ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

ゼロのスネイク-14-①

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匿名ユーザー

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14話①


信じる。
この一言を、ホワイトスネイクはルイズに期待していなかった。

今しがたゴーレムの一撃で小屋ごと吹き飛ばされた、人の形をした何か。
それを「ただの小さいゴーレム」と言ってしまうことは出来ても、
実際にそうであることを証明するものは何一つ無い。
しかもその「人の形をした何か」が、
「数秒前に小屋に入っていったミス・ロングビル」だったなら……事態は最悪の展開を迎えたことになる。
いや、状況から考えれば後者である可能性の方が高いだろう。
「あれはただのゴーレムだ。だから心配なんかしなくていい」……とする方にこそ、無理があるのだ。

なのにルイズは「信じるわ」と言った。
それはかつてプッチ神父のスタンドだったときには当たり前のように受け取っていたものだった。
しかし、それはホワイトスネイクがこの世界に来て初めて受け取ったものだった。
「無償の信頼」だった!

自分は、これに応えねばならない。
主人の力となって主人を守護する、スタンドとしての自分の本能がそう叫んでいるのを、ホワイトスネイクは感じた。
そしてまたホワイトスネイクは思った。
この小さな主人の思うようにやらせてみたい。
自分がどれほどの傷を受けようとも、「どうにもならない事態」になるまでは守り抜きたい。
あの強大なゴーレムに立ち向かうことがルイズの精神をどこまで成長させるのかを見てみたい、と。

「ちょ、ちょっとルイズ! 今ゴーレムに吹っ飛ばされたのって……」

いまだに状況がつかめないモンモランシーが引きつった声を上げる。
だが、

「ごめん、モンモランシー。あとバックアップお願い」
「え? 何……バックアップ?」

モンモランシーが聞き返したときには、既にルイズはゴーレムに向かって走り出していた。
直後、ホワイトスネイクがすぐにその小さい背中に追い付き、そして横に並ぶ。
ルイズとホワイトスネイク、互いの視線が一瞬だけ交錯する。
互いの目的を確認するにはそれだけで十分だった。

そして自分の方に一直線に向かってくるルイズとホワイトスネイクに気づいたかのように、
ゴーレムもまた動き始めた。
一歩一歩、地響きを立てながら歩むゴーレム。
ルイズが全力疾走に近い速度でゴーレムに向かっていることもあり、
当初20メイル以上もあった間合いはほんの数秒で殆ど埋まった。
その距離は、ゴーレムがルイズを踏み潰せる距離。
その距離は、ルイズがゴーレムに爆発の魔法を当てられる距離。
互いが、互いを射的距離内に捕らえた。

先手を取ったのはゴーレムだった。
鈍重な足を軽く持ち上げ、その足をルイズの真上に踏み込もうとする。
だが、

「シャアアアアアアアアアーーーーーーーーーーーーーーッ!!!」

突如、足の内側から叩き込まれた蹴りのラッシュが、その狙いを逸らさせる。
ゴーレムが踏み込んだ足は、ルイズからわずか10サントの位置に踏み込まれた。
必殺の踏みつけを邪魔したのはホワイトスネイク。
ゴーレムの挙動を先読みした、「ルイズを守るため」の防御行動だ。

拳撃でなく蹴撃を用いたのには2つの理由がある。
一つはゴーレムの圧倒的なパワーに対抗するため。
拳のラッシュを打ち込んだところで、ゴーレムの動きのベクトルを変えることは困難だからだ。
そしてもう一つは――

ビシィ!

ホワイトスネイクの蹴り足に一筋のひびが入った。
ゴーレムのパワーと真正面からでないにしろ、ぶつかったのだ。
その代償が、これだった。

(ヤハリ、足ニダメージガ……!)

蹴りを使ったもう一つの理由。
それは拳のラッシュによって自身の腕にダメージを負い、
ラングラーとの戦いでそうだったように、DISCの使用に支障を来たさないためである。

ルイズへの攻撃を予想しえぬ形で外したゴーレム。
それは周囲の木々の影に隠れてゴーレムを操作する、土くれのフーケにとっても同様だった。
だがフーケにとってさらに予想外だったのが、

「バカな……あの小娘、なんであんなことを?」

ルイズはゴーレムが踏み込んだ足のすぐ隣――最初にゴーレムがルイズに狙いをつけた位置で立ち止まっていた。
ゴーレムにほんの少し、横に足を払わせれば、それだけで殺せる位置。
紛れも無く「死地」だ。
そんな場所に、何故?

その疑問が、フーケのゴーレムへの指令を中断させた。
ゴーレムの動きが、ほんの一瞬だけ止まる。
その隙を、ルイズは見逃さなかった。

「な、何してるんだ、ルイズ! は、はや、早くそこから逃げるんだ!」

ギーシュが悲鳴に近い声を上げる。
だがルイズに迷いは無い。

「何言ってるのよ、ギーシュ」

彼女が掲げる杖の先にあるのは――

「この距離がいいのよ、この距離が!」

ゴーレムの膝関節。
巨体で鈍重なゴーレムの、もっとも脆弱な部位だ。

「錬金ッ!!」

短い詠唱と共に放たれたルイズの魔法はゴーレムの右膝に命中!
そしてその効果は――

ドッグォォオオオオン!!!

爆発ッ!!
あえて立ち止まることで狙いを正確なものとした魔力の炸裂は、ゴーレムの右膝を跡形もなく吹き飛ばしたッ!

ズズゥゥゥン…………

片足を失い、轟音を立てて倒れるゴーレム。
ルイズはそれに目を向けながら、荒い息をついた。
破裂しそうなぐらいに鳴り響く心臓の鼓動が、やけに大きく聞こえた気がした。


To Be Continued...


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