ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

DIOが使い魔!?-40

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匿名ユーザー

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ルイズ暗殺を首尾良く済ませたフーケは、残りの連中を続けて暗殺するために、元来た道を戻ることにした。
あの連中の中で、最も警戒すべき人間2人の内の1人を始末ことができて、フーケは幸先の良さを感じていた。
年端もゆかぬ少女を無惨な目にあわせたのは、さすがに後味が悪かったが、
生憎とルイズは知りすぎていたし、情けを掛けるほどの余裕もなかった。
フーケはひとまずルイズの事を頭から追いやり、
これからの行動を慎重に吟味しはじめた。
現在、『破壊の杖』を所持しているのは、故ルイズの使い魔のDIOである。
フーケが、最も警戒すべきとしている人物の、2人目であった。
しかし、今や故ルイズは始祖ブリミルの下に召されている。
従って、DIOと故ルイズとの契約は、破棄されてしまっているはずだ。
つまり、DIOにはもう、『破壊の杖』を守る必要など無いのだ。
ならば、わざわざ奴を敵に回す必要はない。
うまいこと交渉を持ちかければ、血を流さずとも『破壊の杖』を手に入れられるかもしれない。
そのためには、あのメイジ2人を先に始末するのが良いだろう。
交渉は、静かな場所で、当事者のみに限る。

もちろん、交渉がうまくいこうがいかまいが、
フーケはDIOも含めて皆殺しにするつもりであった。
こうして、キュルケとタバサを目下の標的に定めたフーケは、その道のりを変更した。
廃屋を中心に、円を描くようにして、
森の北側へと向かうことにしたのだ。

………したのだが、そのとき突如フーケの背後で、起きてはならぬ音がした。

茂みが擦れあう
"ガサッ"という音を、フーケの敏感な耳が、しっかりと捉えていた。

フーケの体が、恐怖で跳ね上がった。
一瞬、有り得ない想像をしてしまった自分を必死に否定するフーケだったが、
ひとたび脳裏に浮かんだ不安は、フーケの中でドンドンと雪だるま式に
膨らんでいった。
……………そんな、バカな。
もう勘弁してくれ。
悪い冗談だ。
頭を粉砕されて、誰が生きていられようか。
きっと、森の小動物か何かがたてた音に違いない。

フーケは今の状況に奇妙なデジャヴを感じつつ、ゆっくりと後ろを振り返った。


「………こ、こ…ろ…して……やる…!」
羅刹も裸足で逃げ出すような形相で、フーケを睨むルイズがいた。

ルイズは片手で頭を、
もう片方の手で地面を押さえている。
頭部だけでなく、両目からも夥しく血がしたたり、
まるで血の涙を流しているようにも見えた。
足に力を込めて立ち上がろうとしているが、脳からの信号がうまく伝わっていないのか、
"ガクガクガクッ"と膝が笑っている。
頭からはみ出て見えるピンク色の何かがグロテスクだ。

「!!
……!?
…………………!?」
あり得てはいけない想像が、現実のものとなり、フーケの頭は真っ白になった。
グキゴキと、ルイズの頭部から嫌な音が響く。
見ると、ルイズの頭の傷口が、複雑に蠢いていた。

再生…………しているのだろうか、あれは?
働かぬ頭で、フーケはそうとだけ考えた。
そんなことを考えている暇など、フーケにはなかったのだが、
そうでもしていないと、おかしくなってしまいそうだった。
引きつるフーケを無視する形で、
ルイズは、まだ震える手で、近くに転がっている杖に手を伸ばしていた。
それをみすみす見逃してしまったことが、フーケの失敗だった。
フーケは既に、ゴーレムの錬金を解いてしまっていた。
ルイズを再度攻撃するためには、1から詠唱をしなければならなかったのだ。

杖をガシッと掴んだルイズを見て、フーケの意識が現実に引き戻された。
慌てて『フレイムボール』の魔法を唱え始めたフーケだったが、今度ばかりはルイズが早かった。

「『レビテーション』…!」
地鳴りのような詠唱とともに、ルイズの杖が振り下ろされた。
フーケの目の前の地面が、"ズドンッ!"と爆散した。
とっさに両手で体をかばったフーケだったが、爆風のあおりを喰らって、
先ほどのルイズの軽く数倍の距離を、
廃屋の方へ吹っ飛ばされることになった。

―――――――――
ルイズは杖を振り下ろした後、その杖をポトリと取り落とした。
足だけではなく、腕も激しく痙攣していたからだった。
そのせいで、照準も狂ってしまっていた。
フーケの首を狙ったつもりが、あの様だ。
ルイズは自嘲的な笑みを浮かべたが、
すぐにそれはフーケへの怒りで、真っ赤に埋め尽くされた。
憤怒の形相で再び杖を拾い、フーケにとどめをさすべく立ち上がろうとするルイズ。
しかし、途端に脚を滑らせて、
"ドシャア!"
と無様に地面とキスをしてしまった。

「脚に、力が、入ら、ない………。
頭痛がする……!
は……吐き気もだわ………くっぐぅ!
何ということ…このルイズ・フランソワーズが………!
由緒正しき公爵家三女が……!!
あんな、ゲスな盗賊如きの魔法で頭を殴られて…
立つことが出来ないなんて……!?」
本当は殴られたどころの話ではないのだが、
怒りで我を忘れているルイズには、全く関係がなかった。
いや、あるいは、それを考えるほどの脳みそが残っていなかったからか。
バリバリと地面に爪を立てるルイズは、
まだ脳漿がはみ出ている状態の脳みそにムチを打ち、フル回転させた。

"今のバク……ツで、……ュル…やタ…サ……少なくともD…Oはこちらに何が起………気づ……はずだ。"

―――グキゴキと、ルイズの頭の肉が音を立てた。
段々思考が鮮明になっていく―――

"私が……べき……は、仲間…来るまでの時…稼ぎだろうか?
…………NOだ。

この期に及んで、ただ他人の助けを期待して、ゴキブリのように地面を這い蹲るだけなんて、
貴族としてあってはならない。
私はルイズ・フランソワーズだ。
地面にゴキブリのように這い蹲るべきなのは、あの盗賊の方だ。
仲間の助けはあくまで期待。
貴族の誇りにかけて、何としてでも自力でフーケを倒さねば…!"

そう決心したルイズは、震える膝をパシンと叩いて、
"グググググッ"と立ち上がった。

結果からすれば、ルイズの決意は無駄になった。
何とか立ち上がったルイズは、
足を引きずりながらもフーケの方へ移動しようとしたのだが、
そのフーケがいるであろう辺りの地面が、うず高く盛り上がり始めたのだ。
やがてそれは土の山となった。
ただの『土くれ』の山かと思われたそれは、なんと徐々に人型になっていった。
その大きな土人形の右腕に、ルイズは見覚えがあった。
見紛うはずがない。

ルイズの頭蓋を粉砕した、あのゴーレムのものだ。
ルイズがのたうち回っている間に、フーケはゴーレムの全身を錬金したのだ。

(プッツン……してしまったってワケね……フーケも、私も)
"ビシビシ"と頭蓋骨が連結する音を聞きながら、
ルイズはゴーレムを見上げた。
噂には聞いていたが、実際にこの目で見るとやはりデカい。
30メイルはありそうだ。
DIO約15人分だ。
あまりの規格外に、ルイズは間の抜けたことを考えたが、
そのゴーレムの肩に乗っている人影を視認して、ルイズは拳を握りしめた。
『土くれ』のフーケだ。
フーケがとうとう、本性を表したのだ。
ゴーレムの上のフーケが、ギャアギャアとルイズを罵った。

「この、ビチグソがぁぁあああ!!!
『土くれ』をナメんじゃないわよ!!
もう二度と復活できないように、コイツでミンチにしてやるよ、
バケモノめ!!!!」
ルイズは、やれやれと思いながら、杖をフーケに向けて………やめた。
さすがに距離が遠すぎる。
あれではフーケだけを狙うことは難しい。
かといって、近づけばゴーレムの間合いだ。
もう一度頭をぶん殴られるのは願い下げだ。

どうしたものかとルイズは少し悩んだが、
即座に覚悟を決めた。

ルイズは、自分の部屋に溢れんばかりに転がる財宝のことを思い出した。
横流ししたら、一体総額いくらになるだろうか?
どれもこれも国宝級だ。
エキュー金貨で五万はあるだろうか?
いやいや、買い手次第では、
ひょっとしたらその十倍はいくかもしれない。
それほどの財宝を頂こうというのだ。
これくらいの苦労、むしろ当然だといえる。
ルイズは不敵な笑みを浮かべた。
ゴーレムの間合いは、自分の間合い。
ならば自分の土俵に立ったうえで、真正面から叩き潰してやろうではないか!!
ルイズはブルブルと頭を振った。
まだガンガン痛むが、大分マシになってきた。
ゴシゴシと目を擦った。
ルイズは自分の杖をしっかと掴むと、ゴーレム目掛けて矢のように駆け出した。
最後に笑うのは、このルイズ・フランソワーズ
だ……!!



「WRYYYYY
YYYYYYYYYY!!!」

to be continued……


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