているんですかっ!?メイジは魔法を使うんですよっ!
殺されちゃいますよ・・・。本気で怒らせてしまったら・・!」
「気にしないでくれ。それより、残った仕事を片付けよう。」
ブチャラティはまるで気にしないとでも言うように仕事を続けた。

―※―

「ギ、ギ、ギ、ギ、ギーシュと決闘するですってぇ~~!!?」
「ああ。アイツがどうしてもオレを叩きのめさなきゃ気がすまないらしい。」
決闘数分前、ルイズがブチャラティに噛み付いてきた。
「ギーシュとルイズの使い魔が決闘するぞ!・・ってあの"かぜっぴき"のマリコルヌが
騒いでた時は寿命が縮むかと思ったわ!今すぐ降伏してっ!」
「レスピンジェレ(断る)。あいつは逃げるなとオレに言ったもんでな。
 ・・・見に来るか?」
「なっ!・・・もういいわよっ!もうアンタなんか知らない!
勝手にやっつけられちゃえばいいわっ!」
「そうかい。」
ブチャラティはルイズの手のひらを取った。
「じゃあ『約束』しよう。オレは絶対生きて帰る。アイツも倒す。
 ・・・なんならアイツの『晒し首』を持ってきてもいいぜ。」
「え!?アンタなに言って・・?」
「安心しろ。言葉の綾だ。お前が殺すなと言ったら殺さない。でもオレは負けて帰らない。」
ブチャラティの手が離れた。と同時に、
「それまでこれでも喰って待ってろよ。」
ルイズはいつの間にかリンゴを持っていた。
「な、何これっ!?どっから出したのコレ!?」
ブチャラティはもう行ってしまった。
「何なのアイツ・・・・?」

―※―
ヴェストリの広場
「逃げずによく来たね。一応褒めてあげるよ。」
ギーシュが杖として使う薔薇の造花を持って立っていた。
「逃げるな。と言ったのはお前だろ?」
「フン。その減らず口はいつまで続くかね。」
ギーシュが造花を掲げる。
「僕はメイジだ。だから魔法で戦う。よもや文句はあるまいね?」
「『戦い』に文句も卑怯もあるわけないだろ。使えよ。」
周りのギャラリー達はむしろおかしいと思った。平民とメイジの決闘で
なんで平民のほうがあんなに余裕そうなのかっ!?疑問が頭から離れなかった。
「おっと言い忘れたな。僕の二つ名は『青銅』。青銅のギーシュだ。」
造花から花弁が散り、等身大の人形と化した。
「従って、青銅のゴーレム『ワルキューレ』がお相手するよ。
まずは・・・様子見と行こうか!?」

ガッキン!!
襲い掛かるワルキューレ!だがブチャラティはっ!?
「ハハッ!あいつ動かないぞ!やっぱりハッタリかっ!!」
観客の一人が言った時だった!
「"スティッキィ・フィンガース"!!!」
ブチャラティ以外には見えない人型の何かが出た。
そしてワルキューレがブチャラティを捉えた。と思ったときだったっ!
「アリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリ!!!!!!!!」
ドゴッ ガスッ バキャキャ
ドズッ ドズッ ドボォ!!
あまりに予想外ッ!!ブチャラティの後ろの人らしき物がワルキューレを拳で破壊していくっ!
だがそれが見えない他人には"見えない打撃"が襲っているようにみえたっ!
「な、なんだああぁーっあいつぅーッ!!?手も足も出してないのにっ!」
「"打撃"が・・"打撃"がどんどん人形を破壊していくぞぉー!?」

ズサッ

「なるほど・・。固いな。S・フィンガースのパワーでも結構戸惑うもんだな。
そして、今のは『実体』だ。実は"スタンド使い"というオチはなさそうだな・・・。」
「・・・な、何をしたんだ・・?君は・・・?」
舐めてかかっていたギーシュが!あの少年は今ッ!
今起きた事に実感が持てなかったっ!それはそうだろうっ!
『平民』に破壊できるはずのない自分のワルキューレがっ!今ッ!
ブチャラティによってプライドごと完全に!粉みじんにっ!
手からすべり落ちた皿のように破壊されてしまったのだからっ!
「・・・まさか、卑怯だとか言うんじゃないよな?ギーシュ・ド・グラモン。
おまえが"魔法"を使っていいと言ったんだぜ?もっともオレのは"魔法"ではないが。」

「くっ、甘く見ないでもらおう。こうも言ったはずだッ!『まずは様子見』と!」
ギーシュの花から複数のワルキューレが飛び出す!
「この数相手に時間かけてたら一気にオダブツだっ!さあ観念しろっ!」

ガシャンガシャンガシャン!!

複数のワルキューレがブチャラティを襲うッ!
「その気取った顔、崩して血ヘド吐かせてやるっ!!」
「なめるなよ。様子見してたのは・・・お前だけじゃあないんだぜっ!」

ドッカアアアアン!!!

「な・・・ウソだろ・・?」
ギーシュは悪夢を見ているように感じた。
気がついたらワルキューレのほとんどがっ!バラバラに解体されていたっ!
「これがオレのスタンド、“スティッキィ・フィンガース”の能力だ。
ワルキューレの断面が見えるかい?」
「こ、これは・・!『ジッパー』だ!ワルキューレにジッパーが付いて
バラバラにされてるっ!!」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・・。

「(見えるのか・・・。S・フィンガース事体は見えてないようだが・・・。)そう。オレの能力なら、『ジッパー』を貼り付ければどんなに固くても関係ないんだ。
 ・・・一気に形勢逆転だな。」
ギーシュはすでに本能的な物で察していた。―――― 分が悪い。
「こいつは・・・マジにやばいっ!!」
ブチャラティが近寄ってくる!ギーシュが杖を構えた。
呪文を唱える間、ギーシュの杖の先に土が、砂が寄せ集まっていたっ!
それはまさにチャージ中のエネルギー砲のごとく!
「吹っ飛べっ!!」
ヒュウン!!
石礫が飛んだッ!ブチャラティがスタンドでガードする!
「これは・・。石だというのに、『ダイヤモンド』のように固く、『弾丸』のようにするどいっ!」
ブチャラティが一歩引く。だがそこにはっ!!

「ワルキューレ達がお待ちかねさっ!」
ブチャラティに再び襲いかかるッ!
「そして、少しわかったぞ・・。君の『スタンド』とやらの弱点がっ!」
ギーシュは一歩、また一歩と下がる。
「やっぱりだ。君の“見えない打撃”も『ジッパー』も遠くの敵にはあたらないっ!!
でなければ攻撃のために駆け寄ってくるはずがないもんなっ!
そしてワルキューレとの戦いを観察するに・・・せいぜい、2,3メイルって所だろう?」
ブチャラティには、この世界の単位はわからなかったが、自分の弱点を
知られたのはヤバイはずだった。
だがっ!『彼』の目はあきらめてはいないっ!
「『2メイル』とは、『2メートル』の解釈でいいのか・・?どうでもいいが。
ああ。オレのスタンドは最もポピュラーな“近距離パワー型”だからな。仕方ない。
だが、そんなの俺たちの世界じゃ『常識』だ。『弱点』とも取らない。
そんな物、能力で補っていく物だからな。」

キッ!
ブチャラティはギーシュを見据えて言う。
「おまえのワルキューレ。スタンドじゃあないからおまえ自身にはダメージがないし、
魔法だからいくらでも操れる。防御に関しても優秀だし、距離を取って戦うには使い勝手のいい
魔法だ。だが、」
ブチャラティは駆け出す。目標は、自分とギーシュの間にいるワルキューレ!
「攻撃に関してはオレのほうが上だな。パワーはオレのほうが上。
さらにスタンドだからすり抜けることができる。薄い壁とかならな。
そして、『実体』であることが災いしたな。コイツはオレが『応用』させてもらう。」
そして射程距離内にワルキューレが!
「ところでお前、『だるまおとし』って知ってるか?・・・知らないだろうな。オレだって
とある仲間から教えてもらったばかりだからな。円柱型の積み木をかさね、一番上に頭となる
達磨をおくんだ。そして頭が落ちないように体を打撃で吹っ飛ばすんだ。
ちょうどこんなようにっ!“スティッキィ・フィンガース”!!」

タタタタタン!

ブチャラティがワルキューレに『ジッパー』をつける。
ただし、精密かつ素早く、同じ幅にバラけるようにッ!
そして・・!
「アリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリ!!!!!!!!」
S・フィンガースの打撃でバラバラになったワルキューレがギーシュの方向に飛ぶっ!

バキッ!ドカッ!ボコッ!
「グッ!がはあぁぁぁぁぁ!!」
腹ッ!肘ッ!膝ッ!胸ッ!腹ッ!
一つ一つのパーツがギーシュにぶち当たるッ!!
「アリィ!!!」
頭のパーツがまたギーシュにクリンヒット!!
「ぐおおおおおおおおああああああ!!!」
「おっと。『失敗』したな・・・。間違えて達磨(頭)まで吹っ飛ばしてしまった。
まあ全弾命中したから、ここはよしとしよう・・・。」
「ぐ・・・・。ゲホッ!ゲホッ!」
ギーシュがむせた。その時出たのは・・・血液だっ!!
「先に血ヘド吐いたのはそっちだったな。自慢の魔法も実戦慣れしてなければオレには
勝てはしないさ。」

ブチャラティはギーシュに近づく。
「く・・・クソ・・・。」
「お前が申し込んできたのは確か『決闘』だったよな?『決闘』なんだからオレとおまえのどちらかが死んでもまさか文句なんかが出るはずがない。そうなる事を『覚悟』したからオレに決闘を申し込んだんだよな・・・・?」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・・・・!!!!!!

ブチャラティから感じるそのプレッシャー。それがあの『ゼロのルイズ』の、あのおとなしそうな使い魔と同一人物なのが、ギーシュにはマジに信じられなかったッ!!
(コイツ・・・マジかっ!?マジに僕を殺す・・・つもりか!?・・・いやマジだっ!
こいつには、言った事を本当にやってのける『スゴ味』があるっ!!)
ギーシュは反射的に立ち上がるッ!
「来るなッ!これでもくら・・・!」
バシッ!
ブチャラティの“S・フィンガース”は、ギーシュの杖を持った手を跳ね除けた。
そのため起こった事はギーシュにとってあまりに『信じられない出来事』だった。
「手・・・。手が・・!!僕の手がぁぁ!!ブッタ斬れてるっ!!」
ドドドドドドドドドドドドドドドドド・・・・・
「答えろよ・・・・。『質問』はすでに・・・『拷問』に変わってるんだぜ?」

                            to be continued……

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