今、観衆達はただ唖然としていた。
魔法も使えないはずの平民は、ゴーレムをことごとく打ち倒すだけではなく、奇妙な『何か』を使ってゴーレム達の動きを止めるという事までして見せた。
そして今、ギーシュの右手は平民の左手が固く握り込んでいる。生殺与奪の権利を掌握された、ということだった。
「ま、まいっ……」
体面を守ることすら忘れて、恐怖に押しやられ「参った」の言葉を叫ぼうとするギーシュ。
……だが。
ビリッと来たァ!
握られている右手から、まるで雷が走ったかのような感覚を受けて、言葉が断ち切られた。
「降参するのはまだ早いぞ。お坊ちゃんにはやってもらうことがある」
(なんだ!? これ以上僕に何をさせようと言うんだ!? 一体、僕に何を!?)
恐怖を通り越して絶望に至りかけているギーシュに、ジョセフはただ静かに言った。
「お前さんが二股かけてたレディ二人と、お前が八つ当たりしたシエスタに今すぐこの場で謝罪せい。
それをせん限り、わしはお前の負けを認めはせん。こいつぁ決闘なんじゃからな、ここで死のうがどうなろうが構いやせんよなあ?」
そう言って、ギーシュの眼前で右拳を握り締めるジョセフ。
何気なく見せられる拳は、ワルキューレを破壊する兵器なのだ。もしあれで殴られればどうなるのか……考えるまでもない。
初めて死に直面した少年は、気付いた時には首を縦に振っていた。
「わ、わかった……謝る、だから手を離してくれないか……僕だって男だ、決闘相手に手を握られたままレディに謝罪するような無様な真似はしたくない。
謝るなら、彼女達に向き合って謝りたい……」
「いいじゃろ」
ジョセフはあっさりと手を離す。
「……感謝する」
指の痕さえついた右手を摩りながらも、薔薇は離さないまま。生徒の人垣に視線をめぐらせ、まず金髪の縦ロールの少女を見つけ、大きく頭を下げる。
「僕が不甲斐なかったせいで君を傷つけた! 心から謝罪するよ、モンモランシー!」
続いてもう一人の少女を見つけると、彼女にもまた大きく頭を垂れた。
「ケティ、君の気持ちは嬉しかったが……僕にはモンモランシーがいるんだ! だから君とのお付き合いはここまでにしてくれ!」
そして最後に、シエスタに視線を向けた。
彼の貴族としてのプライドが、果たして平民に頭を下げていいものか悩むが……(平民とは言え、彼女はれっきとしたレディだ)と、ギーシュは意を決した。
「申し訳ない! ええと……」
ちら、とジョセフに視線をやり、小声で「彼女の名前を教えてもらいたい」と囁いた。
「シエスタじゃ」
「シエスタ、こんな事を言えた義理じゃないかもしれないが、僕の八つ当たりで関係ない君にも迷惑をかけてしまった! 心から謝罪を申し入れたい!」
そう言い切ってから、深々と頭を下げる。そして頭を上げて、ジョセフを見やった。
「ミス・ヴァリエールの使い魔。寛大な心に感謝する。……降参を許してくれるか?」
「許す……と言いたいが、シエスタを侮辱されたわしの分も残っておる。成る丈手加減してやるから、歯ぁ食いしばれ」
ジョセフの言葉にうぁ、と小さくうめき声が漏れたが、判った、と覚悟を決めて目をつぶり、歯を食いしばった。
人間は殴られれば数メイル吹き飛ぶということを、この場に居合わせた全員が知ることになった。頬を赤く腫らして倒れたギーシュの手からは、薔薇が落ちている。
つまり。
「使い魔の、勝ちだああああッッッ!!」
ド、と広場に歓声の渦が巻き起こった。
「ジョセフさん!」
これまでの経過を懸命に見守っていたシエスタが、弾かれたようにジョセフへと駆ける。
貴族との決闘を終えたというのに、まったくの無傷で立っているジョセフ。平民の自分に貴族が謝罪したという事実。
駆け寄ってみて、それが夢ではなく現実だということが、改めて理解でき……込み上げて来る感情を抑えきれず、彼女の両目からは涙がぽろぽろと落ちていった。
「泣くな泣くなシエスタ。こりゃわしの個人的な決闘じゃ、心配かけてすまんかった」
泣きじゃくって言葉の出ないシエスタを、安心させるように頭をぽんぽんと撫でてやり。
それから、今しがた殴り飛ばしたギーシュに視線を向けた。
起き上がるでもなく、ただ空を見上げているギーシュの側へ歩み寄ると、声をかけた。
「生きとるか、色男のお坊ちゃん」
「……色男が台無しになったかもしれないよ。手加減すると言ったじゃないか」
苦笑しながら憎まれ口を叩くギーシュの横に、ジョセフはからからと笑いながらあぐらを掻いた。
「あのワルキューレ達のようにならんかったんじゃぞ? 手加減するのに苦労したわい。どれ、ちっと大人しくしとれ。今からちょいと色男を治してやろう」
そう言うと、ジョセフはギーシュの頬に手をかざし。ゆっくりと練った波紋を送り込んでいく。
今度こそ、ジョセフがほのかに光ったのを観衆は目の当たりにした。
「……なんだ、その光は? 君も……メイジだったのか?」
ぼんやりと問うギーシュに、ジョセフはごく当たり前のように答えた。
「うんにゃ、わしゃメイジじゃないんじゃ。これは生まれつき出来ることじゃからな……魔法と言うのは勉強しなきゃ使えんのじゃろ?」
「……まあその通りだ。それに……君の光は何だか心地がいい。何だか本当に痛みが引いていく気がするよ」
「気がするよ、じゃなくて本当に痛みを引かせておる。なぁに、こんぐらいならすぐ治るぞ。色男のお坊ちゃん」
ジョセフの呼びかけに、ギーシュはまた苦笑を浮かべた。
「……残念だが僕は色男のお坊ちゃんじゃない。ギーシュ・ド・グラモンだ。ギーシュと呼んでくれて構わない」
「そうか。わしは世界で一番カッチョイイナイスガイ、ジョセフ・ジョースターじゃ。なんじゃたらジョジョ、と呼んでくれて一向に構わん。
ところで、さっき謝った中に本命がおったようじゃな。モンモランシー、じゃったか。決闘に負けて恥を晒したついでじゃ。
騙されたと思って老いぼれの戯言を聞いてみんか」
訝しげに眉を顰める彼に、ジョセフは耳打ちをする。
最初のうちこそ疑い半分に聞いていたが、少しずつ彼の目が驚きで見開かれていく。
「ジョっ…ジョセフ、そんな手が……?」
「ジョジョでいいと言うたじゃろ。もうこんだけ恥をかいたんじゃ、ざっくりとやっちまえ。言うとくが効果覿面じゃぞ、二度と二股なんぞかけられんようになるくらい懐かれるわい」
「……もし逆効果なら、今度は僕から決闘を挑むぞ。ジョジョ」
不敵に笑うギーシュに、ジョセフは同じく不敵な笑みを返した。
「そん時ゃ、一発くらい殴らせてやるわい。ほれ、終わりじゃぞギーシュ」
気付けば、ギーシュの頬からは痛みがすっかり引いていた。先程宙を飛ぶほど殴り飛ばされたはずなのに、まるで腕のいい治癒魔法をかけられたかのような清々しさだ。
これからしばらくは学院中の笑い者になるだろうが、それはそれで構わない。
あの瞬間に感じた死の恐怖と比べれば、その程度の屈辱なんて物の数にも入らない。
「ところでジョジョ。色男にかまけて泣いてるレディを放って置くのは感心しないな。早く行ってやりたまえ、何と気が利かない」
シッシッ、とわざと邪険に手を振りながら立ち上がるギーシュに、ジョセフは後ろを振り返り、まだ泣きじゃくりながら顔を袖で拭いているシエスタへ慌てて駆け寄った。
厨房へ戻った二人を待ち受けていたのは、決闘を挑んだ直後よりもお祭り騒ぎな厨房の使用人の大歓迎だった。
ジョセフは揚げたてのフライドチキンと上物のワインを堪能したついでに、マルトーに自分好みのアメリカンなファーストフードの作り方を幾つか教えてから部屋に戻る。
ノックしてもしもぉ~し。
しかし、返事はない。鍵もかかっていない。
そっと扉を開けて中をうかがうと、ルイズは不在のようだった。
ジョセフはとりあえず、部屋の片隅に敷いてある毛布に腰掛けて主人の帰りを待つが、結局ルイズは夕方になるまで戻ってこなかった。
ジョセフは、結局心配になって様子を見に来たルイズが、決闘の経緯を目撃したことを知らなかった。ワルキューレを素手で破壊したのも、ギーシュに敗北を認めさせたのも、ギーシュを波紋で治したのも、全て。
ルイズは部屋に帰ってきてジョセフを見るなり、たった一言、怒鳴りつけた。
「アンタは三日三晩食事ヌキなんだからっっっ!!」
そして足音も荒く、扉を全力で閉めてから食堂へと向かう。
主の出て行った扉を見て、ジョセフは「難しい年頃じゃのう」と他人事のように考えていた。
次の日、モンモランシーが嬉しそうに頬を染めて腕にしがみ付いているギーシュから満面の笑みで「ジョジョ! 君は何と素晴らしい友人だ……心の友と呼んでいいかい!?」と申し出があったのを快諾し、キュルケの全力のアプローチを受けて鼻の下を伸ばすことになり。
そして不機嫌な主人から一週間食事ヌキの罰を言い渡された後、厨房でアメリカン料理の試作品を堪能しながら、シエスタに下にも置かせぬ丁重な扱いをされることに御満悦だった。
「こっちの暮らしも悪くないのう……もうしばらくこっちで宜しくやっちまうかァ!」
実の母親から「この子はいずれとんでもない大悪党かとんでもない大人物になる!」と称されたジョセフ・ジョースター。
彼の人心掌握術は、トリステイン魔法学院に年季の違いを見せつけまくっていたッ!
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魔法も使えないはずの平民は、ゴーレムをことごとく打ち倒すだけではなく、奇妙な『何か』を使ってゴーレム達の動きを止めるという事までして見せた。
そして今、ギーシュの右手は平民の左手が固く握り込んでいる。生殺与奪の権利を掌握された、ということだった。
「ま、まいっ……」
体面を守ることすら忘れて、恐怖に押しやられ「参った」の言葉を叫ぼうとするギーシュ。
……だが。
ビリッと来たァ!
握られている右手から、まるで雷が走ったかのような感覚を受けて、言葉が断ち切られた。
「降参するのはまだ早いぞ。お坊ちゃんにはやってもらうことがある」
(なんだ!? これ以上僕に何をさせようと言うんだ!? 一体、僕に何を!?)
恐怖を通り越して絶望に至りかけているギーシュに、ジョセフはただ静かに言った。
「お前さんが二股かけてたレディ二人と、お前が八つ当たりしたシエスタに今すぐこの場で謝罪せい。
それをせん限り、わしはお前の負けを認めはせん。こいつぁ決闘なんじゃからな、ここで死のうがどうなろうが構いやせんよなあ?」
そう言って、ギーシュの眼前で右拳を握り締めるジョセフ。
何気なく見せられる拳は、ワルキューレを破壊する兵器なのだ。もしあれで殴られればどうなるのか……考えるまでもない。
初めて死に直面した少年は、気付いた時には首を縦に振っていた。
「わ、わかった……謝る、だから手を離してくれないか……僕だって男だ、決闘相手に手を握られたままレディに謝罪するような無様な真似はしたくない。
謝るなら、彼女達に向き合って謝りたい……」
「いいじゃろ」
ジョセフはあっさりと手を離す。
「……感謝する」
指の痕さえついた右手を摩りながらも、薔薇は離さないまま。生徒の人垣に視線をめぐらせ、まず金髪の縦ロールの少女を見つけ、大きく頭を下げる。
「僕が不甲斐なかったせいで君を傷つけた! 心から謝罪するよ、モンモランシー!」
続いてもう一人の少女を見つけると、彼女にもまた大きく頭を垂れた。
「ケティ、君の気持ちは嬉しかったが……僕にはモンモランシーがいるんだ! だから君とのお付き合いはここまでにしてくれ!」
そして最後に、シエスタに視線を向けた。
彼の貴族としてのプライドが、果たして平民に頭を下げていいものか悩むが……(平民とは言え、彼女はれっきとしたレディだ)と、ギーシュは意を決した。
「申し訳ない! ええと……」
ちら、とジョセフに視線をやり、小声で「彼女の名前を教えてもらいたい」と囁いた。
「シエスタじゃ」
「シエスタ、こんな事を言えた義理じゃないかもしれないが、僕の八つ当たりで関係ない君にも迷惑をかけてしまった! 心から謝罪を申し入れたい!」
そう言い切ってから、深々と頭を下げる。そして頭を上げて、ジョセフを見やった。
「ミス・ヴァリエールの使い魔。寛大な心に感謝する。……降参を許してくれるか?」
「許す……と言いたいが、シエスタを侮辱されたわしの分も残っておる。成る丈手加減してやるから、歯ぁ食いしばれ」
ジョセフの言葉にうぁ、と小さくうめき声が漏れたが、判った、と覚悟を決めて目をつぶり、歯を食いしばった。
人間は殴られれば数メイル吹き飛ぶということを、この場に居合わせた全員が知ることになった。頬を赤く腫らして倒れたギーシュの手からは、薔薇が落ちている。
つまり。
「使い魔の、勝ちだああああッッッ!!」
ド、と広場に歓声の渦が巻き起こった。
「ジョセフさん!」
これまでの経過を懸命に見守っていたシエスタが、弾かれたようにジョセフへと駆ける。
貴族との決闘を終えたというのに、まったくの無傷で立っているジョセフ。平民の自分に貴族が謝罪したという事実。
駆け寄ってみて、それが夢ではなく現実だということが、改めて理解でき……込み上げて来る感情を抑えきれず、彼女の両目からは涙がぽろぽろと落ちていった。
「泣くな泣くなシエスタ。こりゃわしの個人的な決闘じゃ、心配かけてすまんかった」
泣きじゃくって言葉の出ないシエスタを、安心させるように頭をぽんぽんと撫でてやり。
それから、今しがた殴り飛ばしたギーシュに視線を向けた。
起き上がるでもなく、ただ空を見上げているギーシュの側へ歩み寄ると、声をかけた。
「生きとるか、色男のお坊ちゃん」
「……色男が台無しになったかもしれないよ。手加減すると言ったじゃないか」
苦笑しながら憎まれ口を叩くギーシュの横に、ジョセフはからからと笑いながらあぐらを掻いた。
「あのワルキューレ達のようにならんかったんじゃぞ? 手加減するのに苦労したわい。どれ、ちっと大人しくしとれ。今からちょいと色男を治してやろう」
そう言うと、ジョセフはギーシュの頬に手をかざし。ゆっくりと練った波紋を送り込んでいく。
今度こそ、ジョセフがほのかに光ったのを観衆は目の当たりにした。
「……なんだ、その光は? 君も……メイジだったのか?」
ぼんやりと問うギーシュに、ジョセフはごく当たり前のように答えた。
「うんにゃ、わしゃメイジじゃないんじゃ。これは生まれつき出来ることじゃからな……魔法と言うのは勉強しなきゃ使えんのじゃろ?」
「……まあその通りだ。それに……君の光は何だか心地がいい。何だか本当に痛みが引いていく気がするよ」
「気がするよ、じゃなくて本当に痛みを引かせておる。なぁに、こんぐらいならすぐ治るぞ。色男のお坊ちゃん」
ジョセフの呼びかけに、ギーシュはまた苦笑を浮かべた。
「……残念だが僕は色男のお坊ちゃんじゃない。ギーシュ・ド・グラモンだ。ギーシュと呼んでくれて構わない」
「そうか。わしは世界で一番カッチョイイナイスガイ、ジョセフ・ジョースターじゃ。なんじゃたらジョジョ、と呼んでくれて一向に構わん。
ところで、さっき謝った中に本命がおったようじゃな。モンモランシー、じゃったか。決闘に負けて恥を晒したついでじゃ。
騙されたと思って老いぼれの戯言を聞いてみんか」
訝しげに眉を顰める彼に、ジョセフは耳打ちをする。
最初のうちこそ疑い半分に聞いていたが、少しずつ彼の目が驚きで見開かれていく。
「ジョっ…ジョセフ、そんな手が……?」
「ジョジョでいいと言うたじゃろ。もうこんだけ恥をかいたんじゃ、ざっくりとやっちまえ。言うとくが効果覿面じゃぞ、二度と二股なんぞかけられんようになるくらい懐かれるわい」
「……もし逆効果なら、今度は僕から決闘を挑むぞ。ジョジョ」
不敵に笑うギーシュに、ジョセフは同じく不敵な笑みを返した。
「そん時ゃ、一発くらい殴らせてやるわい。ほれ、終わりじゃぞギーシュ」
気付けば、ギーシュの頬からは痛みがすっかり引いていた。先程宙を飛ぶほど殴り飛ばされたはずなのに、まるで腕のいい治癒魔法をかけられたかのような清々しさだ。
これからしばらくは学院中の笑い者になるだろうが、それはそれで構わない。
あの瞬間に感じた死の恐怖と比べれば、その程度の屈辱なんて物の数にも入らない。
「ところでジョジョ。色男にかまけて泣いてるレディを放って置くのは感心しないな。早く行ってやりたまえ、何と気が利かない」
シッシッ、とわざと邪険に手を振りながら立ち上がるギーシュに、ジョセフは後ろを振り返り、まだ泣きじゃくりながら顔を袖で拭いているシエスタへ慌てて駆け寄った。
厨房へ戻った二人を待ち受けていたのは、決闘を挑んだ直後よりもお祭り騒ぎな厨房の使用人の大歓迎だった。
ジョセフは揚げたてのフライドチキンと上物のワインを堪能したついでに、マルトーに自分好みのアメリカンなファーストフードの作り方を幾つか教えてから部屋に戻る。
ノックしてもしもぉ~し。
しかし、返事はない。鍵もかかっていない。
そっと扉を開けて中をうかがうと、ルイズは不在のようだった。
ジョセフはとりあえず、部屋の片隅に敷いてある毛布に腰掛けて主人の帰りを待つが、結局ルイズは夕方になるまで戻ってこなかった。
ジョセフは、結局心配になって様子を見に来たルイズが、決闘の経緯を目撃したことを知らなかった。ワルキューレを素手で破壊したのも、ギーシュに敗北を認めさせたのも、ギーシュを波紋で治したのも、全て。
ルイズは部屋に帰ってきてジョセフを見るなり、たった一言、怒鳴りつけた。
「アンタは三日三晩食事ヌキなんだからっっっ!!」
そして足音も荒く、扉を全力で閉めてから食堂へと向かう。
主の出て行った扉を見て、ジョセフは「難しい年頃じゃのう」と他人事のように考えていた。
次の日、モンモランシーが嬉しそうに頬を染めて腕にしがみ付いているギーシュから満面の笑みで「ジョジョ! 君は何と素晴らしい友人だ……心の友と呼んでいいかい!?」と申し出があったのを快諾し、キュルケの全力のアプローチを受けて鼻の下を伸ばすことになり。
そして不機嫌な主人から一週間食事ヌキの罰を言い渡された後、厨房でアメリカン料理の試作品を堪能しながら、シエスタに下にも置かせぬ丁重な扱いをされることに御満悦だった。
「こっちの暮らしも悪くないのう……もうしばらくこっちで宜しくやっちまうかァ!」
実の母親から「この子はいずれとんでもない大悪党かとんでもない大人物になる!」と称されたジョセフ・ジョースター。
彼の人心掌握術は、トリステイン魔法学院に年季の違いを見せつけまくっていたッ!
To Be Continued →