図書室の外で、キュルケは目を光らせていた。
タバサがさきほど図書室に入っていくのを見たからだ。
それだけなら別にこんなことをする必要などないのだが、あそこには先にDIOがいたはずだ。
そのことを思い出したキュルケは胸騒ぎがし、しかし踏み込むわけにもいかず、こうして図書室の外で様子を窺っていたのだ。
---ガチャリと音がして、ドアが開いた。
キュルケは身構えた。
そこから出てきたのは、幸運なことにDIOではなくタバサであった。
どうやらなにごともなかったようだ、とキュルケはひとまず安心した。
タバサはチラリとこちらを見ただけで、何も言わずにトコトコと立ち去ろうとした。
いつもと違って幾分軽快な足取りである。
機嫌が良いのだろうか、とキュルケは思って声をかけた。
タバサがさきほど図書室に入っていくのを見たからだ。
それだけなら別にこんなことをする必要などないのだが、あそこには先にDIOがいたはずだ。
そのことを思い出したキュルケは胸騒ぎがし、しかし踏み込むわけにもいかず、こうして図書室の外で様子を窺っていたのだ。
---ガチャリと音がして、ドアが開いた。
キュルケは身構えた。
そこから出てきたのは、幸運なことにDIOではなくタバサであった。
どうやらなにごともなかったようだ、とキュルケはひとまず安心した。
タバサはチラリとこちらを見ただけで、何も言わずにトコトコと立ち去ろうとした。
いつもと違って幾分軽快な足取りである。
機嫌が良いのだろうか、とキュルケは思って声をかけた。
「何?」
と素っ気ない返事と共に、タバサは振り向いた。そのタバサの顔を見たキュルケは、違和感に眉をひそめた。
タバサが幾分特殊な環境にあるだろうことをキュルケは何となく感じ取っていた。
『タバサ』などという偽名を使っていることから、複雑なお家事情があるのだろう。
タバサが心に傷を負っていることを知っているキュルケは、タバサがいつも暗い影を背負って生活していることを理解してもいた。
……ならばこれは一体どういうことか?
タバサが幾分特殊な環境にあるだろうことをキュルケは何となく感じ取っていた。
『タバサ』などという偽名を使っていることから、複雑なお家事情があるのだろう。
タバサが心に傷を負っていることを知っているキュルケは、タバサがいつも暗い影を背負って生活していることを理解してもいた。
……ならばこれは一体どういうことか?
タバサはいつもどおりの無表情だ。
しかし付き合いの長いキュルケは、いつもの彼女のソレではないことを敏感に察した。
表情に影が全くない。
まるでつかえが取れたような、肩の荷が下りたような、実に晴れ晴れとした雰囲気だった。
考えられる原因は一つしかない。
しかし付き合いの長いキュルケは、いつもの彼女のソレではないことを敏感に察した。
表情に影が全くない。
まるでつかえが取れたような、肩の荷が下りたような、実に晴れ晴れとした雰囲気だった。
考えられる原因は一つしかない。
「タバサ……!?何かあったの?アイツに……DIOに何かされた?」
タバサがゆっくりと答える。
まるで別人のようだと、キュルケは感じた。
まるで別人のようだと、キュルケは感じた。
「別に……なにもない。…新しい本を、借りただけ」
そう言って小脇に抱える本を見せるタバサだったが、キュルケには全く目に入らなかった。
彼女は本当に、私の知っているタバサなのだろうか……?
キュルケは胸に去来するザワザワという感覚を抑えられない。
彼女は本当に、私の知っているタバサなのだろうか……?
キュルケは胸に去来するザワザワという感覚を抑えられない。
「…………」
そんなキュルケの内面を悟ったのか、タバサはニッコリと微笑んだ。
「大丈夫だよ、キュルケ。大丈夫」
綺麗な笑顔だと、キュルケは場違いにも思った。太陽のような、華やかで、可憐で、鮮やかで…………残酷な笑顔だった。
呆気に取られて、歩み去るタバサを引き止められなかった。
先ほどのタバサの笑顔……、キュルケは我が身が張り裂けそうな思いだった。
虚空に伸びる手は、タバサを捉えることはなかった。
呆気に取られて、歩み去るタバサを引き止められなかった。
先ほどのタバサの笑顔……、キュルケは我が身が張り裂けそうな思いだった。
虚空に伸びる手は、タバサを捉えることはなかった。