ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

使い魔は今すぐ逃げ出したい-25

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匿名ユーザー

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デルフが何か言う前にデルフを鞘に収める。喋る隙など与えない。
「参ったね」
ワルドが困ったようにそう言う。キュルケもそれに賛同し頷く。
しかし何でこんな目にあうんだ!いつもいつも私が平穏を手に入れそうになると必ず邪魔が入る!
幽霊屋敷の時も!そして今も!私に魂の休息は訪れないのか!?
「やっぱり、この前の連中は、ただの物盗りじゃなかったわね」
キュルケが呟く。
「……やつらはちびちびとこっちに魔法を使わせて、精神力が切れたところを見計らい、一斉に突撃してくるわよ。そしたらどうすんの?」
「仮にぼくの『ワルキューレ』で攻撃しても一個小隊ぐらいが限界かもしれないしね。戦い方を見るに相手は手錬れの傭兵だろうし」
キュルケとギーシュが敵を戦力を淡々と分析する。よく見ているな。とても任務中に酒を飲んでいた奴らとは思えない。
タバサに到ってはこの状況で優雅に本を読んでいる。しかもパジャマだ。こいつら、戦い慣れしているのかただの馬鹿なのか判別できんな。
「いいか諸君」
突然ワルドが私たちに呼びかける。
「このような任務は、半数が目的地にたどり着ければ、成功とされる」
するとタバサがすぐに囮と桟橋へ行く者を決める。
囮はタバサ、キュルケ、ギーシュ。桟橋へ行くのは私、ルイズ、ワルドだ。
タバサはどうやら戦い慣れしている方らしいな。
「時間は?」
「今すぐ」
ワルドの問いにタバサが返す。
「聞いてのとおりだ。裏口に回るぞ」
「え?え?ええ!」
ワルドの言葉にルイズが驚きの声を上げる。私としては何で桟橋に行くんだ?って驚くがな。船は明日の朝じゃないと出航できないんだろう?
別に囮は驚くようなことじゃない。私としてはギーシュたちが死んでも問題ないしな。
それにしても本当にこの世界の船はどんなのなんだろうか?
「今からここで彼女たちが敵をひきつける。せいぜい派手に暴れて、目立ってもらう。その隙に、僕らは裏口から出て桟橋に向かう。以上だ」
ワルドがルイズに説明する。

「で、でも……」
ルイズはそう言いながらキュルケたちを見る。
「ま、しかたないかなって。あたしたち、あなたたちが何しにアルビオンに行くのかすら知らないもんね」
「油断しなければ負けはしないさ。それにヨシカゲに屈辱を返すまでは死ねないしね」
キュルケは髪をかきあげながら、ギーシュは口に杖を銜えて言う。ギーシュは絶対ただの馬鹿だな。
「行って」
タバサが私たちを促す。
「でも……」
しかしルイズはそれでも尻込みしている。もう置いていったらいいかもしれんな。
「ねえ、ヴァリエール。勘違いしないでね?あんたのために囮になるんじゃないんだからね」
そんなルイズにキュルケがそう言い放つ。
「わ、わかってるわよ」
その言葉に押されたのかようやく決心がついたようだ。ルイズがキュルケたちに頭を下げる。何だかんだ言っても感謝はしているらしい。
ルイズとワルドと一緒に低い姿勢を保ちながら厨房を目指し歩き出す。矢が飛んできたが何かで防がれる。きっとワルドかタバサだろう。
「ダーリーン!帰ってきたらキスしてねーーー!」
キュルケが言ってくる。そんなこと言ってももう帰ってこないけどな。
酒場から厨房に出て通用口にたどり着く。そして酒場のほうから爆発音が聞こえてきた。
「……始まったみたいね」
ルイズが呟く。ワルドはドアに身を寄せ外の様子を探っている。
「誰もいないようだ」
そう言ってドアを開け外へ出る。
「桟橋はこっちだ」
そう言ってワルドが先頭を走り出す。そしてそれに続いてルイズ、しんがりが私という形になった。
夜だが月明かりで明るい。これなら敵がいてもすぐにわかる。
走っているとワルドが建物の間に入る。そこには階段があった。ワルドとルイズはその階段を上がり始める。
長い、とにかく長い階段だ。なんで上がるんだ?やはりこの世界の船は元の世界とは違うらしいな。
上がっていると何か大きな音がする。
振り返ってみるとさっきの酒場があった場所に巨大なゴーレムが存在していた。さっきのゴーレムだ。ということは敵はまだ死んでなかったらしい。
腹と胸に2発ずつ撃ったんだぞ!?ダメ押しで顔にも撃ったのに!?それで死なないなんてどんな奴だよ!
ルイズとワルドもゴーレムを確認したらしく足を止めている。

「……あれ、やばいんじゃない」
ルイズの声が震えている。おそらくキュルケたちのことを心配しているのだろう。ゴーレムは傭兵たちを巻き込んで暴れているらしく人間の悲鳴がここまで聞こえてくる。
「それでも僕たちは先を急がなければいけないんだ。囮になった彼らのために……」
ワルドはそう言うとまた階段を上り始める。ルイズも頭を振り払いまた上り始めた。
私としてはキュルケたちには死んでほしい。もしかしたアルビオンに来るかもしれないからだ。まあ、あの様子じゃ死んだな。
そして私もまた階段を上り始める。
やがて階段を上りきると丘の上に出た。そこには巨大な樹があった。あまりの大きさにさすがに驚いてしまう。
上を見上げると大きな枝が四方八方に伸びている。本当にでかい。まるで山だ。
よく見ると枝に何か付いている。飛行船みたいなものだ。もしかしてあれが船だろうか?
ワルドは樹の根元へと駆け寄る。ルイズと私もそれに続く。樹の根元は空洞になっていた。吹き抜けみたいな感じだ。
夜だからだろうか、人影は見えない。空洞の各所に階段と鉄(であろう)で出来たプレートが貼ってある。
ワルドはその中の一つに駆け寄り上り始める。私たちもそれに続く。
しかしこの階段は意外に怖いな。木で出来ていて、1段登るごとにしなる。手すりはボロく有るようで無いようなものだ。
扱けたらどうなるかは考えないようにしよう。
暫らく上がっていると踊り場があった。やっと安定した場所だ。そう思っていると後ろから追いすがるような足音が聞こえる。
敵か!?そう思いデルフを抜くとその勢いのまま後ろに斬りかかる。もし敵じゃなくてもこの状況じゃ仕方ないよな!
しかしその攻撃は掠っただけで相手に当たることはなかった。
なんと自分の上を跳び越した!マジかよ!?
デルフを振った反動でさらに振り返ると敵(絶対に敵だ)はルイズの背後に着地する。ルイズが振り向くと敵はルイズを一瞬で抱え上げる。
「きゃあ!」
ルイズの悲鳴が上がる。人質のつもりか!?馬鹿め!私に人質が通用すると思うか!むしろチャンスだ。そのまま男に躊躇無く剣を振り下ろす。
ルイズを抱え上げるその一瞬が勝負の分かれ目だ!ルイズ諸共死ね!


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