ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

ゼロのスネイク-11

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11話


校庭に突然現れた巨大ゴーレム。
全長30メイルはあろうかというその巨体の肩には、一人の女が立っている。

この女――フーケは、ほんの数秒前まで校庭の物陰に隠れて盗みの算段を立てていた。
なのにその物陰から出てきたのは、予想もしなかった好機がフーケに訪れたからに他ならない。
その好機とは、宝物庫の外壁に突然出来た無数の亀裂。
ホワイトスネイクの手によって逃れようの無い死に追いやられたラング・ラングラーの死に際の攻撃
――ジャンピン・ジャック・フラッシュの鉄クズの砲撃によるものだ。

自分では傷一つ付けられないだろうと見積もっていた宝物庫の外壁。
それを突然現れた男が、恐らくは狙ってやったことではないのだろうが、容易く損傷させてしまったのだ。
勿論フーケは驚いた。
だが名うての盗賊として養った判断力が、これが逃さざるべきチャンスであるとすぐに知らせた。
そしてすぐにルーンを唱え、魔法を完成させ、ゴーレムを作り出したのだった。

「・・・・・・何ダ、アレハ?」

ラングラーとの戦いで満身創痍になったホワイトスネイクが呟く。
スタンド使いとの戦歴20年にも及ぶホワイトスネイクにとって、未知なる敵と戦う事は日常茶飯事である。
しかしこれほどまでに巨大で、そして圧倒的なパワーを感じさせる敵と遭遇したのは、これが初めてであった。

「あれは・・・ゴーレムよ」

ホワイトスネイクの呟きに、その近くにいたモンモランシーが答える。

「ゴーレム?」
「土のメイジが作る人形みたいなものよ」
「人形・・・トナルト、ギーシュガ作ッテイタ『ワルキューレ』トヤラと同列ノモノカ?」
「ええ」
「ダガアマリニモ大キ過ギルゾ」
「分かってるわよ、そんなこと!
 あのサイズ・・・わたしは土のメイジじゃないからよく分かんないけど、ドットやラインじゃきっと無理よ。
 少なく見積もっても20、30メイルはあるんだから・・・」
「最低デモ、『トライアングル』ダト?」
「そういうことになるわ。どっちみちわたしたちじゃ無理ね・・・あんたもボロボロだし。
 どこかに隠れてる方がよさそうね」

そう言ってモンモランシーは怯えた目でゴーレムを見上げる。

「肩ニ人ガ乗ッテルゾ。アレガ操作シテイルノカ?」

ゴーレムの肩の上に立つ人影を目ざとく見つけたホワイトスネイク。

「乗ってるの? わたしには見えないわよ」
「人間ノ視力デハ無理カ」
「しょうがないじゃない。あんたみたいな化け物じゃないんだもの」
「『化け物』ジャアナイ。『スタンド』ダ」
「どっちにしたって一緒よ。わたしみたいな人間からすれば、あんたは化け物に変わり無いわ」
「『感情的な人間』カラスレバ、カ」
「何ですって!?」

唐突に二人の間の空気が悪くなる。
そのとき――

「ばばぶばびべぶべ! びびば! びびばぶばぶ!」

未だに水から出してもらえずにいたギーシュが激しく喚きだした。

「あ・・・・・・」
「オ嬢サンガ黙ラセタママデ放ッタラカシニシテオクカラ、今ニモ息ガ止マリソウダナ」
「う、うるさいわよ! あとお嬢さんとか呼ばないで!」

ホワイトスネイクに文句を言いながら、モンモランシーがギーシュに使った水の魔法を解除する。
その途端にギーシュを包んでいた水の塊が、ざばぁっと音を立てて落ちた。

「ゲ、ゲホッゲホ、ッ・・・た、助かったよ、モンモランシー」
「お礼なんていいから! さっさと逃げるわよ、ギーシュ!」
「そ、そうだね・・・ドットの僕じゃあ、あんな馬鹿でかいゴーレムはどうしようもないし・・・」
「そうよ! だから早く隠れるなり何なり――」
「だが断る」
「・・・はぁ?」

ギーシュが言い出したことの意味が分からず、唖然とするモンモランシー。

「このギーシュ・ド・グラモンが最も好むことの一つは、悪党から逃げるという提案に対してNO! と言ってやることだ・・・」

そう言っておもむろにバラの造花、もとい自身の杖を取り出すギーシュ。
そしてルーンを唱えようとしたところで――

ドシュン!

どこからともなく飛んできたDISKがギーシュの額に刺さった。
そして差し込まれたDISKは、ギーシュが自分に何が起きているかを理解するよりも早く彼を昏倒させる。

「『命令』スル。1時間寝テイロ」

言うまでも無く、DISKを投げたのはホワイトスネイクである。

「ちょ、ちょっとあんた、ギーシュに一体何したのよ!」
「今カラ1時間寝ルダケダカラ気ニシナクテイイ。ソレヨリ・・・声ヲ出スナ。物音ヲ立テルナ」

そう言ってホワイトスネイクは自分の残り少ないスタンドパワーを、体の底から引きずり出す。

「ソシテ・・・コノ場カラ動クナ」

引き出したスタンドパワーを自分の周囲、半径10数メイルに集中。
そして「能力」を発動する。
まるでそこに誰もいないかのように、風が何者にも遮られずに吹き抜けているかのように。
偽装し、欺き、隠蔽する。
これがホワイトスネイクの能力、その3つ目の「幻覚」だ。

幻覚の対象を見た者の脳そのものに干渉し、
見たもの、嗅いだもの、聞いたもの・・・あらゆるものがホワイトスネイクが望んだものになる。
使いようによっては、記憶を奪い去ることよりも凶悪な能力だ。

ゴーレムの足が、ホワイトスネイクたちがいる場所から20メイルの位置に踏み込む。
ズシン、と地響きが立つ。
人影が立っている場所からなら、すぐにでもホワイトスネイクたちを発見できる状況だ。
人間のモンモランシーでさえ、ゴーレムの肩の上で、月明かりが人型に切り取られているのが分かるのだから。
モンモランシーがごくり、と唾を飲む。
どうか見つかりませんように。
そう願った瞬間、人影が頭をこちらに向けた。
思わず悲鳴を上げそうになるモンモランシー。
その口をホワイトスネイクの、ボロボロの手が塞ぐ。

「モ・・・モガ・・・」
「声ヲ出スナ・・・今ノ私ノパワーデハ・・・声マデモ誤魔化スコトハデキナイ」

塞がれた口でもごもご言いながらモンモランシーが抗議する。
人影はまだこちらに頭を向けている。

だが次の瞬間、人影は何も見なかったかのようにこちらから目をそらした。
それに従うようにゴーレムもまた一歩、地響きを立てながら踏み込んだ。

「見つから・・・なかったの? 思いっきりこっちを見てたのに・・・」
「ソウナルヨウニ私ガシタカラダ」

驚きを隠さないモンモランシーに対し、ホワイトスネイクは淡々と答える。

そうこうしている間にゴーレムは学院の校舎へと辿り着いた。
そしてその太い腕を振り上げると、宝物庫の外壁の、幾つものひびが入った部分に振り下ろす。

ドゴオオオォン!

学院中に響き渡る大きな音と振動を伴って、宝物庫の壁に大穴が開いた。
そして壁をぶち破ったゴーレムの腕の上を人影が素早く走り抜け、校舎に侵入する。

(ナルホド・・・アアシテ盗ミヲヤルノカ。
 巨大ナゴーレムハ周囲ノ人間ヲ恐レサセ、ソノ場カラ退避サセル。
 ツマリ現場ハガラ空キニナル。
 ソコヲ狙ウ・・・トイウワケカ。
 随分大胆ナ手口ダ。
 ソノ場ニゴーレムヲ恐レナイヨウナ気骨アル者ガイレバ、自分モ危険ニナルノニナ・・・)

その光景を見ながら、ホワイトスネイクが思考を巡らす。 

やがて、人影が校舎に開いた大穴から出てきた。
その手には大きな黒い箱が抱えられている。
そして人影がゴーレムの掌の上に乗ると、ゴーレムはゆっくりとその巨体を動かし、
ズシン、ズシン、と地響きを立てながら去っていった。

ゴーレムも、人影も、最後までホワイトスネイクたちがそこにいたことには気づかなかった

「っはぁ~~、助かった・・・。」

それを見送って、モンモランシーが声を上げる。
ホワイトスネイクはゴーレムが十分に離れたのを見計らって、地面に横たわっているルイズを揺り動かす。

「マスター、起キロ」
「う、うん・・・・・・ッ! ほ、ホワイトスネイク! キュルケと青髪の子は!?」

意識を取り戻したルイズは、すぐにキュルケたちのことを口にする。

「重傷ヲ負ッテハイルガ、命ニ別状ハ無イ。ラング・ラングラーモ始末シタ」
「そう・・・よかった・・・・・・って、あの不届き者、殺したの!?」
「ソウダ。ソコニ奴ノ死体ガ転ガッテイル」
「・・・そう」

自分の使い魔が人間を殺したという事実を受け止めるルイズ。
そして自分の使い魔がした事を確かめるために、ホワイトスネイクが指し示した方向を見る。

「ッ!!」

凄惨な光景だった。
全身の血を一滴残らず周囲に撒き散らし、さらに全身が押しつぶされたかのようにベコベコになっているラングラーの死体。
そんなホラー映画顔負けのショッキング映像に加え、
ラングラーの血が自分にも降りかかっているのが分かった時には吐き気がこみ上げたが、
幸いにも消化しかけの物をゲロすることはなかった。
この一週間、ホワイトスネイクとのイザコザのために食欲が無かったのが功を奏したらしい。

「・・・あんた、一体何やったのよ?」

やっとのことで、喉から一言搾り出したルイズ。

「『ラングラーの体内気圧を限界まで低下させた』・・・トイウノガ私ノシタコトダガ、
 ソレデハ分カラナイダロウカラ気ニシナクテイイ」
「気にするわよ。
 ご主人様には使い魔がした事を知る権利があるわ」
「説明シタッテ分カルモンジャアナイシ、ソレニスル時間ナド無イ」
「何よそれ!」

むぅ~~、と唸るルイズ。
それを見て、これはまた険悪になるかな、と思ったホワイトスネイクは、

「起コスカ?」

キュルケとタバサを指し示してそう言った。

「バカ言わないでよ。重傷負ってるんなら起こしちゃダメに決まってるじゃない」
「分カッタ」

ホワイトスネイクは淡白に答える。
そしてそう言って周囲を見回したルイズは――

「ちょっ、モンモランシー! あんた、何でここにいるのよ!?」
「それはこっちにセリフよ、ルイズ!
 ギーシュと二人っきりで歩いてたらいきなり変な奴と一緒に壁を突き破って出てきて、それにそれだけじゃないわ!
 あんたの使い魔、さっき言った奴と殺し合いまでしたんだから!
 わたし、心臓が飛び出るかと思ったわよ!
 ギーシュもギーシュであんたの使い魔のことを『あれは騎士だ!』とか訳分かんないこと言って興奮してたし・・・」
「え、ちょっとまって。ギーシュもいるの?
 あんた浮気されたから絶交だとか何とか言ってたじゃないの」
「一週間も経ったんだから許してあげてもいいかなーって思ったのよ!
 別にいいじゃないの!
 わたしとギーシュの問題なんだから!」
「まあ、それはそうだけど・・・」

少々ヤケクソ気味のモンモランシーの剣幕に押されるルイズ。
ちなみに会話の当事者であるギーシュはまだおねんねの最中だ。

と、そうこうしてるうちに、ルイズはホワイトスネイクに、ものの見事に話をすり替えられたことに気づいた。

「ホワイトスネイク!
 あんたまだわたしが聞いたことに答えてないわよ!」
「ダカラサッキモ言ッタロウ。私ニハソレヲ説明スル時間ナドナイ」
「何でよ!」
「ラングラートノ戦イノ前ニ言ッタハズダ。
 例エ生キ延ビタトシテモ、ソノ後自分デ自分ニ決着ヲ付ケルト」

それを聞いて、ルイズが固まった。

「何・・・ですって?」
「聞コエナカッタノカ? ツマリ私ハコウ言ッテイルノダ。『今から自決する』・・・トナ」

さも当然のように言うホワイトスネイク。
それを見て、ルイズは全部思い出した。
自分を主人と呼びながらも、自分がそれに足らない存在だと見なすかのような態度。
自分よりも優れた判断が出来るとでも言わんばかりの態度。
自分を、主人だと認めていない態度。
忘れていた怒りが、マグマのようにグツグツ煮えたぎった。
そして――

「・・・の・・・・・・」
「・・・何ダ?」
「・・・・・・この・・・・・・」

プッツンした。



「このバカ蛇ぃーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!」



そう叫ぶが速いが杖を振り上げ、一切の迷い無くホワイトスネイクに向けて振り下ろすッ!

ドゴォォォォォン!

「ハグッ!」

至近距離でのルイズの失敗魔法の爆発が、ホワイトスネイクを吹っ飛ばすッ!
ルイズ自身も今の爆発で後ろに吹っ飛ばされたが、すぐに起き上がってホワイトスネイクの方へ走る。

「そこをおおおおおお!! 動くなあああああああああ!!」
「何ダトォーーーーーーーーーーーッ!?」

突然ブチ切れた主人の暴挙に激しく混乱しながらホワイトスネイクが悲鳴を上げる。
そしてッ!

メメタァッ!!

「ブゲアッ!!」

ルイズの100点満点の飛び蹴りがホワイトスネイクの顔面に炸裂したッ!
さらにその蹴りの勢いでホワイトスネイクは3回半ほど後ろ回りをした挙句、校舎の外壁にごつんと後頭部を打ち付けた。

「グオォォッ・・・」

激痛でしゃがみこむホワイトスネイク。
ラングラーとの激戦、さらには限界状態での幻覚の使用。
それら能力と体力の酷使とご主人様の乱行とでホワイトスネイクはヘトヘトに弱りきっていた
だがそんな彼に対しても、桃色髪の阿修羅は容赦しなかった。
当然モンモランシーもその光景を見ていたが、ルイズのあまりの凄まじさに何も言えなかった。
阿修羅――もといルイズは、そんな満身創痍を軽く通り越した状態のホワイトスネイクにおもむろに近づくと――

ドグシャアッ!

「ア・・・足ノ・・・小指・・・ヲ!」

口をぱくぱくさせながらホワイトスネイクが頭から崩れ落ちた。
足の小指を全力で、しかも革靴履いた足のかかとで踏みつけられたのだ。
痛いとかどうとかのレベルを超越している。

「この・・・この大バカッ!」

地面に突っ伏して呻いているホワイトスネイクにルイズが罵声を浴びせる。

「そもそも何なのよあんたは!
 サモン・サーヴァントで出てきてからご主人様差し置いて好き放題じゃないの!
 決闘じゃギーシュを殺しかけるし!
 自分がスタンドだからとか何とか言って訳分かんないこと言うし!
 それに、それに自分から死ぬなんて言うし!!
 あの不届き者と戦ってる時、だって、凄く心配してたのに! わたしがバカみたいじゃないの!!
 わたしが、わたしがどんだけ、あんたの事を心配したのか分かってるの!?」

ホワイトスネイクは倒れたままの状態でルイズの言葉を聞く。
ホワイトスネイクの今の体勢からではルイズの顔は見えなかったが、ちゃんと分かった。
言葉が途中から切れ切れになり、声が涙混じりになったのも、ホワイトスネイクには分かった。
そしてそれらの言葉の中の一つの単語が、ホワイトスネイクの胸中に響いた。

心配。
スタンド本体の力そのものであるスタンドたるホワイトスネイクにとって、それは全く縁の無い言葉だった。
とはいえ、言葉の意味を知らないわけではない。
しかし、その言葉が自分に対して矢印を向けていると言う事実に、ホワイトスネイクは驚いていた。

「マスター」
「・・・なによ」

ぐすっと鼻水をすすってルイズが答える。

「マスターハ・・・私ヲ心配シタノカ?」

そうホワイトスネイクが言うや否や――

ドグシャアッ!!

「フベッ!」

ホワイトスネイクの無防備な後頭部をルイズが容赦なく踏みつけた。

「当たり前じゃないのこのバカ蛇!!
 さっきから! さっきから何回もそう言ってるじゃないの!!」

後頭部の痛みを痛烈に感じ、そしてルイズの言葉を聞きながら、ホワイトスネイクは思った。

何てこった、と。

ここでは自分はスタンドとしては扱われないらしい。
自分が全存在を懸けて返済しようとした命令無視のツケの領収書を、この小娘はあっさりと突き返した。
さも当然、と言わんばかりに。
しかもそればかりじゃあない。
自分の力そのものであるスタンド――本体とまさしく一心同体であるものとは、まるで違う存在であるかのように、
あたかも他人に対するかのように心配などしてきたのだ。
自分をスタンドとして扱う気など、毛頭無いらしい。
今までの20年で積んで来たスタンドとしての立ち振る舞いの、その大半が一瞬で無用の長物になったように思えた。
何てこった。
こんなバカな話があるものか。
せっかく本体とのダメージ共有も無い分、よりスタンドらしく振舞えるものと思っていたのに。
何てこった。
これでは――



――これでは、今はまだ死ねないではないか。



ホワイトスネイクはおもむろに起き上がった。
そして、ルイズと向き合う。
自分を一方的にボコボコにしたご主人様は、目に涙を溜めていた。
それを見て、改めてホワイトスネイクは思う。
やっぱり、まだ自分は死ねない。
こんな前途多難なスタンド本体――もとい、ご主人様を守ることなど、自分以外では難しすぎる。
他の者には到底任せられない。

そして、口を開く。

「・・・トリアエズ、謝罪ハシテオク」
「・・・とりあえず、って何よ」

尖った口調でルイズが返す。

「言イ訳ハ趣味ジャアナイガ、謝ルヨリ先ニスルコトガアルノダ」
「・・・何よ」
「コッチノ世界ニ、対応スルコトダ」
「・・・は?」

ホワイトスネイクの言ったことの意味が分からず、聞き返すルイズ。

「私ハコレデモ20年生キテイルガ、ソノ20年分ノ経験デハコノ世界ニハ到底対応デキナイ。
 ツマリ・・・コッチノ世界ニ合ワセタ立チ振ル舞イヲ早急ニスル必要ガアル」
「だからどういうことよ!」
「ソウダナ、マズハ自分ニ自分デ決着ヲツケル・・・トイウノヲ撤回スルカ」
「・・・・・・本当に?」

疑いの強い目つきでルイズがホワイトスネイクを睨む。

「・・・本当ダ」

それを真っ直ぐに見返して、ホワイトスネイクが返す。

「本当に本当ね?」
「・・・本当ニ、本当ダ」
「だったら3つ約束して」
「何故ダ?」
「あんたがウソ言って無いんだったら、今からわたしが3つ言うことに約束して。いいわね?」
「・・・マアイイガ、何ヲダ?」

怪訝な顔をして聞くホワイトスネイクに、ルイズは真剣な顔で答える。

「1つ! わたしの言う事は最大限聞くこと!
 2つ! わたしの身を守るのは、ほんとうにどうしようもない時だけ!
 3つ! ・・・」
「・・・3ツ目ハ何ダ?」



「・・・わたしのことはルイズ、って呼びなさい」



「・・・マスター、ジャダメナノカ?」
「ダメ」
「何故ダ?」
「なんでもいいから! わたしにはルイズって立派な名前があるの! だからあんたもそれで呼びなさいってことよ!」
「マア・・・ソウイウコトニシテオクカ」
「何よその言い方! 文句あんの?」
「イヤ無イ。無イカラ、無イカラ私ヲ踏ンヅケヨウトスルンジャアナイッ!」
「いーや、踏んづけるわ。何だかよく分かんないけどまた腹立ってきたもの。覚悟しなさい」
「タカガ一週間ポッチノコトダローガッ! 私ハ体力的ニソロソロ危ウインダ! コレ以上ダメージハ受ケレンッ!
 ダカラヤメロト言ッテ・・・」

メメタァッ!

「ギャアァッ!」

結局ホワイトスネイクは踏まれた。
さっきと同じ足の小指を、さっきよりも強く。
そして、恐るべきジャンピン・ジャック・フラッシュと死闘を演じた強力なスタンドには不似合いな、情け無い悲鳴を上げたのであった。

しかし、この悲鳴・・・ひょっとしたら、産声なのかもしれない。
ルイズとホワイトスネイクの、「スタンド本体」と「スタンド」の関係ならぬ、「ご主人様」と「使い魔」の関係の。


ギーシュ:駆けつけた教師たちによって医務室に運ばれるが、
     ケガ一つして無い上にすぐに目を覚ましたので自室へ戻った。

モンモランシー:ギーシュに付き添って医務室へ。
        やはり何の問題もなかったギーシュにちょっぴり涙ぐみながら自室に戻る。

キュルケ:重傷。駆けつけた教師達によって医務室に運ばれる。

タバサ:重傷。駆けつけた教師達によって医務室に運ばれる。

オールド・オスマン:ルイズの部屋にラング・ラングラーが侵入した事件、そしてフーケ事件の処理で突如多忙になる。
          こんな時に限ってミス・ロングビルがいないことを恨めしく思った。

ミス・ロングビル:現在地不明。魔法学院にはいないようだ。

ルイズ:軽症。医務室で水魔法の治療を受けてから自室に戻った。

ホワイトスネイク:重傷。発現状態を保つのもキツくなったので、ルイズの中に戻った。

                 ・
                 ・
                 ・

そして・・・

(ソーイエバ、ラングラーカラ記憶ト『ジャンピン・ジャック・フラッシュ』ノスタンドヲ抜イテオイタノヲ
 ルイズニ言ッテイナイ気ガスルガ・・・マア、イイカ)

何日後か、何週間後かは分からないが、ルイズから一発蹴りを貰うことが決定したホワイトスネイクであった。



ラング・ラングラー:死亡。スタンドと記憶はホワイトスネイクの手に。


To Be Continued...

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