ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

DIOが使い魔!?-1

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匿名ユーザー

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「―――では、ミス・ヴァリエール。召喚の儀式を」

「はい……!!」
ついに自分の番がきた――――――期待と不安と興奮がないまぜになり、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールは身を固くして教師の呼びかけに応じた。
これから、一生を共にする自分の使い魔を呼び出すのだ。
緊張して当然である。
が、今彼女が感じている緊張は、他の同級生とはベクトルが違った。
『ゼロのルイズ』
それが示す事柄はすなわち、貴族にとって不可欠な、魔法の成功確率の『ゼロ』の揶揄である。
口惜しいことに、原因は不明。
同級生に『ゼロ』と笑われる度に、プライドの高い彼女は、はらわたが煮えくり返る思いをしたものだった。
だが、自分が今まで魔法を使えていないのは事実。
今回の儀式もまた失敗するかも知れないという恐れこそが、彼女の緊張の源だった。
しかし、

(サモン・サーヴァントに成功すれば、私はもう『ゼロ』じゃない……呼ばせない……)

その思いがルイズを後押しする。

「おい、『ゼロ』! ちゃんとサモン・サーヴァント出来るのか?」

「皆、離れとけ! また爆発するぞ」

同級生の何人かがはやし立てた。
どうせまた『かぜっぴき』のマリコルヌあたりだろう。
ルイズは声のした方向をキッと睨みつけた。
野次の内容はいつもとそんなに変わらなかったが、これからの大事な儀式向けての集中が阻害されたせいもあり、ルイズは声を張り上げた。

「見てなさい……ッ!あんたたちの使い魔を全部合わせても及ばないくらい、神聖で美しく、そして強力な使い魔を召喚してみせるわ……!!」

(また悪い癖が出た……)
言い終わった後にルイズは後悔した。
どうしていつも自分はこうなのだろう?
彼女は自らの性格がもたらす弊害を強く自覚してはいたが、直す術を見いだせないまま今日に至る。
いつもならこのあと自己嫌悪に陥るところだが、生憎と今回ばかりはそうもいかない。

今は儀式に集中せねば……
怒鳴ったせいで乱れた呼吸を静かに正し、ルイズは覚悟を決めた。
杖を構え、詠唱を始める。
ゆっくりと静かに、しかし力強く確実に。
周囲のマナが轟と震え、眩い光があふれ出す。

(いける!)

これまでにないほど、魔力の流れが安定している。
ルイズは召喚の成功を確信する。
内心の興奮を抑えつつ、ルイズは淡々と詠唱を続ける。

――――――そして、詠唱は終わりを迎えた。

"チュドォォォオン!"

成功を確信したルイズの召喚魔法の結果はしかし、いつもの通りの爆発であった。
砂埃が舞い、視界が遮られる。
意味するところはすなわち………

「し……失…敗…なの?」

その瞬間、ルイズは金槌で殴られたような衝撃を受けた。
腰の力が抜け、その場にへたりこむ。

(……どうしてなの?)

これまで、様々な苦労をしてきた。
魔法を使えるようになるために、あらゆる書物を貪った。
知識だけなら他のどの同級生に負けない自信がある。
自覚がある。
自負もある。
なのに…………
悔しさのあまり、これまでどれだけ他人にバカにされても決して流さなかった涙さえうかべた。
やはり自分は『ゼロ』なのか……
これからも他人に笑われる生活を送るのだろう。いや、ひょっとしたらこれを口実に学院を追放されるやも……
ルイズは、自分が描いた恐ろしい未来に我が身を抱いた。
そうして彼女が震えている間にも、視界を遮る砂煙は晴れようとしていた。


時は止められないのだ――――――ルイズは思った。

「ケホッケホッ……こ、今回はやけに飛ばしたな、『ゼロ』のやつ」

召喚と、その後のいつもの失敗劇を眺めていた同級生の1人が呟いた。

「エッホン、ゥオッホン……そ、そうだね。マントが汚れてしまったよ…」
実際のところ、失敗すると決め込んでいた彼らも、一瞬だが、成功したのではないかと思っていた。
しかし結果はやはり失敗。
今までにない様相を呈してはいたものの、結局『ゼロ』は『ゼロ』だったということだ。
彼らはそう、心の中で結論づけた。
彼らの心は既に、サモンサーヴァントではなく、砂煙が収まった後、どうやって『ゼロ』をからかおうかということに向かいつつあった。

しかし、やや視界が効くようになるにつれて、先程までは存在しなかったモノがあることに一部のものは気がつき始めた。

まさか……!?

皆の期待を再度裏切る形でソレは確かに横たわっている。
だがよく見えない。
目を凝らす。
舞い残る砂が目に入ってよく分からない。
目をこすり、再び目を凝ら「ぅわああぁぁあぁ!!?」

一人の生徒が叫び声をあげた。
ルイズは未だに、声を押し殺して泣いていたが、周囲の様子のおかしさに気づき、辺りを見回した。
『こちらを見る→ナニかに気づく→悲鳴を上げる』という一連の行為を誰も彼もが、一様に、時間差で行っていた。
女生徒のよく通るキャーキャーという悲鳴が、水面に石を投げた後の波紋のように、広がっていく。
悲鳴のウェーブが広がりきったその次は、悲鳴のオーケストラだった。
皆悲鳴を精練された聖歌のように唱和させる。
貧血を起こし、倒れる生徒も見受けられた。
いつもとは反応が違う。失敗を起こした後の反応とは……。

まさか、自分はサモンサーヴァントに成功したのか?

その可能性に思考が行き着いた瞬間、ルイズは振り返り、砂煙が起こっていた中心を凝視した。
喜びと期待に満ちたルイズの目はしかし、自分が初めての魔法で、初めて呼び出したのであろうソレを見た瞬間に心臓が凍るほどの驚愕で見開かれた。








そこにあったのは、これ以上はないというほどスプラッタなバラバラ死体だったのだから…


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