ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

白銀と亀な使い魔-2

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匿名ユーザー

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「つまりこういう訳か?『俺は亀の中にいたため亀と一緒にこの世界に来てしまった。』」
「あんたのその元の世界とやらが本当ならね。でも何であんたまで使い魔になっちゃったのかはさっぱりだわ」
「蘇れたことや帰る方法の方がよっぽど重要だと思うが…」
ポルナレフは空に浮かぶ二つの月を見て溜め息をついた。
今は夜、学生寮のルイズの部屋で二人は今後の事について話していた。
ポルナレフにとってかつての世界に執着はあまりないとは言えない。それどころか他人には言えない大事な用事があったのだ。
それはSPW財団に矢の追跡調査の報告である。彼は承太郎達にレクイエムという新たな力を知らせなければならなかった。
そのため一刻も早く元の世界に戻らなければならなかった。

「しかし、呼び出せたんだから元の世界に戻る道もあるだろう。入口だけで出口の無い家は無いからな。」
「それまではどうするの?」
「分かりきったことを言うんじゃないッ!当分その使い魔とやらをしながら世話になるしか無いだろッ!
ああ、なんて厄介な事をしてくれたんだ貴様は…」
ポルナレフは頭を抱え込んでしまった。帰らなければならないが方法が分からない以上どうしようもないのだ。
(しかしなんて暢気な亀だ…同じ境遇のくせに…)
すぐ傍で寝ている亀を羨ましそうに見た。

一方ルイズは使い魔である一人と一匹を見て、おそらくこんな事を出来たのは空前絶後私だけだろうと自負していた。
(まさか一度に二匹なんて…!それほど特別なのかしら!?)
自分が『ゼロ』である時点で十分特別だと思われるのだが、そんな事は頭の中に無かった。

しかし、あることに気付いた。
「あんた結構筋肉はついてるけど、ただの平民よね?」
「平民と呼ぶな。貴様達の世界ならそうかもしれんがあいにく俺はここの人間では無いからな。」
「ということは…大して役に立たないわね…」
ルイズはうなだれた。最もな事である。彼女達メイジにとって使い魔とは主人の目となり耳となり、また主人を守る存在であるからだ。
他の使い魔、たとえ犬でさえ平民よりずっとマシに思えた。
「役に立たないとは酷いな。何かの役には立つさ。まあ、ドラゴンやらグリフォンなんかと比べられてもあれだがな。」
ポルナレフは苦笑した。チャリオッツが使えれば並の使い魔ごときに負けない自信はあったが、そのチャリオッツはローマで殺してしまっているため、今はいない。蘇ったことを理解した直後、試してみたがやっぱり無理だった。
「全くよ!…しょうがないわ。あんたには掃除洗濯その他雑用でもしてもらおうかしら」
「別にかまわんぞ。それぐらいしか今の俺には出来んだろうしな。」
案外すんなり受け入れたポルナレフにルイズは多少驚いた。てっきり抵抗するものだと思っていたからだ。
しかし一方のポルナレフは心の内で
(誰がそんな面倒な事するかッ!いきなりこんな場所に呼び出されてしかも高慢な態度取られてよく思う奴なんかいるわけあるまいッ!)
とキレていた。

「さてと、しゃべったら、眠くなっちゃったわ」
ルイズはそんなポルナレフの胸の内も知らず暢気に欠伸をした。
「そうか。それじゃおやすみ…」
ポルナレフはそう言うと亀の甲羅に鍵を嵌め、甲羅の上に足を載せようとした。
「あんた何しようとしてんのッ!?」
ルイズは自分の使い魔がもう片方の使い魔を殺そうとしている様にしか見えない光景に、思わずそう叫んだのだが、
「寝るんだろ?ここには俺が寝るベットやソファは無い。だったらここで寝るしかあるまい。」
とポルナレフは落ち着いて言うと『中に入って』行った。
「…はぁ?」
ルイズはそのあまりに異常な光景に今度は開いた口が塞がらなかった。
「あんた…どこ行ったの?」
「ここだが?」
「キャッ!?」
昼間と同じ様にポルナレフの首だけが甲羅からニュッと出ていた。
「ななな、何が起こっているの!?あたしの頭がおかしくなったの?それとも何かの魔法!?平民が!?ありえない!」
「だから亀の中が…」
「何故なの!?全く意味が分からないわッ!」
そういうとポルナレフの首から逃れるようにベットにダイブし、毛布を頭から被るとガタガタ震えだした。


「一日に二回も男の生首がいきなり目の前に現れたんだ。怯えて取り乱すのも無理はあるまい。しかし、『これ』を理解させるにはもっと時間が必要かもしれんな…」
と呟くとポルナレフはそのまま亀の中のソファで何日ぶりかの睡眠を楽しんだ。
…ルイズが震えていた本当の理由も知らずに…



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