ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

絶頂の使い魔-10

最終更新:

匿名ユーザー

- view
だれでも歓迎! 編集
状況はどう見ても不利でした
一つに現状で逃げ切れないこと。二つの荷物(この状況ではルイズはお荷物です)を抱えたまま逃げ切ることは不可能です
それに跳躍移動して逃げたとしてもそのときに耐えるのは自分の足です。そう何度も使えるものでもありません
もう一つに
「・・・なんですかあれ?反則ですよ・・・」
敵のゴーレムです。やたらでかいゴーレムの肩に本体のロングビル・・・フーケがいます
跳躍を使えばすぐにいけるでしょうが迎撃されるのが落ちです
(・・・ボス)
そう考えたドッピオの判断は自らのボスに任せることでした
自分が出来ないのが不甲斐無いですが自分では防戦一方でフーケを倒すことは出来ないでしょう
「・・・お願いします・・ボス」
小声でつぶやき、ドッピオは自分の表層意識をディアボロに手渡しました

ルイズはその小声を聞き逃しませんでした
言った途端、彼の力が一瞬抜け、すぐに持ち直しました
「・・・貴方」
ドッピオからボスと呼ばれたその人が現れたのです
「・・・・・・」
その人は終始無言で目前の敵をにらんでいました

「・・・学院内で貴族を倒した平民」
魔法を使う貴族を何らかの能力で倒した男。ヴィネガー・ドッピオ
「・・・だけどそいつより厄介な存在」
フーケは学院の騒動を聞きつけギーシュとドッピオの戦いを少々見ていました
そして
「・・・雰囲気が変わった。今回も現れたようね」
何らかの能力を使って倒すドッピオ以上に厄介な存在。行動を無効化する男
遠くから観戦していたフーケはなんとなく雰囲気が変わるのが分かりました
「手加減は一切しない。最初から全力で・・・」
先に倒さないとこちらがやられる
そう思って彼女は敵に対して全力を出しました

フーケは土属性のエキスパート。その攻撃は全てが予想外な攻撃でした
まずはゴーレム。コイツが直接攻撃してくるのは予測できましたが速さが機敏でした
エピタフの未来予知が無ければ回避できないほど速い攻撃を後ろに跳ぶことでかわしますが
「キング・クリムゾン!」
未来の危険を察知し時を飛ばし回避します。飛ばし終わった後起こったのは蟻地獄でした
「くっ・・」
ディアボロは攻めるに攻められませんでした
ゴーレムを壊そうとするも相手は土。攻撃が吸収されてしまうのです
肝心のフーケ本体は肩に依然いますが
「ちょっと!速くバーって倒しなさいよ!!」
この主人が邪魔で上手く攻められないのです

はっきり言ってルイズはこの戦いで邪魔でした
こうして一緒に戦わないと敵の攻撃がルイズに及ぶからです
戦う前、破壊の杖を取り戻し戻ったときのことを考えるとまずルイズを捕まえるつもりなのでしょう
もちろんその程度でこちらが怯む理由にはなりませんがもし主人に何かすると使い魔に影響が及ぶならと考えると
「くそ・・・」
下手に放っておけません。どうするかと考えていると
「・・・ボスでいいのかしら?」
己の主にそう問いかけられました
「・・・ディアボロだ」
どうせこの主に名前を教えて問題ないと考えたディアボロはそう素っ気無く返しました
「それじゃディアボロ。はっきり言っちゃっていいから答えて。私が邪魔?」
「ああ」
気を使う必要が無いと考えたディアボロはすぐに返事を返しました
こんな受け答えをしている間にもディアボロは高速で動き回り回避しています
「・・・それは主人が捕まるといけないと思っているから?
 それとも単に役に立っていないだけ?」
「その両方だ」
きっぱりといいました
それでスイッチが入ったのか
「・・・上等じゃない」
ルイズはそう言って
「使い魔に戦いを押し付けてられないわ。私だって戦うわ!」
そうとんでもないことを言い出しました

「バカか?お前がどうやって戦うというのだ」
魔法を使えないルイズに戦う術なんて無い、と思うその考えは
「バカにしないで。気を引くことぐらい出来るわ、その隙を貴方が突いて」
「バカはお前のほうだ!いいか、無謀と愚考はどれ程強行しても叶うことは無い
 己を未熟を呪うのならば成長しろ。己の過去に打ち勝ち次に自分が出来る最良のことを考えろ」
ディアボロは怒声を放ちました
そこにはルイズの犠牲を前提とした作戦をやめろという彼らしくない考えがありました
「じゃあどうしろって言うの・・・私だって」
「『私だってプライドがある』か?そんなものそこらの犬にでも食わせてしまえ
 生き残ればどんなことも出来る。成長して再戦し勝つこともな」
「・・・違うわ。私が言いたいのは」
一呼吸おいてから
「もう、アンタが限界だからそういってるのよ!」

「私が限界・・・?」
そう言われて自分の体を見ると
「なっ・・・」
回避し切れなかった攻撃を喰らいズタズタになった体だった
特に跳躍を混ぜた回避に耐えられなくなった足がもう黒ずんでおり痛みさえも感じなかった
「・・もうこれ以上迷惑はかけられないわ」
そう言ってルイズはディアボロの腕からするりと抜けました
「・・・今度は私が相手よ!」
そんなバカな行動をする主を止めようとして
「・・・?」
自分の足がもう動かないことに気づきました

フーケはもはや限界に達した敵を見て最後の止めを刺そうとしました
ですが
「・・・今度は私が相手よ!」
そんな彼の主の声にさえぎられました
「・・・正気?貴女ごときが私に敵うとでも?」
「やってみなくちゃわからないわ」
「そう・・・なら」
止めの一撃の対象を変えてフーケは
「その愚行を後悔するのね!」
土のつぶてを使い魔の主にぶつけようとして
「キング・クリムゾン!」
使い魔にさえぎられたのでした

ディアボロは自分の主の危機を察知し咄嗟にスタンドを発動させました
そして今、千載一遇のチャンスが来たのです
(・・・跳躍!)
キング・クリムゾンの力で再度跳躍します。狙いはフーケ本体です
攻撃はルイズにあたりますがそれはこの吹き飛ばした空間で無効化できます
そして
「終わりだ!!!フーケ!!!」
その杖を破壊しました

フーケは自分が愚行を行ったことに気づいていました
ただ、使い魔を守ろうとするその主が自分とは違い、認めたくなく、否定しようとその魔法を発動させました
結果、やはり使い魔の男に邪魔をされ、その男が目の前に来ました
瞬間移動としか取れないほどの速さで接近した男は不可視の力を使い自分を倒すでしょう
きっと自分は目の前の男に殺されるだろうと死の決心をしました
たとえ殺されなかったとしてもこの高さから落ちればそれが決定打になります
「終わりだ!!!フーケ!!!」
終わりの一撃が来ます。そのときに思ったのは
(・・・何を思い出しているんだか)
走馬灯でも、ましてや何も考えない無の境地でもなく
この男ではないもう一人の男の子の笑顔だった
だが、終わりの迎えはこなかった

「・・・え?」
その驚嘆は自分が出したものと気づくまでに少しかかりました
目の前の敵は殺すもせず、殴るもせず、ただ自分を無力化したのです
「・・・なぜ?」
驚嘆の後の疑問それに男は
「・・運が良かったな。ドッピオは少なからず貴様に好意を抱いていたようだ」
とまるで他人事のように答えた。と同時に
ドサッ
「な?!」
ディアボロはフーケに倒れ掛かってきました。突然のことに反射的に受け止めたフーケ
そのときに男は言葉を言いました。それは
「・・・もう、こんなことをやめてください。ロングビルさん・・・」
さっきの男ではなく、自分にも優しくしてくれた男の子の声だった
ゴーレムが消えていく。それは術者のフーケが魔法を使えなくなったからだ。同時に上の二人も落ちていきます
もはやそれは反射的な危機対応能力なのか男は女性に抱えられたような状況の中不可視の力を使って着地します
「・・・なぜ」
最後の最後まで自分に優しくしてくれた男の子には疑問しか見出せなかった

「・・・今はドッピオみたい、ね」
その声はこの男の子の主、学院でゼロのルイズと言われている学院生です
「・・・すいません。ルイズさん」
開口言った言葉は謝罪でした
「謝る必要なんてないじゃない!フーケを倒したのよ?」
そのフーケは今、気絶をしている
「それじゃ後はフーケを差し出して」
「ルイズさん・・・ちょっと待ってください」
「え?」
ここでドッピオが止めるとは思わなかったルイズは言葉に反応して足を止めました
「・・・見逃してあげれませんか?」
「あのね、なんで見逃す必要が」
「今回の目的は破壊の杖を取り戻すことですし・・馬車も無いなら連れて帰れるほどの余裕も無いですよ」
一応筋は通っているがドッピオの本心はそこには無かったのです
ただ、盗みとかをやめてくれればドッピオは満足だったのですから
「・・・まあ確かにそうね」
ルイズ自身も渋々納得し今日はこれで帰ることとなりました


タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

記事メニュー
目安箱バナー