ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

S.H.I.Tな使い魔-25

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匿名ユーザー

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 ゼロのルイズの使い魔。広瀬康一のハルケギニアでの一日は、桶に水を汲んでくることから始まる。
 水場で自分の顔を洗い、水を汲む。この水でルイズに顔を洗わせる。

 次はルイズを制服に着替えさせるわけだが、最近ルイズは康一に手伝うように要求してこなくなった。
 相変わらず背を向けて待つ康一から隠れるように、もぞもぞと着替える。何かの拍子に目が合うと、顔を赤くして怒る。
 以前は裸になっても恥ずかしがらなかったのに、謎である。

 朝食の頃合になると、康一はルイズからバスケットを受け取って外に出る。
 最近は内容がかなり豪勢になっている気がする。
 というか、ハルケギニアの朝食は総じて重いことが多いうえに、厨房のマルトー親父が「たくさん食べて大きくなれよ!」との愛をこめて、どんどん料理を豪勢にし、さらに肉をてんこ盛りにするので、康一はちょっとげんなりしてしまう。
 質素でもいい、母さんが作ってくれた味噌汁が恋しい。
 だから、食べきれない分は、最近仲良くなった他の使い魔たちに分けてあげることにしている。
 先日タバサやキュルケを乗せていた青い竜(風竜というらしい)と偶然会った際に食べきれない肉をあげたら、他の使い魔たちもわらわらと寄ってくるようになったのだ。
 最近の食事は、厨房の裏手にある使い魔たちのたまり場でとることも多い。

 授業の時間は、康一もルイズに付き添って出席することにしている。
 使い魔である康一は本来出てもしょうがないのだが、何気なく聞いているうちに面白くなってきたのだ。
 本来は勉強が好きではなかったのだが、こちらの世界のことを少しでも知りたいという『必要性』が康一の意欲を支えていた。
「もう床はいいから、椅子に座りなさいよ!」
 とルイズが言うので隣に座らせて貰っているが、他の生徒たちも何も言わない。
 ただ、キュルケがタバサを連れてやってきて、康一をルイズと挟む形で座ってしまうので、キュルケに恋する男たちの視線が背中に突き刺さるのが最近の悩みの種である。
 どうしても納まりきらない男が、康一に嫌味を言ってきたり、もっと直接的に侮辱してきたりすることもある。そういうときは、だいたいキュルケの合図で、フレイムがこんがりと焼いてくれる。
 ただ、キュルケが居ないときに、一度数人の貴族に囲まれたことがあった。
 「平民の癖に・・・」「ゼロの使い魔の分際で・・・」と詰る男たちの前に、かわりに立ちはだかってくれるものがいた。
 あの決闘で因縁のあったギーシュである。
 ギーシュは言った。
「ミスタ・コーイチは僕を相手に、立派に自らの実力を証明してみせた。その彼を平民と侮るなら、それは僕への侮辱と見なす!」
 文句があるなら「青銅」のギーシュが相手になるぞ!そういってギーシュが見栄を切ると、男たちは鼻白んで退散していった。
 所詮貴族相手に本気で対立するほどの覚悟はないのである。
 康一が礼を言うと、ギーシュは照れくさそうに鼻を掻いた。
「君はこの『青銅』のギーシュに打ち勝った男だからね。その君が馬鹿にされるのが我慢できないだけさ。」
 そして改めて、ルイズを皆の前で侮辱したことに謝罪した。
 潔い謝りっぷりに「なんだ。以外といいやつじゃあないか。」とその謝罪を受け入れた康一は、ギーシュとそれから機会のあるごとに話す仲になった。
 実は、あの鼻っ柱をへし折られた決闘の後、一気にカリスマ性を失ったギーシュを哀れに思ったモンモランシーが戻ってきてくれ、よりを戻したらしい。得なやつである。
 そんな風にしてギーシュといろんな話をしていると、ギーシュの友人達とも自然と仲良くなっていった。
 こうして、召喚されてから二週間もすると、康一の周りには常に人が集まるようになっていった。そして、康一の隣にはいつもルイズがいた。
 それまでいつも一人だったルイズである。急にクラスメイトたちで賑やかになった学校生活に、最初ルイズは戸惑い気味だった。
 しかし、みんなから好かれる康一と一緒にいると、わだかまりのあったクラスメイトたちとも自然と打ち解けることができた。

 こうして一日を終え、二人揃ってルイズの部屋で寝る前には、ベッドのうえでいろいろな話をするようになった。
 ルイズはハルケギニアのことを康一に教え、康一は杜王町のことをルイズに話した。
 話が由花子さんの段になると、ルイズはしかめ面をして、疑わしそうな目で見た。
「あんた、前から時々恋人がいる、恋人がいるって言ってたけど、まさか本当なわけ?」
 見栄張ってるんじゃないでしょうねー、と言わんばかりである。
「まさかって、まだぼくがうそついてるとか思ってたの~!?」
 大仰に目をひん剥いてみせると、ルイズはなぜか目をそらした。
「・・・あんたの恋人ってどんな人?」
 康一は目を閉じて、由花子さんの顔を脳裏に描いた。
 すらっとした体型。整った鼻筋。きめの細かい肌。長く艶やかで、きらきらと光を放つ黒髪。そしてなによりも、あの強くまっすぐな瞳。
 由花子の容姿を話して聞かせると、ルイズはどんどん不機嫌になっていった。
「男より頭ひとつ分大きい彼女なんて、似合わないわ。」
 ルイズはそっぽを向いたまま、ネグリジェの裾をぎゅっと握り締めた。
「それをいうと、ぼくと付き合ってくれる女の人なんてほとんどいなくなっちゃうなぁ~。」
 康一が笑うと、ルイズは口を尖らせた。
「別に・・・あんたより小さい女の子なんてそこら中にいるわよ。」
 それだけ言って毛布に包まった。
「そうかなぁ~。」
 康一は知り合いの女性たちの身長を思い出してみたが、自分より低い人は思いつかなかった。
 こっちではタバサが自分より低いだろうが、あれは明らかに子どもだからノーカウントである。
 でもルイズがこうやって毛布を被るのは、これで話を打ち切りにするという合図だと分かってきた康一も、そろそろ寝ることにした。
 部屋の明かりを消す。
 明日あたりオールド・オスマンに会いに行ってみようかな。
 杜王町に帰る方法をそろそろ本格的に探してみよう。
 そう心に決めて、目を閉じる。

 静かになった部屋で、毛布から頭だけ出したルイズが、何か言いたげに見つめているような、そんな夢を見た。

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