ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

マジシャンズ・ゼロ-9

最終更新:

familiar_spirit

- view
だれでも歓迎! 編集
無駄に豪勢でどことなくハリポタちっくなトリステイン魔法学院の食堂。
卓上に並ぶ朝っぱらから重そうな食事に、見るだけで胸やけしそうになる中年のアヴドゥル。
(ワインまで置いてあるぞ)
まさに、至れり尽くせりの光景はアヴドゥルを呆れさせる。

「おい、見てみろよ『ゼロ』のルイズの使い魔」
「ちょっwマジで平民じゃんw」
遠巻きに聞こえる陰口の影響からか、機嫌の下降したルイズは睨みながらアヴドゥルに言う。
「気が利かないわね。イスを引いてちょうだい」
アヴドゥルは黙ってルイズのイスを引いてやり、自分も座ろうとイスに手を掛けるが、
「待ちなさい。あんたの場所はそこ」
冷たい言葉と共に、貧相なパンとスープの置いてある床を指差すルイズ。
昨日今日で、だいたいルイズのことを理解してきたアヴドゥルは大人しく従う。

ブリミルへの長い『いただきます』を終え『ささやかな』食事を始める貴族達。
あっさりと食事を終えたアヴドゥルは、好奇の視線に耐えながらルイズが終えるのを待つ。
(さすがにアレだけでは足らんな…、後で厨房にでも顔を出すか)
アヴドゥルがシエスタの言葉を思い出し、そんなことを考えていると、ルイズが食い物の載った皿を突きつけて来た。
「……なんだ?」
意味が分からず問うアヴドゥルに、そっぽ向きながら……、
「べべべ、別にあんたに優しくしようってわけじゃないのよ。洗濯もきちんとしたみたいだし、そのご褒美なんだから!」
少し赤くなった顔でツンるルイズ。
今までが今までなので一瞬止まるが感謝の言葉を返すアヴドゥル。
「すまない。アレでは足りなかったのでな、助かる」
「……ふんッ、調子に乗らないの。でも…そうね、次からもう少し多めにするよう言っておくわ」
従順な姿に気を良くしたのか『食い物握って躾け大作戦』を修正するルイズ。
皿には大きめの鶏肉に野菜などが置かれていた。
さっそく食べ始めると、自然に言葉が零れる。
「……上手いな」
料理自体の上手さに加え、不器用なルイズの優しさが零させた感想だった。

教室に移動し今度は自分からルイズのイスを引いてやり、邪魔にならない壁際の床に座るアヴドゥル。
授業が始まるにはまだ時間があるようなので、周りに居る他の使い魔でも眺め、
(イギーがいたら喜こんだかもな)
どこか、周りの動物を馬鹿にしていた賢かった犬の戦友のことを思い出していると、フレイムが寄って来た。
「きゅる」
「ああ」
挨拶交わしていると、他の使い魔もアヴドゥルに寄って来る。
前の世界にもいた猫や犬といった動物、本の世界でしか見たことの無い幻獣。
多種多様の生物だが、フレイムと仲がいいのが関係したのかみな好意的だった。

「おい、見てみろよルイズの使い魔」
「他の使い魔に囲まれてるな。しかも……」
「ああ。まるで違和感が無いな」
「もしかしてあいつ、平民じゃなくて変種の魔物なんじゃねw」
そんなことを囁かれているとは露知らず、アヴドゥルは他の使い魔たちと交流を深めていく。

授業が始まり、魔法に興味のあったアヴドゥルは熱心に聞く。
幸運にも基礎のおさらいから始まり、
  • 魔法には火、水、風、土の4系統がある。
  • 失われし系統『虚無』
  • メイジの強さの基準である魔法を足せる数、ドット、ライン、トライアングル、スクウェア。
  • etc
幾つかの情報を手に入れるアヴドゥル。
だが、おさらいが終わり専門的になってくると、アヴドゥルには理解できなく関心が薄れていく。
(どうやら魔法と言うのもスタンドと同じく、生命エネルギーのようだな……ん?)
得られた情報より推論を出していると、シュヴルーズが錬金で石を真鍮に変え、アヴドゥルは思わず目を見張る。

一方、ルイズはというと………。
授業開始前のアヴドゥルへの陰口は、机を叩き威嚇+睨みつけで止めさせた。
しかし、授業が始まり再開した陰口を止める術はなく、苛苛し勉強に集中できないでいた。
「聞いているんですか?ミス・ヴァリエール」
「…へッ!?」
いつの間に名前を呼ばれていたのか、ルイズはとっさに返事できず、
「仕方ありませんね。授業を聞いていなかった罰です。ミス・ヴァリエール、前で錬金しなさい」
みんなの前で、錬金をさせられることになった。

「先生!危険です!」
「そうです、『ゼロ』のルイズに魔法使わせるなんて」
「止めてください」
いきなり騒がしくなる教室。
耳ざとく『ゼロ』の言葉を察知したルイズは、言ったピザに言い返す。
「先生!かぜっぴきのマリコルヌに侮辱されました!」
それを聞いたピザ(マリコルヌ)と罵り合いになる。
醜い争いはシュヴルーズがピザの口に栓をし、ルイズを教壇に来させることで決着した。

ルイズの錬金が決定したことにより大慌てで机の下に隠れる他の生徒。
シュヴルーズはどうやらルイズの噂を知らないのかのほほんと構えている。
しかし、そんなことも目に入らないほどルイズは集中していた。
(大丈夫よ。落ち着くのよルイズ。ゆっくり素数を数え……)
素数から勇気を貰い、ゆっくりと石へ杖を向ける。
(サモン・サーヴァントが出来たんだからきっと出来るはず)
そこでちらりとアヴドゥルに視線を向けると……視線が合った。
ここで失敗し、無様な姿は見せられない。
大きな覚悟を持ち、唱えた錬金の魔法は………やはり爆発した。

ドーーーーーーッン!
「へ?」
至近距離で爆発を受け、吹っ飛ぶシュヴルーズはそのまま壁に当たり気絶する。
また、突然の爆発に驚き暴れだす使い魔たち………アヴドゥルを巻き込んで。
「なッ!?」
爆発にも驚いたが、問題はそれだけでない!
首を蛇に締められ、犬には噛み付かれ、猫には引っかかれる。
止めにフレイムがアヴドゥル目掛け炎を吐いてくる。
間一髪、伏せアフロだけは免れたが、
「ぐぼあッ!?」
炎は不幸にもピザな少年に直撃していた。

なんとか爆発から身を守った生徒は騒ぎ出す。
「あいつ、辞めさせろ!」
「なんでいつも爆発なんだよ!」
「マリコルヌ気をしっかり持て!」
「なんてこった!マリコルヌの髪がアフロに!」
そんな、阿鼻叫喚の光景の中、ルイズは呟く。
「ちょっと失敗したようね」
悪びれる様子もないルイズをさらに罵倒する生徒。
むざむざ黙って言われるだけじゃないルイズが言い返し、収拾がつかなくなる。
結局授業は中断することになり、ルイズに後始末が命じられとりあえず一件落着となった。
蛇に締め落とされかかっているアヴドゥルを放置して。


タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

記事メニュー
目安箱バナー