ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

使い魔の兄貴(姉貴)!!-4

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匿名ユーザー

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 ・・・
あったかい。
ルイズは他人の背中の上で目を覚ました。
久しぶりの感覚だ。
最後におんぶされたのはもう何年前のことだろう。
確かあの時も泣き疲れて、そして、あの人は後ろを振り向いて
「目ェさめたか?」
目の前にあったのはッ!いかつい顔ッ!!
ルイズは韻竜も裸足で逃げ出すような速さでその顔にビンタを喰らわした。

使い魔の兄貴(姉貴)!!~夜が来る!(前編)~

「イッテェェェェ!!!な、な、何をするだぁーーーー!!
「い、いいいいきなり変な顔見せんじゃないわよ!!」
「変だとォ!?テメェ、感謝の言葉ならまだしもそんな事言うか、ええ、オイ!?」
「あんたに何感謝しろって言うのよ!変態!痴漢!バカッ!バカッ!!早くおろし、て・・・」
「イテェ、イテェ!!やめろっ、てェ・・・」
ルイズは抗議するようにエルメェスの頭を両手で叩いた。
エルメェスは思わず両手で頭を守った。
ということは、
「ええぇぇぇぇえええぇぇ!!!??」
支えを失ったルイズの体は引力に従い、ゆっくりと落ちていく。
「だあぁぁあ!!『キッス』!!」
ルイズの体は突然、宙に浮いた。

答え、③、③!③!!③!!!

(何?今の電波。)
それよりもいまのルイズにはもっと気になる事がある。
なんで自分の体は浮いてるのだろう。
使い魔である彼が受け止めたワケではない。
空中で何かに支えられている。
支えられている、という実感はあるがそれが何なのかはわからない。
ゆっくりと彼のほうを見ると両膝を地面について、頭を抱え込み後悔のポーズをとっていた。
「これ、あんたがやったの?」
そう聞くと彼は力なくうなずいた。

「とりあえず契約は成功してるようだし、簡単な自己紹介と、さっき何をしたのかをサクッと話して頂戴。」
ルイズは自分のベッドに座り、そしてエルメェスを椅子に座らせた状態でそう切り出した。
(隠そうと思ってたんだがな・・・)
事故になりそうだったとはいえ、スタンドを使うのは軽率だったかもしれない。
いかつい顔をもっといかつくし、エルメェスは今の事態について考える。
ここが学校ということは危険な状況に立つことはそんなにないだろう。
キュルケの手助けを借りれば多少危険な状況でも回避できる。
計算通りに運べていればあと三ヶ月は隠しとおせるはずだった。
「ねぇ、聞いてるの!?自己紹介よ!自己紹介!!」
せかすようにルイズが言うが、その言葉はエルメェスの耳には届かない。
(いや、逆に考えてみよう。こいつを落として傷つけていたとしたら、今度は間違いなくキュルケの魔法を喰らっていただろうな。)
「ちょっと、自己紹介だってば!」
言葉が通じていないのか、もしかして難聴者なのか、一切返事が返ってこないことにルイズは戸惑っていた。
エルメェスとしては無視している感覚はない。深く考えすぎていて周りが見えていないだけ、ただそれだけである。
「ねぇ!?・・・ねぇ、ってば・・・聞こえてる?」
一向に反応を見せないエルメェスに、心細くなったのだろうか、ルイズが少しずつ少しずつ近づいて行く。
(そう考えると、スタンドは出して正解だった。でも、この場はごまかせるのか?)
二人の距離はだんだんと近くなっていき、そして最後にはルイズがエルメェスの顔を横から覗き込む形になった。
「・・・」
「・・・」
朝から騒々しく動き回っていた二人の間に今日最初の静かな時間が流れる。

ルイズは初めて自分の召喚したエルメェスの顔を直視した。
気絶している横顔ならば見たが、こうやって活動をしている顔を見るとまた違った雰囲気が見られる。
自分やほかの学生たちよりも少し荒々しい顔の創りや、この辺りでは見たことのない珍しい化粧もはっきりと見えた。
鼻がやや高く、その鼻の上部、深めの彫りの中にある目はひざの上で組んでいる手をずっと見続けている。
額とあごには妙な黒い線が入っている、きっと化粧の一種だ。何のためのものかはわからないがきっと最初の予想通り旅芸人としての、もしくは民族的なものなのだろう。
唇にも化粧は施してあり、黄緑色に近い色の口紅が塗ってある。緑という人間の顔につけるには程遠いおかしな色なのに不思議と違和感は感じられない。
頭には変な石。これも黄緑色で結いこまれた髪の黒によく映えている。
服も特徴のあるものを着ている。相当黄緑が好きなのだろう、上に羽織っている服も黄緑色と来ている。内側の服は材質はわからないが暖かそうだが、袖は無く生地は脇までで止まっている。首もとの生地は丸まっていてやはり保温性には優れていそうだ。
上着はいいとして、内側の服は何を目的として作られた服なのかまったく見当がつかない。暖を取るための服にも見えるが、下の方を見るとふくよかな膨らみの下、へそは上着の下でしっかりと露出されている。
「ッて、胸?」
もう一度確認してみるが確かに胸がある、しかも自分よりも数段大きい。ためしにつついてみるが、やはり本物の胸の感触だ。
何故男の胸がこうも豊かに膨らんでいるのか、そういう種類の人間なのか。
よくわからないが気に食わないのはその胸のサイズだ。主人である自分がそこそこ、まぁ良く言えばスレンダーな体型なのにこれはないだろう。
偽物かもしれない、いや偽物のはずだ。きっと何か詰め物をしているはず。
偽るということは良くないことだ、ルイズは自分の誇りを貫き通すため、真実を確かめるためにエルメェスの胸をそっと揉んでみた。
それはいつも無理やり押し当てられるキュルケのそれとよく似ていた。

勘違いかもしれない、と一心不乱に揉み続けるルイズ。
今後のことを考え続け、そんなことにも気づかないエルメェス。
エルメェスがルイズの奇怪な行動に気づいたのはそれからしばらくたってからだった。

「ヘイ、テメェ。あたしの胸でいったい何をしてんだ。」
とりあえず今後のことについて主人であるルイズと話そうと思い、顔を上げたエルメェス。
そんな彼女が最初に見たものは、涙目になりながら自分の胸を揉みしだくルイズだった。
いくら男勝りとはいえ、エルメェスも所謂普通の女の子である。そんなことをされればどうなるかは考え付くところだろう。
しかしルイズはというと、『一心不乱』を体現するように我を忘れてエルメェスの胸を揉み続けている。
前記されている通り、エルメェスは常人よりも少しだけ沸点が低い。ゆっくりと拳を握り、ルイズの頭の上にもっていく。
結果は当然、
「人の話を聞けェェ!!!」
鉄拳制裁である。

「痛ッ―――――!!あにすんのよ!!!」
「それはこっちの台詞だ!つーかなんで人の胸ずっと揉んでんだよ!!」
「なんでって胸、やっぱりこれ胸なの!?詰め物とか牛の油とかじゃなくて。でも何で男に胸が必要なのよ!!」
「オイ誰が男だ、誰が。」
ああいえばこういう、その言葉がよく似合う光景が展開されていく。
「どっからどう見ても男のくせに、何よ、私を馬鹿にしてるの!?」
「男だァー!?ざけんなコンチクショー、どっからどう見ても、ただの艶やかなお姉さんだろうが」
「誰が艶やかだ、誰が!」「あたしだ、あ・た・し!!」
「ルイズー、エルメェスー?何かあったのー?」
『すっこんでろ!!!』

ひとしきり騒いだあと、二人はまた元の位置につく。
そのころにはもう、二人とも体力も残り少なくなり、肩で息をしていた。
「で・・・あんた、名前は?」
「エルメェス。エルメェス・コステロだ。」

TO BE CONTINUED・・・


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