『変な帽子の使い魔』
少女は夜中に目を覚ました。その目には涙のあとがあった。
(・・・いつの間にか寝てたみたいね・・・)
彼女は暗闇のなかむくりと起き上がり、窓から二つの月を眺めた。
「・・・召喚・・・出来なかったな・・・」
ぽつりとつぶやき、昼間の出来事を思い出す。
その日はトリステイン魔法学院の『春の使い魔召喚の儀式』の日であった。
学院に通うメイジはその日、使い魔を召喚し自身の属性を固定する、重要な儀式である。
彼女―ルイズ―はこの日に人生を賭けていた、と言っても過言ではない。
ルイズは『ゼロ』のルイズという不名誉なあだ名をつけられていた。
成功率『ゼロ』、魔法の才能『ゼロ』、そういう意味だ。
この召喚の儀式は成功率がかなり高い、というかほぼ必ず成功する。
(『ゼロ』のわたしだって成功するかもしれない・・・)
そしていままでバカにしてきたやつらを見返すのだ、そう思っていた。
しかし結果は散々だった。
自分の番で4回失敗し、順番を最後に回してもらって何度も挑戦したが、結局使い魔は現れなかった。
30回目ぐらいで時間的にも体力的にも限界を迎え、いったん部屋に戻されたのだった。
「儀式は明日も行うから、まだチャンスはありますよ、ミス・ヴァリエール」
監督のミスタ・コルベールはそう励ましてくれたが、ルイズの気分は晴れなかった。
人前ではどんなに失敗しても気丈に振舞ったルイズだが、独り部屋にいると自然と涙があふれ、
そして枕を涙で濡らしているうちに、泣き疲れて眠ってしまったのだ。
(・・・いつの間にか寝てたみたいね・・・)
彼女は暗闇のなかむくりと起き上がり、窓から二つの月を眺めた。
「・・・召喚・・・出来なかったな・・・」
ぽつりとつぶやき、昼間の出来事を思い出す。
その日はトリステイン魔法学院の『春の使い魔召喚の儀式』の日であった。
学院に通うメイジはその日、使い魔を召喚し自身の属性を固定する、重要な儀式である。
彼女―ルイズ―はこの日に人生を賭けていた、と言っても過言ではない。
ルイズは『ゼロ』のルイズという不名誉なあだ名をつけられていた。
成功率『ゼロ』、魔法の才能『ゼロ』、そういう意味だ。
この召喚の儀式は成功率がかなり高い、というかほぼ必ず成功する。
(『ゼロ』のわたしだって成功するかもしれない・・・)
そしていままでバカにしてきたやつらを見返すのだ、そう思っていた。
しかし結果は散々だった。
自分の番で4回失敗し、順番を最後に回してもらって何度も挑戦したが、結局使い魔は現れなかった。
30回目ぐらいで時間的にも体力的にも限界を迎え、いったん部屋に戻されたのだった。
「儀式は明日も行うから、まだチャンスはありますよ、ミス・ヴァリエール」
監督のミスタ・コルベールはそう励ましてくれたが、ルイズの気分は晴れなかった。
人前ではどんなに失敗しても気丈に振舞ったルイズだが、独り部屋にいると自然と涙があふれ、
そして枕を涙で濡らしているうちに、泣き疲れて眠ってしまったのだ。
(・・・明日の練習しなきゃ・・・)
しかし体は動こうとしない。練習なら昨日散々やったのだ、それなのに失敗した。
その事実がルイズから努力する気概を奪っている。
彼女は再びベッドに横になり、目の前の虚空を眺めていると、再び涙があふれてきた。
目を閉じ、なんとなく、昨日必死に練習した契約の呪文をそらで唱える。
「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。
五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我の使い魔となせ」
しかし体は動こうとしない。練習なら昨日散々やったのだ、それなのに失敗した。
その事実がルイズから努力する気概を奪っている。
彼女は再びベッドに横になり、目の前の虚空を眺めていると、再び涙があふれてきた。
目を閉じ、なんとなく、昨日必死に練習した契約の呪文をそらで唱える。
「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。
五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我の使い魔となせ」
ぽふ
(!?)
ルイズはあわてて起き上がった。
(なに?今の。今何かが顔の上にいた!)
周りを見渡すが、部屋にはなにもいない。部屋の扉にも窓にも、鍵がかかっているはずだ。
ルイズは鍵がきちんとかかっていることを確かめ、そして気のせいだったと判断した。
何者かが侵入し、ルイズの顔に触れ、そして素早く脱出したとは考えにくい。
(疲れてるんだわ・・・もう寝よう・・・)
ルイズはもそもそと寝巻きに着替え、ベッドに仰向けになり、
目の前に変な帽子のような幽霊を発見した。
ルイズはあわてて起き上がった。
(なに?今の。今何かが顔の上にいた!)
周りを見渡すが、部屋にはなにもいない。部屋の扉にも窓にも、鍵がかかっているはずだ。
ルイズは鍵がきちんとかかっていることを確かめ、そして気のせいだったと判断した。
何者かが侵入し、ルイズの顔に触れ、そして素早く脱出したとは考えにくい。
(疲れてるんだわ・・・もう寝よう・・・)
ルイズはもそもそと寝巻きに着替え、ベッドに仰向けになり、
目の前に変な帽子のような幽霊を発見した。
「うわきゃあああああああああああああああああああああああああああ!!!??」
『変な帽子の使い魔』
- カタ
『変な帽子使い魔』
- カタカタカタカタカタカタカタカタ
『変な帽子みたいな使い魔』
第一話『マンハッタン・トランスファー!契約完了ッ!』完ッ!
バ―――――z______ン!