ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

ゼロいぬっ!-79

最終更新:

匿名ユーザー

- view
だれでも歓迎! 編集
“我々は何も失っていない”

アルビオン王国の竜騎士の一人がそう言った。
もはや帰るべき故郷もなく、王家の血筋が途絶えた今、
希望は閉ざされ未来に広がるのは果てるとも知れぬ闇ばかり。
タルブの森に集った彼等の顔には絶望の色が浮かんでいた。
ならば最期に一矢報いてやろうとニューカッスルを生き延びた者達は立ち上がった。
だが、騎士から出た言葉は否定だった。

故郷は遠く、二つの月の傍らに見上げるだけの存在。
しかし手が届かぬ訳ではない。
いつの日かアルビオンの大地を踏み締められる。

ウェールズは倒れ、アルビオンが誇る竜騎士達も戦場に散った。
だが、彼等の魂は滅びず今もこの胸にある。

アルビオン王国は今もここにある。
生き延びた者達の中に有り続けている。

“我々は何も失っていない”

まるで噛み締めるように騎士は言った。
その言葉の意味を理解し、彼等は頭に上っていた血を静めた。
ここで犬死するのは彼等の犠牲を無駄にする事だ。

そして、彼等はアストン伯の元に身を寄せる事を決めた。
トリステインに伸びる魔の手を予測し、迎え撃つ準備をした。
アルビオン各地に散る王党派の人間をここタルブへと集結させた。
その命懸けの任務を『マリー・ガラント号の』船長は快く了承した。
まるで、それが自分の償いだと言わんばかりに。

“『マリー・ガラント』号と王国旗の元に集え”

それが落ち延びた彼等、アルビオン王国の生き残りの合言葉だった。


息を吹き返した大砲がアルビオン軍の足を止める。
『マリー・ガラント』から運び出された火の秘薬が砲口に次々と詰められていく。
アニエスもその光景に目を疑った。
手に手に武器を取り強大なアルビオン軍に挑む民間人達。
彼女の制止する声も届かない。
無謀と知りつつも彼女に止める術はない。
その目は、現実に嘆き命を捨てる者のそれではない。
目の前の敵に立ち向かっていく強い眼差し。
メイジでも軍人でもなく、脆弱な力で彼等は戦う。
……きっと私はこれが見たかったのだと思う。
貴族に抗する事さえ忘れた彼等が立ち上がる姿を。
きっとダングルテールの人々もそうだったのだろう。
あの事件が起きる事を知っていれば村の仲間を守る為に戦った筈だ。

「全軍、私に続け! 彼等を守るんだ!」

ならばこの一時、私の力は彼等の為に。
弱き者達の、強き想いを守る為の牙となろう。
書状に目を落としていたアンリエッタの手が震える。
その書状に施された印は間違いなくアルビオン王国の物。
傅いていた竜騎士は彼女の書状を渡すと、すぐさま戦場へと舞い戻った。
書かれていた言葉はトリステインへの感謝で満ちていた。

ニューカッスルから逃れる者達を命懸けで守ってくれた事。
凶刃に倒れたウェールズ王を丁重に葬ってくれた事。
そして行く先さえない自分達を受け入れてくれた事。
文字では書き記せないほどの恩を受けた。
だから今度は我々がトリステインを守ろう。
それが亡きウェールズ王の願いであり、アルビオン王国の民の願い。
我等が潰えたとしても、その想いは貴方達と共に。

「……あ」

アンリエッタの口から知らずに声が漏れた。
違う。私はそんな事思いもしなかった。
貴方達を守ったのはルイズ達で私じゃない。
そんな命令なんて一言も告げていない。
亡命を受け入れたのだって、
神聖アルビオン共和国を名乗る連中に従いたくなかったに過ぎない。

それどころか私は……貴方達を怨んでいた。
ウェールズ様を守れなかった無能者の貴族達に、
強い者にへつらう事しか知らない民衆だと蔑んだ。

だけど彼等は私達を守ると言った。
……やっと気付いた。これがルイズと私の違い。
危険に身を晒しながらもルイズが守った者が今度は彼女を守る。
彼女の力は積み上げてきた人の絆。

そして、絆の深さはウェールズ様も同様。
彼が死しても尚、その志や想いは消えていない。
それは生き延びたアルビオンの民へと受け継がれた遺産。

……なのに、私はなんと愚かだったのでしょう。
ウェールズ様から託されたのに私はそれを踏み躙ろうとした。
守らなければならない大切な物を自分の手で壊そうとしていたんだ。

零れ落ちたアンリエッタの涙が文字を滲ませる。
霧のように彼女の心を覆っていた憎悪が晴れていく。
きっと彼女は気付いていた、これは憎しみなんかじゃないと。
寂しくて、悲しくて、ぶつける先を求めて彷徨っていた弱い心なのだと。
書状を握り潰して俯く彼女にマザリーニは歩み寄る。
アンリエッタの杖を持ち、その手前で頭を下げて彼女に杖を差し出す。

「姫様、御命令を。今、何を為すべきかは分かっている筈です」
「……ですが私は」

復讐に身を委ねていた彼女はそこにはなく、
今のアンリエッタは歳相応の少女でしかない。
自分の行動に迷いを持ったまま決断など出来るはずも無い。
背負った物の大きさに、彼女は恐怖さえ感じていた。

「姫様。この世に一度も間違いを起こさぬ者などおりません。それは王族であろうとも同じ事。過ちを繰り返さなければそれでよいのです。
真に恐れるべきは決断すべき時に出来ない事です」

その声は優しく諭すようでもあり、厳しく叱るようにも聞こえた。
マザリーニの胸中にあった感情は喜びだった。
今、彼女は本当の意味で王族としての自覚に目覚めたのだ。
失敗など幾らでもすれば良い。
尻拭いや汚名など全て我々が被ればいい。
それが新たな指導者の糧となるならば安い物だ。
……長かった。これでようやく亡き先王への誓いが果たせるのだ。

マザリーニの想いが届いたのか、アンリエッタは杖を受け取った。
そして、涙を振り払い杖を掲げて高らかに告げた。

「皆の者! 勇気ある彼等を死なせてはなりません!
全軍に突撃命令を! アルビオンの大地をあるべき者達の下に!」

姫の一言にマザリーニは大きく頷いて兵達に指示を飛ばした。
それを受けて大地を踏み鳴らしながらトリステイン本陣が敵へと向かっていく。
その光景に驚愕したのは敵ばかりではない。
敵の攻撃が散漫な右翼にあって傍観していた貴族達が唖然とした表情を浮かべる。
もはや姫殿下の護衛がどうのだのと言い逃れは出来ない。
アンリエッタ自身が前線へと飛び込んだ以上、この場にいるのは保身と見なされる。
止むを得ず、次々と右翼部隊も雄叫びを上げて敵陣へと突き進んだ。


「王国の亡霊がッ! 成仏できずに化けて出たか!?」

共和国の竜騎士の一人が吼える。
目前に迫ってくるのは滅びた国の旗の下に集う竜騎士達。
引きつけて放った火竜の息吹が虚しく空を切る。
直前で身を翻した王国の竜騎士は既に背後に回っていた。
振り返る間さえも与えずに翼に打ち込まれるエア・カッター。
制動を失って地に落ちていく竜騎士に彼は叫んだ。

「我々は生きている! 今も、そして……これからもだ!」

見上げれば山の如き巨艦に従えられた大艦隊。
それに加え、艦隊を護衛する無数の竜騎士達。
これを前にして生き延びるなどと、
我ながら大した大風呂敷を広げたと笑いながら、
彼は次なる敵を求めて空を翔る。

否。たとえ自分達が朽ちてもアルビオン王国は不滅だ。
想いを継ぐ者がいれば、決して消えたりはしない。
「交易船1隻にいつまで手間取っておる!? さっさと砲撃せぬか!」

『マリー・ガラント』号を沈めんと迫る竜騎士達が次々と落とされていく。
そんなニューカッスルの悪夢の再来を目の当たりにしてジョンストンは怒鳴った。
無理もない。地上軍はトリステイン本陣を含む三方から包囲され、
容易く決着が付くと思われた戦闘は今もアルビオンの不利で続いているのだ。
圧倒的な戦力差がありながら、この体たらく。
あるいは艦隊総司令官の地位さえ追われるかもしれない。
その恐怖からがなりたてる彼の横で冷静にボーウッドは告げる。

「ですが、あの船は地上軍の真上に着けています。
砲撃をすれば我が軍にも少なからず被害が出るでしょうな」
「構うものか! 皇帝陛下が見ておられるのだぞ!?
そんなに私を無能者に仕立てたいのか! 
地上軍など無くても我がアルビオン艦隊がある限り負けはせん!」

冷静を保つ彼が気に食わないのか、
ジョンストンは銃口を模した指先をボーウッドの胸に突き立てた。
それは逆らえば死を意味する脅迫行為。
しかしボーウッドの表情は揺るがず真っ直ぐに彼を見据える。
彼の気迫に圧し負けジョンストンは言葉に詰まった。
だが船員達の目がある以上、ここで退けば自分が下だと証明したに等しい。
二人の膠着状態が続く中、艦橋に誰かの靴音が響く。
彼等の視線が向かった先で、地上軍を指揮する老士官が敬礼していた。

「艦長殿と艦隊総司令殿がケンカされて喜ぶのは敵ばかりですな」
「何の用だ!? お前の任務は地上軍の指揮だろう!
さっさと地上に降りて、平民も倒せぬ無能な部下どもの尻でも叩いてこい!」
「ええ。その前に御挨拶をと」

冗談めかした苦言を呈す彼にジョンストンが怒りを露にする。
もはや聞き流す余裕さえ残されていないのだろう。
まるで軍の現状をそのままにしたようなジョンストンの態度に、
苛立つ事もなく彼は苦笑いを浮かべた。
総司令を前に変わらぬ男の態度にボーウッドも苦味の混じった笑みを見せる。
二人の諍いが収まったと安堵した船員達の耳に、老士官の驚くべき言葉が響く。

「この戦、負け戦ですな」

刹那。艦橋を満たす空気が凍った。
軍規を重んじるアルビオン軍にあって敗北を口にするなど、
その場で処刑されても仕方ない重罪。
それを知らない訳がないだろうに老士官は平然と言い放った。
血管が引き千切れていく音と共にジョンストンは自分の杖に手を掛けた。
元よりやり場のない怒りに打ち震えていた彼にとって、
それは業火に投げ込まれた火の秘薬に等しい。
殺意を帯びた杖先は老士官へと向けられ、魔法が放たれる時を待っている。
「貴様ァ! 自分の無能を棚に上げ、言うべき事はそれだけかッ!?
そうか、分かったぞ! 貴様等二人して私に失態を演じさせるつもりだな!
艦隊総司令の地位がそうまでして欲しいか、ボーウッド!!」

見当違いな憶測を吐き出しながら濁った瞳がボーウッドを向けられる。
視界から離れた一瞬、老士官はジョンストンの下へと踏み込んだ。
咄嗟に彼の動きに気付くも、ボーウッドの手が杖を押さえ込む。
次の瞬間、枯れ木のような腕がジョンストンの鳩尾に深々と食い込んだ。
かはっ、という苦悶を吐いてジョンストンの体が糸が切れるように崩れ落ちる。
それを支えながらボーウッドは近くで呆然としていた船員に命じた。

「どうやら艦隊総司令は頭に血を上らせすぎたらしい。
誰か医務室に運んでやってくれ。以降の艦隊指揮は私が取る」

淡々と告げるボーウッドの言葉に船員も従う。
正気を失いかけている艦隊総司令よりも艦長に従う方が得策だと、
彼等なりに現状を把握して行動に移した。
騒ぎの元凶が倒れたとはいえ、未だにざわつく艦橋の中でボーウッドは訊ねる。

「それで、どういうつもりだ?」

痛そうに手首を振るう老士官にボーウッドはちらりと視線を向ける。
いつもの悪ふざけにしても度が過ぎている。
下手をすれば殺されていてもおかしくはなかった。
だが悪びれる様子もなく彼は答えた。

「他意はない。今、戦っているのは同じアルビオンの民だ。
それに手を掛ければ少なからず兵達にも動揺が走るだろう。
そんな状況で士気に勝るトリステイン軍を相手にするとなれば死を覚悟して当然だろう」
「だが連中の頭上を抑え、予備部隊とて十分にある。
我々が負けると決まったわけではない」

ボーウッドの反論に彼は静かに首を振った。
恐らくボーウッド自身も気付いている。
それを口に出さないのは彼の優しさからだ。

「確かに、この戦いは勝てる。
だが、その後どうなるか予想は付くだろう。
姫自身が身を張って領民を守ったトリステインと、
艦隊を不意打ちで殲滅し、自国の民さえも殺すアルビオン。
両国の民がどちらを選ぶかは自明の理だろう」

誇りを持った人間は恐怖では操れない。
この一戦を勝ち得たとしてもトリステイン全土を支配するのは不可能だ。
いつ他国の介入を招くか分からぬ状況で
内情の不安を抱えたまま戦争を継続する事は出来ない。
内と外に敵を作れば如何なる強国とて滅びる他ない。
かといってここで兵を退けばアルビオンの民が納得すまい。
他国へ侵攻する意図の下、多大な税を強いて軍事強国となったのだ。
敗戦が伝えられればアルビオン軍の信頼は完全に失墜する。

失う物に比べて得る物が少なければ勝利とはいえない。
ましてや、それが致命的な損失になるのならば尚の事。
この戦の勝ち負けなど些細な物に過ぎない。
トリステインはもっと大きな……大局での勝利を掴んだのだ。
「進めど破滅、戻れど破滅。
成る程。確かに君の言うとおり、これは負け戦だ。
それでも、君は行くというのか?」
「下士官だった頃、窮地に追い込まれるといつも思ってたよ。
『どうして上官はこういう時に助けてくれないのか』とね。
やはり私は上に立つべき人間ではなかったな」

彼との約束はこの戦までの話だった。
勝とうが負けようが、彼はこれを最後に引退し老後を送る。
一人で生活するには十分すぎる退職金を手に、
仮に神聖アルビオン共和国が滅びようとも他国で暮らしていけた。
それを捨てて彼は危険な前線へと向かう。
自ら汚名を被り、この戦の責任を取る為に。

「さらばだ友よ。いずれ私もそちらへ逝く」
「ではなボーウッド。僅かとはいえ共に轡を並べられて楽しかったぞ」

もはや言葉では止められない。
だからこそボーウッドは彼を敬礼で送り出す。
それが彼を戦場へと向かわせた自分の責任であり、
アルビオン軍人としての務めであると自分に言い聞かせながら。
ボーウッドの敬礼に老士官も敬礼で応える。
互いに敬礼を交わす二人の軍人。
死に向かう老士官は笑みを、見送る艦長は悲哀を浮かべる。

「次に会うのはまだ先でいい。
それまでは部下の愚痴でも聞きながら一杯やっているさ」

カツンと音を立てながら返される踵。
艦橋から去り行く背中を見届けた後、ボーウッドは船員に告げた。

「艦の高度を下げて艦砲射撃の態勢に入れ」
「……しかしワルド子爵が」
「責任は私が取ろう。戦友の門出を祝う礼砲だ……派手にやってくれ」

それに、と小さく船員の耳元でボーウッドは呟いた。
まるで子供が秘密の話でも楽しむかのように、聞き取るのが精一杯の声で。

「私は彼が好きではない。彼の命令に従うのもな」

その口から漏れた、あまりにも艦長らしからぬ発言に、
船員の顔は唖然としたものから笑いへと変わる。
そして、それに同意するかのように船員はボーウッドの命を全艦に伝えた。


「砲撃、来ます!」

長玉で艦隊の動向を窺っていた観測班が大声で叫ぶ。
しかし、この乱戦では伝令の声も届かない。
破裂音と共に舞い上がる砂煙。
降り注ぐ鉛の雨が大地を太鼓の如く響かせる。
立ち昇る土煙に入り混じってトリステイン兵士が吹き飛ばされていく。
だが物怖じする事なく彼等は突き進む。
その眼前に映るのは魔法衛士隊を率いて先陣を切るアンリエッタの背。
それを追い越さんと彼等は必死に駆ける。
「姫殿下!」
「ダメです! 退いてはなりません!
ここで退けば本陣は狙い撃ちにされます!
このまま前進を! 敵陣へと踏み込むのです!」

マザリーニの諌める声を制し、アンリエッタは叫んだ。
敵味方が入り混じれば砲撃の手は必ず緩まる。
そう確信して脇目も振らずに彼女は突撃を敢行する。
周囲で聞こえる味方の悲鳴も砲声にも耳を塞ぎ、
ただ目に見えぬ道を切り開くかのように前へと突き進む。

それは本隊だけではなく左翼の義勇兵部隊も同様だった。
だが数で勝ろうとも兵の練度に劣り、
更には互いの連携が取れない彼等には限界があった。
敵を押し切れずに続く膠着状態が砲撃の犠牲者を増やしていく。

「どうした!? 砲撃を続けろ!」
「それが砲身が焼き付いて、このままでは誘爆の恐れが…」
「すぐに冷却しろ! 手空きの者は私に続け!」

アニエスの怒声に砲手が答える。
火の秘薬や砲弾があっても常に大砲が撃てるとは限らない。
歯痒さを感じながら彼女は銃を手に前線の支援に向かう。
ギーシュやニコラの奮闘があろうとも戦局を変えるには至らない。
実戦慣れしていないモット伯も自分の部下を率いるのが手一杯。

その彼等の足元に黒い影が落ちた。
頭上を見上げれば、そこには神聖アルビオン共和国の竜騎士部隊。
喉下を燻るのは灼熱の吐息。鋭い眼光が獲物を捉える。

「敵の砲台群を叩け! 運ばれてきた火薬ごと吹き飛ばしてやれ!」
「させるな! 迎撃しろ!」

舞い降りてきた脅威に兵士達は一斉に発砲する。
だが、それは火竜の羽ばたきと風系統の魔法に散らされた。
辛うじて届いた弾丸も装甲じみた鱗に傷一つ与えられない。
竜の顎が大きく開く。その口内で舌先の如くチラチラと揺れる火。
近くの竜騎士やグリフォン隊士が駆けつけるも既に遅い。
今まさに吐き出されんとする炎を遮る手段など彼等にはない。
刹那。大地から天へと逆しまに雷光が昇った。
頭上で起きた爆発が空を朱に染めていく。
誘爆に次ぐ誘爆。空を埋め尽くしていた火竜が炎に消えていく。

敵味方双方から困惑の声が上がる。
巻き起こった爆発を上空から見下ろしながらワルドは呟いた。

「……来たか」

憎悪の篭った声には僅かな喜色が入り混じっていた。
あるいは彼は待ち望んでいたのかもしれない。
決着を付けぬままこの世界から去る事は許されない。
あの日、自分の前に立ち塞がった大きな障害。
ワルドはそれを試練だと確信した。
これを乗り越えた先にこそ自分が求める物があるのだと、
そう信じて彼は全てを捨てた。

残された物はただ一つ。
『この手で“バオー”を殺す』
その情動だけが今の彼を突き動かしていた。

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

記事メニュー
目安箱バナー