ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

第二話 その男。ドSにつき

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第二話 その男。ドSにつき

やけに体が冷える。何もかけないで寝ていたせいだろう。
早起きしたのか。外はまだ薄暗くほんの少し明るくなってきた所だ。
まだベットでは僕を呼び出した少女。ルイズがすやすやと眠っている。
(かわいいらしい疫病神だな。まったく)
異世界と言われてもまだ実感はよくわからない。寒さのせいで眠気はもうない。
少し歩いてみよう。まだこの場所を知らなすぎる。

昨日僕が呼び出されたのはここか。全体を見回しても学校と呼ぶより城と呼んだ方が
ちょうどいいくらいの造りだ。技術的に見て僕の世界の中世ぐらいの物だろう。
魔法が発達しているからか?他の技術はあまり発達していないみたいだな。
近くに街はあるのだろうか。あるならば行ってはみたいが交通手段は…車はなさそうだ。
馬を使うのか。ルイズが僕を平民平民しつこく言って来たから階級社会なのだろう。
どのくらいの落差があるのか。カースト制度ほど差別があるなら勘弁してほしい。
声に出してはいないが心でぶつくさ言いながらジョルノは学園を歩き回っていた。
するとりんごの木の上でリンゴを採る作業をしてる人を見つけた。
黒髪のショートカットにカチューシャをつけている。おとなしそうでかわいらしい女の子。
おそらくは家政婦として働いているのだろう。階級社会ならば彼女は貴族ではなさそうだ。
遠巻きに見ていたが彼女が一番上のリンゴを採ろうとした時。はしごが傾いて…倒れたッ!!
「キャアアアアア~~~~~~~~~!!」
絶叫しながら彼女はをそのまま木から落ちてしまった。

ドシンッ!と音を立てて地面に落ちてしまった。
うずくまって動く様子はない。
ジョルノは急いで家政婦の元へ駆け寄った。
「大丈夫ですか?」
「いたたた…大丈夫で、痛ッ!」
彼女は左足のほうから落ちたのであろう。足首が明らかに折れていた。
「大丈夫じゃないみたいですね。折れてますよ。」
「~~~~~ィタィですゥゥ…イタィよぉぉ」
大声で泣きながらうずくまっている。さすがにかわいそうだ。
痛いにに決まっている。左足首がのく字に折れ曲がっている。
「ちょっと失礼します」
「え?」
「ゴールドエクスペリエンス!」 メメタァ! 
「痛ッ!」 ってあれ?
「まだ痛むでしょうけど折れた部分の治療は完了しました。内出血のほうも問題ありません。」
「ホントだ…足がまっすぐに治ってる。よかったぁ。ってまだ痛い!」
「まだ痛むといっているでしょう。折れた部分を作っただけなんですから」
「はあ…わかりました。でも助けていただいてありがとうございます!でも魔法が使える
ということはあなたは貴族の方ですか?」
「僕は貴族ではありませんし今のは魔法じゃありません。それより
まだ足が痛むでしょう。その量のリンゴは持っていけそうにありませんね。」

彼女の背中にあるカゴにはどっさりとリンゴが入っていた。
とても持っていけそうにない。
「僕がそれをもっていきましょう。案内を頼めますか?」
「はい!まかせてください。ってうわぁっ!」
立ち上がろうとした彼女はさっそくコケそうになった。なんとか間に合ったが
「あなたも僕が運びますよ。まだうまく歩けないでしょう」
「あ…///その…」
(は、恥ずかしいっ///)
それもそうだろう。ジョルノは背中にカゴを背負いながら家政婦を
お姫様だっこしているのだから。顔が真っ赤である。ジョルノにはまったく自覚がない
「…あなたも平民なんですね。素敵な魔法が使えるのに」
「あなたもと言う事はあなたは平民なんですね。」
「はい。私はこの学園でメイドとして働かせていただいていますシエスタと申します。」
「ジョルノ・ジョバァーナ。ジョルノで結構です。」
「ジョルノさんですね。いい名前ですっ」
そういうとシエスタがにっこりと微笑んだ。ひねくれてない純粋な笑顔だった。
(うちのご主人様とは大違いらしい)
「それでは案内をお願いします」
「はい。そこを右です。」
「オ・カピートォ(かしこまりました)」
なぜ彼女を助けたのだろう。僕のキャラじゃない…

(ジョルノさん…暖かい。でもこの格好は///)
「あ、あの。ジョルノさん」
「なんでしょう。」
「ジョルノさんはその、どなたに雇われてここに来たんですか。それともお医者様とか」
「雇われたというより呼び出されたみたいです。」
「と、いいますと?」
「使い魔を呼ぶ儀式とやらで僕はここに呼び出されたようです。」
「使い魔さんなんですか!?でも人の使い魔なんて見たことないような。」
「おそらく前例がないのでしょう。この手に刻まれているルーンも見たことがない
と言っていたみたいです。」
「そうなんですか。でもジョルノさんすごいですっ!平民なのに不思議な力がつかえるし」
(それにとってもハンサムですし///)
さすがにそこまでは言えない。恥ずかしいから。
「でも不思議ですね。なぜかジョルノさんといるととっても懐かしく思えます。」
「……実は僕もですよ。シエスタさん。」
「なんででしょうね。」
「なんででしょうか。」
二人でクスクス笑っていた。笑うシエスタはやっぱり綺麗だった。
(純粋に笑ったのはどれくらいぶりだろうか)
ブチャラティ達に出会う前からロクに笑うことはなかったような気がする。
(これから始まる…この事かもしれないな)

しばらく歩き食堂に着くとそこにはコックらしき男が仕込みをしていた。
「シ、シエスタ?どうしたんだおまえさん。」
「その、リンゴを採っていた時に落ちてしまいまして///」
 今だお姫様抱っこ継続中である。あ、降ろされた。
「そこの兄ちゃんに助けてもらったってワケか!いやぁありがとうよ兄ちゃん!」
「いえ、たいしたことはしておりません。」 メッチャしてるけどね。
「助けてくれたのは事実だろ?じゃあいいじゃねーか!見ない顔だが新しく雇われた
兵かなにかか?」
「ここの貴族、ヴァリエールという娘に使い魔として召喚されたようです。」
「珍しいな。人の使い魔なんて聞いたことがねえぜ。貴族なんかに呼び出されちまって
大変だなァ~!まあいい!シエスタを助けてもらったお礼だ!まだちょいと早いがなんか食べさせてやるぜ。」
「ではお言葉に甘えさせていただきます。」
「控えめなヤツだな!ますます気に入ったぜッ!俺はコック長のマルトーだ。」
「ジョルノ・ジョバァーナですマルトーさん」
「OKジョルノ。貴族にやるにはもったないほどうまいもん食わせてやるからな~~!
ほら、シエスタも一緒に食え!」
「いいんですか?お手伝いなさらなくても。」
「いいんだよォ~新しい仲間がやってきたんだ。祝杯だ祝杯!」
(豪気な人だな。 …仲間か。)
ここは傲慢な貴族しかいないと思っていたがそうではなかったようだ。
シエスタやマルトーさん。他にも平民の人が働いているのだろう。

基本的に他人にたいしては冷たいはずのジョルノだったが
ここの平民と呼ばれている人たちの雰囲気がとてもやさしく、ブチャラティ達と
一緒にいるような安心感があった。
(そういえば組織のほうは大丈夫だろうか。トリッシュがしっかり管理してくれれば
問題ないのだが。ミスタはたまにドジこくし)
物思いにふけっているジョルノの前においしそうな鶏肉のソテーとワインが並べられた。
「平民は本当はこんな上等なワイン飲めねーんだぜ?まあ黙ってればバレねー
だろうがな!ほらグラス貸しな。」
ジョルノとシエスタのグラスにワインを注ぎ込みマルトーもグラスにワインを注ぐと
「新しい家族に乾杯ッ!」
グラスをくっつけ祝杯を上げた。
「さすがに酔っ払っちゃいけねえから一杯だけだけどな!ハッハッハ!」
そのワインとマルトーさんの料理は本当においしかった。
(ひとりでの食事ばかりだったな…本当に久しぶりだ)
「本当にオイシーですねぇ…ヒックッ」
シエスタさん酔っ払ってないですか?一杯だけなのに。っておかわりしてるし
「そんなこたァァないですよォォォ~じょるノさんもモウ一杯いかがですゥう?ヒック」
「ご遠慮させていただきます」
そんなに残念そうな顔するな。てか泣きそうになってるし。
その様子を見てたマルトーさんは大爆笑していた。「新婚さんいらっしゃーい」とか言ってるが無視だ。

「いいもんいいも~ん。じょるノさんが飲まなきゃ私飲みますからァァ~~zzz」
寝てしまった。実にスピーディーだったな。
「かー!寝ちまったか。しゃあねえ。シエスタは怪我と病気で欠席だなッ!」
それでいいのだろうか。欠席?
「ジョルノ。シエスタを部屋までつれてってあげてくれねえか?仕込み中だった
事をすっかり忘れちまってたァ。」
「わかりました。お連れしましょう。部屋はどこに?」
「一階の使用人の部屋さ。」
「ああ、そうだそうだ。」
「なんです?」
「襲うなよ」
「さあ…どうでしょうね」
「ジョークも忘れないとはさすがだな!んじゃしっかり頼むぜ!」
やれやれだ。
シエスタを部屋のベットまで運び、部屋を出ようとしたとき
「ジョルノさぁ~ん…おいしそうな頭ァ」 チュッチュチュッチュ
聞いてはいけない寝言を聞いてしまったようだ。僕はなにも聞いてなどいない。
そろそろ部屋に戻らないといけないか。夜もとっくに更けているようだ。
(初めてあったばかりなのに仲間。家族か)
本来こんな扱いをされたならうっとおしいだけだったろう。

だがここの貴族。少なくとも自分のご主人には
微塵もないやさしさをあの二人はもっていた。
仲間達のことを思い出させるやさしさ。
(使い魔になるならシエスタさんのほうがよかった)
正直にジョルノはそう思った。酔った時は勘弁だが


部屋に戻ると案の定まだ寝ていた。幸せそうでなんかムカツク。
そろそろ起こせといわれた時間だ。
「ルイズ。起きてください」
「う~ん…あと五年~」
「間違いなく死にますよ。さあ早く起きて」
「きゅるけ~。私ノ三色コロネをくらいなさ~~い…zzz」
残念!それは私の禁句ワードだ。そしてジョルノは理不尽にキレた。
「だぁれェが三色コロネだァァァァァァァ!!!!!!!!!」
ジョルノはゴールドエクスペリエンスを全力でベットに叩き込んだ。
そして能力によりベットは変化した。巨大アナコンダに。
「ん~~…なにこの…ひんやりとした感触…これって…キャアアアアアアアアアアアアアアアア
アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!」
大絶叫とともにルイズは飛び跳ねた。まあ起きたところに巨大アナコンダがいたら誰だってビビる
だろう。ビビらない方がむしろおかしいのだが。

ヘビィィィィィィ!!!!やだやだやだやだ!こっちこないでェェェェェ
怖いよォォォォォ!!!びィ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛ん゛」
大ウケしたようだ。泣くほどウケたみたいだな。ヨカッタヨカッタ。
「さあルイズ。起きてください。」 ん?何だこのシミは?これはまさか…
「こ、この。このバカ犬ゥゥゥゥ!」   やっぱりそうか…やっちゃったらしい。

「いい年して情けないですねルイズ。プライドはないのですか?」
「だまらっしゃい!!いきなりベットが巨大なヘビになったら誰だって…誰だって怖いわよォ~!
ビビらないほうがおかしいでしょーーーー!!」
「どこにヘビなんているんです?ルイズ。どこにもいませんが。」
「え?…ホントだ…さ、さっきまでおっきいヘビいたんだもん!うそじゃないもん!」
もちろん能力を解除したからアナコンダは元のベットに戻っただけ。
「ルイズ。これだけは言っておきます。一度でいいことを二度言わせるということ
はそいつが馬鹿だってことです。無駄ですから。
これからは一回でちゃんとおきてくださいね。じゃないとまたヘビがでるかもしれませんよ。」
(コイツ脅してるっ!でもどうやってヘビなんか出したんだろう。)
「と、とにかく着替えるから着替え手伝いなさい!いいわね」
「塗れた下着では気持ちが悪いですからね。さあルイズちゃんバンザーイしてください。」
「バ、バカにするなぁぁぁ!!上は関係ないじゃない!!アンタ一ヶ月ご飯抜きだからねっ!」
さっきから怒鳴ってばかりでうるさい。隣に迷惑じゃないのかまったく。

別にかまいませんが下着ぐらいは自分ではけるようにしてくださいよ。」
(ご、ご飯抜きにまったく効かない!それにこんな…こんな辱めをうけるなんて!)
「なによ~。朝っぱらからうるさいわね~~なにやってんよ~。」
そこに隣人であろう女性が入ってきた。ネグリジェ姿でまだ眠そうである。
褐色の肌にモデルが務まるであろうスタイル。ルイズとは正反対の体つきだ。
「キュ、キュルケ!?いや、これはその。こ、このバカ犬がヘビを連れてきたのよ!
そ、それで驚いて」
「ヘビ?どこにもいないじゃない。ねえそこのアナタ。ホントにヘビつれてきたのぉ?」
「つれてきていませんよ。ルイズが寝ぼけていたんでしょう。」
「そうよねぇ。…なにこの変な匂い。これってまさか」
「ええ。ルイズがお漏らししました。」
少しも隠さずストレートッ!しかしこの男。つくづく外道である。
「ちょ、ちょっとなんで言っちゃうのよ!このバカ犬ゥゥ!」
「いいこと聞いちゃった~♪朝の話題はこれで決まりね。」
「ちょ、ちょっと待ってキュルケ!お願い!お願いだからそれだけは!」
キュルケはルイズのことは嫌いではない。ちょっかい出したりしてるが
心配してやっていることなのだ。モチロンこのことも他の人にしゃべる気など
毛頭ないのだがやめてと言い泣きそうになってるルイズの顔がたまらなくかわいく
思えてきた。しかしこの男。何したんだろう。ドSなのは間違いなさそうね。
「おねがい…ヒック…誰にも言わないで…おねがいよぉぉ」

ああんもう!かわいいんだから~~!
キュルケは泣いてしまったルイズを某鉈女のように抱きしめて
お持ち帰りしたかった。ちょっとそこの男に感謝しよう。


「三人の秘密にしてあげるからね。それで大丈夫よルイズ」
「ホント?」
「ホントにホントよ。ねえそこのアナタ」
「もうちょっと遊ぼうと思いましたがまあいいでしょう」
やっぱりドSね。恐ろしい人ッ!
「や、やるわねアナタ…お名前はなんていうのかしら。」
「ジョルノ・ジョバァーナ。ジョルノでいいです」
「私はキュルケ。キュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストー。
人からは微熱のキュルケと呼ばれているわ。これからもよろしくねハンサムさん。」
微熱か…風邪気味なのだろうか。
自己紹介を済ますとスタコラさっさと部屋に戻っていった。
「さあルイズ。なにをしてるんです。僕達も食堂にいきましょう。」
「アンタは…ご飯抜きだからねっ! グスッ」
いじめる分にはかわいげがあるな。これはこれで楽しみの一つかな。
そしてジョルノたちも食堂へ向かった。


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