ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

DIOが使い魔!?-35

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匿名ユーザー

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あの後、オールド・オスマンは取り敢えず、倒れたロングビルの処置をコルベールに丸投げした。
ケガの理由が気になるが、
口も動かぬ、体も動かぬでは、聞き出しようがない。
仕事を押しつけられたコルベールは、しかし、
何故か必要以上に甲斐甲斐しい態度で、彼女を医務室へと運んだ。

オスマンはその様子をチラとだけ見て、直ぐに教師達に向き合った。

ロングビルの容態に気を取られていた教師達に対して、
矢継ぎ早に指示を与えて、事実隠蔽のための下積みを着々と行わせた。
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その日の夜、ミス・ロングビルは医務室で目を覚ました。
全身には痛々しく包帯が巻かれている。
体は動かなかったので、顔だけを横に向けると、
コルベールがイスに座って居眠りをしていたのが見えた。
どうやらずっと看病してくれていたようである。
ぼんやりとコルベールを見ていたロングビルだったが、不意にあることに気がついた。
彼女が寝かされているベッドは、ちょっと前まで、
ギーシュ・ド・グラモンが使っていたものだったのだ。
たしか彼は最近、ようやく復帰したところだと、
ロングビルは聞いていた。
あまりの縁起の悪さに、彼女はとても不快そうな顔をした。

すぐにベッドを移してもらおうと、ロングビルは思った。

…と、イスで居眠りをしていたコルベールが、目を覚ました。
彼は眠そうに二・三回目をこすった後、ロングビルの方をみて、驚いた。
「おぉ…、ミス・ロングビル、お目覚めですか…!
あなたがあんな状態で現れたときには私はもう、
ひっくりかえってしまうかと…!はい!」
コルベールはあわてて駆け寄り、ロングビルの手を取り、ギュッと握った。

「…ご迷惑を、おかけしてしまいましたね……」ロングビルは自嘲気味に微笑んだ。
その悲哀に潤んだ瞳に見つめられて、コルベールは胸が張り裂けそうだった。

「いえ!いえ!あなたさえ生きていれば私は…!」
コルベールは顔を真っ赤にしながらまくしたてた。

「……優しい方なのですね、ミスタ・コルベールは…」

しばらくの間、無言で見つめあっていた2人だったが、バタバタと近づいてくる足音に気づくと、
コルベールはあわてて目を逸らして、咳払いをした。

おそらく、医務室に勤務しているメイジが報告したのだろう、
ミス・ロングビルが意識を回復したと聞いて、オールド・オスマンが駆け付けた。
コルベールはイスから立ち上がって直立した。

「意識は戻ったようじゃな、ミス・ロングビル」
「…はい、オールド・オスマン」
オスマンは労いの言葉もかけずに、すぐさまケガの理由を追及し始めた。

「では、本題じゃが…どうしてそこまでのケガを負うことになったのじゃ?」
「……申し訳ありません。
実は私、朝から急いで調査をしておりましたの…」
「ほぅ、調査とな」
ロングビルは頷いた。

「はい。
今朝方、起きたら大騒ぎではありませんか。
そして、宝物庫もあの通り。
壁のサインを見つけたので、すぐにフーケの仕業と知り、
直ぐに調査をいたしました」
オスマンが、ロングビルの目を覗き込んだ。

「仕事が…早いの。ミス・ロングビル」
コルベールは、そんなオスマンの態度に不満を感じていたが、オスマンの放つ威圧感のせいで、口出しできないでいた。
ロングビルが淡々と…内心はわからないが…答えた。

「…フーケの居場所を特定いたしました」
「な、なんですと!?」
思わず素っ頓狂な声をあげたコルベールは、あわてて口を押さえた。
オスマンは片眉をあげた。

「…誰に聞いたんじゃね?」

「はい。近在の農民に聞き込んだところ、
近くの森の廃屋に入っていった黒ずくめのローブの男を見たそうです。
私は、そいつこそがフーケで、廃屋はフーケの隠れ家ではないかと思い、
接近を試みましたが……」
「気づかれて、返り討ち。
ほうほうの体で逃げ帰ってきた、というところかの?」
ロングビルは頷いた。
それを聞いたコルベールは怒りの声を上げた。

「うぬ、なんたる外道!
女性に対して狼藉を働くとは…許せん!!
オールド・オスマン!
フーケ討伐には、是非ともこのコルベールを…!」
義憤に震えるコルベールだったが、オスマンは頭を振った。

「ならぬ。
お主には、あの封印の修復を手伝ってもらう必要がある。
あれは、ワシ1人では少々時間がかかりすぎる。
事は急を要するのじゃ…!」
「しかし!」
「二度はないぞ、コルベール…!」
オスマンがコルベールを睨みつけた。
コルベールは悔しそうに俯いた。

「ミスタ・コルベール、私の為に無理はなさらないでくださいまし…。
あなたにはあなたの役目がございます。
どうかそれを無碍にしないで…」
ロングビルがすがりつくような視線を投げかける。
コルベールはしぶしぶ引き下がった。

しかし、拳は怒りでギリギリと握り締められている。
オスマンはため息をついて、間を置いた。

「しかしじゃ、問題はそこじゃよ。
フーケの居場所が分かったからには、直ぐにでも討伐隊を派遣したいところじゃが……
フン、あの腰抜けの教師ども、己の命が惜しいと見える。
朝に先遣調査隊を編成しようとも思うたが、だ~れも志願せぬ」
オスマンは苦々しげに吐き捨てた。
別に、やろうと思えば、学院長権限で強制的に選抜することも出来るのだが、今回は内密の事件だ。
何かあったときに…例えば、派遣したメイジが運悪く死亡したら、それを指示したオスマンに責任が及ぶ。
志願者なら…死亡してもそれは当事者の責任だ。
オスマンには何の関係もない。
滞りなく事を進めるには、志願という形で討伐隊は編成されねばならないのだ。
オスマンは内心、頭を抱えた。

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医務室の外で、1人のメイジが音もなく倒れた。
医務室勤務の教師だった。
白目を剥いて、顔が真っ青になって意識を失っている。
口から肥大した舌がデロリとはみ出し、端から泡が漏れていた。
苦悶の表情を浮かべて、
床に横たわるそのメイジの体が
、医務室からは見えない死角へズルズルと引き込まれていった。
しばらくの沈黙の後、その影から1人の人間が姿を現した。
ルイズ・フランソワーズだ。
医務室に聞き耳を立てていた所を、目撃されそうになったので、
やむを得なく締め落としたのだった。
尊い犠牲というやつだ。
ルイズは腕をグルンと回した。
再び扉の前に立ったルイズは、
今まで以上に口の端を吊り上げた。
まったく、今日という日は、全てが自分の都合のいいように進んでいるようではないか…!
昼間、フーケの手がかりだけでも掴もうと、学院周辺を捜索していたが、何も収穫がなく、がっかりしたものだったが、
まさかロングビルが居場所まで特定してくれたとは…運が良すぎて震えが来るほどだ。
これで、大手を振ってフーケを消せる。

教師たちがそこまで腰抜けだったことに、ルイズは純粋にびっくりしたが、今回は逆にそれが吉に転じたか!!
ルイズは舌なめずりをした。
瞳が怪しく輝く。
…このチャンス、決して逃さぬ。
ルイズは堂々と、医務室の扉をあけた。
to be continued……


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