ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

DIOが使い魔!?-31

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匿名ユーザー

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(ちい姉さま……おかげで助かりました…!)
ルイズは心の中で、久しく会っていない姉に感謝を捧げた。
心の中の姉は何故か
"Oh, my GOD!!"と嘆いていた。
まだ何かやり足りなかったのだろうか?
しかし、いつまでも値段交渉を続けていくわけにはいかない。
時間も無限でないし、このあとDIOの服を買いに行かねばならないのだ。
ルイズはそう判断すると、懐から小さな袋を取り出し、中に入っていた金貨30枚ばかしを机にばらまいた。

「これで、足りるかしら?」
オヤジは眉をしかめてズイと身を乗り出した。

「おいおい。冗談はよしこちゃんですぜ、貴族の旦那。それとも頭脳がマヌケになっちまったんで?
あっしはエキュー金貨で千百五十って……」
ウンザリといった風でパイプを口に銜えなおしたオヤジだったが、机の上の金貨をメガネをかけてしかと見た途端に、オヤジの目玉が飛び出した。

「うお…うお…おっおっ。コイツは…これはぁあああ!!??」
ルイズは腕を組んだ。

「足りなかったかしら?」
「い、いぇ!滅相もございません!
そりゃもう!
しかし、こんなに頂いてしまって……よろしいんで?
ニョホ!」
ルイズはコクリと頷いた。

(別にわたしのお金ってワケじゃないしね…)
ルイズはオヤジの見えないところでペロッと舌を出した。
慌てて机の金貨をかき集めているオヤジを尻目ににルイズは剣を手に取ろうとしたが、乱雑に積み上げられた剣の中から聞こえた声に、手を止めた。
低い、男の声だった。

「おい、オヤジ…気を付けろ!
そいつに剣を売っちゃあいけねえよ!」
「ヌムッ!?」
ルイズはキッと声のした方を睨んだ。
暇そうに店内をうろついていたDIOも、この場にはいない人間の声に、振り向いていた。
オヤジは頭を抱えた。

「『誰だ?』って聞きたそうな顔してんで、自己紹介させてもらうがよ。
おれぁおせっかい焼きのデルフリンガー!
ここの古参でな。
オヤジが悪魔に手を貸そうとしてんで、口を挟んでみた!」
いきなり悪魔呼ばわりされて、ルイズは腹が立った。
しかし、声の聞こえてくる方には人影はない。
ただ、乱雑に剣が積んであるだけである。

「失礼ね!」
ルイズはドカドカと声のする方に近づいた。
剣の山に近づいたルイズは、しかし、後ずさった。
なんと、一本の錆の浮いたボロ剣が、柄の部分をパクパクさせて、声を発していたのだ。

「剣…が…喋ってるわ」

ルイズが呆けたように呟くと、オヤジが怒鳴り声をあげた。

「やい、デル公!お客様に失礼なことを言うんじゃねえ!」
ルイズは、その剣をジロリと見つめた。
さっきの大剣と長さは変わらぬが、刀身の細い、薄手の長剣だ。
錆が浮いてて、お世辞にも見栄えがいいとは思えない。

「オヤジ!
金に目が眩んでるようだから一つ教えてやるぜ!
おれぁ長年を生き、いろんな悪党を見て来た。
だから、悪い人間といい人間の区別は『におい』でわかる!」
ルイズの目が、カッと見開かれた。
心なしか、冷や汗が流れているようだ。
デルフリンガーは、柄で器用に自分の周りの剣をルイズとDIOにむかって
"ドガーーーーッ!"と弾き飛ばして叫んだ。

「こいつはくせえッーー!
ゲロ以下のにおいがプンプンするぜッーーッ!
こんな悪(ワル)には出会ったことがねえほどなぁーーーッ!」
ルイズとDIOは飛び交う剣をヒョイヒョイとかわしたが、
罵詈雑言に傷ついたのかルイズは俯いていた。
デルフリンガーが続ける。

「ひ弱な貴族だと?
ちがうねッ!!
こいつらは生まれついての悪(ワル)だッ!
オヤジ、こんなやつらに剣なんて売るなよ!
世の中が荒れるぜ!!」

ルイズは俯いたまま、プルプルと震えながら、呟いた。

「……これって…インテリジェンスソード?」
オヤジがビビりながら答えた。

「へ、へぇ、お嬢様。
こいつは確かに意思を持つ魔剣、インテリジェンスソードでさ。
しかし、こいつはやたらと口は悪いわ、客に喧嘩を売るわで閉口してまして。
そこの鞘に収めれば静かに……ヒッ!」
ゆっくりと顔を上げたルイズを見て、オヤジが引きつった。
見ればルイズは、顔面に青筋をビクつかせながら、まさに悪鬼のような顔をして杖を取り出していた。
怒りで震える杖が、デルフリンガーに向けられている。
無言なままであるがゆえに、その威圧感は絶妙かつ絶大だった。

ルイズの杖が躊躇いなく振り下ろされ、"ドンッ!"と爆発が起こった。
だか、怒りで手元が狂ったのか、ルイズの魔法はデルフリンガーを直撃することなく、その代わりにすぐ横の剣が粉々に砕け散った。
オヤジはとっくの昔に机の下に避難していたので無傷だった。
爆風でデルフリンガーが宙を舞い、DIOの足元に転がった。
DIOが興味深そうに、足元から拾うと、デルフリンガーが嫌そうに喚いた。

「おでれーた。てめ、『使い手』か。悪魔の上に、使い手か!
…世も末かね」
DIOはふむ、と唸り、デルフリンガーを一振りした。
ルイズは尚も収まりがつかないらしく、杖を再びデルフリンガーに向ける。
DIOごとふっ飛ばしかねない剣幕だ。

「DIO!そのクソをしっかり掴んでなさいよ!
これからそのクソを、めたクソにしてやるわ!
ガラスブチ割るみたいにねぇええ!」
今にも杖を振り下ろさんとするルイズに、DIOはさらりと言った。

「…これがいい」
「「え゛ッ!?」」
奇しくもルイズとデルフリンガーの言葉が被った。
それがますます気に入らなかったのか、ルイズはデルフリンガーを睨みつけたが、少し考えた後、深呼吸をして、黒い感情を鎮めることにした。
最近はどうもいけない。
DIOからの宣告を受けた後、ルイズは意識的に自分の感情をコントロールする術を身につけようと密かに決心していた。
DIOのいいなりでは、ご主人様としての面子が丸潰れであるし、何よりルイズのプライドが許さない。
……ないのだが、最初からこれでは、悲しいやら、情けないやら。
自己嫌悪に陥ったルイズだったが、ひとまず理由を尋ねることにした。

「……なによあんた。趣味悪いわよ。
それに、もう剣は一本買ったじゃない」
「この剣は、さっき私のことを『使い手』と呼んだ。
何か知っているような口ぶりだ。
何か知っているかもしれない。
…ひょっとしたら、私がこの世界に来ることになった原因も。
……………帰る手がかりも」
DIOは穏やかにデルフリンガーを見下ろして言った。

「どうしても気に喰わないとなったら、なぁに、それこそ改めて『めたクソ』とやらにしてやればいいのさ。
……………ガラスブチ割るみたいにね」
DIOの言葉に、ルイズはさっきまでの怒りを一転させ、ニタニタと笑いながらデルフリンガーを見た。
デルフリンガーがカタカタと震えた。

「ちょ…まっ、やめ、やめて!ネッ!戻して!ネッ!ネッ!
止めよう!コラ!ネ、ネッ!」
ルイズはむんずとデルフリンガーをDIOからむしりとると、机の下で頭を抱えているオヤジに値段を聞いた。
華やかな笑顔だった。
ミシミシと柄が軋む音が響き渡り、デルフリンガーが声にならない悲鳴を上げた。

「へぇ、お代はもう結構で!へぇ!」

オヤジとしては、元々いい厄介払いだった上に、先ほどルイズが机にバラまいた金貨は、
デルフリンガーを勘定に入れても屁でもないくらいに高価なものだった。
この際オヤジは、2人にはさっさと帰って欲しかったのだ。
異様にヘコヘコするオヤジだったが、ルイズにとってはどうでもよかったので、散乱した剣の山からデルフリンガーの鞘を掘り返すと、過剰な力を込めてデルフリンガーをバチンと鞘に収めた。
ピタリと声がとまったことに、ルイズは少しだけせいせいした。
次は服だ。
もたもたしていられない。
ルイズはナイフの束とシュペー卿だかカペー朝だかが鍛えた剣と、デルフリンガーをDIOに放り投げて渡して、大股歩きで店を出た。
DIOもそれに続く。
2人が店を出た後、オヤジはホッとため息をついて呟いた。
「Oh, my GOD………」


to be continued……


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