ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

本気男-5

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『ささやかな』朝食も終わり、俺と小娘は授業を受けるために教室へ向かった。受ける必要があるのは
小娘だけで、俺は使い魔として『いる』だけでいいんだが、『魔法』の授業っつーのは俺も興味があるぜ。
ちょっぴりワクワクしながら教室に入る。教室内にはすでに結構な数のガキ共と・・・
(うわーお、いやがるいやがる。見たこともねーナマモノがいっぱいよォー)
犬、ネコ、鳥公、蛇、亀、カエルのような馴染みのある格好のやつらもいれば、
空飛ぶ目玉やら蛸人魚やら足生えた魚やら真ん丸いドラゴンやら、明らかにファンタジーなやつらもいる。
(お、ボンキュとメガネもいやがる。同じクラスだったんだな)
ボンキュの周りには男がアリのように群がっている。やっぱアレの魅力には勝てねーよな。
メガネは相変わらず黙々と本を読んでいた。
とりあえず使い魔の心得『主人が椅子に座るときは椅子を引くこと』を実行して、
「御主人様よォー、俺はどこに座ればいいんだ?」
「・・・使い魔は床よ・・・」
小娘はそれだけ言うと黙っちまった。
(ちょっとビビらせ過ぎたかねェー・・・飯のことになるとマジになっていけねェ)
ちょっぴり大人気なかったなー、と反省しつつ俺は床に腰を下ろそうとしたが、
狭いうえに机が邪魔でなんも見えねーので後ろの机に寄りかかった。
お、フレイムがこっちによってきた。よーしよしかわいいやつだなおめーはよー。
だがそのしっぽを少しでもこっちに近づけやがったらビンに詰めて窓から投げ捨てるからなー。

俺が再びフレイムと心温まる交流をしていると、紫のローブを着たオバハンが入ってきた。趣味悪いな。
「ごきげんよう、皆さん。これから一年『土』系統の授業を受け持つシュヴルーズです。よろしくお願いしますね」
その先公はそうあいさつした。そのあと教室を見渡し、
「春の使い魔召喚は大成功のようですわね。このシュヴルーズ、最初の授業で様々な使い魔を
 見るのがとても楽しみなのですよ」
ん?こっち見たぞ?
「あらあら、随分珍しい使い魔を召喚したものですね。ミス・ヴァリエール」
とたん教室中が爆笑に包まれた。小娘はじっと俯いている。俺もちょっぴりカチンときたね。
あっちに浮いてる帽子みたいのの方がよっぽど珍しいだろうがよォー。

「『ゼロ』のルイズ!その辺歩いてた平民を連れてくるなよ!」
うっせー小太り。歩いてたんじゃなく死んでたんだっつの。
「きちんと召喚したわよ!!このオヤジが勝手に来ちゃっただけだもん!!」
小娘が小太りに言い返す。っつーか俺ってそんなオヤジ臭い?
「うそつけ!『サモン・サーヴァント』できなかったんだろう?」
「ミセス・シュヴルーズ!『かぜっぴき』のマリコルヌに侮辱されました!」
「『かぜっぴき』じゃない!『風上』のマリコルヌだ!」
「あんたの声はガラガラでまるで風邪引いてるみたいじゃないの!」
あーもう、うっせうっせうっせーなァァァ。

「そんくらいにしとけ御主人様よォ、まったくしょおがねーなあぁぁ」
「むぎゅ!」
小娘の小うるさい口を塞ぐ。貴族のお嬢様なんだからもっとおしとやかにできねーのかねー。
「ははは!自分の使い魔に注意されるなんてな!」
「うっせーぞ、小太り。お前の『風上』っつーのは『風上にもおけねー』っつー意味か?」
「なッ!?」
言葉に詰まる小太りにさらに追い討ちをかける俺。
「ちなみによォー、『風上にもおけねー』っつー言葉の語源はな、臭いもんを風上に置いとくと
 臭いが広がってどうしようもねーっつーことなんだぜェェ」
「ぼ、ぼくが臭いだって!?」
「んなこたぁー言ってねーよ。俺は言葉の語源について説明しただけだぜ。もしかして自覚があんのか?」
「うぐッ!う・・・」
「そろそろおやめなさい、ミス・ヴァリエール、ミスタ・マリコルヌ。
 それ以上騒ぐのならお二方に罰をあたえますよ」
流石に騒ぎすぎたようだ。オバハンに怒られ、小娘も小太りも渋々椅子に座った。
俺も元の位置に戻る。いてっ。小娘に足を踏みにじられた。
「こほん、それでは授業を始めますよ」

とりあえず魔法は四種類『火』『水』『土』『風』って分かれてるようだ。
ついでにもう一つ『虚無』っつーのがあったらしいが今は失われているらしい。へぇへぇへぇ。
「その五つの系統のなかで『土』が最も重要なポジションを占めていると、わたしは考えています」
『土』は金属を生み出したり加工したり、家を建てたり農作物を収穫するのに必要な魔法らしい。
さらにオバハンは『土』の基礎らしい『錬金』とやらを見せた。ただの石が光と共に金属に変わった!
(うおォォォ!スゲェ!金か?あれ)
「ミセス・シュヴルーズ!ゴ、ゴールドですか!?」
考えてることは同じだったらしい、ボンキュが身を乗り出した。
「いえ、これは真鍮です。ゴールドの錬金は『スクウェア』クラスでなければ不可能です。
 わたしは『トライアングル』ですから」
ん?スクウェア?トライアングル?なんのことだ?
「御主人様よォー、スクウェアとかトライアングルってなんだ?」
俺が小声で小娘に尋ねると、小娘は小さくため息をついてから説明した。
「魔法の『系統』を足せる数のことよ。それでメイジのレベルが決まるの。
 例えば『風』に『水』を足せば吹雪を起こせるし、『火』を二つ足せばより強力な炎をだせるわ。
 一つの系統しか足せないのが『ドット』で、それから『ライン』『トライアングル』『スクウェア』
 の順に足せる数が増えて、より強力なメイジってことよ」
「なるほどなァ。グラッツェ、よくわかった」
「!・・・べ、別に基本よ!これぐらい」
つまりあのオバハンはトライアングルだから『三つ』魔法を足せる、結構上等な魔法使いっつーことか。
金を錬金できるのはさらに上の最上級の魔法使いでないと無理のようだ。

(ん?まてよ・・・この小娘はどうなんだ?)
俺が再び小娘に訊こうとすると、
「授業中はお静かに。ミス・ヴァリエール」
あ、オバハンに見つかった。
「す、すいません・・・ミセス・シュヴルーズ」
小娘がキッとこっちを睨んできたが、知らん振りした。
「お話をする余裕があるのなら、前に出て錬金をやっていただけますか?」

「え?は・・・はい・・・」
どうやら小娘がかわりに錬金をやってみることになったようだ。実力を知るいいチャンスだ。
災い転じてなんとやらってやつだな。俺にはなんの災いもないけど。
だがどうしたことか、小娘が前に出ると教室内が騒然とし始める。
「ルイズ!やめなさいって!危険だから!」
とボンキュがあわてて止めたが、小娘はチラッとそっちを睨むと、無視して呪文を唱え始めた・・・

カンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカン
ん?なんの音だ?
『心の警鐘ッテやつだゼェー』
へー、初めて聞いたわ。
『オ前ニ『凶』が迫ってるッツー『本能』ノ警告だゼェー。気ヲつけなァー。
 アンラッキーアイテムは小石の破片、アンラッキーパーソンはお前の御主人様ダ』
あー、親切にどうも・・・ってかお前誰?
そうこうしてる間に小娘は呪文を唱えるのをやめ、小石をしっかりと見据えた。
そして持ってる杖を振り上げた・・・瞬間。

ゾ ワ ッ

(!!!)
『ヤバイ』俺のギャングとして、暗殺者として長年培ってきたカンがそう言った。
「リトル・フィートッ!」
何が起こるのか全く見当もつかなかったが、とりあえずスタンドを前面に出現させたとたん、

ドッグオォォォン!!

小石が爆発した。


to be continued...

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