ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

亜空の使い魔-7

最終更新:

匿名ユーザー

- view
だれでも歓迎! 編集
ギーシュとの決闘から数日、ヴァニラは比較的安定した日常を送っていた
平民が貴族を、それも魔法とは違った力で倒したという噂は学園中に広がり
初めの日こそ無謀にも決闘を挑んだ生徒もいたが杖を消し飛ばされる者が続出し、すぐにいなくなった
ついでに財布を盗られたという者もいたが確かめる勇気のある生徒は・・・・教師もだが、一人もいなかった
食事もシエスタが厨房の責任者にかけあい貴族が食べているものと同じものが供されることになり
借りを作るのを良しとしないヴァニラが初めの方こそ拒んだがコック長のマルトーは貴族嫌いらしく
彼曰く、いけ好かない貴族を負かしてくれた礼だということで受けることにした
だがその生活の中にもいくつか問題点はある

ひとつはギーシュ・グラモン、通称ヌケサク
あの決闘でほとんど攻撃らしい攻撃を受けるまでも無く、挙句の果てに自分の作った剣で杖を弾き落とされるという不名誉な敗北を喫し
彼の貴族としての誇りは酷く傷つき、そのまま大人しくしょげ返ってれば何の問題も無いのだが
決闘を見ていた生徒の数人からもヌケサク呼ばわりされ、あろうことか再戦の機会を狙っているらしい
ルイズは「また騒ぎになったらどうする気よ!?」と騒ぎ立てていたがヴァニラは「その根性だけは褒めてやってもいい」と評価を改めた
もちろん絶対に負けないという自負の上での発言であろう

そしてもうひとつ
これが一番重要な問題であったがルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール、ヴァニラの自称・ご主人様
ヴァニラが彼女に従っている唯一にして最上の理由は元に戻る方法を探すこと
だがそれが叶えられる望みが非常に薄いことを知ってしまった
ギーシュとの決闘の次の日、ルイズの授業に付き合わされたヴァニラは面倒臭そうな顔で階段に腰を下ろしていた
講堂のような造りになった教室の最下段にたった教師が何か話しているがヴァニラはそれを聞き流しながら今頃ジョースター一行を討ち果
たしているであろうDIOのことを考え、僅か二日で何度目かも覚えていない望郷の念に苛まれていた
その時教師であるミス・シュヴールズはルイズをダシに調子こいた二年坊に上下関係を叩き込もうとしていたが致命的なミスを犯そうとし
ている事に気づいていない
それは
「ミス・ヴァリエール、前に出てこの石ころを望む金属に錬金してごらんなさい」
その瞬間、教室中に緊張が走るッ!
それはさながらどこかの高校生が髪型を馬鹿にされた瞬間の女子生徒ッ!!
只ならぬ気配を察知したヴァニラが顔を上げた時にはルイズがゆっくりと教壇に向かい、クラスメイトたちが呪詛や罵倒の言葉を口々に叫
びながら机の下に潜り込んでいる最中だった
状況が掴めず訝しそうに眉を顰めるヴァニラを他所に、ルイズを向かいいれたシュヴールズはにっこりとルイズに笑いかけた
「ミス・ヴァリエール。錬金したい金属を、強く心に思い浮かべるのです」
その言葉にこくりと頷いて、ルイズは手に持った杖を振り上げた
すっかり避難が完了した生徒達の何人かは未だに階段に座ったままのヴァニラに気づき「かわいそうだけどあしたの朝にはお肉屋さんの店
先にならぶ運命なのね」といった感じの哀れむような視線を送る・・・・送るだけで何も言わなかったが
「・・・・・・」
一方のヴァニラはルイズが魔法を使ったところをまだ一度も見たことが無いのでどの程度の実力なのか見極めようと観察する気満々ッ
それにしてもこのヴァニラ、ノリノリである

ルイズは目を瞑り、短くルーンを唱え、杖を振り下ろし
そしてその瞬間、机ごと石ころは爆発した
爆風をモロに受け、リズとシュヴールズは黒板に叩きつけられた
彼方此方から悲鳴が上がり、爆発に驚いた使い魔たちが騒ぎ出したが問題は砕け散った石ころの破片ッ!!
加速度的に広がる破片はさながら榴弾砲の如く飛び散り、椅子や机に容赦なく減り込む
「何ィィィッ!?」
咄嗟に亜空間に逃れようとするヴァニラだが突然のことに対応が遅れ足や肩に数発喰らってしまった
爆発の余波が収まった頃に漸く亜空間から顔を覗かせたヴァニラが見たのは煤で真っ黒になったルイズがむくりと立ち上がり、阿鼻叫喚の
教室を意に介した風も無く、顔に付いた煤を取り出したハンカチで拭きながら、淡々といった瞬間だった
「ちょっと失敗したみたいね」
この日、ヴァニラは『ゼロ』の意味を知り、帰る望みを半分以上、捨てた



タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

記事メニュー
目安箱バナー