ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

ゼロの兄貴-26

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匿名ユーザー

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「…何だこいつは」
「よぉ…兄貴…」
夜、ルイズの部屋の前には何故かデルフリンガーにブッ刺されたハムが置いてあった。
とりあえずデルフリンガーからハムを抜きかじる。不味くは無い。
「…何があった?」
「いや、兄貴があのメイドの娘っ子と一緒に馬乗ってるとこ見た嬢ちゃんがな…」
「アレか?馬乗ったことねぇっつーから乗せただけだが…」
「…兄貴そっち方面に関しては結構天然なんだな」
メローネ曰く
「本人にその自覚が無いだけ周りに与える影響がディ・モールトヤバイ。ありがちなジャッポーネのゲームの主人公ぐらいに」との事

「まぁ、そういうわけで嬢ちゃんがプッツンしてハムに刺されたってわけでな」
ハム=生ハム=プロシュート。だろうと検討を付ける。そのハムを刺しているという事は、締め出し継続という事だろう。
「仕方ねーな…まぁいい、明日からはオメーにも手伝ってもらうからな」
「手伝う?何をだ?」
「仕事だ」
それだけ言うと、ハムとデルフリンガーを持ち歩き出す。
「なんの仕事か分からねーけど、今日はどうすんだ?」
「寝る」
「どこで?」
「マルトーが使用人の部屋使っていいつったからな」


その部屋の扉を開け、上着を脱ぎ寝る。
後ろの一人を気にしながら馬を走らせたため例によって疲労感があり、すぐに寝た。
しばらくして、部屋に入ってくるのは熱の流法絶賛習得中のご存知シエスタだ。
本来、他にも使っているのだが、マルトーの深読みしすぎた計らいにより二人のみとなっている。
「おでれーた…これ嬢ちゃんが見たらどえらい事になるな」

スデに体力&精神力回復状態に入っているプロシュートは眠っている。
左腕を頭の下に、右手を腰のあたりに乗せ
そして、シャツのボタンを下の方だけ留め胸元を出しているという結構セクスィーな姿で。
そっち方面の趣味の方が見れば間違いなく『や ら な い か』突入というところである。

そんなプロシュートを見てシエスタが大きく息を吸い
「ちょっとだけ…ちょっとだけなら…」
と呟きつつ対象へと近付く。
(おいおいおいおいおいおい!こいつは兄貴色んな意味でヤベーってか普通逆じゃねーの?)
ヤバイとは思うが、声には出さない。この剣、何だかんだで結構楽しんでいる。
ゆっくりとだが万力を締めるような動きで近付き、開いている右手を握った。
(へ?それだけ?つまんねー)

シエスタにとっての不幸?は―プロシュートが、この世界に来るまで常に臨戦態勢であったという事。
逆に幸運は―プロシュートが、グレイトフル・デッドを出しながら眠っていなかった事。

プロシュートにとっての不幸は―疲労と、まだ完治しきっていない怪我で、ここが別世界という事を忘れているという事。
逆に幸運は―この世界に暗殺チームの仲間が居ない事。


右手を握った瞬間グィィッっと腕が左上の方に振り払われ、当然その手をしっかり握っていたシエスタがバランスを崩して倒れ込む。
「グレイトフル・デッ…!…何やってる」
スタンドを出現させた分、タイムラグが生じギリギリ直触りを仕掛ける一歩手前で止まった。発動してたら多分再起不能になる。責任取ってくださいどころじゃ済まない。

プロシュートが下!シエスタが上だッ!の状態でテンパりながらシエスタが答える。
「え、いや!あの!…右手!右手がですね…!」
右手?と疑問符が浮かび自分の右手を見る。掴んでいる、どう見てもシテスタの手を掴んでいる。
さすがに、状況が掴めない。寝ていたはずなのに、なして手を掴んでいるのかと。
(…直触りでも仕掛ける夢でも見たか?)
と思いっきりズレた思考を張り巡らせていると
「おーい、明日の食材の搬入について聞き忘れた事があ………スマン邪魔したな」
お約束のように入ってきたのは料理の事ならトニオさんの次にスゴイナンバー2、マルトーであった。
「ちちちちちち、違いますマルトーさぁぁぁぁぁぁん!」
必死になって否定するが、もーマルトーは止められない。
「だから言っただろ?鍵しとけって。しかし、まぁ…おまえさんの方が仕掛けるとはなぁ…」
感慨深げに目を閉じながら一人うんうんと納得したかのように首を縦に振る。
「不可抗力…不可抗力で、こ、こうなったわけなんですよ~~」
「心配するな、誰にも言いやしないからよ」
「何なんだマジで…」
「…兄貴マジで天然なのな」

「それじゃあな、シエスタ。未来の旦那さんとよろしくやってくれ。鍵忘れるなよ」
廊下をスポットライトが当ったような明るさでマルトーが去る。
完璧に自分が押し倒していたと思われorzの形でへたり込む。


が、そこに懐かしい祖父の声が聞こえた
(何?押し倒したと思われた?逆に考えるんじゃ『押し倒して事実にしてしまえばいい』と考えるんじゃ)
それにしても、このジジイ外道である。
「分かりましたおじいちゃん!『女は度胸!何でもためしてみるもんさ』ってよく言ってくれた、それですね!」
微妙に間違っているが、『覚悟』を決め後ろのリボンを解きエプロンを床に落す。
「せせせ、責任取ってくれなんて言いませんから、その・・・・・・プロシュートさん?」
寝ている。もう思いっきり寝ている。
(…兄貴は、これで素なんだよなぁ。もったいねぇ)
このギャング、弟分相当の人間と仲間の状態はよく気付くが、それ以外の事はマジ疎い。
ギャングになる前、女性と付き合った事が無いというわけではないが、根っからの兄貴気質なのであまり続いてなかったりする。
面倒見と顔は良いため固定ファンが居たぐらいだが、ギャングになってからはさすがにそんなものも居ない。
「わたしって魅力無いのかしら…」
そう言いながら、自信を失ったかのようにため息を付く。
起きていれば多分、説教開始だが当人が寝ているためそれは起こらない。
モンモンとした気分でベッドに潜り込み布団を頭まで被り、色々まぁR指定一歩手前な想像をした後、寝た。


それから数日経過したがプッツンしっぱなしのルイズが昼頃プロシュートが毎日馬に乗って出かけているのを見付けた。
「ご主人様を放って何やってるのよ…!あのメイドは一緒じゃないみたいだけど」
自分が締め出している事は思いっきり棚に上げているが、毎日放っぽり出されるのは気に入らないご様子。
「昨日真夜中に帰ってきたのを見たけど何してるのよあいつ……まさか!いえ…でもそんな…だけど剣持ってるし…それに確か」
(そうなってくるとオレとしては脱走し資金・食料を得るために
  どこかの貴族の館に押し入りそいつの家のベッドの上には見知らぬ老人の死体が転がってるって事になるな)
「こんな事言ってたわよね…」

「な、何が目的だ!」
「答える必要はねーな」
その館には二人の男しか居ない。他は全て朽ち果てている。
「貴族にこ、こんな真似をしてただで済むと思っとるのか!この私を誰だとおもっちょる!死刑だ!死刑にしてやる!」
「なに…オメーが心配する事じゃあねーよ。朝、見付かるのは身元不明の老人の死体なんだからな…」
ズキュン!

屋敷から出てくるプロシュート。だがその背にはその館にあった財宝が詰め込まれていた。
「貴族つってもシケたもんだな…次は王室を殺るか…」

トリステインの貴族の館が次々と襲撃される事件が勃発するが、それは遂に王室にまで及ぶ事になる。
秘法が全て盗み出され城に残ったものは兵士とメイジの朽ち果てた死体。そして王女―アンリエッタまでもが朽ち果てていた。


「そんな事になったら…破滅だわ!…どうしよう…ヴァリエール家がわたしの代で終わるなんて…ちいねぇ様ごめんなさい!」
壁に頭を打ち付けながら犯罪的想像をしているが遂に決意したかのように立ち上がる


「フフ…ウフフフ…これは…犯行現場を突き止めて躾けないと駄目みたいなようね…」
ドス黒いオーラを出しながら後を追うべく厩舎へと向かうが後ろから有無を言わさない声がかかった。
「ほーう…この『疾風』のギトーの授業をサボってどこに行こうというのかね?」
教師陣知名度ワーストナンバー1のエセスネイプことギトーであった。
「行かせてください!ヴァリエール家の未来が懸かってるんです!」
「…ヴァリエール家の心配より君の単位の心配をしたまえ」
単位!それは学生生活においてかなりのパーセンテージを秘める言葉ッ!
現在、魔法成功率ゼロのルイズにとってそれが一つ減るだけでもディ・モールトヤバイ!
「…分かりました」
素直に従うルイズを見て教室に向かうギトーだが、歩の速度を落したルイズが少し距離を開けた瞬間…逃げた。
「かかったなッ!アホがッ!!」
「偏在だ」
「ふぎゃ…!」
杖で思いっきりシバかれたルイズが引きずられるように教師に運ばれた。
「それとオールド・オスマン師が呼んでいたので授業終了後に向かうように」


「S.H.I.Tッ!王室もロクなもんを送りつけてこんのぉ…まがいものにしても文字すら書かれておらぬではないか」
オスマン自身各地で始祖の祈祷書と呼ばれるものは幾百と見てきたが何も書かれていないというのは初めてだ。
そこにノックの音がした。
「秘書を雇わねばいかんな…また酒場に行くかの!…コホン!鍵は掛かっておらぬ。入ってきなさい」
それにしても、このジジイ全く懲りていない。
入ってくるなり開口一番ルイズが口を開いた。
「話というのは…まさか!プロシュートがどこかの屋敷を!?そうなんですねオールド・オスマン!!」
「お…落ち着きなさいミス・ヴァリエール。君の使い魔の事ではない」
かなりテンパっているルイズに少し引いているオスマンだが思い出したかのように祈祷書を差し出した。
「何ですかこれは?…まさか、ヴァリエール家取り潰しの……!!」
「…ミス・ヴァリエールの使い魔は何かやらかしたのかね?」


「あ…いえ、それでこの本は?」
墓穴掘ったと後悔しつつ話題を変えるべく話を本に戻す。
「始祖の祈祷書と言われるものでな、王室の伝統で王族の結婚式の際には貴族より選ばれた巫女が祈祷書を手に詔を詠みあげねばならん」
「それで、わたしが呼ばれた理由は?」
「姫がその巫女にミス・ヴァリエールを指名しておる」
「姫様が?」
「うむ、巫女は式の前より、この『始祖の祈祷書』を肌身離さず持ち歩き詔を考えねばならぬ」
ぶっちゃけ、今にもプロシュートが王室を襲うのではないかと気が気ではない状況なのだが姫様の頼みであるなら断れない。
「み、詔もわたしが考えるんですか!?」
「草案は宮廷の連中が推敲するじゃろうから心配せずともよい。伝統というものは厄介なもんじゃのぉ
  だが、ミス・ヴァリエール。逆に考えるんじゃ『王族の式に立会い詔を読み上げるなど一生に一度しかできない』と考えるんじゃ」
「わ、わかりました。謹んで拝命いたします」
(ヴァ、ヴァリエール家の未来が…でも姫様の頼みを断るわけにもいかないし…!)

その後、さらに数日経過し虚無の日になったが肝心の詔はキレイサッパリ浮かんでこない。
「我々は一人の英雄を失った、これは敗北を意味するのか!否、始まりなのだ!」
ボツ:英雄がウェールズなのでこんなの結婚式で詠みあげたら同盟破棄は確実。
「ウェールズは風になった――アンリエッタが無意識のうちに取っていたのは敬礼の姿であった―――涙は流さなかったが無言の愛があった――奇妙な友情があった――」
ボツ:上に同じ

「『真実の愛』がある、そして『結婚』がある。昔は一致していたが、その『2つ』は現代では必ずしも一致していない
 『真実の愛』と『結婚』はかなりズレた価値観になっている……だが『同盟締結』には『結婚』が必要だ……
  二人にもそれがもう見える筈だ……式を進めてそれを確認しろ…『仮面夫婦への道』を…わたしはそれを祈っているわ、そして感謝する                          ようこそ……『政略結婚』の世界へ…………」
ボツ:同盟云々より自分の命が危うい

「駄目ね…思い浮かばないどころか色んな電波を受信してる気がするわ…」


気晴らしに部屋の外に出るが、再びプロシュートとシエスタが馬に乗ってどっか行くのを見つけて一時間程固まった。

風上のマリコヌル ― 露伴ちゃんのように爆破され死亡
「………アギ……」
あ、まだ生きてた。

「タバえも~~~~~ん!」
と今にも叫ばんばかりにタバサの部屋の前にダッシュかまし扉を開けようとするが、扉に鍵が掛かっていてノックしてもなんの返事も無かったので…『爆破』した。
「ねぇーーーーーーー!シルフィード出してぇーーーーーーーーー!」
始祖の祈祷書片手に、部屋の中に突入するが誰も居ない。が、後ろから声が掛かった。
「あたしも『アンロック』ぐらいした事はあるけど、爆破ってのは無いわよ?」
「タバサ知らない!?というか教えなさい!」
「あの子なら…ヴェストリの広場でシルフィードと一緒だったけど…今は近付かない方がいいわよ…ってもう居ないわね」
全力疾走でヴェストリの広場に向かうが…何故か広場から煙が湧き上がっていた。
(お、おねーさまは一体なにを…)
「次は…海草 そしてワイン 豆を入れた後…野菊…干し芋 鱒 バター」
鍋の中に次々と素材を入れていく。
「そして…はしば…はッ!コフン…!ケフ…!………草」
(なんの草ですかーーー!)
大量のはしば…ゴフン!ゲフン!草を入れ仕上げに入る。
そしてその上澄み汁を水筒に入れた。
「……味見したい?」
(遠慮しますおねーさま)


「そう…気に入ったの。たーんとお飲み」
(逃げるんだよォーーーー!…っておねーさま尻尾は…!きゃうぅぅぅ!尻尾はダメって…!)
逃げようとするが尻尾を思いっきり捕まれシルフィードが悶えているとこにルイズが現れた。
「丁度良かったわ!シルフィード貸して!ヴァリエール家の危機!OK!?分かったなら乗せて!」
「虚無の曜日はこの子は動かないわよ。何があったの」
必死こいて説明するが、強盗だの、メイドだの挙句ヴァリエール家取り潰しの危機だと話が繋がっていない。
「ほら…口開けて」
(おねーさま、そ、そんな無理矢理…だ、ダメです!)
「えーっと話を繋げると、ダーリンがメイドと一緒に馬に乗って強盗しに行ってあなたの家が取り潰されるって事?」
(うぁぁぁぁ、も、もうダメ!は、入っちゃう!水筒の先が入っちゃうぅぅ)
ダーリンと聞いたタバサがもう今にもシルフィードに飲まそうとしていた水筒を引っ込め、その背に乗り込む。
(た、助かったぁぁぁ)
「どっち?」
「分かんないけど方角は城下街の方だったわ!」
「馬一頭。見付からなかったら飲ます」
(ごめんなさい、ごめんなさいおねーさま。頑張って見つけるからそれだけは許してください)
「この子が自分から動くなんて珍しいわね。あたしも行くわ」

2時間経過したが依然として見付からない。
タバサが水筒に手をやりシルフィードの頭に近付く。
(ゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナ…居ました!おねーさま!!)


シルフィードの目を通してタバサが二人を確認し水筒を収める。
「どこ!?どこに!?早くしないとヴァリエール家がぁぁぁぁ」
「あの建物に入った」
そうしてタバサが建物を指差す。
「ねぇ…あれって…」
「もしかして…」
「宿屋」
スタープラチナ・ザ・ワールド!
タバサとシルフィードを除いて時が止まり止った世界の中で、なーんかものスゴイピンク色の妄想がリプレイされたッ!
~10分経過~
「や…やるわね…あの平民…学院じゃできないぐらい激しいことをしてるって事ね…」
先に時が動き出したキュルケがジュルリと涎を飲み込み口を拭いて熱の流法に突入した。
ルイズのは方はなんかブツブツ言っている。免疫が無い分、妄想力(もうそうぢから)が高いらしい。

「……エオル…スーヌ……ル・ヤル……クサ オス………ヌ・ウ…ュ・ル……ド
    ベオー…ス……ル・スヴ……ル・カノ……シュラ ジュ……イサ………ジュー・ハ…ル・ベ……クン……ル…… 」

6XXX年、ハルケギニアは虚無の炎に包まれた!地は枯れ、海は裂け、あらゆる生命体は絶滅したかに見えた。だが!人類は死滅していなかった!!

「YouはShock!虚無で空が落ちてくるー…YouはShock……」


「なに鼻血流しながらブツブツ言ってるのよ」
モヒカン率のやたら高い世紀末世界が見えたような気がしたがルイズの妄想だったらしい。
「あああああああ、あのサカリの付いたハム…!まままままま、毎日こんな事してたんだわ……!」
今にもキレそうだが鼻血流しながら言っているあたり説得力は無い。
一人冷静なタバサが呆れたように二人を見ているが口を開いた。
「入る?」

その言葉を聞いて二人は実に迷ったッ!
キュルケの場合よろしくやっていた場合、参加するかどうかッ!
ルイズの場合、今後の扱いをどうするかッ!あと、25%ぐらい泣きたい気持ちでッ!

20分程迷った結果入る事になった。
「ゴクリ…いい…開けるわよ?ってお子様には刺激が強いわよ!」
生唾が止まらない御様子のキュルケさんだが、水筒片手にしたタバサが先に入った。
そして立ち止まって呟いた。
「珍しい…」
『珍しい』、現在進行形で脳内ピンクのお二人にはもうそっち方面としか受け取れない。
「なに?扉入っていきなり!?」
そりゃあいくらあたしでも心の準備ってもんがー。と涎を拭きながら視線を前にやるが、それ以上にブッ飛んだものを見る事になったッ!!


そこで見たものは営業スマイル全開でウェイターをやっているのは我らが兄貴だったッ!
あの無愛想面がこうも笑えるものかと思えるぐらいスゴかったッ!
「いらっしゃ……い」
扉が開いたのを見てそっちに目をやると見慣れた三人が居たので一瞬その顔を引きつらせるがすぐに顔を戻す。この男プロである。
「三名様入ります」
変わらず営業スマイルで三人を奥の方のテーブルへと運ぶと急に何時もの顔になった。
「…なにをしにきた?」
「いつもの冷静な顔もいいけど、笑顔もステキねー」
「超レア」

┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨ *┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨

「なにをしにきた?」
「そ、そりゃあねぇ…ルイズ?」
このアマーーーー!わたしに振るのかーーーーーッ!と心の中で恨みながら何とか答えた。
「あんた…が毎日、出かけてるし…きょ、今日だって…あのメイドと一緒だったから…」
「それで、尾けてきたってか」
毒気を抜かれ呆れたように言い放つ。
雰囲気が軽くなったのかキュルケが口を開いた。
「で、ここで何をやってるの?」
「…見りゃあ分かんだろ、仕事だ」
「いや、それは分かるけど…なんで?」
「色々とだ」
そうしてると珍妙な声が聞こえた。
「プロシュートちゃ~~~ん。こっちのお客様の相手してあげてぇ~~~」
「…イエッサー、ミ・マドモワゼル」
そういって離れていったプロシュートと入れ替わるようにシエスタとゴツイピチピチの衣装のオカマがやってきた。

「あれ、皆さん。どうしてこんなところにいらっしゃるんですか?」
いつもとは違ったメイド服のシエスタだったが、後ろのオカマが強力すぎてそっちは目に入っていない。
「…何…やってるの?」
「ここ、わたしの従妹とそのお父さんが経営してるんです。で、こちらがその『ミ・マドモワゼル』ことスカロンさんです」
「あら~~~可愛い娘達ねぇ~~どう?うちの店で働いてみ・な・い?」
ぶっちゃけドン引きで声が出ない。なんとかルイズが声を絞り出す。
「え…その…スカロン?さん」
「ノンノンノン『ミ・マドモワゼル』よ」
「…ミ・マドモアゼル…あいつは…ここでなにを?」
「あいつ?プロシュートちゃんのこと?この前シエスタちゃんと一緒に来てから働いてもらってるのよ~
   プロシュートちゃんのおかげで女性客も増えたんだから大満足なのよ。ン~トレビア~~ン」
初めて紹介された時スカロンがプロシュートに迫り、思わずボスが乗り移ったのは内緒だ。
「兄貴ィー、三番テーブル、シフトB」
壁に立てかけられたデルフリンガーから伝令が伝えられると声が聞こえてきた。
「お客さん、うちの店はそういう店じゃあねぇんだぜ…?」
スゴ味の聞いた声が聞こえてくると女性客から黄色い声援が上がった。
ちなみに、これで相手が引き下がらない場合。鳩尾への蹴りから鼻っ柱への膝蹴りx5が入り店の外に放り出される事になる。

そこに扉が開き客が入ってくる。だが、こちらからはそれが見えない。
「『ミ・マドモアゼル』要注意客Oが来店しましたぁ~~」
「まぁOが!?あの人、いっつも妖精さん達にイタズラするのよねぇ~~」

「…妖精さんって…なに?」
「ここで働いてる女の子達のことなんです。店の名前が『魅惑の妖精亭』っていうかららしいんですけど」
しばらくすると、軽い悲鳴が上がった。
「尻なでたぐらいで怒らんでもいいじゃろ?どうじゃ秘書やらんか!」
なんか、ものスゴク聞いた事ある声だった。
「兄貴ィーー5番テーブル、シフトO」
「全然懲りてねーなジジイ……」
「ゲェーーー!どうしてここに…!そ、そうじゃ、良いものあげよう!…だからこの件は内密にな…?」
「……なら、こいつを立て替えて貰いてぇんだが…経費で落ちんだろ…?」
「どれどれ…ちっとばかし高くない?これ」
「無理ならいいんだが…魔法学院院長っつー身分を笠に『魅惑の妖精亭』でセクハラか…大変だな明日から」
「分かった!分かったから…!内密に頼むぞい!」
どう見ても恐喝です、本当に(ry

それを終えたプロシュートが戻ってきた。
「『ミ・マドモアゼル』…金は今できたから今日で抜けさせてもらうぜ」
「あらぁ~~~残念ねぇ~~プロシュートちゃんならいつでも歓迎よ」
「そんときは世話になるかもしれないが、頼むから顔を近付けるなッ!」
「いいじゃない、キスしちゃうわぁ~~~」
「うぉぉぉぉああ!!シエスターッ何やってるーッ!早くこいつを止めろーーーッ!!」
ある意味列車から落ちそうになった時より必死であった。

プロシュート兄貴 ― スーツ代GET が精神的に少々ダメージを負う。
要注意客O― スーツ代を経費で落そうとするがもちろん落ちず自腹確定。
ルイズ&キュルケ&タバサ&シエスタ ― 引きつった笑みを浮かべながら傍観

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