ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

slave sleep~使い魔が来る-12

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匿名ユーザー

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ブローノ・ブチャラティ その過去

―――私は今どこにいる?
辺りにもやがかかっている?

足に地面の感覚がない。これは私が見ている夢?

なんで私はここに来ているのだろう。どこにいる夢なのかしら?

やがてもやが晴れ、ルイズの目に入ったのは、小さな港町。



ルイズの顔を太陽がサンサンと照らす。
「ここ・・・どこ?」
見渡す限り見慣れない街並み。今まで見たことのない町。
タッタッタッ・・・。
子供たちが何人かこちらに走ってくる。その中の一人は白に黒もようの見慣れな
いボールを持っている。
「ね、ねえ!ここどこだかわかる?私あまり見たことなくて・・・。」
だが子供たちはルイズに気付かない様子で過ぎ去って行く。
「な、何よ!無視する気!?ちょっと道を尋ねたって・・・!」
すると子供の一人が振り返って叫ぶ。
「おーい!ブチャラティ!!速く来いよ!おいてっちゃうぜ!」
「えっ!?」
聞き慣れたその名に思わず振り返る。
そこにいたのは自分より小さな、しかしどこかよく知る男の面影を感じさせる少
年だった。
「もしかして・・・まさか・・・本当にブチャラティなの?」

無邪気に、そして元気に友達のもとに走っていく少年。
「ちょ、ちょっと待って!!アンタ、もしかして本当に『ブローノ・ブチャラティ』なの!?
ねえ!私の話を聞いて!!」
しかし彼は聞く耳持たず、真っ直ぐルイズに向かって突進する。
「え?ちょっと・・・。」

スゥッ

すり抜けた。のれんを避けずに進むように少年はルイズをすり抜けた。
「みんな待ってよーッ!」
少年はルイズが『そこにいない』とでも言わんばかりに走り去っていく。
(わ、私の体をすり抜けた・・・?なんで・・・?・・ハッ!)
ルイズは気がついた。なぜ突然突拍子もなく見知らぬ町に来てしまったのか。
なぜそこでブチャラティそっくりで名前も同じの少年に会うのか。
そしてなぜ彼女がまるでいないように無視され、体をすり抜けたりしたのか。
(わかった。これは『現実』じゃない。そして『現在』じゃないのよ。
あの子は確かにブチャラティ本人。ただし『現在』のではなく『過去』のブチャラティなのよ!
そしてこの今まで見たことのないような町並み。これは十中八九ブチャラティのいた
異世界の町!そして私の存在が薄いのではなくこの風景自体が現在のものではない誰かの、
そうブチャラティの記憶!

ここはブチャラティの『記憶』の中!『夢』の中なのよ!


「じゃああれは子供の頃のブチャラティ・・・。」
ルイズが振り返り、追いかけながら言う。
「ふ~ん。ブチャラティにもあんな可愛い頃があったのねぇ~。」
当たり前だのクラッカー。

タンッ!
ボールを蹴る音が広場に鳴り響く。
ブチャラティを含めた子供たちがボールを追いかける。
その表情には心の底から楽しさが浮かんでいた。

「何の遊びなのかよくわからない・・。けど楽しそうね。」
ルイズは『サッカー』を知らない。でもその生き生きとした姿を見ていて楽しい気持ちになった。
ダンッ!!
ブチャラティの蹴ったボールが片方の『ゴール』に突っ込む。
「やった!さっすがブチャラティ!」
ピィーーーーッ!!
「試合終了!」

「よくやったぞブチャラティ!今日の勝ちはお前の手柄だ!」
「うん・・・。ありがとう。」
彼らを見てルイズは思う。
「この頃からブチャラティってみんなから慕われてたのね。こう考えるとすごい使い魔を呼び出した
感じがしてなんかいいわね…。」
「あ!もう昼過ぎだから僕帰るわ!」
「おっと、オレも帰るぞ。じゃあなブチャラティ!」
「うん。さよなら。また明日ね…。」

ブチャラティが帰路に着く。ルイズが後をつける。
「帰るってアイツの家に?アイツの家っていったい・・。」
そこは、他の家と大して変わらない平凡な家だった。
だがブチャラティはそのドアを開けることをためらっている。
「・・?どうしたのかしら。カギでもかかってるの・・?」
そのブチャラティの様子を見たルイズ。彼の顔が心なしか悲しそうに見える。
「…ただいま。」
やがてブチャラティは戸を開ける。

彼が帰るのをためらった理由は入って数分で判明した。
彼の両親が別れ話をしていたからだ。
「ブチャラティの世界は籍を入れたあとで別れる事なんてあるの・・・?」
貴族の世界で生きてきたルイズにはトンと縁のない話だった。
離婚なんて概念は政略結婚が当たり前の貴族の世界にはほとんどない。
やがて母親が話し始める。
「ブローノ・・・父さんと母さんはあなたの事を愛し
てるけどこれからはべつべつに暮らすの。
あなたは「父さん」と暮らしたい?
それとも「母さん」と暮らしたい?
あなたに決めてもらいたいの」
母親はブチャラティにどちらについて行くかを聞いている。
「母さんといっしょにこの村を出て都会に行きたいでしょう?
それとも父さんといっしょにこんな何もない村に残る?
あなたは頭もいいし、いい学校にも行きたいでしょ?母さんと暮らしたいわよね
?」
母親の説明は公平ではなく誘導的ではあった。
「ず、ずるいじゃない!これじゃあどうやってもついて来るわよ!」
父親はただ黙っていた。
とどまってくれと説得するそぶりも見せず、ただうつ向いているだけだ。
ルイズは無駄だと分かってても思わず父親に話しかける。
「ね、ねえ。止めないの?この前だとブチャラティが行っちゃう・・・。」
だがもちろん父親は答えない。
七歳の子供なのだ・・・
母と暮らすのが自然なのだろう・・・。
なぜだかそう考えているのが直感で分かる。
「母さんといっしょにくるわよね?」
だがブチャラティは母親にこう答える。

「ぼくは父さんといっしょに暮らすよ。」
ブチャラティは母親をまっすぐ見て言った。
その目には強い意志が込められている。ルイズはブチャラティのこの目をよく知っていた。
「え・・・!?」
「・・・・・・・・・!」
「なんですって?ブローノ!?もう一度よく考えて!母さんのほうが好きでしょ
う?」
「ぼくは父さんといっしょに・・ここに残る・・・」
母親が泣きながらブチャラティに抱きつく。

――――その時、場面が飛ぶ。

気がついたらルイズはまたあの広場にいた。
「え・・?なんでここに・・?」
あたりを見回すとブチャラティと友人が話している。
「なあ、なんで母さんと都会に行かないでここに残ったんだ?」
友人がそうブチャラティに聞いている。
「母さんは・・・たとえぼくがいなくとも離婚のショックから立ち直って
いずれ再婚するだろうと思う。…でも父さんは違う。父さんはこのまま一人にしてしまったら
きっと過去を引きずってダメになってなってしまうと思うんだ…。」
(そうだったんだ…。だから…。)
「そうか?おまえんとこの小父さん強い人だと思ったんだけど・・・。」
「いいや。父さんはこういう時だめになってしまうんだ・・・。
7年もいっしょにいたんだからよく知ってる…。」

目の前が暗転する。

「ちょ、ちょっと待って!ブチャラティ!!」

「ハッ!!」
ルイズは気がついたらいつもの自分の部屋にいた。
「やっぱり夢・・・。」
ブチャラティはいなかった。洗濯物がなくなっている所からもうおきて
洗濯しに行ったのだろうか。
「なんであんな夢見たのかしら…。ていうか。」
ルイズは自分の部屋のありさまを見る。見事に片付いている。
「アイツなんだかんだで仕事はするのよね…。」

今日もまた、いつもの日常が始まる。

第12話 『ブローノ・ブチャラティ その過去』

昼前、彼は広場にいた。
「うーん・・。フォークが顔を・・・やめて・・。なんか撃ってくるよぉ…。」
「動くなギーシュ!!死にたいのかぁーーーーーッ!!」
ギーシュがなぜか50メートルくらい上のところからぶら下がっている。
鉄格子の先の突起に襟が引っかかって宙ぶらりん状態なのだ。
「ブ、ブチャラティどうする!?ちょっと高すぎる上にあのバカ、
まだ寝ぼけてるのかなんかブラブラ動くから
『レビテーション』をかけ辛いんだけど…。」
「厄介だな…。普通ありえない…。」
マリコルヌが慌てふためいてブチャラティに助けを求める。

「ど、どうしたんですか!?ブチャラティさん!」
「シエスタ!!」
シエスタも事の状況がまるで読めない。
「なんでミスタ・グラモンがあんなところに!?」
「当然オレにもわからない・・。だがこのままではギーシュも落ちてしまうのは
時間の問題だ・・・。」
「ど、どうするブチャラティ・・・。」
ブチャラティが壁に近づく。
「やるしかない・・・。シエスタ。君はマリコルヌと一緒に『風』の使い手を
探してくれ。万が一の時マリコルヌの空気クッションでは
小さくてうまく行きそうにない・・・。」
「え?」

「『スティッキィ・フィンガース』!!」
スタンドの拳で壁を叩く。するとジッパーがギーシュの真横まで伸びていくッ!!

「か、壁が…。ひとりでに割れた…!」
シエスタがあっけにとられた顔をしている。
「・・?ブチャラティがジッパーで開いたんだよ。見えてないのか…?」
マリコルヌが心から奇妙だと言わんばかりに見る。
(メイジじゃない人間にはスタンドどころかジッパーも見えないのか…。)
ふとブチャラティがそう考えながら思う。
「閉じろ!ジッパーッ!!」
持ち手を掴んだままブチャラティがそう叫ぶッ!!するとブチャラティの体が
自動で閉まっていくジッパーに持ち上げられていくのだ。

「ブチャラティさんが宙に浮いてる・・!」
「何やってるんだ!早く『風』使いを呼ばないと!」
マリコルヌがシエスタを急かして学園へと走り去る。

「落ち着け…。ゆっくり行くんだ。絶対動くんじゃねーぞ…。」
ブチャラティがジッパーでゆっくりのぼりながらギーシュに近づく。
「あと10メートル・・。5メートル・・。3メートル・・。」
やがてギーシュの真横に並ぶ。
「ギーシュ。助けに来たぞ…。絶対動くな…。」
「う、うわああああ!!!!体が蜂の巣に!そして溶けていくぅ!!」
ビリッ!!
襟が破ける音だった。
「バカなッ!ギーシューーーーッ!!」

ガシッ!!
スタンドの腕がギーシュを掴んでいた。
「射程距離ジャスト2メートル・・。危なかった・・・。」
ギーシュを引き上げて自分自身の手で掴む。
「いったん下に付いたらぶん殴らせてもらうからな・・。」
そう思ってジッパーを開いて戻ろうとした時だった。

キョオオ―――z______ン!!!

鳥がブチャラティを襲って来たッ!!
「な、なんだコイツはッ!!」
ツン!ツン!
鋭い嘴でブチャラティの手をスピードに乗せて突き始めるッ!!
「お、おい!やめろ!何でオレを襲うッ!!」
ブチャラティは手の先をみる。そこには黒くて大きなネズミの死骸があった。
見間違いでなければ嘴で肉を食いちぎったあとが見える。
「おまえのエサなんて取りはしないッ!やめるんだ!」
ザクッ!!
鋭く、だがなぜか冷たい一撃がブチャラティの指にヒットする!


ズルッ
思わずジッパーから手を滑らせるッ!!
「しまった!手をッ!」
そのままギーシュ共々自由落下ッ!!
「うわああああああああああ!!!!!!」
「しまった!もう落ちてるッ!!」
マリコルヌと誰かの手を引くシエスタが走って戻るッ!!
「きゃああ!!ブチャラティさん!!」
「ダメだッ!この距離じゃあ『僕ら』がクッション作っても間に合わないッ!!」
だれもが絶望したその時ッ!!

ピィーーーーーーーッ!!

シエスタの後ろの人物の口笛が鳴り響くッ!!

「きゅいきゅい!(了解なのねお姉さま!)」

「きゅいきゅい!(いけるいける!)」
青色の龍がブチャラティに向かって飛ぶッ!!

ドサッ!
「きゅいきゅい!(ナイスキャッチなのね!お姉さま!)」
「・・・・セーフ。」
その龍、シルフィードが見事に空中のブチャラティ達を受け止めたッ!
おかげで大事には至らなかったようだ。
シエスタが安堵した顔で後ろを向く。
「よ、よかった…。無事間に合った・・。ありがとうございました・・。
タバサ様!」

バァ―――z______ン!!!

威風堂々。その言葉が合ってるか。
タバサがない胸を張っている。無表情な顔もどこか誇らしげだ。
「礼はいい。それより彼らを降ろさないと。」
一方空中のブチャラティ。

「お前が助けてくれたのか・・・。」
「きゅいきゅい!」
ブチャラティが頭に手を伸ばす。
「グラッツェ。本当に助かった。」
そう言って優しくシルフィードの頭を撫でてやった。
「きゅいきゅい♪(なんかこの人優しい感じ・・。撫でられるのは好きなのね・・。)」
そして無事着地。

「おいギーシュ。起きろッ!!」
バキッ!
「アガッ!!」
流石にギャング上がりのブチャラティはスタンドなしでも腕っ節は強かった。
鳥に突かれて怪我したほうじゃない手でぶん殴った!ギーシュに大ダメージッ!!

そしてブチャラティはギーシュの襟首を掴む。
「答えろ・・。なんであんな所で眠っていた?マリコルヌが気づいてくれたからよかったものの
お前一歩間違えたら死んでたんだぞッ!!」
ギーシュが頬をさすりながら言う。
「ぼ、僕にもわからない・・。夢遊病だったとは知らなかったんだが・・。
ただ、久々にひどい夢を見たんだ・・。
なんか穴だらけの服を着た露出狂っぽい男と妙なバンダナを被った子供っぽい奴に
襲われたんだ・・。まずどうやら食事中だったのかテーブルにいたみたいなんだが、
穴だらけの服の男が僕の頬にフォークを突きつけてテーブルに頭をぶつけたあげく
羽交い絞めにしてもう一方の小さいほうがナイフで顔を切りつけて来たんだ・・。」
ブチャラティが固まる。シエスタがすごく心配そうに見る。
(ブチャラティさん?どうしたのかしら・・?着地したときにどこか打ったのかしら?))
「驚くのは早い!さらに彼らはブチャラティ!君と同じような亜人を操って僕を
襲ったんだ!小さいほうは人、というよりなんだろう。鉄の鳥かな?
そっちが僕を蜂の巣にしたあげくもうひとりが僕を溶かしたんだ・・・。
その物凄い苦痛を味わった途端苦しくなって・・・どうしたんだいブチャラティ。」
ブチャラティの顔は「そいつらに心当たりがありすぎて困る」と言った感じの顔だった。
「…つ、次から気を付けるんだな・・。じゃあ「ブチャラティ!?」
ルイズがあわてた様子で走ってくる。

「一体どう言う偶然が重なればこんなことになるのよ!!学院内でみんなが
大慌てでギーシュがおちそうになってるって・・アンタ手、怪我してるじゃない!」
ルイズが指差す。シエスタがあわてた様子で、
「い、いけない!早く来てください!手当てしますから…。」
「あ、ああ・・・。」
ルイズがそこでやきもきした様子で、
「勝手なことしなくていいから!手当てくらい主人の私がやるわ!」
「え、でも・・。」
「でもじゃなくってアンタは引っ込みなさい!!・・あれ?この傷口、なんか霜が降りてない・・?」
ブチャラティがそう聞いて傷を見る。
「・・・あの鳥・・?」
ブチャラティは空を見上げる。どうやらあの鳥はもう飛んでいってしまったようだ。


キョオオ―――z______ン!!!

『アイツ、またなんか苛立っているみたいだな。そんな様子が
感じ取られるよ。それとも喜んでいるのか?わからない奴だな。』
その男はどこからか聞こえてくるその声に答える。
「まあアイツはDIO様のところにいた時からよくわからない奴だったからな。
あんまり気にしないほうがいいと思うぜ。」
カウボーイ風のその男がどこからか聞こえてくる声にそう返す。

そして広場にいる彼らを品定めするように見る。
『なあ、あのおかっぱ髪の男、アイツメイジだと思うか?
正直ぼくには・・・。』
「ああ、安心しろ。おれにもそう見えたぜ。

   あ い つ は 十 中 八 九『ス タ ン ド 使い』だ。 おれたちと同じな。」

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

「ところでだ、この辺りの町、『ある』らしいぜ。持ったものを操るとうわさの妖刀が・・・。」
ニヤリ
『今度こそ『当たり』なんだろうね。もう骨折り損はコリゴリだ。』
「シェフィールドの報告では99%確実・・・らしいぜ。どうするね?」
『無論・・・だろ?』
ガサガサ
茂みから音がする。

「フン・・・。」
チャキン。
いつの間にか持っていた銃で茂みを狙う。

ズダンッ!

「ギギィ!」
蛇が飛び掛ってきたっ!
サッ
男はそれでも慌てたそぶりは見せない。
「シャーーーーッ・・・。」
その男は片手に持っていた本を蛇に向ける。
次の瞬間、蛇は消えていた。
「行くか。『無敵』のおまえと、『コンビのときは最強』のおれ様がいれば
任務は100%遂行確実だぜ。」
男は空を見る。
「おっとこんな時間か。急がないとな。オレはあの日から『時間』にだけはうるさいんだぜ。」


「ブチャラティ!今日は『虚無の曜日』だから町に買い物へ出かけるわよ。」
「なに?」

ルイズがそう言ったのが始まりだった。
「何を買うんだ………?本か?薬草か?」
「アンタの剣よ。あんた、召喚される前は戦うような立場だったんでしょ?
例えばギーシュと決闘した時の動きとか、普通じゃあないわ。」
「まあ・・・な。だがオレに剣なんか必要ない・・・。」
「いいじゃない!どうせ剣の腕だって一級品なんだから!武器は多いほうがいいでしょ?」
ブチャラティは少し考える。
「まあ、確かにそうだな。ではご好意に預かることにしよう。」
「じゃあ馬を借りなきゃね」
「馬で行くのか?」
「歩きじゃ無理ね。馬の足でも三時間くらいかかるから。」
「馬か・・・。オレは乗ったことないな・・。」
「じゃあ出発するから準備しなさい!」

一方ここはタバサの部屋。
タバサは虚無の曜日が大好きだった。
その日は好きなだけ、誰にも邪魔されず本が読めるからだ。
ドン!ドン!ドン!
訂正、邪魔が入っても出るつもりはないからだ。
「『サイレント』。」
邪魔されても絶対出ない。だが。
「『アンロック』!!」
ガチャン!
禁止されてるはずの『アンロック』をいともたやすくやるのは知る限りでは一人。
キュルケだ。

「タバサ!ちょっと頼みがあるの!」
無視しておく。こういう時のキュルケにかかわると厄介だ。
彼女がこうやって来るときは大抵、
『彼が他の女と一緒に出かけるからあなたのシルフィードの力が必要なの!
おねがい!親友のよしみで助けてちょうだい!』
と言うときだ。
正直、タバサはそういうのは疲れるのでやめてほしいなと思いながらも、
どうもほおって置けなくなり、助けてしまうのだ。
「『サイレント』解除。」

「・・・・というわけで勝手にシルフィードを借りていきますがかまいませんねッ!!」

ボカッ!!

正直、なんでキュルケと親友なのか、自分でもわかってない。
「痛いわね・・・。冗談にきまってるじゃないの・・。」

ピィーーーーーーーーッ!!

「きゅいきゅい!(来ましたのねお姉さま!)」
「・・・・彼らはどこ?」
「えっと・・・あの馬!!」

「おい!もう少しおとなしい馬はいなかったのか!?」
ブチャラティがルイズにつかまって言う。
「大丈夫よ。力が有り余ってるだけだから。私なら乗りこなせるわ。」

「メル・・ヒヒーーーーーン!!」
「今なんか言わなかったか?」
「ヒヒーーーーーーーン!!!」
「気のせいよ。早く行きましょ。」

「あれよあれ!もうあんな遠くじゃない!
おねがい!あなたを頼りにしているわ!」
「・・・出発。」
「きゅいきゅい♪」

そして物語は動き出す。
本筋とはまた違って・・・。


to be continued……

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