ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

使い魔は今すぐ逃げ出したい-15

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匿名ユーザー

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崖の上から何やら声が聞こえてくる。よく聞かなくてもわかる、悲鳴だ。
上で何かあったのだろう。多分この羽音と関係しているに違いない。敵は矢を空に放ち始める。
そして暫らくすると崖の上で小型の竜巻が起こる。
「おや、『風』の呪文じゃないか」
ワルドが呟く。そして崖の上にいた敵は無様にこちらに落ちてきた。それを見て剣を収める。敵は複数の男たちで、どう見ても貴族ではない。
敵を観察していると、
「シルフィード!」
と驚き叫ぶルイズの声が聞こえた。上を見ると月を背にドラゴンが見えた。何だか見覚えがあるような気がするな?
ドラゴンがこちらに近づき地面に着地すると背からなんとキュルケが飛び降りてきた。ドラゴンの背を見るとタバサも乗っている。
そうだ、このドラゴンはタバサの使い魔だったな。しかしタバサ、何故パジャマ姿なんだ?本人はそれを気にした様子もなく本を読んでいる。
「お待たせ」
キュルケは髪をかきあげつつ言った。
「お待たせじゃないわよッ!何しにきたのよ!」
ルイズはグリフォンから下りるとキュルケに怒鳴りつける。しかし正直助かったけどな。
「助けてあげたんじゃないの。朝がた、窓からあんたたちが馬に乗って出かけようとしてるもんだから、急いでタバサを起こして後をつけたのよ」
……実はこいつルイズのストーカーなんじゃないのだろうか?普通ついて来るなんて選択肢は出てこない。
あれか?男をとっかえひっかえしているのはルイズに振り向いてもらうためか?ありえなくもないな……
なるほど、それでパジャマなのか。タバサは健気だな。感心する。実はキュルケの使い魔なのかもしれない。
その後ルイズがこれがお忍びであることをキュルケに告げる。

しかしキュルケはそれを気にした様子はなく、ワルドに近づいていく。どうやらワルドを口説こうと思っているようだ。無理だと思うがな。
そして怪我をして動けない男たちの方へギーシュと共に向かう。勿論尋問するためだ。
しかし初めは騒いでいた連中は私たちが近づくにつれ顔を俯かせ何も喋らなくなった。何故だ?
「ひゃあ、ひゃせほくはちほほそっひゃほかひゃべってほりゃおうきゃ」
ギーシュが力強く何かを言う。何かをだ。もはや何を言っているかさえわからない。おそらくさっきの小石とかだろう。
そして敵が喋らなくなった理由がわかる。ギーシュの見た目だ。はっきり言って直視できない。
私もさっきちらりと見たきりもう見ていない。つまり敵にすら同情されているのだ。可哀想な……
しかしこれでは尋問が出来ない。
「ひゃひほはまってひるんだ。ひゃやきゅひひはまえ」
もう喋るなギーシュ。自分でも気づいているんだろ。自分がどういうことになっているか。
「ひゃ、ひゃやくひゃへってくれ……へらいと」
「もういいギーシュ、わかってるから向こうへいってろ」
ギーシュの肩に手を置き、そう宣言する。
ギーシュは驚いて後ろを向く。つまりあの顔を直視することになる。しかし覚悟を決めていたので取り乱したりはしない。
ギーシュの瞳には涙が溜まっていた。頬が腫れすぎて涙が流れないのだ。
「きっとワルドも少しぐらいなら『治癒』の呪文ぐらい使えるはずだ。行って来い」
やさしく背中を叩くとギーシュはワルドに向けて走り出した。一抹の希望を見出したのだろう。
さて、私が尋問しなければならないな。それ受け止め敵に向き直る。
後ろで「誰だ!?」とか「きゃーーーー!」とかドラゴンの背から何かが落ちる音とかが聞こえてくるが聞こえない振りをする。
嗚咽が聞こえてきても知らない振りをする。こ、ここは範囲ではないから大丈夫だ。が、念を入れて離れておこう。

男たちを二人だけ残してあとは気絶させる。そして二人を引っ張ってギーシュたちから離れる。
引っ張られている男たちは文句を喚き散らしてくるが気にせず運ぶ。
さて十分離れたな。
「さて、お前たちが私たちを襲った理由を話して貰おうか」
「けッ!てめーら襲う理由なんて物取り以外在るかよ!」
やはりその回答か。男を一人蹴り倒す。
「イテェ!何するんガッ!?」
顔も蹴り上げる。さらに腕を足で踏み押さえつけ、デルフリンガーを抜き指を切り落とす。
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!」
考えてみればおかしい。はっきり言ってこいつらが私たちを襲うはずが無い。ただの物取りならなおさらだ。
何故なら平民にとって魔法を使える貴族は本当に恐ろしいもののはずだ。
しかもお忍びとは言ってもワルドやルイズ、ギーシュの格好は貴族であることを隠していない。特にワルドはそうだ。
一人ならともかく3人もメイジが居るともなれば普通は襲わないだろ。
そこを通るやつを襲うにしても相手がどんな奴か確認してから襲うだろうしな。
つまりこいつらは物取りを装って私たちを襲おうとしていた可能性がある。
本当に物取りかもしれないがそうだとしても問題ない。用心するに越したことは無いからな。


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