ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

ゼロの兄貴-30

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匿名ユーザー

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その夜
「ま、こんなもんだろうな」
そう言って指差すのは、チェストに入っていた銅貨と色あせた装飾品だ。
元々、この手の事には期待していなかっただけに、この結果でも特に気にはならないが、ルイズは別だ。
「このガラクタが『ブリーンシンガメル』ってんじゃあないでしょうねぇ~~?」
それにキュルケは答えず、爪の手入れをしている。もちろん沸点が低いルイズだ、今にもキレそうである。
「これで7件目よ!インチキ地図ばかりじゃない!」
「言ったじゃない『中』には本物があるかもしれないって」
「そう簡単に栄光が掴めりゃあ、誰も苦労しねーよ」
「もう学院に戻らない…?色々あるだろうし」
まぁ、からっきし浮かんでこない詔のせいなのだが、そろそろ本気で考えねばヤバいのだ。
さすがに沈黙が流れるが、それを打ち払ったのはシエスタの明るい声だ。
「みなさーん、お食事ができましたよー!」
シエスタが、火にかけた鍋からシチューをよそって、めいめいに配り始めた。いい匂いが鼻を刺激する。
「美味しい…これなんのお肉なの?」
ルイズが一口食べて呟いた。はっきり言えば何か悔しかったが、この味はその感情を軽く上回ったため声にも、表情にも出さない。
だが、それを見ていたシエスタが微笑みながらスタンド使いもブッ飛ぶような事を言った。
「オーク鬼のお肉ですわ」
瞬間、プロシュートを除いた全員の動きが止まる。

貴族という意地と根性で吐くには至らないが、唖然としている。
「じょ、冗談です! 本当は野うさぎです! 罠を仕掛けて捕まえたんです!」
「オーク鬼を倒したばかりなんだから…そういう冗談は止めて…ていうか何であんたはノーリアクションなのよ!」
「豚みてーなもんだろ?」
気にした様子もなく平然と答える姿に、予想以上の反応にちょっとテンパっているシエスタを除いた全員が同じ思考になった。
( ( (そりゃあ、はしばみ草が食べられるわけね) ) )
「驚かせないでよね…でも、あなた器用ね。こうやって森にあるもので、美味しいものを作っちゃうんだから」
「田舎育ちですから」
「ハーブの使い方が独特で珍しいわ。知らない野菜もたくさん入ってるし」
「わたしの村に伝わるシチューで、ヨシェナヴェっていうんです
   父から作り方を教わったんです。食べられる山菜や、木の根や…父はひいおじいちゃんから教わったそうです。今ではわたしの村の名物なんですよ」
今のところ成果『ゼロ』だったが、美味しい食事のおかげで座は和んだ。
正直、シエスタが居なければ、何かこう色々修羅場になっていたかもしれない。爆発とかで。

全員の食事が終わり、安穏とした空気が流れるがルイズが思い出したかのように言った。
「そろそろ、説明してくれない?あの力を」
「そうだな」
ザザッ!と全員の視線がプロシュートに集まるとスタンド能力の事を説明する。
「まず、これは『スタンド』っつー能力だ。基本的に、スタンドはスタンドでしか干渉する事はできないし、スタンド使いでないと見ることもできない
  こっちで言うなら、スタンドが魔法に干渉できるが、魔法はスタンドに干渉できないって事だ。衝撃は受けるし、氷とかの実体のあるものしか受けれないがな」
「魔法みたいなものね」
「似て異なるな。スタンドが傷付けば本体も傷付く。それに魔法みたいに汎用性があるもんじゃねぇ。基本的に一人一能力だ」
「つまり…ドットって事?」
「口で説明すると難しいな。汎用性が無い分、能力的に特化したものが多い。
  空気そのものを凍らせたり、対象を小さくしたり…鏡の中の世界を作っちまうヤツだっている」
こちらに来る事は無いと思いチームの仲間の能力を話すが、その話している時の顔はどちらかというと笑顔だった。まぁよ~く見ないと分からないだろうが。
「ん~~、つまり火系統しか使えないけど、その能力だけならスクウェアクラスより上って事でいいの?」
「まぁ、そう思ってくれていい」
「…治す力はある?」
「少なくともオレの知る限りでは、そんなのはいねぇな。どいつもこいつも戦闘向きな能力ばかりだ」
「…そう」
残念そうに、タバサが呟くが話を続ける。

「それで、こいつが重要なんだが…スタンド能力は、この世界のもんじゃあねぇ」
ルイズは知っていたが、他は知らない。
「ウソでしょ!?……ってウソは言ってない目ね」
「破壊の杖だったか。少しばかり古いもんだったがアレもオレんとこの世界の兵器だ」
シエスタ以外の全員が破壊の杖の威力を思い出す。あの爆発はルイズのそれを軽く凌駕していた。
「まぁオレだって、オメーらのうち誰か一人がイタリアに来て
   魔法が使えるとか言ったら『イカれてるのか?』としか思えねぇからな。信じる信じないは勝手だ」
「い、いえ!信じます!信じますけど…」
シエスタが途中まで言って口を閉じた。違う世界ということは帰ってしまえば二度と会えないかもしれないという事だ。
タバサも内心ショックを受けている。
異世界の能力という事は治す力があってもそれに頼ることはできない。期待があっただけに、反動も大きかった。
「スタンドって見えないの?」
「物質と一体化してるヤツなら見えるが…それ以外は無理だな。直接じゃなくていいなら見る方法も無い事は無いが」
満場一致で『見せて』という事になり準備をする。
「土を粘土なんかにして、これで見えるの?」
しばらく黙って見てると、粘土に変化が現れた。
ズムゥゥ、と音がして粘土が押され何かの、人型が出来てくる。
ぶっちゃけタバサの顔が青い。

粘土に完全にグレイトフル・デッドの形が浮かび上がるが
人型スタンドの中でもキモイというかグロいというかモンスター的な形をしているため皆さん引いているご様子。
「……ななな、なによこれ!どう見てもお化けじゃない!この4本の触手は何!?なんで眼がこんなにあるのよ!!」
「両手使う時はそれで支えてんだよ。眼は広域老化やってる時にそこから老化させるガスみてーなのが出る」
「…こ、こんなのが近くにいたのに気付かなかったなんて」
「み、見た目は怖いですけど、プロシュートさんが使ってるならへ、平気です!」
「……ぃ……ぁ…」
何かもう、タバサの様子が色々尋常じゃない。
「…ちょっと、タバサ大丈夫?」
キュルケの問いに辛うじて頷くが、ルイズがトドメを刺した。
「…ねぇ、今それどこに居るの?」
「そこだな」
そう言って指差すのはタバサの目の前の地面。別に意図してやったわけではないが、座っている位置が悪かった。
「…………」
「…タバサ?……寝ちゃったみたいね」
気絶したのだが、絶妙な勘違いをしたキュルケによって彼女の名誉は辛うじて保たれた。

気絶したタバサを置いてキュルケが地図を広げた。
「で、次はどれやるんだ?」
「諦めて帰らない…?」
「あと、一件だけよ。これでダメだったら学院に帰ろうじゃないの。お宝の名前は…『竜の羽衣』ね」
「そ、それホントですか!?」
「知ってるの?場所はタルブの村の近くね」
「タルブ?…確かラ・ロシェールの向こうでシエスタの故郷じゃあなかったか」
「そ、そうです…」

『それ』は森の中をゆっくりと動いていた。
他の生物からすれば脆弱な存在だったはずだが、『それ』はまだ生き延びていた。
一匹の獣が、動く『それ』に襲い掛かる。
体格的にも相手の動きの鈍さからしても、獣に軍配が上がるはずだった。
シパーーz__ン
そんな音が森の中に鳴り響くと獣がもがき始めた。
シパン!シパン!シパン!シパパ!
その音がしたかと思うと獣は跡形も無く『消えて』いた。
「指令……何…す…?…ロ……」
本能で誰かに問うがやはり答えは返ってこない。
だが、唯一、一つだけ思い出した。
「了……捕…えま……。?…誰…捕ま…るん…す…?メ………」
「………ネ。誰……か?……すか?…で…か?」
返事は返ってこないがゆっくりと進む中、『それ』は村を見付け、とりあえず本能に従い指令を遂行する事に決めた。

翌朝、一向は風竜の上でシエスタの説明を受けていた。
要領を得ない説明だったが、とにかく、村の近くに寺院があり、そこに『竜の羽衣』と呼ばれるモノが存在しているということ。
「どうして『竜の羽衣』って呼ばれてるの?」
「それを纏った者は空を飛べるらしいんです」
「空?…オメーら確か…『フライ』っつーんだったか。アレで飛べるんじゃあなかったか?」
「平民でも飛べる風系のマジックアイテムかしら?」
「そんな…大したものじゃありません……インチキなんですよ。
  どこにでもあるような、名ばかりの秘法なんです。でも地元の皆はとてもありがたがって…寺院に飾ってるし、拝んでるおばあちゃんまでいるんです」
「まぁ見てみねぇ事には分からないからな」
「実は……、それの持ち主、わたしのひいおじいちゃんだったんです。
   ある日、ふらりとわたし村に現れたそうです。その『竜の羽衣』で東の地からわたしの村にやってきたって、皆に言ったそうです」
(東…?ロバ・アル・カイリエってとこからか…?)
「凄いじゃないの」
キュルケが驚いたように答えるがシエスタの返事は暗めだ。
「でも、誰も信じなかったんです。ひいおじいちゃんは、頭がおかしかったんだって、皆言ってました」
「どうして?」
「誰かがそれで飛んでみろって言ったんですけど、飛べなかったんです。色々言い訳してたらしいんですけど誰も信じなくって
 おまけに『もう飛べない』と言って、わたしの村に住み着いちゃって
  一生懸命働いてその皆でお金を作って、貴族にお願いして『竜の羽衣』に『固定化』の呪文までかけてもらったそうです」

「変わり者だったのね。さぞかし家族の人は苦労したでしょうに」
「その件以外では、働き者の良い人だったんで、村の人たちにも好かれたそうです」
「価値観ってのは人によって違うからな。
  オメーらが最初ルイズの爆発を失敗って言ってたが、オレに言わせりゃあ十分実戦向きだぜ。それを見てみねぇ事には分からないが…問題は村の名物って事か」
「そうそう、わたしが『ゼロ』……ってなに言わせんのよーーーーー!!」
「でも……わたしの家の私物みたいなものだし……プロシュートさんがもし、欲しいって言うのなら、父に掛け合ってみます」
ルイズのノリ突っ込みを後にシルフィードがタルブの村へと向かった。

一向がタルブ村に着いたが、異変に気付いた。村に『誰も』居ないのである。
「誰も居ないなんて妙ね…」
「そんな…!父様!母様!」
シエスタが叫びながら家の中に入るがやはり誰も居ない。
残りも家の中に入るが、シエスタの顔はやはり暗い。
「…誰か居た?」
「いえ…誰も…」
村に誰も居ないという事が妙だった。
オーク鬼などの怪物に襲われて逃げたというのなら分からないでもないが、この場合そのような痕跡が一切無い。
とりあえず、家の中を捜してみるが、タバサがある事に気付いた。

「…まだ温かい」
そう言って指差すのは、鍋の中のヨシェナヴェだった。
「ホントね…火は燃え尽きて消えてるみたいだけど…」
「普通に生活してた状態から急に居なくなったって事?」
「……どうして」
「とにかく他も手分けして捜してみましょう」
プロシュート、タバサ、シエスタとキュルケ、ルイズに別れ他を捜し始める。
だが、どの家にも人の気配すら無い。
一旦外に出るとシエスタが泣きはじめた。
そりゃあ久しぶりに帰って誰も居なかったら泣きたくもなる。酒がそこにあれば多分直に飲んでる。
「えぐっ…!……皆どこに行ったんでしょうか」
「…生活観丸出しのまま消えてるってのが妙だな。襲撃を受けた跡すら残ってねぇ」
「二人を呼んでくる」
「そうだな。状況が分からない以上分散するのはヤバイ」
二人が居る家の中に入るタバサを見て、どう言ったもんかとシエスタの方を見るが、そのシエスタが居なかった。
「…どこ行った?シエスタ」
辺りを見回すが、シエスタの姿は無い。
だが、さっきまで閉まっていたはずの家の扉が開いていたので、中を覗くと驚くべきものを見る事になった。

スパン!スパン!グチャグチャグチュ!
「な…ッ!バカな…ッ!!こいつは…この能力は……ッ!!」
油断があったわけではないが、別世界という事で『スタンド使い』が居るという可能性を除外していた。
「こいつは…!何故…『ここ』に…!ベイビィ・フェイスの『息子』がッ!!」
言い終えると同時にシエスタを完全に家に同化させると途切れ途切れの声がどこからか聞こえてきた。
「家…出口…もう…人『人間』が……す。知…ない顔…すが指令ど…り捕獲……す」
「…ッ!ここに居るのはヤバイッ!!」
全力で後ろに飛びのくが、一瞬早く両脚を家の壁に同化された
「うぉぉぉぉぉぉ!」
そのまま、全身を同化されるかと思った瞬間、氷の塊が飛来し、それを防ぐ。
「あああ、脚…脚が…!」
「ちょっと…大丈夫なの!?」
さすがに、両脚を失っているプロシュートを見て焦るが、本人はまだ冷静なラインを保っている。
「問題ねー。だがヤバイ状況には変わりないッ!
  スデにシエスタがやられたが…まだ生きている。オレの脚も一応は繋がっているが…動けねぇな」
「どういう事…!?」
「こいつは…スタンドだ。名はベイビィ・フェイス。『生物を物質に組み替える』能力だ…!
   物質と一体化しているタイプだから見る事は可能だが、物に擬態しているから、迂闊に近付くと瞬時に分解される…!」
「ぶ、分解って…」
「見てのとおりだ…こいつはオレの脚を壁に同化させてやがる。恐らく村の連中も全員同化させられたんだろうな…
   どういう訳か知らねぇが、今のこいつには『殺す』という指令は出てないみてーだから全員生きている。ヤバイ事には変わりないがな…!」

そう言いながら、親に毒づく。
「オレの顔を知らないだと…?あのヤロー…育児放棄しやがって…!一発殴るどころじゃあ済まさねぇ…ッ!!」
「そいつの事知ってるの…!?」
「ああ…ディ・モールト知ってる…ッ!こいつは、自我を持ったゴーレムみてーなもんだ。
   老化は期待できねぇし、単純な攻撃も自分を分解してかわすからな…厄介だぜ…こいつはよォーーー!」

「知ら…い顔の人……三人…増え……た。………ネ、指令…くだ…い。……ー…?どう…ま…たか?…う…した…?ど…しま……か?」
(…妙だな。メローネが『ここ』に居るなら指令がハッキリと伝わってるはずだ…こいつの行動…まるで一人歩きしているような…)
「てめー…メローネは何処に居やがるッ…!」
「メロ…ネ…テ誰ダ?…ロ……?答…て……さい。メ………?」
「ちっ!息子だけこっちに来たってわけか?教育もされてねーみたいだし、成長も完全じゃあないようだが…能力だけはしっかり身に付いてやがんな」
「ど、どうすればいいのよ!」
三人が杖を構えているが、迂闊に攻撃できないでいる。
下手に攻撃して建物に同化している村人に当たれば取り返しがつかなくなるからだ。
「こいつは今、本体と切り離されて暴走状態ってとこだな…何時『殺す』っつー風に変わるか分かったもんじゃあないが…不自然な物には近付くなよ…」

ボドォォン!コロコロコロコロコロ
音がすると石が三人に向かって転がってきたが、あからさまに怪しいと思ったのかキュルケとタバサが魔法で攻撃する。
「あたしから行くわよタバサ!」
キュルケが『ファイヤーボール』で石を狙うが石が独りでに分解してそれをかわした。
「やっぱりね…でも!」
分解した石が集合し石に戻った瞬間をタバサが撃ち抜く。
親友だからこそ可能な絶妙な時間差攻撃に石が砕けた。
「やったわねタバサ!」
手を合わせる二人だが、『それ』の性質をよく知っているプロシュートが叫ぶ。
「まだだ!油断するんじゃあねぇ!!」
「油断って…手ごたえはあったわよ?ねぇタバ…!」
「……迂闊だった」
キュルケがタバサを見るが、その頭の位置がいつもの半分ぐらいしかない事に気付いた。
地面から伸びたベイビィ・フェイスがタバサの下半身を分解し地面にバラ撒いている。
「く…こいつ、タバサから離れなさい!!」
ベイビィ・フェイスの居る方の地面に杖を向け『ファイヤーボール』を放つが、さっきと同じだ。即座に分解し今度はキュルケの下半身を分解した。
「う…嘘…こいつ無敵…!?」
「三人…捕ら…した。…り…一人で…。どうし…ま…か?…ロ……」
声が何かに問うが、もちろん返事は無い。
しばらく黙っていたが、変化が訪れた。

「く…この!よくも…!この汚らわしくて気持ち悪い化物め!」
ルイズがそう叫ぶが、それは禁句だ。
「な…バカかオメーはッ!教育もされず成長しきってねぇそいつに、その言葉はヤバイ…!!」
「お母さ……ぼくの…を化…だ……っている『…ら…しく』て『気持ち…い』と罵…て…る…!」
それを聞き焦る。お母さんと呼ばれた事は置いといても、罵倒の類であるから、キレて『殺す』となるのかと思ったのだが…次に現れた言葉は意外だった
「なん…いい『お母…んだ!』」
「だ、誰があんたみたいな化物のお母さんよ!!」
もちろん母体はルイズではないが、記憶が曖昧なベイビィ・フェイスにあの言葉を言えばそう認識させるに十分だった。
その場にディ・モールト!ディーモールト良いぞッ!というような幻聴が聞こえたが、その幻聴を上回る台詞をベイビィ・フェイスが吐いた。
「おな…もす…た…ど……れば…いで…か?」
ズズズズズズゴズズズズズズズズズ
とベイビィ・フェイスが地面から現れルイズの方を向く。
その姿は、本来の成体の2/3の大きさでところどころ体のパーツが欠けている。
「飲ま…て!早…飲…し…!」
「の、飲むって何をよ!」
「…ちッ!パーツが欠けてるせいで、教育状態が幼生に戻ってやがるな…!…しかし…ヤバイ!ルイズを母親と思っているってこたぁ…このままだと飲まれるな」
「…飲まれるって…もしかして、こいつ…わたしを飲むの!?」
「ああ、そいつは母体を飲んで成体に成長すんだが…今のそいつは成体の形だが、大きさが普通の2/3しか無くパーツも欠けて幼生と同じ状態と思っていい。分解されたら…」
ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ
「確実に飲まれて死ぬな…!」

「いやぁぁぁぁぁぁぁぁあああ!そんなの絶対いやぁぁぁぁぁああああ!こっちくるなぁぁぁぁぁあああ!!」
だが、悲鳴空しくベイビィ・フェイスがルイズに取り付いた。
「飲…して!早く飲ま…て!!」
「いやぁぁぁぁ!こんなのに、飲まれて死ぬなんて……!」
体の半分を分解されている三人にはどうしようもない。そう思って目を閉じたが、タバサが叫んだ。
「今が好機!」
「他人事だと思ってぇぇぇぇぇぇ!呪ってやるぅぅ!うわぁぁぁぁぁぁぁん!!」
テンパっているルイズには伝わらなかったようだが、二人は気付いた。
最初の授業で見せたあの光景を。そして三人が同時に同じ事を叫んだ。
「「「爆破しろ(て)!」」」
「ば、爆破って今…!?」
杖を持った方の腕が辛うじて動くのが幸いした。
ピシィッ!ズズッ!ズズッ!ズズズッ!
最速で詠唱ができるコモンマジックを唱えベイビィ・フェイスが分解を初め今にもシパァァァ!され飲まれるより一瞬早く…
ルイズが『自爆』した。

正確には、適当な物を至近距離で爆破したからなのだが、爆風にモロに巻き込まれたので自爆と言えなくともない。
三人が思い出したのは初日の授業で、ルイズが石を錬金しようとし
シュヴルーズを昏倒させる程の爆発を引き起こしたにも関わらず、ルイズ自身は服が破れ、煤に汚れただけというあまりにも軽い被害だけだった事を。

「爆…ッテ………タイ…ナ…ダ…イギィ…イ…イ」
「ふぅ…どうなる事かと思ったけど、やったわね」
「けほ…今ほど爆発が起こせて良かったと思った事はないわ…」
「逆に考える」
三人が分解されていた体を戻すと、プロシュートはベイビィ・フェイスの残骸の前に立っていた。
「どうするの?これ」
「自動追跡型のスタンドだからな。色々聞きたい事もあるが…この状態じゃあ話してくれねぇだろうしハデに燃やしていいぜ」
「ふっふっふ…それじゃあ、あたしの出番って事ね…!炭も残さないであげるわ…!!」
分解されかかったキュルケさんのテンションゲージがMAXになり人生最大級の火の魔法をベイビィ・フェイスの残骸に向け放った。
「コゲコゲコゲコゲコゲコゲコゲ…コゲ…ゲ…コ…コゲ………」
「ちったぁ本体も燃えるといいんだがな……」
炎が消えるとベイビフィ・フェイスは文字どおり、この世から『消滅』した。

ベイビィ・フェイス ― ジョルノに燃やされた後、消滅する寸前一部がハルケギニアに呼び出されるも、再び火葬され完全消滅。
ゼロのルイズ ― 危うく飲まれかけるが自爆により生還。被害は服のみ。
タルブ村の村民 ― 捕獲されていただけなので、全員元に戻った。


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