ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

タバサの安心・キュルケの不安-3

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匿名ユーザー

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キュルケは、タバサがどこか遠い所へ行ってしまったように思った。
虚空に伸びる手のひらをギリリッと握る。爪が肉に食い込み、血が滲んだ。
いつかはタバサの本当の笑顔を見たいと思っていた……
だから、こんな形で、あんな偽物の笑顔を見せられては、自分に対する侮辱ではないか……。
キュルケの瞳は怒りで震えていた。
キッと図書室の方を見る。
全ての元凶はあそこにいる。
キュルケは怒りに震える手で図書室の扉に手をかけ、一気に開けた。
普通は光が闇を浸食するはずなのだが、このときばかりは図書室の闇がこちらの光を喰ってくるかのように、キュルケは錯覚した。
昼間のはずなのに、中は真っ暗だ……。
キュルケは杖を構え、ライトの呪文を唱えた。
意を決して闇に踏み込む。
そのあまりにも儚い光を頼りに、DIOがいるだろう最奥を目指した。
一歩、また一歩とDIOに近づいていくにつれて、キュルケは息苦しさを感じた……
全身に鳥肌が立つ。
気を抜けば震えはじめる膝に喝を入れつつ、キュルケはようやく最奥の一角に到達した。
しかし、そこに人影はなかった。
不安が一気に頂点に達し、キュルケはあたりを見回した。

「何か……用かな?」

闇が見下ろしていた。

上から聞こえてきた呼び声に、キュルケはバッと振り返り、視線を上に向けた。
見れば、一つの影が、ハシゴの上で本棚を物色していた。
DIOだ。
実際に相手を目にして、怒りを新たにするキュルケを置き去りに、DIOはするすると優雅にハシゴを下りてきた。
手には一冊の本があった。
チラリとタイトルが見えた。
『よい子のたのしいゲルマニア語』という題名だった。
キュルケにとってはどうでもよかった。

DIOは、キュルケに対して体を横に向け、本を開きながら再び聞いた。

「それで………この私に一体何の用だね……?」
深い意味も何もない、純粋に疑問だから聞いた、という風の静かなDIOの問いに、キュルケは対照的な轟声で言い放った。
「アンタ……DIO!あの子に……タバサに何したのよ!!!」

我が身に絡みつくような恐怖を振り払わんと、キュルケは叫ぶ。

DIOは、ふむ……と考え込むそぶりをした。
しばらくの沈黙の後、返答があった。

「別段何も……?ただ、タバサ君と『友だち』になっただけだよ。タバサ君は喜んで私の申し出を受け入れてくれた。」

(---ッ、いけしゃあしゃあと……!)

キュルケはギリッと唇を噛み締めた。


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