ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

絶頂の使い魔-9

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匿名ユーザー

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現在、時間で言うなら午前三時くらいの夜
「・・・もうちょっと寝かせてくださいよ。今日は授業も用もないはずじゃ?」
「お・お・あ・り・よ!!」
またも夢の世界に戻ろうと床の上で毛布をまた被ろうとしたものの無常にも剥ぎ取られてしまいます
剥ぎ取った本人のピンクのブロンドがかった髪を寝ぼけ眼で見つめようやく覚醒したドッピオは
「我が偉大なる主人ルイズ様。このようなお時間に何用で御座いましょう?ふぁー」
そのまま起き上がって床に座りなおし用件が何か聞きます
何故か寝巻きでなく制服を着ているルイズは腰に手を当てながらも神妙に答えます
「土くれのフーケを倒しに行くわよ」
「土くれ?また決闘を引き受けたんですか?明日にしてくださいよ・・・」
毛布を取り返そうと腕を伸ばすが叩き落とされてしまいます
「フーケよフーケ!!今巷で話題の泥棒よ!!」
「何で僕たちが行くんですか?警察に行かせる事じゃないんですか?」
「・・・とりあえず後で話すわ。ついてきて」
そのまま部屋を出てしまったルイズの後を追います
途中小腹が空いたドッピオは少々食堂からパンと具材を拝借し簡易サンドイッチを作ります。数は七つほど
校門の近くまで歩くと馬車が一台現れます
「・・・ずいぶんと遅かったのですね」
さらにその中からミス・ロングビルが現れます。少なからず怒っているように思えます
「時間がないわ。行きましょう。」
ロングビルは頷き馬車は動き始める
空気の重さを感じるもドッピオはまずサンドイッチを二つほど食べるととルイズに「詳細を」と訴えかけます
「昨日、破壊の杖が盗まれたわ」
「・・・盗まれた?!」

話はこうでした
昨日の昼過ぎに1人の職員が宝物庫前の通路を歩いていると扉が何かで破壊されていたといいます
それも魔法ではなく何か恐ろしく巨大な力によって破壊されていたらしく
そして中には「破壊の杖頂きますbyフーケ」の文字が大きく壁に書かれていたのだといいます
「そ、そんなことが・・・ちょっと許せないですね・・・!」
(・・・さすがに元の世界に冠する手がかりだから気合が入ってるわね)
「・・・でもそれと僕たちとどういう関係が?」
「あんたが疑われたのよ」
魔法を超越している破壊力を持っているドッピオの不思議な力が疑われルイズが学園長から事情聴取されたと言う訳らしく
「まぁ、その後犯人の目撃者が現れて疑いは晴れたんだけどね」
「な、なんか僕危なかったみたいですね・・・」
「それでその後が問題なのよ・・・」
目撃者の話でフーケの隠れ家らしき場所がわかったのは良いのですが誰も破壊の杖奪還に行く気がないときたのです
さらに盗まれたのは王都より保管を任されている品であり内密に取り返さないと何を言われるかわからないので
他所からの増援は見込めなく、内部で片付けるしかないのが現状なのです
しかし相手は噂によると巨大なゴーレムを操り、土系統のエキスパートであるとかないとか
いくら精鋭揃いの教師陣と言えど戦うのと教えるのは違うわけです
「も、もしかしてそれで「なら、戦うしかないじゃないか!!」とか言ったんじゃないですよね?」
「だ、誰かが行かなきゃ行けないでしょう!!」
「だからってそんな凶悪な魔法使い相手に生徒を向かわせる馬鹿がどこにいるんですか!!」
「あっち?」
既に見えなくなった学院を指差すルイズ
「・・・・・・」
頭が痛くなってきました。と同時に
グギュルルルル・・・
軽快なお腹の音がしました

「あ・・・」
「・・・・・」
音の主はルイズでした。夜食をとったドッピオと違いずっと何も食べてなかったからでしょうか
ルイズの顔は真っ赤に染まりました。ついでにワナワナと震えています
「・・・・ッアンタの所為よ!!このバカッ!!!!」
ルイズ渾身の右ストレートが炸裂・・・しませんでした
ドッピオは何か未来が不安になったのであらかじめエピタフを使っていましたので回避可能だったのです
「お、落ち着いてください!ルイズさん!」
差し出したのは作っておいたサンドイッチです。後五つほど余っていました
「・・・・っ」
恥ずかしさを紛らわせるかのようにサンドイッチを奪い食べようとしますが
(・・・・ドッピオって料理が出来るのかしら?もしかして・・)
さっき本人が食べていましたから食べれるものなんでしょう
ですが用意しているのに三分かかっておらず適当に作ったものなんじゃないかとルイズは思い
(・・・また恥を晒すよりましよ!)
意を決して食べますが
「・・・あら」
その意はすぐに間違いと気づきました

「どうですか?」
「ッ・・・ま、まあまあね」
実際に言うとこのサンドイッチはとても美味しかったのです
それもそのはず、ドッピオはコック長マルトーから直伝に多い、速い、美味いの料理を多数習っていたのです
このサンドイッチも直伝の内の一つです。パンが早く見つかったのでこれにしたのです
早々と一個食べ終わったルイズはすっかり落ち着いていました
そんな中
「着きましたよ」
このロングビルの一言で馬車の空気は一変しました

「あそこがフーケの隠れ家と言われています」
「いかにも隠れ家って感じね」
ルイズもロングビルの横に並び観察し始めます
周りはその一軒以外には何もなく、半径5mくらい外側には木々が生い茂っています
「早速調べに行きましょう」
「まぁ待ってください」
横を通り抜けようとするルイズの肩を引き止めます
「なにするのよ」
「いきなり敵地に突貫するのは無謀だって言ってるんですよ」
「なら、どうするんです?私としては中を調べた方がいいと思うんですけど」
ドッピオは頭を捻り
「燃やすってのはどうですかね?」

「燃やしちゃうの?それだと回りに火が散ってしまうかもしれないわよ」
「・・・木とはそれなりに離れていますし回りに火が移るのは問題ないと思います」
「だったら破壊の杖は?杖だったら燃えちゃうじゃない」
「それも大丈夫です。破壊の杖が想像通りのものなら・・・」
ドッピオは以前オスマンから破壊の杖を聞いた後、形状や材質がどんなものかと聞いてみてその絵まで見せてもらいました
説明だけではあまり要領を得ませんでしたが絵を見てみるとどんな物か大体分かりました
(たぶんあれはロケットランチャー、一回きりの破壊の杖・・・か)
「・・・それじゃ燃やしちゃおっか?」
「そうですね。さっさとやってしまいましょう」
「あ、あんまりオススメできないと思いますよ?破壊の杖もフーケもいなかったらどうするんですか?」
「それは目撃情報が間違ってたんですね。僕たちのせいじゃないし・・・火はどうやってつけましょうか?」
「だったら私に任せて!魔法ですぐに燃やせるわ」
「・・・今回は大丈夫なんですか?」
「大丈夫よ!錬金も何も無くただ燃やすだけって言うなら・・・」
そうしてルイズは集中しだします。ドッピオはオロオロしています
ルイズは魔法を使おうとすると例外なく、いつも・・・
ドッガーーーン!!
・・・こうやって爆発するのですから

「嘘・・なんで?」
ルイズは火の玉でも出したかったんでしょうか
でも結果は
「小屋が半分くらい吹っ飛んでるの?」

爆発の影響で火は結果的に回りました。爆発の影響も大きかったのでしょうか瞬時に広まりました
「・・・・ルイズさん」
「ま、まあ結果を見れば大丈夫じゃない!」
「・・・僕は破壊の杖は火に耐えられるって確かに言いましたよ」
「え、ええ」
「ですが爆発にまで耐えられる保障はありませんから」
「え?」
「・・・今の爆発でフーケが来るかもしれません。少し様子を見ましょう」

「何も起きないし来ないわねー」
「そうですねー」
構えていたものの何も起きず拍子抜けしているドッピオとルイズと裏腹にロングビルはわなわなと震えていました
しばらくしても何も起きず若干お腹が空いたのでドッピオは座り込みサンドイッチを食べています
ルイズも隣から手を伸ばし食べています
ときおりいつ持ってきてたんだか分からないハムを取り出したドッピオはキング・クリムゾンの腕で火のところまで持っていき焼いて食べてたりしています

そんなことをしているうちにドッピオはミス・ロングビルについて考え始めました
小屋を燃やすときに焦っていたりするのをみて考え付いたのが
(この人もお腹が空いてるのかなー)
などという変な結論でした。もちろんありえません
焦っていた理由はただ一つ。ロングビルの正体がフーケで目の前の敵二人の行動に焦っていたのです
燃やされてしまって破壊の杖は大丈夫なのだろうかと考えるフーケの思考は
「ロングビルさん」
敵のうちの一人、最重要警戒の人に話しかけられ一旦停止しました
「は、はいっ何でしょう」
「・・・食べます?」
そう言って差し出されたのはサンドイッチでした
「いえ、お気遣い無く」
「そんなこと言わずに。夜からずっとなにも食べてないでしょう?」
事実少々お腹が空いたのは事実でしたが敵からなにかを貰うのは自殺行為です
まあ、向こうからしてみれば仲間のようなものなはずですが今のフーケにはそれが考えられませんでした
「・・・本当に大丈夫ですから。ですから」
貴方方で食べてください言おうとしたのにここで彼女のお腹は正直に
クゥ・・・キュルル・・・
音を鳴らしてしまいました。ちなみに人のお腹が減るとなるのは自律神経が関係しているといわれます
特に鳴らさないようにと思うと余計胃が緊張しなってしまうようになる・・・らしいです
「・・・やっぱり、お腹が減ってるんじゃないですか」
「・・・くっ」
ロングビルはこの敵たちのちょっと前のやり取りを思い出しました
(・・・恥ずかしさを押さえ込むほどの味がおそらくこれにはある
 ・・・でもこんなところで敵の罠に引っかかるわけには・・・)
考え込んだ結果は
「・・・一つだけ頂きます」
食欲に負けてしまいました

奇妙な食事会(?)が終わるころには家につけた火も消えていました
「・・・結局フーケは現れずじまい・・・か」
「まあ、それはそれでよかったんじゃないですか?
 戦わないならそれにこしたことはないですよ」
ドッピオはそう言い立ち上がりました
「少し焼け跡を調べてきますんで待っててください」
「え?じゃあ私も」
「大丈夫です。すぐに戻ってきますから」
そういいドッピオは焼け小屋に入っていきました

「・・・やっぱり中に人はいない」
適当に中を調べるドッピオでしたが一つ目にはいるものがありました
「・・・もしかしてこれ」
目の前のものは煤(すす)で汚れて真っ黒ですがこれは間違いなく
「・・・破壊の杖。ロケットランチャーみたいですね」
ドッピオは汚れを払いそれを拾いますが
「・・・これを放置したままどこかに?」
明らかに怪しいそれを手にしたときからドッピオはエピタフを発動させています
そして・・・
「ルイズさん!!」
未来に危機を感じ瞬時に主の下に戻るのでした

フーケにまたとないチャンスが訪れました
(ここでこの小娘をこちらで拉致すれば・・・)
使い魔であるドッピオも手が出せない。これをチャンスといわずになんと言う
「・・・・・・」
意識を集中させ、自分のゴーレムを目の前の小娘に気づかれずに作り上げていくフーケ
ですが人間にある情だってもちろん彼女にもある。自分の状態に気づいて笑顔で食べ物を渡してくれた使い魔の男のことを考えると
少し、胸が痛んだ
その痛みと同時に
「ルイズさん!!」
その男がいち早く異変を察知して戻ってきた

状況はすぐに分かった
「ドッピオ?何そんなに焦ってるのよ」
「後ろ!速く逃げて!」
ルイズとロングビルの後ろにゴーレムが見えている。破壊の杖を囮にした罠だったのだ
「後ろ?なっ?!」
後ろに振り返り見えたものは土で出来たゴーレムだった
ゴーレムはそのままルイズを掴もうとして・・・その手は空をきった
「・・・え?」
キング・クリムゾンの腕を使った跳躍、跳躍というには速すぎる跳躍
瞬間移動のごとくルイズの目のまえに来て彼女を脇に抱えた
「ちょっと、もっとちゃんと持ちなさいよ!」
「無茶言わないでください!ロングビルさんも早く!」
ですがロングビルは動きません

「・・・ミス・ロングビル?」
驚嘆の声はルイズからでしょうか
ゴーレムは間違いなく土くれのフーケのものでしょう
ですがゴーレムはロングビルを攻撃せず、あまつさえその人を自らの手の上を乗せたのです
「まさか・・そんな」
「ミス・ロングビルが・・・」
「「土くれのフーケ・・・」」


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