ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

奇妙なルイズ-1

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匿名ユーザー

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ドオン!

一瞬の閃光。遅れて爆発音空気を振動させる。
静かな平原に立ち上る土煙は、抜けるような青空に吸い込まれるようにして消えていった。

「あーあ、まただ」
「さすがゼロのルイズだ。期待を裏切らねえ!」
「何回目だ?」
「さぁ…20回は失敗してるよな」

爆発を遠巻きに見ている群衆から聞こえる声は、ささやき声に過ぎない。
しかし、この爆発を起こした張本人である少女は、大声で指を指して笑われているに等しい屈辱感を味わっていた。

「あー…、コホン、ミス・ヴァリエール」
傍らで見守っていた男が、爆発を起こした少女に声をかける。
しかし声をかけられた少女は、泥だらけになった顔のまま呆然としていた。
「ミス・ヴァリエール、予定の時間も過ぎています。規則ではまだ数日の猶予がありますから、今日の所魔法学院に戻りましょう」
「…はい」
男から手渡されたハンカチを力なく握りしめて、少女は静かに呟いた。

「コルベール先生、やるだけ無駄だって!だってそいつはゼロのルイズなんだぜ!」
コルベール先生と呼ばれたその男は、学友にそんなことを言ってはいけませんと一言注意し、皆に学院に戻るように号令をかけた。
しかし、ルイズと呼ばれたこの少女への罵倒は止むことはなく、「ゼロはゼロらしく歩いて来いよ!」などと言い捨て、傍らに様々な獣を連れて飛び立っていった。

先ほど飛び立っていった者達が連れていた獣たちは、春の使い魔召喚儀式で召喚された使い魔達。
いわゆる魔法使いである『メイジ』達が、生涯のパートナーと成りうる使い魔を召喚をしていたのだ。
メイジの力量によって召喚される使い魔も異なるため、学園に通う生徒達にとっては、期待と落胆の入り交じる儀式なのだ。

彼女、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールは、生徒達の中でただ一人だけ使い魔を召喚出来ず、落胆どころか絶望と言える状態だった。

ルイズは力なく立ち上がり、呆然としたままトリスティン魔法学院に向けて歩き出そうとした。だが、先ほどの爆発痕からキラリと何かが光った気がして、歩みを止めた。
膝ほどの深さのクレーターの底には、銀色に鋭く輝く円盤が落ちていたのだ。
彼女はそれをしばらく見つめた後、ため息と共に拾い上げて懐にしまい、トリスティン魔法学院に向けて歩き出した。

ルイズは歩きながら独り言を呟く。
「マジックアイテム…?」
「そんなわけ無いわよね…埋まってただけよね」
「でも、この輝き、銀にしては軽すぎるし…」
「鏡にしても軽すぎるわね。真ん中に穴が開いてたら使い物にならないし」
「もしかして未発見の幻獣とか、マジックアイテムだったりして」
ふと歩みを止めて、懐から杖を取り出し唱える。
「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我の使い魔となせ」
そして彼女は円盤に口づけをした。

   ズキュウゥゥゥゥゥゥゥン!
 オオオオオオオラァーーーーーーーッ!!!

「!」
口づけと共に全身に走る強烈な衝撃、そして魂に響く叫び声に、
疲労の蓄積したルイズは絶えられず、あっけなくその場で意識を手放した。


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