ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

ゼロの来訪者-4

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匿名ユーザー

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「ほら、朝だよ」
育郎がベッドの中で丸くなっているルイズを揺さぶる。
「うにゅ~もうちょっとー」
「もう登校してる人達もいるようだし、早く起きないと」
「むー」
仕方なくベッドから離れるルイズ
「そこに洗面器がおいてあるから、顔を洗って。制服はそこ」
「下着…そこのー、クローゼットのー、一番下の引き出しー」
「これだね、授業に必要な物は?」
「鞄に入ってる…」
「着替えはおわったね、はい鞄」
「うん」
「じゃあ、いってらっしゃい」
「いってきます…」
寝ぼけ眼をこすって部屋から出るルイズを見送ってすぐ、
「ってなんか違うでしょおおおおおおおおおおお!!!」
叫びながら部屋に戻るルイズを見て、育郎は
(忘れ物でもしたのかな?)
等と呑気に考えた。


「貴方は使い魔なの!使用人じゃないの!そりゃ…似たような事させるつもりだけど」
「なんかあんまりにもナチュラルだったから素直に従っちゃったじゃない!?」
「いい!使い魔は主と共にいるって言ったでしょ!
 授業中も一緒にいなきゃいけないってわかんない!?」
「というかあんた、朝ごはんどうするつもりだったのよ!?」
等と道すがら怒鳴られながら食堂に向かう。

育郎は粗末な食事、スープとパンニ切れをもって食堂をうろついていた。
ふとルイズの方を見ると、豪勢な食事を美味しそうに頬張っている。
自分の食事との差に何か釈然としないものを感じないではないが、なにせ本来『使い魔』
とやらは動物(あくまでこの世界のだが)が出てくるらしいので、仕方ないのかもしれない。
とはいえ床に置かれたそれをそのまま食べる気にはなれないので、どこか座れる場所がないか
探している最中なのである。そうしていると、ふと聞き覚えのある声が耳に入ってきた。
「こいつにハシバミ草のサラダを食わせてやりたいんですが、かまいませんね!」

「これ、本当に食わなきゃ駄目かのう?」
オスマン氏が目の前のサラダを見ながら、ミス・ロングビルに一縷の望みを込めて聞く。
「駄目です」
にべもなく断られる。
「しかしのう…」
「駄目です」
「まだなんも言っとらんのじゃが…」
しかたなく三千世界にその苦さが知れ渡るとうたわれたハシバミ草を眼の前に持っていく。
「ばあさんや、飯はまだかのう…」
ボケたフリをしてみた。
「眼の前の物しかありません」
駄目だった。
(こんなに怒らんでもええと思うんじゃが…それにしてもいつにもまして苦そうじゃのう)
頑張って一口食べた。
「こ、これでいいじゃろ…ミス・ロングビル…」
「あらあら、まだこんなにも残っているじゃありませんか、オールド・オスマン」
「………マジ?」
「マジです」
救いを求め周りを見回すが、目があった教職員は『自業自得』という目をしている。
(薄情な連中じゃ…おや、あれは?)
見ると今朝会った少年がこちらを見ている。

「おお、少年!」
今朝会った老人に手招きされたので、先生らしき人達が集まっている場所に近づく。
「おじいさん…その、今日はすいませんでした…」
「ほっほっほっ、かまわんかまわん」
「悪いのはオールド・オスマンですから、イクロー君は気になさらないで」
「今朝あったばかりじゃのに、ずいぶんと親しそうじゃのう…
 こりゃミス・ロングビルがミセス・ロングビルになる日も近いのかな?」
「おほほ、オールド・オスマンったら…そんな事言ってもうやむやにはしませんからね」
チッ、っと舌打ちするオスマン氏が、ふと育郎が持っているものに気付く。
「おお、そりゃ君の朝飯かね?ずいぶんと寂しい限りじゃな…」
「ええ、まあ…」
「そうじゃ!それだけじゃ足らんじゃろ?このサラダを食べてみないかね?」
「いいんですか?」
「オールド・オスマン!駄目よイクロー君、それは…お尻を触るんじゃぁない!」
オラオラを叩き込まれながらも「は、早く食うんじゃ!」とオスマン氏がせかす。
せっかくの好意(?)なのでサラダを食べようとすると、誰かが育郎のズボンを引っ張った。
「君は?」
見るとルイズと同じ格好の、だがさらに背の小さい、青い髪をした少女が立っていた。
「交換」
そう言って鳥のローストが盛り付けられた皿を差し出してくる。
「…ひょっとしてこれと?」
サラダを指差してみると、こくんと小さく頷く。
「いいのかい?」
「………」
もう一度頷く。

ローストチキンを食べながら、育郎は
「この世界の貴族は、意外にいい人達が多いのかもしれない…」
なんていうことを考えていた。
それだけ



  • オールド・オスマン 当初の予定の3倍のハシバミ草を食わされリタイヤ


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