ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

使い魔は静かに暮らしたい-18

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匿名ユーザー

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見つめてくるルイズを無視しゴーレムを見る。ゴーレムはこちらに移動してくる。
もう一度ルイズを見る。腹を押さえ込み蹲っている。痛みで暫らくは動けないだろう。これでいい。
ゴーレムはルイズに止めを刺すはずだ。つまりその分私はより遠くへ逃げることが出来る。
よかったなルイズ、無駄死にじゃないぞ。私の自由を約束させる死だ。そしてゴーレムから逃げるように走り出す。
少しゴーレムの足が速いのでデルフリンガーを抜き放つ。体が軽くなり早く移動できる。
「おい、相棒。お嬢ちゃん見捨てるのか?」
デルフリンガーが話しかけてくるが無視する。
後ろを見る。そろそろルイズが殺されるはずだ。ゴーレムがルイズの場所に着く。ルイズは蹲っている。よし!やれ!
しかしゴーレムはルイズを無視し私のほうへ向かってくる。
何だと!?どうして私なんだ!?ルイズに止めさせよ!
そう思っていると視界がぶれる。体に衝撃が走る!デルフリンガーが飛んでいく。どうやら転んだらしい。
前見て走ってなかったからな。ってそんなこと考えてる場合じゃない!ゴーレムは私のほうに向かって来ているんだぞ!早く立ち上がって逃げなければ!
急いで立ち上がる。が、突然影が出来る。後ろを振り向く。そこにはゴーレムがいた。既に拳を振り上げている。
やばい!何も考えず目の前に転がる。風圧を感じる。転がった勢いですぐに立ち上がる。私がいた場所にはゴーレムの拳が突き刺さっていた。
ゴーレムが拳を上げると直径1mほどの穴が出来ている。こんなもの食らったら死んでしまう!
移動しようとするが足に痛みが走る。どうやら転んだときに足を痛めたらしい。だが走れないほどではない!
しかし足の痛みを自覚した一瞬が命取りだった。拳はもうそこまで迫ってきているのだ!
死ぬのか、幸福になれずにこんな場所で死んでしまうのか!せっかく生き返ったのに!
「このくそ野郎がぁぁぁあぁぁ!」
意味がないとわかっているが腕でガードしようとする。きっと車とぶつかったらこんな感じだろう。そんな衝撃が体を貫く!

吹っ飛んで転がる。い、生きている!まだ、生きているぞ!体勢を立て直し立ち上がる。あれ?
何でこんなにも簡単に立ち上がれるんだ?幾らなんでもおかしい。体中痛いが怪我の痛みじゃない!
何故怪我をしてないんだ!腕も骨が折れているどころかかすり傷一つない!
そんなことを思っているうちにゴーレムの攻撃範囲に入ってしまっている。ゴーレムの拳がまた来る!
しかし今度は何故か焦りはない。むしろ体の欠けていた部分が埋まったような感じがする。よくわからないが負ける気がしない。
向かってくる拳を払うように右腕を振る。何故かはわからないがそれが当然であると感じられる。
拳もうすぐそこだ。だが恐怖は驚くほどない。そして……右腕からさらに腕が生えてくる。その腕がゴーレムの腕を打ち払う!
ゴーレムは何ともない。しかし私は払った衝撃で後ろに飛ぶ。それを利用して距離を稼ぐ。
別に腕が出てきたことに驚きはしなかった。出て当然という感覚がある。その腕があることを意識して動かそうとしてみる。
右腕から手の甲に髑髏がついた機械的な腕が出てきた。その掌を握ったり開いたりしてみる。何も違和感を感じない。
初めの一撃もこの腕がガードしたのだろう。
とにかく今はそんなことを確認している場合じゃない。
ゴーレムから距離をとる。この腕があるからといって倒せるわけじゃない。
そんなことを考えているとルイズが近くにいた。腹を押さえているがどうやら動けるようになったらしい。
「なんであんなことしたのよ」
ルイズが聞いてくる。顔は俯いてて表情は伺えない。生きていたのは想定外だったのでどう言い訳するか。
「足手まといだったからだ。ちょろちょろ動かれると迷惑なんだよ。囮になっても逃げやしない」
私に向かってきたことを口実に「自分が囮になって引き付けてました」と言う。
ルイズが驚いたように顔を上げる。信じたかな?ゴーレムがこちらに向かってきている。
「早く逃げろ。ゴーレムが来る」
さも気遣っているような台詞を言う。ん、何か来る!?目の前に何かが着地する。本で見たドラゴンそっくりだ。
タバサがドラゴンに跨っている。
「乗って!」
タバサが叫ぶ。ルイズをもう一つの腕を使い一気に上にのし上げる。さらにタバサが抱えていたロケットランチャーを奪い取る。
これならゴーレムも破壊できるんじゃないか?

ロケットランチャーを手に取った瞬間使い方を理解する。
もう近くにいたが関係ない。ゴーレムに打ち込む。ゴーレムの上半身が爆発する。土の塊が私たちに振り注ぐ。
ゴーレムの下半身は土へ帰っていった。ルイズたちは口を空けたまま呆けている。
私はそれを見ながら体から土を払う。もうちょっと離れて使うべきだったな。そう思いながらロケットランチャーを投げ捨てる。
キュルケが走りよってくる。私はそれを無視しデルフリンガーを拾いにいく。
「忘れたかと思ったぜ、相棒」
その言葉を無視し鞘にしまう。ルイズたちが私のほうに寄ってくる。
「ヨシカゲ!すごいわ!やっぱりダーリンね!」
キュルケが抱きついてくる。
「フーケはどこ?」
タバサの一言でキュルケとルイズがはっとする。忘れてたのか。
後ろから足音がする。皆が後ろを振り返るとロングビルがロケットランチャーを持って立っていた。
そしてロケットランチャーを私たちに突きつける。
「ご苦労様」
どうやらロングビルがフーケだったようだ。
「動かないで?破壊の杖は、ぴったりあなたたちを狙っているわ。全員、杖を遠くへ投げなさい。」
ルイズたちが杖を投げる。私はデルフリンガーの柄に手を添える。
そして抜き放つとロングビルのところへ駆ける。ロングビルは驚いたようだがスイッチを押す。
しかし何も起こらない。そして私はロングビルの手を切り落とす。ロングビルの悲鳴が響き渡る。……手?
どうして私は手なんて切っているんだ?首を撥ねようと思ったのに?いつの間にかもう一つの腕も出てきている。
手から目が離れない。自分が自分じゃないような感覚だ。切り取った手に手が伸びる。
「ヨシカゲ!」
その声が私を現実に引き戻す。腕は消えている。フーケを踏みつけ黙らせる。なんだったんだ今のは?
手を見るがもう何も感じなかった。


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