ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

ゼロのパーティ-6

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匿名ユーザー

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夜が明け、新しい朝を知らせる光が、ルイズの部屋の中へ舞い込んだ。
その光を瞼に受け、僕の意識は覚醒する。

開いた目に飛び込んできたのは、女物のパンティ。
それが、昨日までの事が現実であるということを、僕の頭に思い起こさせた。
朝起きたら夢でありますように。と言う僕のささやかな願いは、見事にブチ砕かれた訳だ。
数度、頭を振って眠気を飛ばす。自前の前髪がゆらゆらと揺れた。

隣の毛布を見る。才人がうずくまるようにして寝ていた。
……起こしてやるか。

「才人、起きろ!」

真横で寝ている才人の毛布を強引に引き剥がす。

「あああ…… 頭いてぇ……」

毛布を引き剥がされ、無理矢理覚醒させられた才人は、まだ眠そうな目で辺りを見回した。そして僕と同じように、夢じゃねぇのかよ。とつぶやく。
しばらく互いに向かい合い、元の世界への感傷に浸った後、才人が口を開いた。

「まぁ、ちょっとした観光だと思えばいいか」

そういう心の持ち方は貴重だな、と思いつつ、この部屋の主であり、昨日、図らずも僕たちの主人となったルイズを起こすため、ベットへ向かう。

まず、軽く揺さぶる。ルイズは殆ど反応しない。
次に強く揺さぶってみた。ううんと唸りはしたが、起きる気配はない。
……手のかかるお嬢様だ。
僕はいささか間をおき、ルイズの毛布を思いっきり引っぺがした。

「な、なによ! 何事!?」
相当な勢いで引っぺがされたため、強い風を身に受け、何事かと、ルイズは慌てて身体を起こす。

「朝です。ルイズ。起きて」
「はえ…そう…… って誰よあんた達!」
ルイズは未だ覚醒し切らぬと云った感じで、ボーっとしていたが、やがて昨日まで無かった、自分が他人に起こされたということを認識して、昨日までと違う点…… 僕達に怒鳴りつける。
僕は仕方なく、彼女にもう一度名乗りを上げた。

「花京院典明」
「平賀才人」
その名前を聞き、ルイズはようやく昨日のことを思い出した様子だ。

「ああ、使い魔と下僕ね。そうね、昨日召喚したんだっけ」
少しばかりカチンとくる。昨日もそうだが、下僕とは何だ、下僕とは。態度としては、既に昨日から出ていたので我慢しようと思ったが、こう、改めて口に出されると腹が立ってくる。
僕はなるべく冷静に勤める。

「服」

動詞がないぞ、動詞が!
まあそれでも、何が欲しいのかは解る。
近くの椅子にかけてあった、昨日と同じ型の服…おそらくこれがここの制服なんだろう…を持って行き、ルイズへと手渡す。
ルイズは眠そうな目で、しばらくこちらを見つめる。
……まさか着替えさせてくれなんて、言うんじゃないだろうな。
そう考えている間に、彼女は僕から服へと視線を変え、けだるそうにネグリジェを脱いでいく。

極めて貧弱ゥ!貧弱ゥ!な胸があらわになった。才人はそれを見て、顔を赤く染める。
僕はというと、元の世界でも女の子に囲まれることがそれなりにあったため、才人よりは耐性がある。流石に母さん以外の裸は初めてだが…、こんなまな板では……。どうせならもっとメロンみたいなのがいい。
と思いつつちらちら見てしまう辺り、僕も才人とあまり変わらないのだろう。

「下着~」
「それくらい自分でやれ!」

まさか下着まで取らせようとするとは思わなかった。ここまで恥じらいがないと、さっきまで感じていたことも全て吹っ飛んでしまう。
そんな僕の悪態にも気づかず、ルイズは下着のあるクローゼットの場所を、僕らに話す。

どうやらお構いなしのようだ。
仕方ない。と思い、部屋を見回す。
……クローゼットには才人の方が近いな。僕はじっと才人を見つめる。

僕の意図を理解したか、才人は露骨に嫌そうな顔をした。
しかし僕は目線を剃らさない。

ほんの10秒ほどで才人の方が折れ、渋々クローゼットの中から適当な下着をルイズに放り投げた。
なにやらぶつぶつ言っているが、こっちまでは聞こえてこない。
ルイズはその下着を着、もう一度、僕らに先ほどと同じ言葉で、命令をしてきた。

「服」
「服なら、さっき花京院が手渡しただろうが!」
「着せて」
呆れた。まさか本当に言ってくるとは。
本当に何なんだコイツは。元の世界に帰る方法を調べる間とはいえ、僕は本当にコイツとやっていけるのか?

才人は、ルイズとなにやら言い争っている。曰く、着替えさせなきゃ、ご飯ヌキだのどうのこうのと。
丁度いい、この間に下着を洗いに行くなど適当な理由をつけて、少し頭を冷やそう。
僕は感情が爆発しない内にと、扉に手をかけ、部屋を出ていった。

「あ、ずりぃぞ花京院!」
「ちょっと! 早く着せなさいよ!」

才人がこちらに気づくも、ブラウスが手にあって追いかけられないらしい。
僕は聞こえないフリをして、部屋を出ていった。



「さて、洗濯場は、確か中庭の辺りだったか」

辺りを見回してみる。
昨日は暗くて解らなかったが、目の前には三つ、先ほど僕が出てきた、ルイズの部屋と同じような素材のドアが並んでいる。
内、一つの扉が、キィと音を立て開いた。

「……ンンッ!?」

そこから現れたのは、メロンの様なおっぱい……あ、いや、燃えるような赤い髪をした、褐色肌の女性だった。
彫りの深い顔。高い身長(僕の目線ぐらいまである。170程度か?)と、しまりの良いスタイル、そしてどことなく漂う雰囲気は、ルイズのそれと、まさしく反対だ。

「あら? あなた確か……ルイズに召喚されて、広場で大暴れした使い魔じゃない」

そういって彼女は僕をじろじろ見る。どうも他人にじろじろ見られるというのは落ち着かない。

「ふ~ん、結構いい男じゃない。ルイズの使い魔にはもったいないわね」
一通り僕を観察した後、彼女はそんなことをつぶやいた。
というか、僕は使い魔ではない。そのことで僕は抗議の声を挙げようとした所で、少し低めの鳴き声が聞こえた。

「ああ、ごめんフレイム。私がここに立っていたら出られないわね」
彼女がどいた部屋から、のっそのっそと出てきたもの。小型の虎ぐらいのサイズの、赤く巨大な蜥蜴だった。尻尾の先はメラメラと燃えている。
そういえば最近やったゲームで、これと似たようなものを見た。
僕はそのゲームに出ていた其奴の名前を、口にした。

「火蜥蜴……か?」
「そう、サラマンダーよ。しかも火竜山脈のブランドもの!」
火竜山脈のブランドものとか言われても、僕にはさっぱり解らない。だが、彼女の自慢ぷりを見るに、凄いものなのだろう。
件の蜥蜴と目があった。キョロキョロとした、サクランボみたいな目だ。以外と可愛いかも知れない。
それはともかく、しばらくここで暮らすんだ。使い魔という誤解だけでも解いておこうと、僕は自分が使い魔でないと言うことを、昨日あったことをふまえて彼女に話した。

「プックックックックックックッ……。つまり、あなたと契約しようとして失敗して、あっちのほうと契約しちゃったって訳?」
話を聞き終えるなり、彼女は笑いがこらえきれないと口元に手を当てる。
ルイズにとっては相当恥ずかしいことなんだろうが、僕には関係ない。
さて、あまり時間を潰していると、部屋から才人達が出てきて面倒なことになる。僕は未だ笑いをこらえきれない様子の彼女を後目に、さっさと階段の方へと歩き出した。

「これはさっそくルイズをからかう必要があるわねッ!」
階段を下りる時、彼女の、そんな意気揚々とした声と、ドアの開く音が聞こえた。

ふと、思い出した。そういえば……
「……名前、聞いてなかったな」

洗い場に着くなり、冷たい水で、ごしごし下着を洗う。キャンプ経験もあるし、エジプトへの旅の記憶もあるので、仕事は案外、楽に進んだ。
……人の洗濯物を洗っている時が、こちらに来て一番落ち着いた時と云うのは、どうなんだろうか?
ものの数分で洗い物は仕上がる。洗剤でもあればいいのだが、ここでそういうのは期待できないだろう。
ぱんぱんと洗い物の水気を払う。

「…………良しッ!」
さて、頭もすっきりしたことだし、口論も収まっているだろう。
近くにかけてあった学ランに袖を通して、僕は部屋へと向う。


部屋の扉は既に、鍵がかけられていた。周りの部屋からも、人の気配が一切しない。
ここは学校だ。もう授業の時間なのだろう。
しかし、締め出しを食らってしまうとは。なにやら書き置きが張ってあるが、僕には全く読めない。

「仕方ない。『ハイエロファント・グリーン』」
自らのスタンドをしゅるしゅると、鍵穴へと滑り込ませて扉を開く。

部屋の中にはいって、下着を解りやすい場所においておき、また鍵を閉め直す。
また書き置きが目に入る。
引っぺがして、僕はそれをポケットの中につっこんだ。後で誰かに読んでもらおう。

「そういえば昨日、授業中は衛士として、といってたな」
とりあえず、どこかに衛士のたまり場があるのだろう。そこを探せば、次やるべき事も決められるはずだ。
しかし……場所が解らない。

「仕方ない自分で探すか」

この状況、記憶の彼なら、こういうだろうな。
やれやれだぜ。と

To be contenued……

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