ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

使い魔は手に入れたい-40

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匿名ユーザー

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シエスタの父親が持っていた曽祖父の遺品。
どんなものがあるのか私は結構楽しみにしていた。
ゼロ戦は諦めなければならなかったが、それ以外の遺品は交渉しだいでもらえるかもしれないからだ。
そんな胸中だったのだが、シエスタの父が引っ張り出してきた遺品に私は愕然とした。
「なにこれ?眼鏡みたいに見えるけど、少し大きすぎるし」
「私もよくわかりませんな。じいさんは何にも言わずに死んじまったし」
「ねえヨシカゲ。これなんなの?」
ルイズがそれ手に持ちながら聞いてくる。
「……ゴーグルっていう、目を守るための道具だ」
「ふーん」
ルイズもそれを聞いただけで興味を失くしたようだった。
当たり前か。空を飛ぶとかいう道具じゃないからな。
ゼロ戦より興味を引かれるはずもない。
それにこの世界でもゴーグルみたいなものはあるだろう。
なかったとしても作れる。
だからゴーグルなんて私には大した意味は持たなかった。
ゼロ戦を持ってたら少しは必要かもしれないが。
「他に遺品はないんですか?」
「ないですな。じいさんの形見はこれだけなんですよ。日記も何も残してねえし。一つだけ自分が作ったもんがあるけどありゃ自分の墓だったしな」
「そうですか」
だめもとで聞いてみたがやっぱりダメか。
あ~あ、期待して損した。
そういやゼロ戦に乗ってこの世界に来たってこと、戦時中だったんだよな。
そんなときにまともなもん持ってるはずないもんな。
そんなことにも気づかないなんて本当にバカだな私は。
やれやれだ。
「あ、そういやじいさん遺言残してたな」
「遺言?」
戦時中の人間だからな。あれか?
天皇陛下万歳!だとか大日本帝国に栄光あれ!とかか?
戦時中の人間のイメージなんてそれぐらいしかないな。
「確か、墓石の銘を読めるものがあらわれたら、その者に『竜の羽衣』を渡すように、だったかな」
「なんだとっ!?」
「ちょっと!急に大きな声出さないでよ!びっくりするじゃない!」
『竜の羽衣』が、ゼロ戦が手に入るのか!
そんな墓石の銘なんて読むだけで!?
「どこにあるんだその墓は!?」
「え、いや、村の共同墓地にありますけど。でもこの国の言葉じゃないし読めないと思いますよ」
共同墓地?
「その共同墓地ってのはどこにあるんだ!」
「ちょ、そんなに詰め寄らなくても!」
「あ、すみません」
危ない危ない。
少し興奮しすぎていたようだ。
「あ~、シエスタ。ヨシカゲさんを墓地にまで連れってくれるか?口で教えるより案内するほうが早いだろ」
「初めからそのつもりだけど」
「だそうだ。ヨシカゲさん」
「じゃあシエスタ、すぐ連れていってくれ」
私ならその墓石の銘が読めるだろう。
この世界の住人に読めない。
そしてその銘を刻んだのが日本からの来訪者。
そう考えると刻まれている銘が何語かなんて簡単に見当がつく。
九割九分九厘間違い何だろう。
「わたしも行くわ。面白そうだし」
勝手にしろ。
そうだ、確認しとかないといけないな。
「墓石の銘が読めたら本当に『竜の羽衣』貰ってもいいんですよね」
「ああ、管理も面倒だし、拝んでる村人もいるが、はっきり言って村のお荷物だからな」
「それを聞いて安心したよ」
「それにしても本当に読めると思ってるのか?本当に変な字だぞ」
いつの間にかタメ口になってるな。
別にいいけど。
「読めるさ。同じ国から来たんだからな」
「え、同じ国?」
「そうだ。早く行こうぜ。シエスタ」
「ちょっと待ってくれ」
ああ?
何だよ五月蠅いな。
「遺言にはまだ続きがあるんだ。その銘が読めた奴に告げて欲しいって言われててな。読めるんなら今伝えとこうと思ってよ」
「続き?」
「ああ、『竜の羽衣』を陛下にお返しして欲しい、だってさ」
「なるほど、天皇にね。わかったよ」
そう返しながら私たちは共同墓地へ向かった。
誰が返すか。
それに元の世界に戻る術がないから返そうと思っても返せないよ。

共同墓地に着き、早速墓地を見渡してみる。
するとシエスタの曽祖父の墓はすぐに見つかった。
白い石でできた幅広の墓石の中、一個だけ形が他とは異なる黒い石でできた墓石。
明らかに日本の墓だ。
「変わったお墓ね。もしかしてヨシカゲの国のお墓?」
「ああ」
「そうだったんですか」
そんなことはどうでもいい。
墓石に刻まれている墓碑銘を見てみる。
やっぱり予想は当たっていた。
予想通り墓碑銘は日本語で刻まれていた。
「海軍少尉佐々木武雄、異界ニ眠ル」
「はい?」
刻まれている日本語を読み上げる。
もちろんこれを自分が読んだという証にだ。
しかし唐突に読んだためかシエスタは目を丸くしていた。
仕方ない。説明してやろう。
「これに刻まれている墓碑銘だ」
「え、そうなんですか?」
「あんたよくこんな字読めるわね」
「母国語何だから読めて当然だ」
しかしこれでゼロ戦は私のものだ!
諦めていたがこんなにたやすく手に入るなんて!
このさいだからゴーグルもついでにくれるよう頼んでみるかな。
あれ?そういやどうやって学院まで持って帰るんだ?


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